学外講師が担当する授業における聴覚障害学生に対する情報保障方法の検討― 手話通訳、パソコン要約筆記、要約解説の比較 ― 筑波技術短期大学教育方法開発センター1) 同一般教育等2) 石原 保志1) 及川 力2) 小林 庸浩2) 細谷 美代子2) 斎藤 まゆみ2) 小林 正幸1) 要旨:学外講師の担当する哲学の授業で、三種類の異なる方法による情報保障支援を実施しそれぞれの方法に対する学生の評価を検証した。この結果、文字による情報保障を高く評価する学生が多く、手話を用いる支援方法に関しては学生の手話のスキルにより評価が異なることが示された。また文字や手話、口話、音声といった伝達モードに関わらず、情報提示の速度や量、即時性、理解語彙について改善の要望が述べられていた。 キーワード:聴覚障害、高等教育、情報保障、手話通訳、パソコン要約筆記、要約解説 1.はじめに  近年、大学等の高等教育機関に進学する聴覚障害者の増加にともない、聴覚障害学生の情報保障に関する意識は急速に高まりつつある。このような状況の中で、講義等の学習場面における音声情報を保障するための支援が、一部の大学あるいは任意団体によって講じられてきているが(国立大学協会,2001)、高等教育における障害者への支援体制が充実している米国などと比較し(Saur,1987; Brown, 1991;須藤・他,2001)、我が国においては総じて十分な情報保障はなされておらず、制度、方法、意識等、様々な見地から検討すべき課題が数多く残されている。  ところで聴覚障害学生に対する情報保障では手話通訳、ノートテーク、手書き要約筆記、パソコン要約筆記等の方法が用いられている。これらの方法の選択は、本来は学習者や学習内容の特性に即して決定されるべきであるが、現状としては様々な方法の中から選択できるという環境にある聴覚障害学生は多くはない。また個々の大学等に在籍する聴覚障害学生は少ないため、学生の言語、コミュニケーションに関する特性と授業内容等の特性を類型化し関連づけることは困難である。それゆえ、情報保障に関する方法論的な検討は、例えば、各地の大学等で学ぶ聴覚障害学生が感じているいくつかの方法についての長所、短所や必要な配慮といったことについてはある程度明らかにされているものの(白澤・他,1998)、一定の条件の下で複数の方法を比較し評価するということはあまり行われていない。  一方、筑波技術短期大学聴覚部では、学外から招聘する非常勤講師の授業で、これまでにいくつかの異なる方法による情報保障がなされてきている。この非常勤講師が担当する授業における情報保障は、講師以外の人物、あるいは設備により情報保障が行われるという点では一般大学等と同様であり、ここで得られた知見は一般大学等においても活用されうるものであると考えられる。そこで本研究では、同一の科目で同一の学生に対して三種類の異なる方法による情報保障支援を実施し、それぞれの方法に対する学生の評価を検証した。 2.方法 2.1 研究対象授業および講師  研究対象とした授業は、他大学から招聘した非常勤講師が担当する一般教育科目「哲学」である。第三学期、毎週月曜日の1限~3限(1限:電子情報学科,2限:機械工学科・建築工学科,3限:デザイン学科)に同一の内容の授業が行われた。講師は聴覚障害教育に関する特殊な技術は有していない。 2.2 情報保障の方法と実施の手順  本研究では、以下の三種類の方法を比較した。 ・手話通訳  講師の発言を手話通訳者が同時通訳するという方式である。通訳者は茨城県聴覚障害者福祉センターやすらぎから派遣された、手話通訳士または県登録手話通訳者の5名である。各回の授業に通訳者2名が入り、交代で通訳を担当した。通訳は基本的に教室の前方で行われた。 ・パソコン要約筆記(PC 要約)  パソコンオペレーターが講師の音声を即座にキーボードから入力し、プロジェクターを用いて教室前方のスクリーンに文字を提示する方法である。障害者支援を目的に設立された特定非営利活動法人しろがめ塾から派遣された、キー入力に習熟したオペレータ5名が担当した。各回の授業では3名が交代で入力を行った。 図2 パソコン要約筆記が行われた授業の様子 ・要約解説  学外講師の発話を、学内教官が分かりやすい言葉、文に要約し逐次通訳するという方式である。学外講師は発言を数十秒の単位で区切り、学内教官がこれを手話、口話、板書等の手段を用いて復唱する。学内教官は受講学生の属性(聴力、情報受容に関する特性、言語力等)をある程度把握し、講義内容に対する彼らの理解を測りながら付加情報や解説を加え、状況に応じて質疑を求めて学生の関心を喚起する。他の二つの方法が情報伝達を目的としたメディアの変換にとどまるのに対して、この方法は講義の手順や内容にまで介入している点で異質である。コミュニケーション指導等を担当している教育方法開発センター教官1名が担当した。以下に示すのは授業における要約解説の一部である。 図3 要約解説が行われた授業の様子 [外:学外講師 内:学内教官 学:学生] 外:今度はプルトニウムを考えてみたいと思います。(板書) 内:次の例、(板書)プルトニウムの例を。 外:ある程度の重さを持ったプルトニウムの塊1つと2つ。これをくっつけるとどうなるでしょうか。 内:ある程度の重さを持ったプルトニウム、1つと2つを近づけると、どうなるでしょうか。(学生に質問) 学:爆発する(手話・口話) 内:爆発する(手話・口話で復唱) 外:そうですね。ある程度の重さのプルトニウムを集めると、爆発してなくなってしまいます。 内:爆発してなくなります。 外:そうすると、魔法の世界の事を考えなくても、この世界すでに1+1=3だったり、(板書)魔法の世界の事を考えなくてもこの世界ですでに1+2=3だけではなくて、1+2=1だったり、1+2=0になったりする、という事になります。 内:これは、魔法の世界の事ではなく、この実際の世界の事です。この実際の世界でも、1+2の答えは、3だったり1だったり0だったり、まちまちです。 外:つまり、数学というのを物理学と同じだ、と考えると、1+2の答えというのは3ではない、現実でも3ではない。数学というのが物理学と一緒で、現実世界についての学問だとすると、1+2は3ではない、とさえ言えるでしょう。 内:今までの例、考えると、もし数学が現実世界を考える為の学問であるとすると、それは、1+1の答えは色々あり、必然的ではない、という事になります。 外:ではなぜ現実世界では1+2=3と考えて、1とか2とか0とか考えないのでしょう。 内:けれども、実際、1+2の答えは何ですか?(学生に質問) 学:3 内:3ですね。そういう問題を言われたら、我々は3と答えるよね。それはどうしてでしょう。(学生に質問) 各々の方法は表1の計画にしたがって実施された。 表1 情報保障の実施計画 2.3 受講学生  受講学生は、電子情報学科学生22名(1限)、機械工学科および建築工学科学生21名(2限)、デザイン学科学生10名(3限)の計53名であった。学生の聴力は図1に示す通りである。 図4 受講学生の聴力の分布 2.4 評価  各授業の最後に、その授業で実施された情報保障に関する質問紙を配布し、受講学生に記入を求めた。質問事項は以下の通りである。なお質問紙は記名式とした。 表2 受講学生に対する質問事項 3.結果と考察 3.1 各支援方法に対する学生の評価  図5~図7は、質問1の(1)から(3)に対する回答の評定値平均と標準偏差(±1SD)を示したものである。 各学科に対して一つの情報保障方法が3回ずつ実施されているため同一の学生の複数の回答が含まれているが、各回の授業内容等は異なるためここでは各回のデータは独立した数値として集計した。  図5は、質問(1)「この方法は自分にとって適した方法であると思う」の結果を表している。この図から、PC要約筆記の評価が他の二つの方法と比較して高い様子がうかがえる。1要因の分散分析を行った結果、3つの方法に対する評価には有意な差が認められた(df=2/420,F=11.39, p<0.01)。  質問(2)の「文字(または手話)を十分に読み取ることができたと思う」についても(図3)、分散分析の結果、方法間に有意な差が認められた( df=2/420,F=20.88,p<0.01)。傾向としては、PC要約筆記、要約解説と比較して手話通訳の評定値平均が低いことが分かる。  質問(3)の「授業内容の理解に役立ったと思う」についても(図4)、有意差が認められ (df=2/418,F=8.48,p<0.01)、質問(2)の結果と同様の傾向がみられる。  このように何れの質問においても手話通訳については他の方法と比較して評価が低い傾向がみられた。そこで、この理由を明らかにするために、手話通訳に対する評価を学生の手話のスキルとの関連で分析した。  表3~表5は、入学時に実施したコミュニケーション調査の中、手話の読み取りスキルに関する学生自身の自己評価との関連で、質問(1)~(3)の評定値を集計したものである。何れの質問に対する評定値も、手話の読み取りに関して「どんな手話でも分かる」「友人の手話なら分かる」としたグループに対して「手話はほとんど分からない」としたグループの値は低く(質問(1):df=2/408,F=34.61, p<0.01 質問(2):df=2/408,F=46.96,p<0.01 質問(3):df=2/408,F=14.01, p<0.01)、明らかに手話の読み取りのスキルの低い学生は手話通訳に対する評価は低い。この結果から、手話のスキルが一定のレベルに達していない学生の評価が手話通訳の評定値平均を下げていることが分かる。 図5.質問(1)この方法は自分にとって適した方法であると思う。 図6.質問(2)文字(または手話)を十分に読み取ることができたと思う。 図7.質問(3)授業内容の理解に役立ったと思う。 表3 手話の読み取りのスキルと質問(1)の評定値 表4 手話の読み取りのスキルと質問(2)の評定値 表5 手話の読み取りのスキルと質問(3)の評定値 3.2 各々の情報保障方法に関する学生の記述  質問紙の中では、当該授業で行われた情報保障方法に対する長所と短所について学生に記述を求めた。以下にその記述の全文を示す。全て原文のままであるが、教師等の個人名は○先生(学外講師)というような表現に改めた。 ・手話通訳の長所  話をだいたい理解できた/聞こえない時、聞きにくいときには分かりやすい/講義の流れが早い/何を言っているのかが分かる/ない/手話通訳があると、とても分かりやすい/先生の言っていることが手話で訳してあるので分かりやすい/特になし/手話を使うところが良かった/少しは分かった/通訳人の手話が分かりやすかった/まだまだ/特にない/手話を使ったこと/わかりやすい/手話通訳者がいて良かった/いろんな考え方がある/早く手話をしてくれた所(先生の話のスピードと同じ)/授業が円滑に進んだと思う/同時通訳/手話が分かりやすかった/手話通訳の人たちがいたので説明がわかりやすかった/同時通訳/わかりやすい/シスコムなのである程度は理解できる/黒板・プリントがある/ゆっくりと進めてくれたので言っていることがだいたい分かった/手話/OHPの方が残るからいい/手話が読みやすい/今日の手話は分かりやすかった/手話がゆっくりで分かりやすい/リアルタイムで見る(聞く)ことができる/わかりやすかった読み取りやすい/手話だとスムーズに伝わる/先生の口が分からない人にはピッタリ/速く進む/話はわかりやすかった/手話は上手い!/特になし/手話通訳士2人いるのは心強い/何も無い/よりリアルに理解ができる/手話覚えやすい/分かり易かった/分かりやすい/手話が分かりやすかった/手話通訳の人がついているので説明がとても分かりやすかった/手話が分かりやすかった/分かりやすかった/勉強になった/口話と手話が一緒だったので理解できた/覚えていません/手話が分かりやすい/漢字が読めない人に適している/手話と口話の2つが見れた/視覚的表現なので、目で見て分かる/分かりやすい/簡単に分かりやすく説明してくれる/すぐ先生の言ったことが分かる/手話のできる人はいい/授業が速く進む/手話通訳者/全く安心しない/授業がスムーズ/手話/読み取れた/手話だとより分かりやすく直されることもある/良い授業でした/手話が分かりやすい/手話/分かりやすい、すぐに伝わる/手話が分かりやすかった/ゆっくり話してくれるので分かりやすい/手話が分かりやすかった/だいたい話の内容を読み取ることはできた/わかるのはわかる/ ・手話通訳の短所  図など、手話のみだったために少々分かりにくかった/手話が判らなかったり、時間のロスが生じる/ログが残らない/同じことを繰り返す/板書きと通訳、両方を目で追ってしまい、混乱することがある/読み取れない手話があった/進むのが早くて、考えるヒマがなくてあまり理解できなかった/手話がわからん所が多い/先生の声は聞こえたが、口話もうちょっとはっきりこたえたらいいと思う/先生の話や通訳手話が早過ぎ/文を見つけられず/まとめのプリントがあればいいなと思った(理解の確認の為)/多少早いこと/手話を見逃した時、繰り返して見ることができない/ノートに書く時手話を読み取れない/もう少し分かり易くして欲しかった/先生が移動したら通訳も一緒に移動してほしい/手話の場合、場所によっては見づらいのでは/講義の内容をプリントにしてほしい/講師の声をもう少し大きくして欲しい/黒板に書いてあったのが、早く消えた/これから社会に出て少し関することがありますが、少しの部分勉強になりました/黒板・手話・口話、どれを見たらいいのかわかりずらい/手話がすべてわかるわけではない/手話と口話だけでは理解できない/手話知らないから、黒板を見ることしかできなかった/話が分からない/手話が読めないと意味がない/手話は遅いので黒板に置いていかれる/話の筋が見えてこない/ノートを書く時、話を見落とすことがあった/手話がまだ未熟な人にとっては理解しにくい/字幕による偽的な音がないから眠くなる/ノートをとる暇がない/手話を全て読み取れない/読み取れない手話がある/ノートを取っている時など、手話が読み取れない/手話が分からない人にはキツイと思われる/ログが残らない/板書をしている間に手話が見れない/多分にあり/黒板をノートに写すのに精一杯で手話を読み取るヒマなんかない/読み取れない学生もいるかもしれない/いっぱいあるけど/社会学と同じように前回の内容のプリントがあればいい/手話通訳が交代すると読み取りづらい(しばらくすると慣れてくるが)/ノートをとる時間が無い/板書をノートに写す時間と手話とが重なり、手話が全部見られない/まだ手話を少ししか覚えてないため、意味が分からなかった/手話に慣れていない人は聞き逃しがあったかもしれない/集中力が散乱するのでビデオカメラをどうにかして欲しい/先生の口がよく見えなかった/話している先生の顔を見ることが少ない/勉強になった/手話をあまり覚えていないので、手話を理解することがあまりできなかった/メガネが見つからなくて見ていませんでした/文字より読み取りづらく、理解しにくい/手話の知らない人や口話ができない人にとっては難しいかもしれない/分からない手話があった/音声認識と違って、ノートに書いていると分からなくなる/分からない手話が多すぎた/手話通訳の人をずっと見ていなければ、理解しにくい/ノートに書いている間、手話が見れない/知らない手話もあって読めない/魅力がない/手話通訳者の位置がちょっと見えにくかった/見逃すと終わり/字幕にして下さい。難しくて理解できません/講義内容のプリントが欲しい/手話が分かりにくい/スピードに慣れていない人は難しい/ログが無い/一部の手話が分からない/分かりにくい、理解出来ない/大有り/声を出して欲しかった/問題がいっぱいあるけど別に/前回と同じ/書いている間の手話が見られない/手話が理解しにくい/読み取れない部分もあった/手話を少ししか覚えていない自分にとっては少しきつい/手話で少し読み取れなかった所もある/先生は、話す時に下を向いたり後ろを向いたりすることが多いので、できるだけ顔を見せて欲しい/手話通訳を見ながらノートに書くのは難しい/手話と板書を同時に、もしくは2つを見るのが大変だった/声がない(手話中)/今日の内容は専門的な用語・難しい言葉が多く、説明を十分に理解できなかった/OHPの方が分かりやすい/ノートを書いている間、手話通訳がすでに進んでしまうため見ることが少なかった/黒板に頼っていた/ずっと通訳の人を見ないといけないので、ノートをとる余裕もない/読み取れない/早い/○先生(学内教師)のようなやり方で進めて欲しい/手話表現が分からない時がちょっとあった/手話と黒板の両方見るのに大変である/日本手話(?)だからあまり読み取れない部分もあった/見逃すと意味ない/ ・パソコン要約筆記の長所  聞き逃した説明もスクリーンを見れば大体理解できる/手話ができない人に良い方法だ/分かりやすい/文字掲示が役に立つ/板書の方が理解しやすい/先生の言った言葉を文字として表現するから分かる/先生の言うことが文字化される/分かりやすい/文字付きだったので分かりやすい/授業の内容を完璧に理解できる/手話が分かりやすい/分かりやすい/読み直せる/文章を読んで自分なりにノートにまとめられるし、黒板も見られる/講師が通訳に合わせてくれたので、板書とのつながりが分かる/文字化されて見やすかった/何を言っているのか理解できた/完璧/文を見ることで聞こえにくかったことをカバーできた/文字のため理解しやすい/正確に情報が手に入る/講義が短くすむ/わかりやすい/パワーポイント/文字を読んで本当に良かったけど、前回分も含めプリントをもらってほしい/たいへんわかりやすく、板書しやすい方法でした/わかりやすい/情報を得やすい/ほぼ分かりやすかった/理解しやすい/先生の言っている事が理解できた/内容に難しい言語が多く、私も難しい手話は解らないので、文字にするほうが解りやすい/ノートにとりやすくなっている/文字が大きくて見えやすかった/スクリーンが良かった/内容が手話よりよくわかる/文字が見やすく、内容が分かり易い/言っていることが全部書いてあるから分かり易い/良いと思う/パソコンでやった方がいい/黒板に書いてあったことが消されても、PCの方で見られる/手話で表すより分かりやすい/文字が出ているから分かる/OHPに出るのも分かりやすい/見やすい/先生の言ってる内容をつかめる/リアルプレイヤーよりも見やすくてノートに書きやすい/分かりやすかった/先生の言っていることが良く分かる/間違いもほとんどない/内容がよくわかる/文字送りがゆっくりなので、見逃すことがない/手話通訳では読み取れない手話があったが、PCは全部読めた/説明を聞き逃したところでも改めて見ることができる/情報量が多く、全部保障されている/文字で表すことで十分理解できたと思う/すごい分かりやすかった/以後この方法でやって欲しい/前回と同じ/あとから読める/ノートに書き込みやすい/わかりやすい/確実に情報を得やすい/見やすく、とても分かりやすかった/最も理解できる/確実に情報が入る/意味は文字で出るので、確実に分かる/先生の説明が良く分かった/ちょっと前に言ったことが字幕のスクリーンを見て分かる/パソコンを使って文字が出てくるトコがgood!/見やすい/100%確実に伝わる/良いと思う/分かりやすい/言いたいことが分かる/分かりやすい/ノートをとっていて、OHPを見ても、今どこをやっているのか分かるところがいい/見やすくて分かりやすい/先生の言ったことがそのまま伝えられる/繰り返し聞くことができる/分かりやすい/手話通訳よりもパソコン筆記の方が役に立った/誰でも完璧に情報がつかめる/聞こえにくい所、聞こえない所が分かるので便利/PCによる情報保障があって良かった/文字情報がはっきり伝わる/今日プリントを配った所が良かった/この方法が一番分かりやすく、理解しやすい/分かりやすい/内容がある程度分かった/充分な情報が入る/今日の情報保障のやり方は分かりやすくて良かった/分かりやすかった/字を読み返せる/最後まで授業いただいてありがとうございました! ・パソコン要約筆記の短所  眠くなる/口話など分からない/先生の口が見えない/分からん/おそい/読むのが大変/文字は黄色より白の方が見やすいかも/文字を十分に読み取れなかった/文字が多すぎて読み取れない/リアルタイムでない/ノートにメモをしている時にどんどん新しい発言が入力されるので、前の発言を見逃してしまうことがあった/難しい単語が多いので、手話通訳では困難だと思う/ビジュアルがないために、文から想像しにくかった/タイムラグが大きすぎた/もっとスムーズにしてほしい/タイムラグが大きい/スムーズに進まない/眠くなりやすい/文字入力が遅い/読み取れない/情報保障が全体的に不十分だった/タイミングよく円滑にスムーズに進んで欲しかった/前回分のプリントがまだ来ないのか/プリントがない/進行度が遅く感じられる/ペースが少し遅れる/スクリーンではやはり少し時間はかかるものの、確実な情報が得られる利点もあるので検討してほしい/手話がないので、少し感じが違って戸惑った/文字が大きいので、すぐ上に行って消えてしまうので、もう少し文字を小さくして欲しい/目が文字を追いかけようと必死だった/大切な所は強く表して欲しい/ちょっとスピードが遅い/なんでアンケートばかり/読むのに苦労する/後で言ったこと全部プリントして欲しい/ちょっと速かった/あんまり目を通さないことが多いよーな。つまり黒板に頼っていること/スクリーンの文字と黒板の字を見ていくのが大変/ノートを取っていると、間に合わなくて見逃してしまうときもしばしば/あまりにも多すぎる上に、コピーしたプリント等がない/いっぱいあるけどいらない/遅れて文字がでる/ノートを写す時、間に合わない/理解しにくい/もう少し具体的に/写すのが大変/表示が少し遅れてイライラすることがある/時間が少しかかりすぎる/字幕で作った文をコピーして配って欲しい/書き写すのに一生懸命で、授業の内容に集中できない/1/27のように、手話・板書の方が効率が良く理解できた/目と手が追いつかず、なかなか全部理解できなかった/単調なので眠くなってしまう/分からない所があった/覚えられないのでプリントにして欲しい/何かといえば静か過ぎるような/遅い/メモしたいと思うところがあってもすぐに次の文が入ってしまうから見づらい/タイムラグが多少生じる/進度の速さが遅れているので少々不満に感じられた/文ばっかり出て目が疲れる/集中して疲れる/分かりにくかった/少しペースが遅くて疲れる/寝てしまう人が多い/先生の話がよく見えなかった/意見:講師が手話を使えるのが一番いいと思う/やはりこの方法は分かりにくい/黒板を見ているスキにまだ見ていない文章が流れてしまい、見逃す/手話がかなりいいと思う/ ・要約解説の長所  理解しやすい/手話通訳がいてよかった/わかりやすいと思う/手話を使ってくれているところ/手話がはっきりしている、声も大きく出している(手話通訳者が良かった)/世の中で役立つようなことについて学べることができる/初めてなので、長・短あげにくいですが、ほぼ飲み込めたので、全体的には良いと思う/手話通訳の時、手話だけでなく声も使われていたのでよくわかった/スピードも先生と同じで良くわかる/細かく哲学の世界へ少し理解ができました/口話も一緒だったので、手話の分からない部分も理解できた/手話を使っている/良かった/手話が分かり易い/板書を交えての保障は分かりやすかった/先生の言ったことを通訳してくれること/手話は分かるが、読み取れなかったら意味がない/見やすいし分かりやすい/第一言語である手話なので、十分に理解できた/○先生(学内教師)の手話をずっと見ていた/まとめて言ってくれるので、分かりやすい時もある/リアルタイムで行われる/先生が話している間、ノートをとることができる/内容が分かる/今日のやり方が一番わかりやすかった/手話通訳だと読みやすい/話の内容は分かりやすいが/手話だから分かる/情報もれがなかった/手話がわかりやすい/まだまだ/あとから手話で通訳したところが良かった/わかりやすい/わかりやすいようで、わかりにくい/情報が分かり易かった/わかりやすい/手話通訳のほうが先生→生徒だけでなく生徒→先生への話もできるのでいいです/手話通訳そのもの/○先生(学内教師)の手話がよく分かった/わかりやすい/手話が分かりやすいから良いと思う/口話より手話の方が分かりやすい/分かりやすい/通訳者にもよるが、分からない時はその場で質問できるのがいい/分かりやすい/見やすい/質問しやすい環境だった/先生が言ったことをより分かりやすく伝えてくれる/リアルタイム/分からない言葉の説明も加わった/魅力がある/すぐに先生が言ったことが理解できる/なんともいえない/手話と口話両方使用したのでよかった/分かりやすい/表情で表現する為、何がどうなのか、言っている事は分かった/○先生(学内教師)が分かりやすく説明してくれる所/はっきり分かりやすい/○先生(学内教師)がいて本当に良かったと思います/「アイコンタクト」が大切だと思います/手話に口話も付けた方が分かりやすい/○先生(学内教師)の声がはっきり聞こえて良かった/分かりやすかった/間が、考えてくれることや理解する時間として使ったので良かった/いろいろな方法でやってきたが、今日のが一番分かりやすい/手話が分かりやすく、先生のおっしゃった事も飲めた/タイミングが良い/今日は○先生(学内教師)が来て下さったおかげで、理解十分でした/○先生(学内教師)の説明は分かりやすい/交互にしていただくことによってスムーズに進められた感じがした/その場その場で分かりやすい/分かりやすい/質問できる/分かりやすい/ノートに書ける時間を持てた(○先生(学外講師)の話が終わってから○先生(学内教師)が手話通訳する。○先生(学外講師)が話している間にノートに書ける)/手話通訳が分かりやすく説明してくれる/魅力がある/先生が話したことがすぐわかる/手話があるので分かる/手話の理解出来る人でも分かる/分かりやすい/手話通訳がいた方が分かりやすかった/理解できた/ ・要約解説の短所  時間がかかる/話の進み方が早い/同時通訳でないところ/黒板の字が少しきたない/人との考え方がそれぞれ違う/○先生(学外講師)が言ったことがすぐ分からないこともあるが、まあ仕方ない/もう少し分かりやすくお願いします/分からない部分の手話もあった/お腹が痛かったため、集中できなかった/進み具合が遅いのか早いのか分からない/内容が分からないこと/手話が分からない人にとってはマイナス/遅い/流れがつかみにくい/手話だと読み取りにくい/言ってる内容がますます分からなくなった/手話通訳者があちこち動きすぎて見にくいところがいくつかある/○先生(学外講師)の口話が分からなかった/読み取れない場合がある/ずっと通訳者の方を見ないといけないので疲れる/読み直せない/進み具合が遅く感じた/自分なりにノートをまとめられない/聞き逃しが出る/繰り返し聞くことができない/先生の顔が見えにくい/OHPが必要/眠くなりやすい/全てを理解できない/ややOHPも使用して欲しかった/私は「知識」のことを理解しなかったので困っています/OHPがない/前回行った講義のまとめのプリントがない/ノートを取る時、まとめるのが大変/もっと具体的に説明して欲しかった/もっと早く速くしてほしい/専門的な言葉が多かったため、手話通訳も大変だったよう/手話読み取れなかったら、分からないままになることもあるのが少し不安/○先生(学外講師)の声が小さいので、もう少し大きくしてほしい/手話はまだまだ覚えていないのもあるので、理解しにくかった/ノートに書くタイミングと手話を見るタイミングが合わなくて分からなくなる部分もある/遅い/ノートをメモする時に、見上げると先に進んでいることがあった/ついていけなくなって、つい聞くのが面倒臭くなる/進度が遅い/読みにくい/ノートに書いている間、手話が見えない/知らない手話があって分からなかった/繰り返し聞くことができない/なんともいえない/理解しにくい/何を言っているのか分かりにくかった/○先生(学内教師)のリアクションが気になる/手話を見ると眠くなってくる/前回の様な文字で表される機械が無く、充分には理解できなかった/あまり気分が良くない/ドレペが難しい/教授の表情が読み取れない/読み取りにくい部分もあった/手話が分からない時もあるが、筆談でおぎなえる/別に無問題/手話が分かりにくい(口話はだいぶ理解できる)/見逃せば終わり、意味なし/遅い/話の流れを再現して考えることが少し難しい/講義の進度がおろそかになる/手話をずっと見ているとノートをとるひまがない/進み具合が、PCでやるより遅く感じる/読み取れない手話が時々出る/メモをとっている時に話が進んでしまう/手話を読み取れない人もいるかもしれない/メモしているときの手話が分からなくなる/眠くなる/教授の口話は分かりにくかった/難しい手話もあって読み取れなかった/ 謝辞  本研究の実施に際して、ご協力をいただきました筑波大学の橋本 康二先生、茨城県聴覚障害者福祉センターやすらぎから派遣された手話通訳者の皆様、特定非営利活動法人しろがめ塾から派遣されたパソコン要約筆記のオペレータの皆様、機器の設置等を担当していただいた技官の時野谷 一義さん、そしてビデオ撮影、データ入力等を担当していただいた磯田 恭子さんに深謝申し上げます。  なお本研究は、平成14年度筑波技術短期大学教育推進改善経費「非常勤講師の授業における情報保障の方法に関する研究」による研究成果の一部です。 参考文献 [1] Brown,P.M., & Foster,S.B.:Integrating Hearing and Deaf Students on a College Campus.A.A.D.,Vol.136,No.7,21-27,1991. [2] 石原 保志,小林 正幸,内藤 一郎,村上 裕史,加藤 伸子,皆川 洋喜:大学等の講義における聴覚障害者を対象とした情報保障の方法論的検討― 手話通訳・リアルタイム文字呈示・要約解説の比較 ―,電子情報通信学会技術研究報告,vol.100,No.600,7-14,2001(Jan.). [3] 国立大学協会:国立大学における身体に障害を有する者への支援等に関する実態調査報告書,2001. [4] Saur, S., Stone, J.P., & Lawrence, E.H.:The Classroom Participation of Mainstreamed Hearing-Impaired College Students. The Volta Review, Vol.89,No.3,1987. [5] 白澤 麻弓,徳田 克己,斎藤 佐和:大学における聴覚障害学生に対するサポートの内容に関する研究,第36回特殊教育学会発表論文集,36-37,1998. [6] 須藤 正彦,大沼 直紀,小林 正幸,荒木 勉,橋本 公克,松藤 みどり:アメリカの聴覚障害者の高等教育機関における教育組織と教育内容・方法に関する比較研究.筑波技術短期大学テクノレポート,8,205-209,2001. [7] 全日本ろう学生懇談会:大学生活調査資料集,KSKQ臨時号一期一会,2000. The Comparison of the Method of the Support Service for the Hearing-Impaired College Students in the Oral Lecture Yasushi ISHIHARA1) Chikara OIKAWA2) Tsunehiro KOBAYASHI2) Miyoko HOSOYA2) Mayumi SAITO2) Masayuki KOBAYASHI1) 1)Research Center for Educational Media, Division for Hearing Impaired, Tsukuba College of Technology 2)Department of General Education, Division for Hearing Impaired, Tsukuba College of Technology Abstract:Hearing impaired students who study at institute of postsecondary education have difficulties on lectures because of limited information. Then we have tried some type of support service for them and examined the effectiveness of each service. Results from the qustionnaire shows as follows; 1) There are individual differences between students for the way to receive information. Support services must be designed according to communication characteristic of each student. 2) To fulfill their understanding, the services must pay enough attention to the amount of information and presentation speed so that students can read it. Key Words:Higher education, Lecture, Support service, Sing language interpreting, Translation by PC operator, Translation and explanation of summary by another teacher