韓国障害者の特殊教育法改正の概要 総合デザイン学科 劉 賢国 要旨:韓国は、現行の特殊教育は障害者の動向を反映していないという指摘を世評からうけた。それゆえ、これまでの「特殊教育機会拡大政策」を「特殊教育の充実政策」に転換し、さらに安定的で積極的な特殊教育政策を定着発展させていけるように「特殊教育振興法」の全面改正を推進する改革を行った。今後韓国との国際交流を行う際に関連性が高い法律内容を中心として調査し整理した。 キーワード:韓国、特殊教育法、障害者、特殊教育振興法 1.はじめに  韓国は、1994年の「特殊教育振興法」全面改正以後これまで、生ぬるい部分について数回ほど一部改正をし、補完してきたが、それは、小、中学教育を中心とした規定された内容であって、障害の発覚前段階や、乳幼児および障害成人のための教育支援に対する規定が不十分で、国家および地方自治団体の特殊教育支援についての具体的な役割の提示が不足しており、法の実効性担保に限界があり、さらに、現場の要求や近年の特殊教育動向を反映できていないという指摘があった。  したがって、これまでの「特殊教育機会拡大政策」を「特殊教育の充実政策」に転換し、安定的で積極的な特殊教育政策の定着発展が保たれるように「特殊教育振興法」の全面改正を推進するようになった。  今後韓国との国際交流を行う際に関連性が高い法律内容を中心として調査して整理した。 2.制定過程  改正過程で政府立法案である「特殊教育振興法全部改正案」、チェ・スニョン議員発議の「障害者の教育支援に関する法律案」、2005年以後発議された特殊教育振興法一部改正案7件など全部9件に対し、国会教育委員会代案で用意された「障害者などに対する特殊教育法」が2007年4月30日国会を通過して、2007年5月25日公布された。2007年下半期施行令制定を経て、2008年5月26日から施行された。 3.主な内容  「障害者などに対する特殊教育法」の主要内容は概ね次のようである。特殊教育支援対象者の幼稚園・小・中・高等学校全過程の教育を無償教育として規定したこと。満3歳児に障害に対する早期発見、診断のための検査を実施し、それによってすみやかに無償教育を提供することができるようにしたこと。特殊教育対象者支援対象者に対する高等教育機関での支援および特殊教育支援対象成人に対する生涯教育支援を規定したこと。特殊教育支援センターの設置運営を新たに規定したこと。治療教育条項を削除して治療支援などを含んだ特殊教育関連サービスを規定したこと等が挙げられる。  「特殊教育振興法」と「障害者などについての特殊教育法」の主要内容を比較すると表1である。 4.障害者などについての特殊教育法  韓国における法令について、日本の特殊教育と関連性が強い部分を中心に、以下、簡略に整理した。 表1 「特殊教育振興法」から障害者などに対する変えた改正案(2008年5月26日施行) 第1章総則 第1条(目的)  この法は「教育基本法」第18条により国家および地方自治体が障害者および特別な教育的要求がある人に対し統合された教育環境を提供し、生涯にわたり障害類型、障害程度の特性を考慮した教育を実施して、彼らが自我実現と社会統合をするのに寄与することを目的とする。 第2条(正義)  法で使う用語の定義は次のようである。 1.「特殊教育」という特殊教育対象者の教育的要求を充足させるために特性に適した教育過程および第2号にともなう特殊教育関連サービス提供を通して形成される教育をいう。 3.「特殊教育対象者」第15条により特殊教育を必要とする人に選ばれた人をいう。 4.「特殊教育教員」というのは「小・中等教育法」第2条第5号にともなう特殊学校教員資格証明を持った者として特殊教育対象者の教育を担当する教員をいう。 10.『特殊教育機関』というのは特殊教育対象者に幼稚園、小学校、中学校または高等学校(専攻科)を含む。特殊学級過程を教育する特殊学校および特殊学級をいう。 11.「特殊学級」というのは特殊教育対象者の統合教育を実施するために一般学校に設置された学級をいう。 第3条(義務教育など) ①特殊教育対象者に対しは「基本教育法」第8条にもかかわらず、幼稚園、小学校、中学校および高等学校過程の教育は義務教育にして第24条にともなう専攻科と満3歳未満だけの障害幼児教育は無償とする。 ②満3才から満17才までの特殊教育対象者は第1項にともなう義務教育を受ける権利を持つ。ただし、出席日数の不足などによって、進級または卒業ができない場合、または19条第3項により進学義務を免除または猶予受けなくてずっと進学した時の学年と差がある場合にはその該当年数をより増した年令まで義務教育を受ける権利を持つ。 ③第1項にともなう義務教育および無償教育にかかる費用は大統領令に定めるところにより国家または地方自治体が負担する。 第4条(差別禁止など) ①各級学校の場または大学(高等教育法、第2条にともなう学校をいう。)長は特殊教育対象者がその学校に入学しようと思う場合には彼が持った障害を理由で入学の支援を拒否と入学選考合格者の入学を拒否するなど教育機会において差別をしてはならない。 ②国家、地方自治体、各級学校の場または大学の長は、次の各好意事項に関して、障害者の特性を考慮した教育施行を目的以下が明白な場合他には特殊教育対象者および保護者を差別してはならない。 1.第28条にともなう特殊教育関連サービス提供での差別2.授業参加排除および校内外活動参加排除3.個別化教育支援チームへの参加など保護者参加での差別4.大学の入学選考手続きで障害によって必要な受験便宜の内容を調査確認するための場合の他に別途の面接や身体検事を要求するなど入学典型過程での差別。 第2章国家および地方自治体の任務 第5条(国家および地方自治体の任務) ①国家および地方自治体は特殊教育対象者に適切な教育を提供するために次の各号の業務を遂行しなければならない。 1.障害者に対する特殊教育総合計画の樹立 2.特殊教育対象者の早期発見 3.特殊教育対象者の進学指導 4.特殊教育の内容、方法および支援体制の軟口蓋では 5.特殊教育機関の養成および研修 6.特殊教育機関受け入れ計画の樹立 7.特殊教育機関の設置・運営および施設設備の拡充・整備 8.特殊教育に必要な教材教具の研究開発および普及 9.特殊教育対象者に対する進路および職業教育方案の工夫 10.障害者に対する高等教育および生涯教育方案の工夫 11.特殊教育対象者に対する特殊教育関連サービス支援方案の工夫 12.その他に特殊教育の発展のために必要だと認定する事項 ②国家および地方自治体は第1項の業務を遂行するのに計上する経費を予算の範囲案で優先的に支給しなければならない。 ③国家は第1項の業務推進が不振か第2項の予算措置が不足だと認められる地方自治体に対しは予算の拡充など必要な措置をするように勧告しなければならない。 ④教育人的資源部長官は第1項の業務を効率的に遂行するために保健福祉部長官、労働部長官、女性家族副長官など関係中央行政機関間に協調体制を構築しなければならない。 第11条(特殊教育支援センターの設置、運営) ①教育委員長は特殊教育対象者の早期発見、特殊教育対象者の診断評価、情報官僚、特殊教育研修、教授学習活動の支援、特殊教育関連サービス支援、巡回教育などを担当する特殊教育支援センターを下級教育行政政機関別に設置運営しなければならない。 ②第1項にともなう特殊教育支援センターは下級教育行政機関や特殊学校、特殊学級が設置された一般初中高等学校または管轄地域の官公庁(障害者福祉館を含む)等特殊教育対象者をはじめとする地域住民の利便性を配慮して設置しなければならない。 ③特殊教育支援センターの設置運営などに関して必要な事項は大統領が定める。 第13条(特殊教育実態調査) ①教育人的資源副長官は特殊教育対象者の配置計画特殊教育教員の需給計画など特殊教育政策の樹立のための実態調査を3年ごとに実施しなければならない。 ②教育人的副長官は大学に進学する障害学生の教育環境を改善するために必要だと認める場合障害学生の教育福祉実態などに関する調査を実施することができる。 第3章特殊教育対象者選定および学校配置など 第17条(特殊教育対象者の配置および教育) ①教育長または教育委員長は第15条により特殊教育対象者選ばれた者を該当特殊教育運用委員会の審査を経て、次の各好意どれ一つに配置して、教育しなければならない。 1.一般学校の一般学級 2.一般学校の特殊学級 3.特殊学校 ②教育長または教育委員長は第1項により特殊教育対象者を配置する時には特殊教育対象者の障害程度、能力保護者の意見などを総合的に判断して、居住地で最も近い所に配置しなければならない。 第4章幼児および初等・中等教育 第18条(障害嬰児の教育支援) ①満3才未満の障害乳幼児の保護者は早期教育が必要な場合は教育長に教育を要求することができる。 ②第1項にともなう要求を受けた教育長は、特殊教育支援センターの診断評価結果を基礎に、満3才未満の障害乳幼児を特殊学校の幼稚園課程、幼い女子供学級または特殊教育支援センターに入級させることができる。 ③第2項により配置された障害乳幼児が医療機関、福祉施設または家庭などにある場合には特殊教育教員および特殊教育関連サービス担当人材などをして巡回教育を提供するようにできる。 ④その他に障害乳幼児の教育支援に必要な事項は大統領に定める。 第19条(保護者の義務など) ①特殊教育対象者の保護者はその保護下では子供に対し第3条第1項にともなう義務教育の機会を保護して尊重しなければならない。 ②やむをえない理由で進学が不可能な義務教育対象者に対しは大統領令に定めるところにより第1項にともなう進学義務を免除と猶予することができる。 ただし、満3才から満5才までの特殊教育対象者が‘乳幼児保育法’により設置された保育施設中大統領令に定める一定の教育要件をそろえた保育施設を利用する場合には第1項で決める幼稚園義務教育を受けているとみなす。 第23条(進路および職業教育の支援) ①中学校課程以上の各級学校の長が特殊教育対象者の特性および要求にともなう進路および職業教育を支援するために職業評価、職業教育、雇用支援、事後管理などの職業リハビリ訓練および日常生活適応訓練、社会適応訓練などの自立生活訓練を実施して大統領に定める資格がある進路および職業教育を担当する専門人をおかなければならない。 ②中学校課程以上の各級学校の長は大統領令に定める基準により進路および職業教育の実施に必要な施設設備を用意しなければならない。 ③特殊教育支援センターは特殊教育対象者に効果的な進路および職業教育を支援するために大統領令に定めるところにより関連機関との協議体を構成しなければならない。 第24条(進路および職業教育の支援) ①特殊教育機関には高等学校課程を卒業した特殊教育対象者に進路および職業教育を提供するために授業年限1年以上の専攻科を設置、運営することができる。 ②教育人的資源副長官および教育委員長は地域別または障害類型別に専攻科を設置する教育機関を指定することができる。 ③専攻科を設置した各級学校は「単位認定などに関する法律」第7条により単位認められる。 ④第1項および第2項にともなう専攻と施設、設備基準、専攻との運営および担当人材の配置基準などに関して必要な事項は大統領令に定める。 第5章 高等教育および生涯教育 第29条(特別支援委員会) ①大学の学長は次の各事項を審議決定するために特別支援委員会を設置運営しなければならない。 1.大学の障害学生支援のための計画 2.審査請求事件に対する審査決定 3.その他に障害学生支援のために大統領令に定める事項 ②特別支援委員会の設置運営などに関して必要な事項は大統領令に定める。 第30条(障害学生支援センター) ①大学の学長は障害学生の教育および生活に関する支援を総括担当する障害学生支援センターを設置運営しなければならない。 ただし大統領令に定めるところにより障害学生の数が規定人員以下である小規模大学などは障害学生支援部署または専門担当職員をおくことによってこれに替えられる。 ②障害学生支援センター(第1項により障害学生支援部署または専門担当職員をおくことによってこれに替える場合にはこれをいう)は次の各業務を担当する。 1.障害学生のための各種支援に関する事項 2.第31条で決める便宜提供に関する事項 3.教職員、補助人などに対する教育に関する事項 4.教育福祉の実態調査に関する事項 5.その他に職人付議する事項 3障害学生支援センターの設置運営に関して必要な事項は大統領令に定める。 第31条(便宜提供など) ①大学の学長は該当学校に在学中である障害学生の教育活動の便宜のためで、次の各手段を積極的に講じて提供しなければならない。 1.各種学習補助機器および補助工学機器などの物的支援 2.教育補助人力配置などの人的支援 3.進学便の支援 4.情報接近支援 5.「障害者、老人、妊産婦などの便宜増進保障に関する法律」第2条第2号に従う方の施設設置支援 ②国家および地方自治体は第1項により必要な経費を予算の範囲の中で支援しなければならない。 第32条(学則などの作成)大学の学長はこの法で決める障害学生の支援などに関して必要な内容を学則に規定しなければならない。 第33条(障害者生涯教育課程) ①各級学校の学長は該当学校の教育環境を考慮して「障害者福祉法」第2条にともなう障害者の継続教育のための障害者生涯教育過程を設置運営することができる。 ②「生涯教育法(平生教育法)」にともなう生涯教育施設および生涯教育団体は障害者の生涯教育機会の拡大のために別途の障害者生涯教育過程を設置運営することができる。 ③「生涯教育法(平生教育法)」第13条により設置された生涯教育センターは障害者の生涯教育機会拡大法案および障害者生涯教育プログラムを開発して研究しなければならない。 ④「生涯教育法(平生教育法)」第14条により設置された地域生涯教育情報センターは生涯教育の団体と生涯教育施設が障害者生涯教育過程を設置運営することができるように支援しなければならない。 第34条(障害者生涯教育施設の設置) ①国家および地方自治体は初中等教育を受けることができなくて学令期をすぎた障害者のため、学校形態の障害者生涯教育施設を設置運営することができる。 ②国家および地方自治体以外のものが第1項にともなう障害者生涯教育施設を設置しようと思う時には大統領令に定める施設と設備をそろえて、教育委員長に登録しなければならない。 ③国家および地方自治体は障害者生涯教育施設の運営に必要な経費を予算の範囲の中で支援しなければならない。 第6章補則および罰則 第35条(大学の審査請求実施) ①障害学生および保護者は大学にこの法にともなう各種支援措置を提供することを書面で申請することができる。 ②大学の学長は、第1項にともなう申請に対し2週以内に支援有無およびその理由を申請者に書面で通知しなければならない。 ③障害学生およびその保護者は第1項にともなう申請に対する大学の決定(不作為および拒否を含む)とこの法を違反する大学の場または教職員の行為に対し特別支援委員会に審査を請求することができる。 ④特別支援委員会は第3項の審査請求に関して、2週以内に決定をしなければならない。 ⑤第3項にともなう審査では請求人に開陳機会を与えなければならない。 ⑥大学の場、教職員、その他の関係者は第4項にともなう決定に従わなければならない。 ⑦その他に特別支援委員会に対する審査請求に関して必要な事項は大統領に定める。 第38条(罰則)次の各項どれか一つに該当する場合でもその者を300万ウォン以下の罰金に処する。 1.第4条第1項を違反して、障害を理由で特殊教育対象者の入学を拒否や入学選考合格者の入学を拒否するなどの不利益な処分をした教育機関の長。 2.第4条第2項第1号から第3号までの規定を違反して、特殊教育関連サービスの提供、授業参加および校内外活動参加と個別化教育支援チームへの保護者参加において差別した者。 3.第4条第2項第4号を違反して、大学の入学選考手続きで受験便宜の内容の確認と関係ない別途の面接や身体検査を要求した者。 5.特殊教育の現状  現行法で特殊教育対象者の小学校および中学校課程の教育は義務教育であり、幼稚園および高等学校過程の教育は無償教育である(特殊教育振興法第5条第1項)。 1)2007年4月現在全国144個の特殊学校で22,963人の特殊教育対象学生が特殊教育を受けていること。 2)特殊学校で特殊教育を担当している教員は6,141人である。 3)2006年も特殊学校現況と備えれば特殊学校数は1校増加、特殊学校の学級数は112個学級増設、教員数は230人が増員されたこと。 4)2007年4月現在全国4,530個の中高等学校に設置された5,753個特殊学級で35,340人の特殊教育対象学生が特殊教育を受けていること。 5)特殊学級で特殊教育を担当している教員は6,108人である。 6)2006年も特殊学校現況と備えれば特殊学級設置教は359校増加、特殊学級は549ケ学級増設、担当教員は760人が増員されたこと。 6.特殊教育伝達及び支援体制の再構築 1)特殊教育支援センターの設置・拡大及び運営・活性化 ①特殊教育支援センターの設置・拡大  2001年から設置運営している特殊教育支援センターの設置拡大および運営の活性化を通して、特殊教育対象者の学習権保障ための効率化支援。  -2005年すべての地域教育庁に特殊教育支援センター設置完了、専門担当人材配置および運営費支援試験運営。  -2007年‘障害者などに対する特殊教育法(2007. 5. 25)’改正で特殊教育支援センター設置運営の法的根拠および施行令用意。 ②特殊教育支援センターの運営・活性化  182ケ地域センターに専門担当人材2人(特殊教師1人、治療教師1人)配置および運営費支援拡大で運営の活性化企図。 -国立特殊教育院と全国特殊教育支援センターを連係して、常時サービス支援システム構築. -特殊教育と設置大学および大学院と全国特殊教育支援センターの連係および協力。 文献 [1] 2007年韓国定期国会報古書.KINSE, 2007. [2] 障害者などに対する特殊教育法.国会図書, 2007. [3] 市・県の特殊教育の運営計画.国会図書, 2007. Investigation about the Revision of the Special Method of Education of Korean Disabled people RYU Hyun-Guk Department of Synthetic Design Tsukuba University of Technology Abstract:There is a recent trend in Korea to reevaluate disability education. Therefore, I came to promote "Education for the Disabled Promotion Method" we fell that now is the time to switch to "An Improvement of Education for the Handicapped Policy", and a positive education for the disabled policy. We can develop conducted. When I an international exchange with Korea, I investigated mainly the contents of the relevant laws. Keyword: Korea, disability, educations