米国における電話リレーサービスの歴史と課題 小島展子,井上正之 筑波技術大学 産業技術学部 産業情報学科 要旨:現在,聴覚障害者の日常生活に欠かせないものとなっている電話リレーサービス(Telecommunication Relay Service)は米国では連邦通信委員会(Federal Communication Commissions)の管理により運営されている。電話リレーサービスが多くの国に普及するに至るには,電話リレーサービスの技術や法律・運営方法などの改善・促進など,多くの活動の歴史が背景としてある。本報告では,米国における電話リレーサービス普及の歴史と現状について調査した結果について述べる。キーワード:電話リレーサービス,聴覚障害者,通信サービス 1.はじめに 電話リレーサービス(Telecommunication Relay Service; 以下TRSと略する)は,無線/有線通信網を利用した聴覚障害者・言語障害者のための通信サービスである。TRSは,コミュニケーションアシスタント(CA)と呼ばれるオペレーターが介在して,聴覚障害者・言語障害者と一般ユーザー(聴覚障害者・言語障害者でない者)双方間の会話を文字通訳・手話通訳などによりリアルタイムで繋いでいる。本報告では,米国においてTRSが開始されてから現在に至るまでの歴史的な流れについて概観するとともに,日本国内においてのTRSの現状と将来への動向について述べる。 2.米国におけるTRSの歴史 2.1 電話の発明からTTY/TDDの開発まで アレキサンダー・グラハム・ベルが1876年に自ら発明した電話機をフィラデルフィアの万国博覧会に出展して以来,電話サービスが急速に普及していった。しかし,この電話サービスは音声会話が困難な聴覚障害者には利用が難しく,聴覚障害者の社会参加を阻害していた。1904年に電話網等の通信網を介して文字を伝達する装置TTYが発明された。TTYとは,Teletypewriter/Text Telephoneの省略であり,通常の電話回線を通して文字が送られる。TTYは,米国内の広範囲に渡ってビジネス用途だけでなく,陸軍でも利用されていた。1964年,米国のカリフォルニア出身の物理学者,Robert H. WeitbrechtがJames C. MarstersとAndrew Saksと共同で電話回線に接続するための音響カプラをTTYに 組み込んだTDD(Telecommunication Device for the Deafの略)を発明した。この装置は聴覚障害者でも使える恐らく世界で最初の通信機器であり,広大な米国内に在住する聴覚障害者が相互に通信することを可能にした。[1],[2],[3],[4]このTDDは聴覚障害者の通信手段としてデファクト・スタンダードともなり,ITU-Tにおける国際標準化規格にも組み込まれた。 2.2 TRSの開始 TDDは聴覚障害者の通信環境を著しく改善するものであったが, TDDを所有している者同士でなければ通信できなかった。そこで,「コンタクト・サービス」と呼ばれるサービスが米国の各地で始まった。「コンタクト・サービス」とはTDDを持っている人と持っていない人を結ぶサービスであり,教会,AT&Tの支社,その他のボランティア・グループによってネットワークが形成された。このボランティア・グループの活動により,ニュージャージー州・ニューメキシコ州・ニューヨーク州マンハッタン,ブリティッシュコロンビア州バンクーバーなどにおいて,警察署へTDDにより連絡する緊急サービスも提供された。また多くの市内に存在していたメソジスト監督教会においてもTDDを利用したリレーサービスが行われていた。[5],[6] 2.3 ADA法によるTRSの普及 ADA法(Americans with Disabilities Act, 障害を持つ米国人のための法律)は,現在,全米内に住む障害者を広範囲で保護している公民法である。米国国民を人種,宗教,性別,出身国などによる差別から守る法律は従 来より存在していたが,障害者に対する差別については規定がなかった。ADA法のきっかけになったのは,米国において戦争から障害者となって帰還した多くの負傷兵に対して年金を交付する制度であり,そこから様々な経過を得て,1990年7月26日にジョージ・H・W・ブッシュ大統領の署名によりADA法が成立した。ADA法の成立により,障害者の地方での公共交通機関へのアクセスや地域社会への参加を著しく向上させただけでなく,教育や雇用などの機会を増大させた。[7], [8]通信については,米国合衆国1934年通信法において“米国のすべての人々に可能な限り,迅速かつ効率よく,そして全米規模さらには世界規模の有線・無線通信サービスが利用できるよう,適切な設備を備えることとする”と規定されていた。[1]しかし,聴覚障害者については特に考慮はされておらず,電話などの通信サービスへのアクセスは著しく制限されていた。その結果,健聴者と聴覚障害者との情報格差がますます広がっていき,聴覚障害者の自立が遅れていた。そうした状況の中,1990年にADA法第4章(Title W)によって,TRSが連邦通信委員会に義務つけられるようになった。このことが追い風となり,これまでTDDリレーサービスを自発的に行っていた聴覚障害者の団体や組織,特にTeletypewriters for the Deaf, Inc(TDI)などが,TTYの普及に向けて活発な活動を進めるに至っている。 3.米国におけるTRSの現状と課題 3.1 米国での現状 前述のとおり,ADA法が成立してからは,TRSの提供がビジネスとして成立するようになり,AT&Tのような大手の通信事業者が各州内のTRSの指定業者となるための競争を繰り広げる程までになった。また,インターネットを用いたIPリレーサービスなどを含めたTRSを提供する各会社に対しては,米国連邦通信委員会の管理によって資金が提供され,顧客(聴覚障害者や言語障害者)が無料で1年中24時間いつでも利用可能なサービス提供している(但し,通話料・インターネット接続料金等の通信料は顧客負担)。現在,TRSを提供している会社は以下のとおりである( 表 1)。米国内では,聴覚障害者であれば,誰でも自由自在に無料でTRSが利用できる。現在,最も急激に普及しているのが,ビデオリレーサービス(以下VRSと略す)である。VRSとは,米国手話(場合によってはスペイン手話も)でコミュニケーションをとる聴覚障害者が聴者と電話するときに利用するサービスである。聴覚障害者と聴者の会話の間にコミュニケーションアシスタントと呼ばれるオペレーター(実技試験によって採用された手話通訳者)が,ビデオカメラのスクリーン画面を通して聴覚障害者に手話(場合によっては文字も) で通訳,そして聴者にはコードレス電話ヘッドセットから音声で通訳,といった中継通訳をして双方の会話を繋げている。[2] もし,聴覚障害者のためのTRSが受けられる環境が整っていない場合TRS提供会社に連絡すれば職員が顧客(聴覚障害者)の職場や家庭を訪問し,TRS接続のための環境整備をしてもらえる。また接続のトラブルが起きた場合もできる限り速やかに対処されるようになっている[9], [10], [11]。 表1 米国におけるTRS事業者(2014年7月現在)   3.2 TRSに関するいくつかの事件 TRSが米国内で普及が進み,多くの聴覚障害者や言語障害者の生活に大きな功績を与えたが,他方では詐欺・不正行為など悪質な犯罪事件に利用されたりするトラブルもかなり多く報告されている。以下,主な事件についていくつか紹介する。 3.2.1 インターネット犯罪 米国連邦捜査局(FBI)の電子詐欺と警告に関する掲示板において,2004年2月9日付でインターネット犯罪苦情処理センターに“IPリレーを悪用した犯罪行為による被害を受けたオンラインビジネス事業者から多くの苦情を受けており,その数は急激に増えている”と報告されている。かつて,オンライン詐欺が出始めた頃,何も疑わなかった電子商取引会社は電子メールを通して不正な注文を受け取っていた。しかし,オンライン詐欺の存在を認識するようになってからは,それぞれの電子商取引会社はオンライン詐欺の元となる要因を排除するための対策をとるようになった。そこで,オンライン詐欺の新たな手口として,TRSが悪用された概要は以下のとおりである。[25]ADAのタイトルWによると,全ての通信事業者は無料のTRSを供給しなければならない。従来のTRSではTTY を用いるタイプであったが,パーソナルコンピューターとインターネットの出現に伴いインターネットを使ったIPリレーサービスが出現した。IPリレーサービスでは,インターネット接続ができれば誰でも利用が可能であり,国際通話を含めて自由に電話ができる。オンライン詐欺では,その点を悪用された[26]。 3.2.2 不正行為 米国合衆国司法省によって,2009年11月19日付で,9州内で米国連邦通信委員会(FCC)から数百万ドル以上の詐欺行為をしていた26名を逮捕する事件が起きている。逮捕されたのは以下の7社のオーナーと従業員であり,いずれもVRSに関する会社である(表2)。 表2 2009年の詐欺行為により提訴されたTRS事業者   これらの会社は,あたかも聴覚障害者がVRSを利用しているかのように見せかけ,1時間あたり約390ドルの率で各々のVRSコールの総額をFCCに申告し還付金を得ていた。この悪質な犯罪の発覚後,上記のVRS提供会社は解散し,TRS業界に大きな打撃を与えた。この事件を教訓として,FCCは今後も発生予測される不正,悪用などを防ぐためシステムを改良中であり,現在も進行中である[15], [16], [17], [18], [19] ,[20], [21], [22]。 3.2.3 AT&TのTRS詐欺疑惑 AT&Tは,世界的な大手通信事業者であり,事業の一環として多種多様なTRSを聴覚障害者に提供している。インターネット経由のIP リレーサービスは,無料で提供されており,FCCは1分につき約1.30ドルの割合でIP リレーサービス提供会社にTRS運営のための基金から運営資金を支払っている。前述のように海外の犯罪者が盗難クレジットカード等を用いてオンライン詐欺を行うためにIPリレーサービスシステムを悪用しているのを防ぐ目的で,FCCは2009年に各々の登録ユーザーの名前と住所の確認をきちんと行うよう各事業者に要求していた。 しかし,2012年,米国合衆国は,AT&Tが詐欺行為を目的としたとみられる海外からの不適正な発信者によるIPリレー利用分を含めてFCCから資金を受け取っており,虚偽請求取締法に反するとした。具体的には,AT&TがIPリレー利用者が米国在住者であるかどうかの確認を十分に行わなかったと指摘している。その結果,AT&Tは2012年5月にFCCに約1800万ドル返金している[23], [24], [31]。 3.2.4 Purple Communications Inc.の問題 2014年5月2日付けで,FCCがカリフォルニア州にあるTRS会社であるPurple Communications Inc.に対し,約2千万ドルの罰金を命じる予定だと発表した。伝えられるところによると,Purple Communications Inc.は,2009年からFCCにより「ユーザーの正確な氏名と住所の照合」が法的に義務付けられるようになったにもかかわらず,’sdfsdf cicwcicw’とか’ Myname Yourname’や’ Lot$a Money’といった不明な4万人の登録者を含めて請求をしてきたというものだった。3日後,Purple Communications, Inc.はこの発表は不当であるとし,“我々は,非常に真面目に規制遵守しています。FCCから規定されたゲストアクセス対策に従って,緊急アクセスを必要とするものがIPリレーサービスが利用できるようにしたものです。FCCが取り上げている‘訳のわからない,思い付きのキーストローク,やぼったい,偽の名前’と指示している多くのユーザーは,IPリレーサービスが必要な確かで合理に適している聴覚障害者と証明された名前のものです。”とFCCに抗議している [12], [14], [27], [28] 。 3.2.5 大手TRS会社の経営危機 米国における大手のTRS社であるSorenson Communications Inc.が“2014年3月2日に収益減少と増加する負債の解消のため再建の必要があるとして,連邦破産法第11章に基づく破産を法廷に申請した。ユタ州ソルトレーク市に本拠地を置くSorenson Communications Inc.は,およそ6億4500万ドルの資産と約14億ドルの負債を見積もった”とロイター通信社が報道した [30] 。Sorenson Communications Inc.は,“我々は,連邦破産法第11章によって再建計画に承諾し,公聴会を開くべく当社は迅速に計画している。連邦破産法第11章による破産保護については60日以内に結論を出す予定だ”と当社のサイトから公表しており,その後,2014年4月24日付けでFCCよりSorenson Communications Inc.の条件付き認証の付与の通知が出されている。現在もSorenson Communications Inc.は従来通り聴覚障害者のためのTRSを提供している [13], [29]。 3.2.6 事件を受けて 前述のとおり,米国においては特に課金システムの不備により,詐欺による被害など多くの問題が生じていることがうかがえる。また,FCCによるTRS運営資金の提供があっても経営危機が生じることもありえる。その一方では,FCCを中心とした米国政府側とTRS業界が共に問題解決に努め,課金システムの整備や法律の改定・整備を行う等,聴覚障害者が安心して利用できるTRSを築き上げていこうと最善を尽くしていることが伺える。 4.米国におけるTRSの歴史と現状からみた日本の課題 文献[3]で述べたように,日本ではいまなお公的なTRSは開始されておらず,TRSサービスの利用は有料である。2013年より,日本財団によりサービス利用料を無料とした試験的TRSが始まっており,多くの利用があるが,・サービス提供時間が24時間ではなく,夜間は提供されない・聴覚障害者からの発信のみ可能であるなど,米国に比較して不十分なサービス内容となっており,今後に向けての大きな課題である。米国においては,リアルタイムで双方向通信可能なTDDが最初に普及しそれが標準となったこともあり,TRSに用いる通信方法が最初は統一されておりそれがTRSの普及に大きく寄与していたとも考えられる。日本では,TRSのための通信手段がLine,Skype,Tango,Facetime,iMessage,YahooMessenger!,TeleBBと多種多様であり,互換性も十分ではないという問題がある。将来的には世界各国と連携しつつTRSのための統一的な通信手段を確立していく必要があると考えられる [32]。また,前述の報告から,日本において公的なTRSサービスを開始するにあたってはユーザー認証など課金システムの構築にも十分留意する必要がある。最後に,米国においてもTRSが普及するきっかけになったのがADA法制定である。日本においても,TRSの安定的運営のためにも,TRS提供義務化を法制化するなどの取組みが必要であろう。 5.結び 本報告では,米国におけるTRS普及の歴史と現状および課題について概観した。その結果,日本での公的なTRS実現に向けたいくつかの課題が明らかになった。特に,TRSのための統一的な通信手段は今後の重要な研究課題であり,米国等のTRS先進国において用いられている通信手段も考慮しながら検討を進めていく必要がある。日本のTRSに関する現状は,世界でもトップレベルの技術大国でありながら大きく遅れていると言わざるを得ない。 米国等の先行例を十分に調査・分析しつつ,日本にふさわしい公的TRSの一刻も早い実現に向けて取り組むことが望まれる。 参照文献 [1] Harry G. Lang.“ A PHONE OF OUR OWN”. Gallaudet University Press (Washington, D.C.). 2000.[2] Jeremy L. Brunson. Video Relay Service Interpreters. Gallaudet University Press (Washington, D.C.). 2011. [3] 井上正之.電話リレーサービスの現状と動向.筑波技術大学テクノレポートVol.20(1). 2012年12月.p.104-108.[4] Jack R. Gannon. Deaf Heritage: A Narrative History of Deaf America. Gallaudet University Press (Washington, D.C.). 1981. p323-327, p394-395.[5] Southwest Museum of Engineering, Communications and Computation. TTY/TDD History and Resources-Also Closed Captioning (cited 2014-5-14). http://www.smecc.org/tty___tdd_history_and_resources.htm[6] Telecommunication for the Deaf and Hard of Hearing, Inc“. Policy/Advocacy Milestones” (cited 2014-5-14) . http://tdiforaccess.org/[7] The ADA National Network.“What is the Americans with Disabilities Act (ADA)” (cited 2014-7-7). https://adata.org/learn-about-ada[8] Federal Communication Commission.“Title IV of the Americans with Disabilities Act (ADA)”(cited 2014-7-7). http://www.fcc.gov/encyclopedia/title-iv-ada[9] Federal Communication Commission. “Telecommunication Relay Services (TRS)” (cited 2014-4-24). http://www.fcc.gov/encyclopedia/telecommunications-relay-services-trs[10] Federal Communication Commission. “Telecommunication Relay Services (TRS)” (cited 2014-4-24). http://www.fcc.gov/guides/telecommunications-relay-service-trs[11] Federal Communication Commission.“Guide: Video Relay Services” (cited 2014-5-29). http://www.fcc.gov/guides/video-relay-services [12] Federal Communication Commission. “FCC plans $11.9 million fine against Purple Communications, a California Company” (cited 2014-7-23). http://transition.fcc.gov/Daily_Releases/Daily_Business/2014/db0502/DOC-326891A1.pdf[13] Federal Communication Commission.“Co nditional TRS Certification Of Soreson Communications, Inc” (cited 2014-7-23). http://www.fcc.gov/document/conditional-trs-certification-sorenson-communications-inc[14] the Wireless RERC.“FCC Issues $12M Fine to Purple Communications” (cited 2014-7-23). http://www.wirelessrerc.org/content/newsroom/fcc-issues-12m-fine-purple-communications[15] The United States Department of Justice. “Twenty-six Charged in Nationwide Scheme to Defraud” (cited 2014-7-23). http://www.justice.gov/opa/pr/2009/November/09-crm-1258.html[16] The United States Department of Justice.“Two Former Executives of Video Relay Services Company Plead Guilty to Defrauding FCC Program” (cited 2014-7-23). http://www.justice.gov/opa/pr/2010/February/10-crm-157.html[17] The United States Department of Justice. “Four Former Owners and Employees of Three Video Relay Service Companies Plead Guilty to Defrauding FCC Program” (cited 2014-7-23). http://www.justice.gov/opa/pr/2010/March/10-crm-229.html[18] The United States Department of Justice.“Two Individuals Plead Guilty to Defrauding FCC Video Relay Service Program” (cited 2014-7-23). http://www.justice.gov/opa/pr/2011/January/11-crm-100.html[19] The United States Department of Justice. “Individual Pleads Guilty to Defrauding FCC Video Relay Service Program” (cited 2014-7-23). http://www.justice.gov/opa/pr/2011/January/11-crm-018.html[20] The United States Department of Justice. “Three Former Owners and Employees of Two Video Relay Service Companies Plead Guilty to Defrauding FCC Program” (cited 2014-7-23). http://www.justice.gov/opa/pr/2010/March/10-crm-237.html [21] The United States Department of Justice.“Owner and a Former Executive of Indicted Video Relay Services Company Plead Guilty to Defrauding FCC Program” (cited 2014-7-23). http://www.justice.gov/opa/pr/2010/October/10-crm-1223.html[22] The United States Department of Justice.“Two Former Executives of Indicted Video Relay Services Company Plead Guilty to Defrauding FCC Program” (cited 2014-7-23). http://www.justice.gov/opa/pr/2010/January/10-crm-031.html[23] The United States Department of Justice. “United States Files Lawsuit Against AT&T in Telecommunications Relay Services Fraud Case” (cited 2014-7-24). http://www.justice.gov/opa/pr/2012/March/12-civ-357.html[24] Federal Communication Commission.“AT&T Settles FCC’s TRS Billing Probe for $18.25 Million” (cited 2014-7-23). http://www.fcc.gov/document/att-settles-fccs-trs-billing-probe-1825-million[25] The Federal Bureau Of Investigation. “Fraudsters Continue to Exploit Telecommunications Relay Services (TRS)” (cited 2014-7-24). http://www.fbi.gov/scams-safety/e-scams/archived_escams[26] The Internet Crime Complaint Center (IC3). “Notorious‘Reshipper Scam’ Transforms” (cited 2014-7-24). http://www.ic3.gov/media/2004/040209.aspx[27] Purple Communications, Inc.“FCC Action is Unwarranted and Unjustified, Company Says” (cited 2014-7-24). http://purple.us/purple-refutes-fcc-allegations[28] Federal Communication Commission.“FCC Plans $11.9M Fine For Alleged False Billing By Cal. 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In order for the Telecommunications Relay Service to be adopted worldwide, extensive research was undertaken into its processes and history: issues such as promotions, improvements, logistics, and management were carefully considered. This report describes the research regarding the history and current status of the dissemination of the Telecommunications Relay Service in the United States. Keywords: Telecommunications Relay Service, Deaf, Hard of hearing, Telecommunication Service