ブラインドサッカー選手の心肺持久力に関する研究-晴眼者との比較- 筑波技術大学保健科学部東西医学統合医療センター 松井康 キーワード:障害者スポーツ,ブラインドサッカー,最大酸素摂取量,無酸素性作業閾値 成果の概要 ブラインドサッカーは,パラリンピックの正式種目となっており, 2020年の東京パラリンピックの種目としても内定している。ブラインドサッカ一日本代表は,自国開催枠としての出場がほぼ内定しており,今後,益々注目されるであろう競技の一つである。2014年11月に行われたブラインドサッカ一世界選手権では,日本は過去最高位の6位という成績であったが,今後さらに上位を目指すためにさらなる競技力の向上が必要である。ブラインドサッカーは5人制のフットサルに比較的近い競技であり,選手はアイマスクを着用して,プレーする。攻守の際にピッチ内を動き回ることが多く,サイドラインには壁が設置されているため,プレーが途切れづらく,特に心肺持久力が必要とされる。心肺持久力の指標として,最大酸素摂取量や無酸素性作業閾値が挙げられる。これらの値は, サッカーにおいて,試合中のスプリント回数や走行距離などと正の相関関係をもつことが明らかとなっており (1, 2, 3, 4),ブラインドサッカーにおいても,スプリント回数や走行距離は競技力との関連が大きいことが推測される。現在,ブラインドサッカー日本代表選手がどの程度の心肺持久力を有しているか把握することは,今後の競技力向上のためには必要であると考えられる。そこで,本研究の目的は,ブラインドサッカー選手と晴眼サッカー選手および運動習慣のない晴眼者の心肺持久力の比較を行い,ブラインドサッカー選手の心肺持久力を客観的に評価することとした。 対象者は,ブラインドサッカーB1代表12名,関東一部大学サッカー選手7名, 一般健康男性7名の計26 名であった。 図l 実験の様子 運動負荷試験には, 自転車エルゴメータ(コンビウェルネス AERO BIKE 75XL II)を使用した。運動負荷の種類は運動強度を直線的に増加させる漸増負荷(以下ramp負荷)を採用した。ramp負荷は20W/分ずつ増加する設定として,ベダルの回転数を60回転に保持するよう指示し,対象者がオールアウトするまで運動負荷試験を行った。対象者がオールアウトするまでの測定期間におけるV02maxおよびATpointの算出を行ったAT pointの算出は, VE/VC02が上昇せずに, VE/V02が上昇し始める点をATpointとする,タイムトレンド法(5, 6)を用いて,行った。データ解析は, V02maxおよびATpointをブラインドサッカー代表選手,晴眼大学男子サッカー選手,運動習慣のない晴眼者の3群間で比較し統計解析を行った。 最大酸素摂取量に関して,B1代表選手は,晴眼大学男子サッカー選手と比較して,有意に低かった (p