第1回筑波技術短期大学視覚部海外研修-ニューヨーク州立大学バッファロー校との大学間交流協定に基づく国際交流を終えて- 鍼灸学科 一幡 良利 一般教育等(視覚障害系) ポーリー・マーティン・エドモンド 庶務課研究協力係 久保田 優 情報処理学科 岸 英嗣 情報処理学科 櫻井 宏紀 鍼灸学科 賀川 佳美 情報処理学科 丸山 智士 要旨:平成11年7月15日から7月22日まで、視覚部を代表して学生4名、教職員3名でアメリカのニューヨーク州のバッファローにある、ニューヨーク州立大学バッファロー校(The State University of New York at Buffalo、UB)とロチェスターにあるナショナル聾工科大学(National Technical Institute for the Deaf, NTID)に海外研修へ行った。視覚部での学生の海外研修は創立以来初めての試みで不安もあったが、7泊8日の研修期間を無事終了することができた。本研修は平成11年3月12日に本学とUBが大学間交流協定を締結したことに基づき、交流と研修が行われるようになった。 キーワード:海外研修、大学間交流協定、ニューヨーク州立大学バッファロー校、ナショナル聾工科大学、アメリカ 1.はじめに -筑波技術短期大学とニューヨーク州立大学バッファロー校との大学間交流協定について-  ニューヨーク州立大学バッファロー校(The State University of New York at Buffalo, UB)は福祉機器センター(Center for Assistive Technology、CAT)を保有しており、障害者のための知識及び福祉機器の開発、教育、研究、サービスをしている部門があり、この分野では全米中でも積極的な大学である。その内容は教育、就労、日常生活のための福祉機器の使用に関する研究、学術的・臨床的専門家の教育、福祉機器サービスの提供並びに公共政策の分析などの各分野が柱となっている。これらの中に本学視覚部との関連においてはリハビリテーション医学、老年医学、免疫学、情報処理学、理学療法学、障害者のための教育心理およびカウンセリング、コミニケーション障害科学がある。また、聴覚部関連では建築設計、機械エンジニアリングなどの教育研究がある。これら関連の研究発表の場は障害者関連では国際的な雑誌である「Technology and Disability」があり、この編集事務局はUBのCAT内(編集委員長はDr.Mann所長)にある。米国内には視覚障害者のみの大学は存在しないが、UBには視覚障害者のためのコンピューター設備のある研究室では就学、就職に必要な障害学習を行っている。 そのような背景があるUBは本学との教育・研究について多くの共通点を有している利点がある。更に、語学研修ではUB内には留学生のための英語教育センター(English Language Institute,ELI)があり、短期集中と長期滞在コースがあり、多くの国の留学生と一緒に国際交流が可能でかつ語学研修ができる。従って両校は相互に発展できる可能性が十分に備わっている故に、平成11年3月12日に大学間交流協定に基づき、同意書(Agreement)が交わされた。 2.海外研修  平成11年7月15日から7月22日までの7泊8日間のアメリカ研修を学生同伴で、高等教育機関での視察並びに体験学習を行った。訪問先はUBとNTIDである。両校において、アメリカでの障害者の教育並びに自立について研修した。本研修は上記大学間交流協定を締結したことにより、遂行されるようになったものである。以下その概要について述べる。 3.訪問先の概要 3.1 ニューヨーク州立大学バッファロー校(バッファロー、ニューヨーク州、米国)  ニューヨーク州立大学は、64校の大学・短大から構成される世界最大の公立大学機構になっている。その中の一つであるUBはニューヨーク州の西側に位置しカナダの国境に近い(写真1)。学生数は4万7千人も受け入れている総合大学である。ちなみに全米大学の入学難易度は5段階評価の4であり、5は有名私立大学であるハーバード、エールなどで、州立大学の中では最も難関大学で、入学目安となるTOEFLは550点以上必要である。 キャンパスはノースキャンパスとサウスキャンパスの2つに別れており、広大な敷地を有し、スクールバス、または路線バスを用いて両キャンパスを移動することが可能である。ノースキャンパスには英語教育センター、情報処理学科、並びに障害者のためのサービスセンターなどがある。大学の本部施設で、郊外にあり陸上競技場や運動施設、ブックストア、寮などが完備している。また、サウスキャンパスは旧来の建物で構成されており、福祉機器センター、理学療法学科、医学部、歯学部、看護学部、病院などの施設が充実している。 3.1.1 福祉機器センター(Center for Assistive Technology、CAT)  CATのMann所長にはアメリカで実際に機能訓練に開発されている機器並びに施設の概要についての説明を受けた。本施設(写真2)は本学理学療法学科並びに情報処理学科の学生に至適である。現在、米国では3千3百万人が日常生活に必要な機能を制限する何らかの障害を持っており、本施設ではテクノロジーをベースにした福祉機器の開発により、これら障害を持つ人の機能向上に役立っている。この施設は福祉機器の使用に関する研究、専門家教育、福祉機器サービスの提供、公共政策の分析などの部門がある。各々の部門はサービス提供機関、私立団体、政府機関、他大学、障害者支持団体、消費者と共同で事業がなされている。既に完成された事業は軽度な障害者に対するコンピューターをベースにしたトレーニングの提供及び職業斡旋、身体あるいは感覚機能障害者に対する職の確保と継続、福祉機器に関する消費者の満足度の評価によるフィードバックの提供などがある。これらはCATスタッフとサービス提供機関、私立団体機関、政府機関、他大学、障害者支援団体、消費者とで共同プロジェクトとしておこなわれている。今後このプロジェクトに本学は日本の大学の代表として積極的に参加すべきである。 3.1.2 理学療法学科  全米でも理学療法士は人気の学問並びに職域であり、その中でもUBは最先端の教育研究を行っている。特に本学理学療法学科の学生はアメリカの理学療法士を知る上で一度は研修してもらいたい場所である。ここでは機能検査室、障害児の機能訓練室(写真3)などを見学した。 3.1.3 免疫センター  免疫センターは医学部内にあり、Cunningham所長にアメリカでの最先端のガン研究のワクチンと免疫療法の話を聞くことができた。本センターはこれまで日本の多くの免疫学者並びにガン研究者を受け入れてきた。この分野では世界的にも有数の機関であり、本学としては東西統合研究を行っている鍼灸学科の教官並びに学生の共同研究の場として至適である。所長も東西医学に関しては興味を示しており、ガン免疫療法にはこの分野での研究者の増加が必要であり、いつでも本学スタッフを受け入れてくれる。 3.1.4 情報処理学科  施設見学と実際の大学院生レベルまでの研究内容の説明を受けた。本施設は情報処理学科の学生には最も至適であることは当たり前であるが、一部医学部・臨床検査部門との共同で、患者の生理機能のコンピュータ解析も行っており、この分野に興味のある鍼灸・理学両学科の学生にも有意義である。 3 .1 .5  留学生のための英語教育センター(English Language Institute、ELI)  UB内ノースキャンパスにあるELIで半日間、実際に他の国の留学生(アジア、ラテンアメリカ、ヨーロッパなど)と一緒に語学研修(写真4)を行った。クラスは8クラス編制で語学力に応じて基礎(2クラス)、中級(2クラス)、上級(4クラス)に分かれている。1クラスは10から15名位である。夏期集中コースは6月1日から8月6日まで開講している。本学学生も実際の語学力に応じて、各クラスに分散して、半日間の短期集中であったが本場での語学研修を真剣な眼差しのもとで受けた。特に、上級クラスでの体験はReadingとDiscussion中心なので一般会話は当たり前で、アメリカの大学での講義が十分理解できるようになる為に設定してあり、将来留学したい学生には有意義なコースであり、本学学生の中で語学の好きな人は挑戦してもらいたい。実際本研修学生の中にも本コースで他の留学生に一つもひけをとらない学生がいたことを付け加えたい。また夏期研修後は修了試験として、8月9日にMichigan Examination 、同じく10日にTOEFLがある。ちなみに最初のクラス分けは一般試験とTOEFLで行っている。 TOEFLは500点(471から530)で英検2級、550点(531から570)で準1級、600点(571から630)で1級、654点(631から677)で1級以上有段者である。また、アメリカの学校に入るには専門学校で400から500点、大学学部で500から550点、大学院で550から650点の目安がある。我々が受けたクラスは550から600点を目指す学生が多かった。また、余談ではあるが本施設内の廊下には至る所に再生紙専用の回収箱がおいてあり、地球に優しい環境設定がなされていた(写真5)。 3.1.6 自立生活プロジェクトセンター  バッファローの中心街にあり、UBのノースキャンパスからは車で20分位のところに位置する。このセンターは全ての障害者の福祉機器に関する開発並びに障害者の自立支援のための教育と社会生活法などについてUBのCATと共同で行っている。そのなかでも、弱視並びに全盲のための機器の評価と実際的な就労のためのトーレニング並びに支援はここで行われており、本学視覚部との関連は十分にあるセンターである。 3.1.7 ナショナル聾工科大学(ロチェスター、ニューヨーク州、米国)  本学と姉妹校締結(平成4年10月16日)し、聴覚部では毎年学生の派遣と教官の交流が活発になされているNTIDを訪問する機会を得た。UBからは車で1時間30分でいくことができる。ここのスタッフは本学のことをよく理解され、夏休み中なので学生間の交流は出来なかったが、施設見学とアメリカの聴覚障害学生の職業自立などについて説明を受けた。今後、NTID、本学およびUB間での国際交流、教育研究がより進展することが望まれる。 写真1 バッファロー(ニューヨーク州)の位置 写真2 ニューヨーク州立大学バッファロー校のKimball Tower(この建物の中に福祉機器センターや理学療法学科がある) 写真3 障害児の機能訓練室 写真4 英語教育センターの講義室(グループ学習) 写真5 再生紙専用の回収箱 4.課外学習  休日はナイアガラの滝に見学に行き、体感学習を十分に満喫し、異国の地でのストレス解消と疲労回復の場としては最も効果的な所である。UBより車で30分でいくことができる。全盲の学生も、実際遊覧船に乗って滝壺まで行ったときは興奮を隠しきれない様子で最も楽しめた場所であったことを後で話してくれた。また、市内にあるバッファロー動物園では日本みたいに混雑することなく実際に動物(山羊、羊、ニワトリ)にゆっくりと触れることができ、ラクダにも騎乗することもでき学生も童心に戻り、貴重な経験をした。また、大学間交流協定締結で最も世話になったCAT所長のMann先生宅のホームパ-テイーに全員で招待を受け、交流を更に深めると同時にアメリカの家庭での慣習を学習した。このとき、鍼灸学科の学生は手技療法の実際の体験としてMann所長夫妻に施術し、非常に喜ばれ、有意義な時間と交流を深めた。  滞在期間中の毎日の食事も大学カフェテリアだけでなく、いろいろなエスニックレストランでの味を満喫するために広く食文化の吸収のため、メキシコ料理、ギリシャ料理、インド料理、アメリカンスタイルのレストランなど幅広く楽めた。 5.参加学生の感想 5.1 学生A  今回の研修旅行は学習意欲とともに、自身にとっての海外経験の蓄積を目的とした物であった。海外に進出することより、基本の英語はもとより、その地における環境の相違や、人々の生活習慣並びに考え方を肌で感じたいために研修旅行に参加した。その結果、わずか1週間であったが学んだことは意外に多く、仲間との協力をもとに毎日がとても充実し、新しいことへの積み重ねであった。さて出発当日これから海外に行こうという実感がないままに出発となったわけであるが、空港に着くなりこれからの未知の体験と1週間にどんなことが待っているかを考えていると、自然に熱くなっている自分自身であった。飛行機が飛び立つと英語が飛び交う機内に、ようやく海外進出への実感が心をよぎる。僕のワクワクを他所に、皆は以外に落ち着いて見えた。さてアメリカへ到着すると日差しは強くサングラスをしててもすべてが眩しく見えた。大学は夏休みということもあり、本来の学生数を体験できなかったのは残念であったが、それにしても学内はどこか活気にあふれて見えた。建物の広い作りも新鮮で、さすがの土地の広さを感じさせられるものだった。  最初の見学先CATでは自分の専攻学科外のことではあったものの、とても素直におもしろいと感じることができた。自分の大学でさえみることの無いような、手を使わないヒトのための電話機などもそれである。その後は情報処理機器を中心とした、自分の周りでもお目見えするような内容のものもあった。音声合成ソフトや拡大読書機、ズームテキストなどで、本学でも見られる機種で、多少の違いを感じ取ることができた。特に、音声合成ソフトに関しては英語専門ということもあってか、英単語の発音から、本来の英語と見なされていない語(日本人の固有名詞など)のローマ字読みといったケアまでが幅広くサポートされており、とても興味深く見ることが出来たし、良い経験になった。流れる時の中でその時間はあっという間のひとときだったように思われた。その後医学部・免疫センターでは免疫学の話を聞いたのだが、さすがにここまで専門分野になってしまうと、ギブアップといわんばかりの難しさ。少しのとまどいをあらわにしてしまう。しかしながら学内を案内してくださった方をはじめとし、みなさん気持ちの良い方ばかりで、アメリカのイメージは自分の中で大きく変化していった。まさに井戸の中の蛙、大海を知るといったところであった。  さて、旅行も終盤にさしかかり、ひたすら時間の短さを感じつつあるも、この日だけはいつもとは、勝手が違っていた。それはUBにてサマースクールでの語学研修を体験できたことにある。これはある意味非常に貴重な体験をさせてもらった。生徒を各グループに分け、それぞれが割り当てられたクラスに参加できるということであった。僕のクラスはアジア勢を中心に、他民族が一つの空間において、一つの目的に向かって学んでいる様は、とても感銘を受けるものである。そこでの内容は「アリとキリギリス」ならぬ「アリとセミ」という題をもとに、更に、小グループに分かれて各文節ごとに各人が記憶し、小グループで文節を完成させた後、みんなでもとの物語を完成させるもので、母国語ならばスムースに出来そうな内容であった。最初は戸惑い、ちょっと困っていた僕だったが、そこはアメリカというべきか、皆が楽しく講義を受けている空気はとても心地のよいものだった。周りの人とも多少の会話をするうちに、限られた時間の中で自分も楽しみたいと思えるようになった。それとともに、自分の語学力のなさにちょっと腹立たしさを感じずにはいられなっかった。最後に「残り少ない貴重な時間を有効に楽しんでくださいね」と声をかけられ、その言葉の重みをひしひしと感じつつも、もう一度ここに来たいという魅力が、そこには十分にあった。  アメリカ最終日はNTIDという聴覚障害者のための大学を訪問した。自分自身多少の手話の知識はあれど、やはり英語ともなるとちょっと違った、というのが正直なところである。それは、それなりに似た手話もあれば、意味の全く異なる手話もあるからである。しかし、話をする時に常に手を動かす行動は、どこの国も同じなんだと感じることが出来た。その他建物の造りもさすがに、デザイン学科があるだけに、おもしろい造りになっている。これは本学の聴覚部の建物についてもいえることである。ただ敷地の違いはいかんともし難いものである。 学内をローラープレートで移動しているヒトを見ると、その違いが明らかになってしまい、そのような学生生活にちょっとあこがれたりした。  こうして長い研修旅行に終止符をうったのだが、この1週間で学んだ多くのことは、これからの自分にどんな影響を与えてくれるのだろう。日本に帰った時に最初に感じたことは、日本はもしかしたらつまらない国かもしれない、というように思えてならなかった。人々が淡々と繰り成す日々のコミニケーションは、活気があまりないように感じられたからである。 5.2 学生B  私にとっては飛行機に乗ること自体が初めてのことなので、そこからが今回の研修旅行の始まりだった。まず、飛行機(United Airline)に乗って驚いたことは、客室乗務員の方がわざわざ緊急時の避難口や対処の仕方などを直接教えてくれたことです。視覚障害者が搭乗していることを把握し、視覚障害者にあった対処の仕方を考えてあることに驚いた。さて、アメリカに着くや、入国手続きの持ち物検査では白杖まで詳細に調べられ、はじめてみるアメリカはなにもかもが物珍しく感じられた。宿泊先では日本のホテルに比べて室内がとても暗いし、その他ほとんどの建物が暗いようだった。また点字ブロックの存在を全くといっていいほど感じられず、今回は他のみんなが手引きしてくれたので困ることはなかったが、一人で歩くにはつらい場所だと思った。ただ、道幅はとても広く歩道もしっかり造られている町だと思った。気候については夏なので暑かったが、湿気が少ない分、日本よりは過ごしやすかった。また、日照時間も長く、9時近くまで明るかったので室内はとても歩きやすく感じられた。  大学の施設見学および研修ではCATでは座るときに全く負荷がかからない椅子などは実際に体感したので理解出来た。パソコン関連の施設では特に驚いたのが足で打てるキーボードやウインドーズ用の音声出力ソフトには興味が引かれた。これはJAWSというソフトで98リーダーなどと比較してもわりと使いやすいと思った。またピンデスプレイにも対応していて、もちろん日本語は打てなかったが使いやすかった。そして研修中唯一みることが出来た音声出力のソフトだった。また、情報処理学科では日本のキーボードよりもキーボードの左側にキーが多くついているものがあった。更に、サーバールームでは本学科とあまり変わらない感じがしたが、ただ70ギガバイトのデータを保存出来るセットがあり驚いた。日本にあるかどうかはわからないが、少なくとも本学科ではみたことがなかったので、世界の広さを感じた。  更に語学教育センターでは留学生の英語の講義を見学させてもらった。日本人も何人かいて、休み時間に日本語を話している人にあったのは、我々グループ以外に、日本をでてから初めてだったので、なんだか異国の地でもほっとした。しかし、その人たちも授業がはじまると流暢な会話になり、あらためて自分自身の英語力のなさを痛感した。研修の最終日はNTIDに行った。NTIDの人々は手話を使いながら説明してくれたので、英語もそれに併せてゆっくりと話していたので、聞き取りやすかった。この施設では電話にキーボードついたものがあり、キーボードで打った内容が電話の向こうの相手のもとに届くというものだった。実際にみたのは初めてで、聴覚障害者の方とコミニュケーションをとるには最適なものだと思った。またデザイン学科の学生がパソコンで作ったカレンダーはグラフィックスはよくわからなかったが、絵はとてもきれいだと思った。全体としての感想は空港をでてから初めてのことばかりで戸惑うことも多くあったが、いろいろな意味で勉強になった。 5.3 学生C  飛行機の中でよく眠れず、時差ボケにくるしみ、ついてすぐの夕食はろくに食べることも出来なかった。しかし、その日の夜にはぐっすり眠ることが出来、健康状態もすぐに回復した。まず最初に、理学療法関係の施設を見学した。一番印象に残ったのは、足の指を使って押すキーボードや、その他様々なキーボードがあったことである。その後、パソコンのおいてある部屋に行き、本学科でも使用しているズームテキストがバージョンアップしていて機能が増えている機種を見学した。例えば、カーソルを一カ所から別な場所へ自動的に移動することが出来る、いわゆるカーソルのジャンプの機能があったのがとても印象的だった。その他には、移り手で下の台を動かさずにボタン一つで動かすことの出来る拡大図書機もあった。この機種は本学科にもほしいと思った。次に、情報処理関係の施設では、サーバールームに行ったときに70ギガバイトの情報量が入るテープをみてある意味感動した。普通のフロッピイデイスクでは1.2メガバイトか1.4メガバイトの情報量しか入らないのでこのテープはとても画期的な商品になると思った。  午後はELIへ行き留学生と共に授業に参加した。私たちのグループは約20人の学生がいた。とてもにぎやかでフレンドリーな感じの授業だったのでとても楽しかった。特に教科書の中に書いてある映画のタイトルについて討論したことが一番印象的であった。 翌日、NTIDに行き、学生の制作であるきれいな立体コピーで出来た模様のデザインがとてもきれいで印象的であった。  こうして思えば長いようで短い研修旅行であったが、とても楽しく、充実した1週間だった。もし留学出来る可能性があるならば、あそこの設備でコンピューターの勉強をしたり、自分の語学を存分に生かせればと考えている。そのためにも本学でもっともっと勉強し、様々ものを吸収したいと思っている。 5.4 学生D  UBには鍼灸に関する直接の研究施設はないが、その中でも東西統合教育研究に関連した施設並びに鍼の知識などについて話を聞く機会があった。今回会った大学のスタッフの多くのヒトはほとんど鍼治療を知っており、鍼が想像以上に知られていることに驚いた。だが、ほとんどのアメリカ人が「あん摩(マッサージ)はよい、だが鍼を刺すのは怖い。」といっていた。アメリカ国立衛生研究所(NIH) の報告ではアメリカで鍼灸は西洋医学と同レベルと考えられてきている。しかし人々の間ではまだまだ同様な扱いとはいいがたいと思った。でもよく考えると日本でも同じことがいえる。余談であるがMann先生の家庭を訪問する機会があり、その際坐位にてあん摩の施術を行い、とても喜んでもらった。鍼灸・あん摩・マッサージでは「鍼灸」はまだまだであるが「あん摩」は受け入れられた。アメリカにもマッサージが存在するからかもしれないが、「あん摩」という東洋医学の一つの技術の浸透から、鍼・灸へと繋げていけるのではないかと感じた。そのためには日本でもっと鍼灸に関する西洋医学的研究成果を向上させ、鍼灸をメジャーな医術として確立する努力が必要であると思った。私も鍼灸の道を志すものとしてただ「技術を持って治療出来る」というだけでなく、もっと医学的な治療効果を発揮できるように持っていければよいと考えている。そういう意味でも今回の研修は参考になったし、多くの感動を得ることができ、よい刺激になった。 6 まとめ  UBと大学間交流協定を締結して初めての試みで、実際に学生と教職員のコンビネーションがうまくいき初回としての目的は、各人の評価より達成できたと思われる。 UBは視覚障害者のための細かい配慮はされていないので、他人との交流は語学力がものをいうので、必然的に事前の英語研修が最も重要である。今後学生が留学または交流の際には学校生活や生活行動を体験する上で、参加学生にあった専攻分野での研修を重点的に出来るように計らいたい。また、この研修の最大目的である留学生の交流が実現することと、本研修が長くより充実したものになっていくことを期待したい。  最後に、Mann所長はじめCATスタッフには特にお世話になり、感謝している。特に別れ際には、1週間はあまりに短いので次回からは少なくとも2週間以上滞在するようにいわれこの言葉が今も心に残っており、初回としては盛会裡に終わったと確信している。次回はより十分な計画を練って今回以上の成果を上げるべく前進したい。 謝辞 本研修の一部は平成11年度財団助成事業により行われた。 First Study Tour from the Division for the Visually Impaired, Tsukuba College of Technology to the United States of America Department of Acupuncture, Yoshitoshi Ichiman, Department of General Education, Martin Pauly, Administration, Masaru Kubota, Department of Computer Science, Hidetsugu Kishi, Department of Computer Science, Hiroki Sakurai, Department of Acupuncture, Yoshimi Kagawa, Department of Computer Science, Satoshi Maruyama We visited the State University of New York at Buffalo(UB) and National Technical Institute for the Deaf(NTID)from July 15 to July 22, 1999. This was the first time for us to take 4 students from the Division for the Visually Impaired, Tsukuba College of Technology(TCT)to the USA. The foundation for the study tour was the agreement between TCT and UB which was signed on March 12, 1999. Key words; Study tour, Agreement, The State University of New York at Buffalo(UB), National Technical Institute for the Deaf(NTID), United States of America(USA)