あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう施術所を経営する視覚障害者の意識や行動、心理特性に関する質的研究-一定額以上の売り上げがあるケースから- 令和5年度 筑波技術大学大学院 技術科学研究科 保健科学専攻 鍼灸学コース 安田 英俊 目次 第1章 序論 6 Ⅰ.背景 6  1.収入状況から見る視覚障害者が経営する施術所の現状 6  2.視覚障害者心理が施術所の経営に影響を及ぼすか? 7  3.起業家特有の心理特性の有無は施術所経営に影響するか? 9 Ⅱ.本研究の仮説と目的 10  1.本研究の仮設 10  2.目的 10 第2章 方法 10 Ⅰ.対象者と人数 10 Ⅱ.調査方法 11  1.事前アンケート調査 11  2.インタビュー調査 11 Ⅲ.統計解析 11  1.事前アンケート調査 12 1)属性と基本情報 12 2)起業家特有の心理的要因 12  2.インタビュー調査(半構造化面接) 12 1)データの集計 12 2)データの分析 12 第3章 結果 14 Ⅰ.事前アンケートにおける属性と基本情報について 14 Ⅱ.事前アンケートにおける起業家特有の心理的要因について 15 Ⅲ.抽出語リストと共起ネットワークについて 15  1. グループa(インタビュー回答すべて)について 15  2.グループb(施術所経営に直接関わる質問に対するインタビュー回答)について 17  3.グループc(経営者の意識や考え方に関わる質問に対するインタビュー回答)について 17 Ⅳ. 文書クラスター分析について 18  グループb(施術所経営に直接関わる質問に対するインタビュー回答)について 18  グループc(経営者の意識や考え方に関わる質問に対するインタビュー回答)について 22 第4章 考察 23 Ⅰ.患者との信頼関係構築と、それに基づく施術を実践すること 23 Ⅱ.施術料金の設定や変更を経営の根幹として重要視すること 26 Ⅲ.視覚障害がある施術所経営者は支店の出店に消極的であること 27 Ⅳ. 自尊感情が高く社会適応していること 28 Ⅴ.起業家特有の心理特性を有し、経営能力を高めていること 31 Ⅵ.人とのつながりや同業種のネットワークを大切にしていること 32 Ⅶ.本研究の限界と課題及び、今後の展望 34 第5章 結論 35 謝辞 36 参考文献 38 〖図表〗 44 筑波技術大学 修士(鍼灸学)学位論文 第1章 序論 Ⅰ 背景 1.収入状況から見る視覚障害者が経営する施術所の現状  日本の視覚障害者には、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう(以下、あはき)を生業としてきた長い歴史がある。しかし、近年あはき業界における健常者の台頭、リラクゼーション業や市場に共通性がある柔道整復業の拡大といった社会情勢の変化の中で、視覚障害者がこれらの技術で職業自立することは難しくなりつつある。特に「日本の盲人における伝統的な職業自立方法」である施術所を開業し経営を維持することの厳しさは、藤井らの調査からも明らかである。  藤井らは、あはき業の実態について明らかにするため、全国の施術所1万件を対象にアンケート調査を実施した。その結果、平成25年分の年収は、対象者全体の平均値は571万円、中央値は350万円であったが、視覚障害者に限った場合では平均290万円、中央値180万円、晴眼者では平均636万円、中央値400万円で、両者の差は平均値で346万円、中央値で220万円に及んでいた(藤井ら,2014)。、また,後年、同じく藤井らが、あはき施術所2万件を対象に実施したアンケート調査によると、平成27年分の年収は、視覚障害者で平均値470.1万円、中央値128万円であったのに対し、晴眼者では平均値854.8万円、中央値400万円となっており、両者の差は平均値で384.7万円、中央値では372万円と、平成25年分からさらにその差が開いた結果となっている(藤井ら,2017)。  こうした状況を、施術所を経営する視覚障害者自身はどのようにとらえているのか? 佐々木はあん摩マッサージ指圧、はりまたはきゅう施術所を経営する視覚障害者12名を対象に、インタビューを実施し、経営に対する考え方について質的調査を行った。その結果、「施術者自身の意思で開業し継続する中で、施術所の経営を行っている同業者のノウハウを追求することや経営について積極的に学ぶ様子は見られず、それが営業努力や年収に影響を及ぼしている様子が見られた。」と報告している。(佐々木,2019)、このことは、厳しい経営状態にも関わらず、その改善に向けた方策については、アプローチが積極的になされていない可能性を示唆している。  一方で、上記の藤井らの報告によると、視覚の身体障害者手帳保持者であっても、施術所を経営し、年収ベースで500万円以上を得ている経営者が約10%(年収に関する有効回答262人中26人)(藤井ら,2014)、同じく藤井らの調査によると13.2%(n=652)存在していた(藤井ら,2017)。  以上のことから、あはき業を営む視覚障害者の平均年収は晴眼者と比較して低い水準にあり、社会情勢の変化により視覚障害者があはきの技術で職業自立することが難しくなりつつあるものの、日本人の平均年収(457万6000円)(令和4年分 民間給与実態統計調査、国税庁)を上回る収入を得ている者も少なからず存在している。しかしながら、その実態については不明な点も多い。 2.視覚障害者心理が施術所の経営に影響を及ぼすか?  視覚障害者における「障害への心理的適応の構造」について説明したものに、Doddsらの研究がある。彼らは視覚障害への心理的適応を多面的に測定する尺度「The Nottingham Adjustment Scale;NAS」を開発した(Dodds et al,1991,Dodds et al,1993)。これをもとに鈴鴨らは、日本語版NAS(NAS-J)を開発し、健康関連QOL尺度SF−36と合わせて日本の視覚障害者の心理的適応の構造を明らかにするために調査を行った。対象は全国5カ所の視力障害センターで職業訓練を受けている視覚障害者336名(男性261名、女性57名、不明18名、平均年齢41.5歳)であった。それによると、晴眼者群と視覚障害者群の差異を検討した結果は、視覚障害者は「不安・うつ」や「自尊感情」等の項目の下位尺度得点が晴眼者に比べて有意に低く、「不安・うつ傾向」が強いことを明らかにした(鈴鴨ら,2001)。また白石は、「障害児は、「自分を大切に思う気持ち」である自尊感情が損なわれやすく、「自分はできるんだ」という自己効力感を得る機会が少ない」(白石,2007)と述べている。  一方で高階の報告によれば、大学生の就職活動とその結果において、対象者の自尊感情の程度が高いほど内定数が多く、内定先の企業規模が大きく、内定先に満足する傾向がみられた(高階,2015)。また、鶴田は大学生の就職活動の成果に影響を与える要因に関する国内論文のレビューを実施している。それによると、就職活動を成功させる心的要因として、「就業意識」、「キャリア志向」、「プロアクティブパーソナリティ」、「特性的自己効力」、「キャリアパースペクティブ(職業生活の成功を意識した見通し)」、「キャリア選択自己効力感」、「自尊感情」を挙げている(鶴田,2018)。こうした研究報告を受けて、下村は自著の中で「若者の自尊感情が何らかの形で積極的な就労行動の基盤にあることは、現在、仮説としてほぼ受け止められている。」と述べている(下村,2011、下村,2012)。また、就労後の組織においては、「職場における内発的動機の向上、知識提供行動の促進などの規定要因の1つに、従業員の職場における自尊感情である組織内自尊感情が挙げられる。」(向日,2015)や「職場の生産性を向上させるためには、従業員の自尊感情を向上させるようにマネジメントすることが期待される。」(向日,2018)、さらには「一般に組織内自尊感情は従業員の行動にポジティブな影響を与えることが明らかにされている。」(Pierce et al.,1989)等の報告がなされている。  個人事業における売り上げと自尊感情の高低の関係性について報告した文献は見当たらなかったが、これらのことから、視覚障害者が晴眼者に比べ「自尊感情」が低かったことは、前述の施術所経営における収入差に何らかの影響を与えている可能性が想定できる。 3.起業家特有の心理特性の有無は施術所経営に影響するか?  嶋村の報告には、「視覚障害者の開業に焦点を当てた開業マニュアルなどはなく、地域密着型の鍼灸マッサージ院の経営戦略や資源配分などを研究したものは見つかっていない」とある(嶋村,2015)。また、同報告では、視覚障害に限らない前提において、経営プランを作成する際の重要ポイントとして、「開業に向けた動機やきっかけ」並びに「将来展望が描けるか」を挙げており、知識、経験、人脈、熱意も重要な要素としている(嶋村,2015)。また、あはき施術所ではなく、一般的な法人経営において、経営者を中心とした経営陣に焦点を当て、彼らの個人的資質についてみてみると、Gilbertらは経営者のプロフィールが与える影響について、「経営者の学歴、業界での職務経験、起業経験などが企業の成長に直接的な影響を与える」と述べている(Gilbert et al,2006)。また、小本は「スタートアップ企業の成長に経営者の個人的資質がどのような影響を及ぼすか」について、レビュー調査を実施し、次のような結果を発表している。「個人的特性は個人の一般的な行動や思考の傾向を示す概念であるため、企業の成長に直接的に大きな影響を与えることはできない。しかし、企業の成長に対して直接的な影響を与える個人の能力や動機づけといった要因に対しては有意な影響を与える。」(小本,2016)。  一方、星田は、個人による事業を立ち上げた経験がある、いわゆる起業家の心理特性と従業員心理特性の違いについて調査を行っている。この中で星田は、質問紙調査の結果から起業家群と従業員群で回答内容を得点化し、その差が設定した条件以上であった18項目を「起業家特有の心理的要因」として抽出している(星田,2015)。しかしながら、個々が有する「起業家特有の心理特性」の程度が起業した事業の売り上げにどのような影響を与えるかは述べられていない。 Ⅱ 本研究の仮説と目的 1.本研究の仮説  あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう施術所を経営する視覚障害者のうち、一定額以上の売り上げを得ている者は、心理特性に共通点が有り、開業から現在に至る過程においても、意識や行動面で共通点を有している。 2.目的  一定額以上の売り上げを得ている視覚障害を有する施術所経営者(対象者)に対し、事前アンケート調査と、その回答に基づいた半構造化面接を実施し、彼らがどのような心理特性を有し、どのような意識や考え方のもと、如何に行動してきたかについて、その共通性を明らかにする。 第2章 方法 Ⅰ 対象者と人数  対象者の条件は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のいずれかまたは複数の免許を有し、それらを業として施術所を経営している視覚障害者とした。また、年間売上金額の条件は、2010年以降、個人経営の場合、年間500万円以上、法人経営の場合、年間1000万円以上の年が5回以上あることとした。募集は、機縁法並びに、公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会視覚障害委員会の協力を得て、同会が有するメーリングリストを活用して行った。その結果、応募があった候補者12人のうち対象者としての条件を満たし調査対象者に選定したのは10人であった。最終的に10人全員に対し、紙面および口頭にて研究の目的と趣旨を説明し、全員から書面による同意を得た。本研究は筑波技術大学研究倫理審査委員会の承認を得て行った(承認番号 2022-37)。 Ⅱ 調査方法  調査は、事前アンケ―ト調査並びにインタビュー調査により実施した。 1.事前アンケート調査  調査期間は2023年5月から8月とした。調査の依頼文と調査票を対象者にEメールで送付し、インタビュー調査実施前までに返信するよう依頼した。調査項目は、対象者の属性、所持免許、免許取得のための養成機関、施術所経営の状況、PR方法や営業努力について、経営状態や社会的支援に対する満足度等の項目から構成され、全14項目である(図1)。なお、設問9の質問18項目は、前記した星田が提唱する「起業家特有の心理的要因」に関する質問である(星田,2015)。18項目それぞれについて、4件法(大いにそうである、そうである、そうではない、まったくそうではない)で質問を行った。 2.インタビュー調査  調査期間は2023年5月から8月とした。インタビューは著者が行い、1対1での半構造化面接法で実施した。実施形態は、インタビュアーが対象者の勤務先に出向くか、または、オンライン環境で行った。実施に当たっては事前に作成したインタビュー項目(図2)に沿って進め、インタビュアーが研究内容に関わると判断した内容については、さらに掘り下げて聴取するという方法で実施した。面接時間は約60分間を目安とした。なお、聴取内容の録音には、対面の場合はスマートフォンの録音用アプリリケーションを、オンライン環境の場合はオンライン対話用アプリケーションに内蔵されている録音機能をそれぞれ使用した。録音した内容は、後日、逐語録を作成しデータ化を行った。 Ⅲ 統計解析 1.事前アンケート調査 1)属性と基本情報  年齢と開業年数は平均値と標準偏差、従業員数は平均値をそれぞれ算出し、その他の項目は一覧表にまとめた。 2)起業家特有の心理的要因  4件法で質問した結果について、“大いにそうである”、“そうである”を「肯定的回答」、“そうではない”、“まったくそうではない”を「否定的回答」として割合で示した。 2.インタビュー調査(半構造化面接) 1)データの集計  データ化した逐語録は、Microsoft Excel(マイクロソフト社)を用いてインタビュー項目ごとにまとめた。 2)データの分析  インタビュー調査で得られた回答全体から特徴的な内容を抽出する目的で、KH Coder Version3(樋口,2014)を用いて、計量テキスト分析の手法により分析を行った。計量テキスト分析とは、インタビューデータなどの質的データをコーディングによって数値化し、計量的分析手法を適用して、データを整理、分析、理解する方法である(樋口,2017)。  本研究では、計量テキスト分析を用いて、抽出語リスト及び共起ネットワークの作成と文書クラスター分析を行った。具体的な分析方法は以下のとおりである。また、分析手順を図3に示す。 (1)抽出語リストと共起ネットワーク  インタビュー調査で得られた回答から以下のような3個のグループを作成した。 グループa 回答全体のデータ グループb 回答データのうち、施術所経営に直接関わる質問に対しての回答を抽出したデータ(表1) グループc 回答データのうち、経営者の意識や考え方に関わる質問に対しての回答を抽出したデータ(表1)  次に、グループa・b・cそれぞれの頻出語リストを作成し、語の出現回数を算出した。  さらに、グループa・b・cそれぞれについて語と語の結びつきを探索するため、共起ネットワークを作成した。これにより、出現パターンの似通った語、すなわち共起の程度が強い語を、線で結んだネットワーク図を描くことができる。また、出現パターンの似通った語のグループを探せば、そこからデータ中に多く現れたテーマないしはトピックを読み取ることができる。なお、共起ネットワーク作成に際し、今回の分析では、以下の条件を設定した。 ア、集計単位は、各質問に対する対象者1名分の回答全体を1単位とした。 イ、対象語の最小出現回数は、対象の文章(回答)量を考慮し、「グループa」は20回以上、「グループb」は15回以上、「グループc」は10回以上にそれぞれ設定した。 ウ、品詞による取捨選択は、各種名詞・動詞・未知語を分析対象として選択した。  最後に、共起ネットワークで出現回数が多く、共起性が強い語が使用された回答(文章)をひとつひとつ確認し、要旨の傾向を探索した。 (2)文書クラスター分析  上記グループb・cのグループごとに、含まれる回答について文書クラスター分析を実施した。この分析によって、似通った語を含む回答をグルーピングすることができる(樋口,2014)。クラスター分析は、データの中に含まれる文章を、内容が似ているものから順に段階を追ってクラスター化していく分析法である(吉原,2014、樋口,2014)。最初は非常に似た文章を選びクラスター化を行うが、段階が進むにつれて、無理をしてクラスター化する度合いが高くなる。その度合いを表す数値が「併合水準」である。よって、併合水準が高いほど、類似性が低いことを示す。本研究では、作成されるクラスター数は10個に設定した。各クラスターの併合段階では、1から10に進むにつれて、文章をクラスター化し始める併合水準が高くなることから、クラスター1から10にかけて、徐々にクラスター内の文章の類似度は低くなる傾向にある(西,2024)。そこで、含まれる文章の内容に共通性がみられるかどうかを並行して確認し、分析するクラスター数を定めた。なお、分析は以下の条件で実施した。 ア、集計単位は、各質問に対する対象者1名分の回答全体を1単位とした。 イ、対象語の最小出現回数は、共起ネットワークと同様、「グループb」は15回以上、「グループc」は10回以上に設定した。 ウ、品詞による取捨選択は、各種名詞・動詞・未知語を分析対象として選択した。 エ、作成されるクラスター数は「10」、各文章間の距離の算出係数はJaccard係数にそれぞれ設定し、クラスター化法はWard法(宮本,2015、吉原,2014)で実施した。  作成されたグループbとc各10個、合計20個のクラスターに分類された回答(文章)の内容を個別に確認し、傾向を探った。 第3章 結果 Ⅰ 事前アンケートにおける属性と基本情報について  調査対象者の属性と基本情報を表2に示す。平均年齢は57±11歳(全員男性)であった。卒業養成機関は、盲学校が9人、つくば技術短期大学が1人で、使用文字は、普通文字を使用可能なものが4人、普通文字に変えて点字または音声を活用しているものが6人であり、現在の視機能になった時期は、0~1歳が3人、小・中学生期が3人、成人以降が4人であった。開業年数は平均27±15年で、個人経営が6人、有限会社経営が4人であった。また、本人を含めた従業員数は、施術者の平均が2.6人、その他が2.1人であり、PR方法や営業努力については全員が「ホームページがある」と回答したものの、その他、一定の傾向はみられなかった。 Ⅱ 事前アンケートにおける起業家特有の心理的要因について  起業家特有の心理的要因に関するアンケートの回答を表3に示す。対象者10人に対し、18の質問を行い、1問が未回答であったため、延べ179の回答が得られた。このうち、肯定的回答が82.1%(147問)、否定的回答が17.8%(32問)であった。また、10人全員が肯定的に回答した質問は、「何度失敗しても必ずやり抜く気力がある」、「自分の仕事が大好きだ」、「自分の仕事を通して社会に貢献している強い実感がある」、「思いついたアイディアは、すぐ実行している」の4項目であった。 Ⅲ 抽出語リストと共起ネットワークについて 1.グループa(インタビュー回答全て)について  文章数は1935文であった。総抽出語数は19544語、異なり語数は3122語であった。出現回数の最も多かった語句は、「思う」367回、次いで、「人」275回、「自分」215回、「言う」207回、「治療」173回、「患者」138回と続いた(表4)。また、共起ネットワーク図を図4に示す。「思う」、「人」、「自分」、「治療」、「患者」、「来る」のバブルが大きく距離が近いことから、出現頻度が高く共起関係が強いことが分かる。この中で、特に多く出現している「思う」と「人」については、抽象的に使用されやすい語である。そこで、実際にどのような使われ方をしているかを調べたところ、「思う」は367回中、経営に関する内容で使われていたものが126回(表5)、患者や施術に関する内容で使われていたものが103回(表6)、その他が138回であり、「人」については275回中、「患者」を示しているものが108回(表7)、「雇用者や他の経営者等」を示しているものが96回(表8)、「その他の人」を示しているものが71回であった。このように対象者は、経営や人事管理と併せて、患者や施術に対する思いを多く語っていた。また、出現数173回の「治療」の内訳は、治療や施術そのものを示すものが70回(表9)に対し、「治療院」や「治療費」等、それ以外の語に付属した形での使用が103回であった。さらに「患者」については、138回の出現中、対象者が「自分や自分の施術所に直接関わる患者」に対して使用しているものが86回(表10)、「一般論」としての使用が52回であった。  以下は、対象者が特徴語を使用して、患者に対する思いを治療や施術に関連付けながら語った内容の抜粋である。 人・思う:「実際に来た人をその人のために治してあげたいと思って勉強した方がよほど身になるんですね」(対象者B) 患者・人:「患者でも私と話に来る人が結構多くてですね。お年寄りとか」(対象者G) 思う・患者:「患者さんのことを思うって大事なことだなって思いますね」(対象者A) 治療・患者:「自分が納得するような治療しても仕方ないですよね。患者さんが良かったよと言っていただけないと」(対象者I) 2.グループb(施術所経営に直接関わる質問に対するインタビュー回答)について  文章数は1291文であった。総抽出語数は12686語、異なり語数は2469語であった。出現回数が最も多かった語句は、「思う」222回、次いで、「人」194回、「言う」128回、「自分」123回、「治療」120回、「患者」88回と続いた(表11)。また、共起ネットワーク図を図5に示す。「思う」、「人」、「患者」、「自分」の出現頻度が高くバブルの距離が近いことはグループaに類似していた。また、「思う」、「人」、「患者」の使用法とその割合についてもグループaに準じていた。一方で、グループbの共起ネットワーク図では、特徴的なものとして、「円」を中心としたネットワークが描かれており、「円」から、「料金」、「消費税」、「上がる」、「値上げ」、に共起関係が認められた。また、「マッサージ」については、「鍼灸」、「仕事」とのネットワークが強いが、併せて、「年」や「一つ」とのネットワークが描かれている。これに関して、実際にどのような語りがあったかを具体的に見てみると、「年」については、経営の経緯を語る中で、時期を示したい場合によく使用されていることがわかった。また、「一つ」については、様々な方策を幾つか挙げたり、複数の戦略を述べたりする際に使用されていた。例えば、店舗の場所に関する語りの中での「一つは立地条件が重要」や、経営戦略の語りでは、「トレーニングは経営の一つの柱」などである。 3.グループc(経営者の意識や考え方に関わる質問に対するインタビュー回答)について  文章数は641文であった。総抽出語数は6808語、異なり語数は1717語であった。出現回数が最も多かった語句は、「思う」145回、次いで、「自分」92回、「人」81回、「言う」79回、「治療」53回、「マッサージ50回と続いた(表12)。共起ネットワーク図を図6に示す。「思う」、「人」、「自分」、「言う」、「マッサージ」、「治療」等の共起関係は、グループaの全体回答の共起ネットワークに類似しているが、「グループc」ではそこからネットワークが延伸する形で「視覚障害」、「経営」、「情報」、「晴眼者」等との共起関係が描かれていることが特徴的であった。 Ⅳ 文書クラスター分析について 1.グループb(施術所経営に直接関わる質問に対するインタビュー回答)について  クラスター1から10に進むにつれて、文章をクラスター化し始める併合水準が高くなっており、含まれる文章内容の類似度が低くなる傾向がみられたため、含まれる文章の内容に共通性がみられるかどうかを検討し、グループbでは、クラスター1~4について分析を行うこととした。なお、グループbにおける文書クラスター分析のデンドログラムを図7に、併合水準を表13に示す。 1)クラスター1  特徴語として、「支店」、「人材」、「出す」、「店舗」、「育てる」、「任せる」等が挙がった。クラスターに含まれる回答数は6個で、そのうち5個は「支店を出すことは考えない」や、「支店を出すことの困難性」について語る内容であり、困難性の説明の中で、「人材」、「育てる」、「任せる」等の語が使用されていた。実際の語りは以下のとおりである。 「やっぱり支店となると、任せる人材が必要っていうところがあって、その辺が難しいかなっていうところがあって」(対象者A) 「信用できれば任せたいと思ったんです。そうでない限りは他人には任せられないんで。そういうふうに考えたことがあったんですね」(対象者B) 「支店とかを出そうかと考えたことは一度もないです」(対象者C) 「支店を出したいと思ったことはあったんですけど、(中略)やっぱりちょっと、なかなかそこまでは行かなかったですね」(対象者I) 「支店はですね、結局、支店長の意識次第ですね。僕が覗いてた時は、やっぱり売上も上がってましたけど、覗かなくなると売り上げが、どんどん下がっていきましたので」(対象者J) 2)クラスター2  特徴語として、「タイミング」、「上がる又は上げる」、「料金」、「消費税」、「プラス」、「経営」、「円」等が挙がった。クラスターに含まれる回答数は10個で、そのうち4個は「施術料金の設定」や「値上げ」に関する内容であった。また、6個は売り上げの経過やこれからの目標に関わって、これまでの施術所の変遷やこれからの経営ビジョンについて語られた内容だった。グループbの文書クラスター分析でクラスター2に分類された文章の抜粋は以下のとおりである。なお、[ ]内は筆者の追記である。 「安くして来てもらうんじゃなくて、やっぱりちゃんとした施術して来てもらう方がいいじゃないですか。(中略)いつも患者さんには「このお金は必ず勉強して、あなたに返しますよ」って話をしながらやってましたね」(対象者A) 「前回値上げしたのが2015年だったんですよ。だから8年ぶりなんですよ。その時は消費税の値上げがあったんでそのタイミングでした」(対象者B) 「[料金を]上げていくと、いいお客さんが来ることによって自分自身の精神状態も良くなるんですね」(対象者B) 「今は施術料金を上げるので、ホームページの更新が必要で、依頼してますね。(中略)専門の業者に外注してるので、月々3000なんです」(対象者B) 「1時間1万円くらいの仕事ができんかなとか、[そのためには]色んなセンスを磨かないといかんなと思って」(対象者G) 「金額を途中で上げるというのがなかなか難しいよって(中略)聞いてたんで、たまたま消費税が上がったから、そのタイミングで、本当はもともとこれぐらいもらいたかったなーっていう額まで」(対象者H) 「やっぱり開業する時って結構不安というか、[料金を]高くしたことによって来ないんじゃないかとか・・・、」(対象者H) 「視覚障害者の所得の免除みたいなものがあったり、(中略)例えば700万円ぐらいを超えてくると逆にマイナスになっちゃうっていうラインがあるんですよ。だから今ぐらいでこう微妙に調整しているのが実は意外と総収入的にはいい状態・・・」(対象者H) 「あの当時って、急に消費税が始まったりしたじゃないですか?平成元年で消費税ができて、5%、8%とか上がってきた、そのタイミングで上げたかなと思いますね」(対象者I) 「今考えたらめちゃくちゃ安かったんですけど、その当時でも普通で3500円とかいう話をしてる時に、その半額でしたね」(対象者I) 「確か消費税の時は便乗値上げをしないようにと思って、消費税が上がる前に上げましたね」(対象者J) 「今は1階の治療院は十分黒字なんだけども、2階のトレーニングルームはちょっと[収支が]重たいんで、これをきちっと回していければ十分に経営が流れに乗っかるので」(対象者J) 「スタッフの給料上げたいですね、鍼灸師っていう国家資格の職業で、安い給料で働いてもらう訳にはいかないんで、給料を上げられなきゃ経営してる意味がないんですよね。そういう意味では、最低でも今のスタッフの給料は1.3倍にはしていきたいです」(対象者J) 3)クラスター3  特徴語として、「開く」、「先生」、「話」、「分かる」、「自分」、「視覚障害」等が挙がった。クラスターに含まれる回答数は18個で、その内訳は「開業決定時期や理由、その後の経緯」が4個、「採用や人事管理についての経験や考え方」が3個、「収入を伸ばすための方策、また伸びない理由」が4個、残りの7個は様々な内容の語りであった。  「開業決定時期や理由、その後の経緯」では、盲学校の専攻科への進路を選択した時、または、その前から、進路として「施術所開業」を決めていた者が2人、また、残りの2人は専攻科卒業時点で、進路を「施術所開業」と決めてはいなかったものの、大分県出身の対象者が、東京や京都の治療院で修行したり、石川県出身の対象者が、筑波技術大学の研修生や福島の温浴施設での就労を選択したりするなど、独立に向けて積極的に行動していた。  「採用や人事管理についての経験や考え方」では、3個すべてで、人事管理の難しさが語られていた。その内容は「時給の高い業者からヘッドハンティングされた」や「厳しく言いすぎてパワハラにならないかと心配した」、また、「せっかく育てたのに、独立する際、患者を多く引き抜かれた」であった。  「収入を伸ばすための方策、また伸びない理由」は、それぞれ個性的で様々な語りがあった。  このクラスターでは、対象者が自分で決定した進路に向けて能動的に行動していることや、経営者として自らの考え方で経営方針を定めた上で舵取りを行い、どんな時も自分の意思で決定し、最後は自分で責任を取るという信念が表現された語りが多くみられた。 4)クラスター4  特徴語として、「来る」、「会社」、「基本」、「鍼灸」、「決める」、「作る」等が挙がった。クラスターに含まれる回答数は14個で、そのうち7個は「過去又は未来における経営方針」、3個が「今後の経営目標」に関わる語りであった。また、残りの4個は「これまでの経営プロセス」、「広告や医療連携など業界の課題」、「経営成功への持論」、「業界の維持・発展の重要性」についてそれぞれ語られていた。このクラスターでは、対象者が質問に対する直接的な回答に加えて、そこから派生して様々なことを語っていたが、内容を総じてみると、「治療の技術面」に触れた語りはほとんどなく、過去や未来を含めた経営戦略や業界における課題などが多く語られていた。具体的には表14のとおりである。 2.グループc(経営者の意識や考え方に関わる質問に対するインタビュー回答)について  このグループにおいてもグループbと同様の理由から、クラスター1〜3について分析を検討したが、クラスター2は文章数が3文しかなかったため、クラスター1と3についてのみ分析を行った。グループcにおける文書クラスター分析のデンドログラムを図8に、併合水準を表13に示す。 1)クラスター1  特徴語として、「自分」、「人」、「患者」、「分かる」、「仕事」、「会社」等が挙がった。クラスターに含まれる回答数は18個で、その内訳は「視覚障害によるメリット・デメリット」が4個、「最も印象に残っている出来事」が3個、「経営を継続できた要因」が4個、「最も大変だった出来事」が2個、残りが5個であった。このクラスター内での特徴的な内容は、「人とのつながりの重要性」に関する様々な角度からの語りであった。表15は具体的な回答である。 2)クラスター3  特徴語として、「視覚障害」、「晴眼者」、「盲学校」、「伝える」、「関係」、「入る」等が挙がった。クラスターに含まれる回答数は8個で、「視覚障害があることによるメリットやデメリット」が3個、「支援について行政や社会への思い」が2個、「収入に変化が起こった出来事」が1個、「開業を目指す後輩へコメント」が1個、「理療を指導する先生方へ」が1個であった。  このクラスターで共通する語りの内容は「視覚障害に関する意見」である。これについては対象者によって、多種多様な切り口から多くの意見が語られていた。表16は具体的な回答である。 第4章 考察 Ⅰ 患者との信頼関係構築と、それに基づく施術を実践すること  グループaの共起ネットワークや一つ一つの語を用いた語りの内容から、対象者が「思う」、「人」、「自分」、「治療」、「患者」等の語を用いて、自分の施術や治療内容、また、日々関わる患者に対する思いを多く語っていたことがわかった。具体的には、「思う」367回中「施術や患者に対する思い」の語りが103回、「人」275回中「患者」を指すものが108回、「治療」173回中「治療そのもの」を指して使用したものが70回、「患者」138回中、対象者が「自分または自分の施術所に直接かかわる患者」を指して使用したものが86回であり、これらは、それぞれこのような形で使用法を限定したとしても、グループaの共起ネットワーク図の中で頻出語が集まった最も共起の強いネットワークに変わりはない。また、グループa・b・cの共起ネットワーク図で「思う」、「人」、「自分」、「治療」、「患者」のネットワークを比較してみると、グループcで「患者」のみがネットワークから外れているものの、他の語はすべてグループaと同様のネットワークに含まれており、(図6緑枠部)、グループbは「思う」、「人」、「自分」、「治療」、「患者」すべての語がグループaと同様のネットワーク(図5青枠部)に含まれていた。さらに、グループb・cはグループaを2つに分けたものであるため、結果に示した、「思う」、「人」、「患者」、「治療」を用いた語りの内容は共通していた。また実際に対象者の語りの中では、10人中9人が「患者への思い」や、「信頼関係」について言及していた。具体的には「肯定の意味で、直接的に患者を思う」という語りが2人、「信頼関係が重要」との語りが2人、「患者が求めているものに焦点を当てた治療実践が重要」という意味の語りが4人、「患者のために1日でも早く治す」が1人であった。  こうしたことから、対象者が日々の施術や治療を通して患者を思い、大切にしていたと考えられ、その結果、両者の間にラポールが形成されていたことが想定できる。ラポールとは治療者と患者との相互の信頼関係を意味するが、白土らは、看護師以外のコメディカルからみた患者との信頼関係について、「患者への優しい姿勢・自信を持った態度を基に、常に患者を尊重し、患者が話しやすい環境をつくり、患者を理解し、患者に合わせた対応や居場所を提供し、患者に親しみを感じてもらうことを繰り返すことにより、患者の医療参加を促進することにつながり、これらの要素が循環し関係を積み重ねること」と定義しており(白土ら,2022)、今回の共起ネットワークの結果や、対象者の具体的な語りはこの定義を十分に表現した結果といえる。治療者と患者との関係性について中野らは、心身症患者におけるプラセボ効果に関与する要因について検討し、医師患者関係のよい患者ほどプラセボ投与時の改善率が高かったとし、薬理作用とは無関係なプラセボ投与において、医師患者関係が良好なほど治療効果が高いことを明らかにした(中野ら,1999)。また、鍼灸治療における施術者と患者との関係性が施術の効果に与える影響については、中村らが「物理的のみならず、カウンセリング的関わりである傾聴的な会話や受容的な態度が、自覚的な症状の改善や治療に対する満足感、施術に対する信頼感に関与しており、適切な物理刺激と適切なカウンセリング的関わりは、単独というよりむしろ両者が揃うことで効果に繋がっていた。」と報告している(中村ら,2010)。一方で、鍼灸治療における心理的なプラセボ効果について上仲は、それがどの程度影響しているのかを観察する目的で、被暗示性を測定するために催眠感受性尺度(Stanford Hypnotic Susceptibility Scale=SHSS)の型式A(個人用)日本語改訂版を用いて、被暗示性と鍼灸治療の効果について検討した。その結果、長期効果に関しては、被暗示性が高い群の方が治療を重ねることで痛みが改善する傾向があり、また同群では、日常生活上の困難尺度(Roland-Morris Disability Questionnaire=RDQ)の結果において治療1回目と7回目の比較で有意に改善したことも認めた。その結果、「鍼灸治療を長期に続ける場合には、没入性や共感性といった暗示性が含まれているという前提に立ち治療をプランニングする必要があると共に、長期間の治療に及ぶような慢性疾患の患者では、継続を促す意味でも共感を高めるような患者とのラポール形成への取り組みが必要不可欠である」と報告している(上仲,2022)。また、松田らは、鍼灸外来を受療する慢性腰痛患者に対し、心理社会的要因が鍼治療の直後効果に与える影響について探索的な検討を行い、「鍼治療に対するプラスイメージが強い場合には直後効果は出現しやすいことが明らかとなった」としている(松田ら,2020)。つまり、鍼灸施術においては、物理的刺激のみが鎮痛等の効果に作用しているわけではなく、人が人の体に施術することで、その関わりによって生じる心理的効果や鍼灸に対する信頼性が施術効果の程度に大きく影響を与えると言える。  このように、今回の対象者は、臨床に当たって常に患者を第一に考えており、その結果、患者との間にラポールを形成し、施術効果の向上につなげるという意識に共通性を有していたと考えられる。 Ⅱ 施術料金の設定や変更を経営の根幹として重要視すること  グループbの共起ネットワークにおいては、グループaと類似したものに加えて、「円」という語を中心に施術料金に関係するネットワークが特徴的に描かれた。また、同グループの文書クラスター分析でクラスター2に分類された回答では、施術料金の設定や変更、また、それと絡めて、今後の経営方針や目標に関して多く語られていた。福島らの平成28年度の調査(福島ら,2019)では、あはき師免許保持者が施術所を開業している場合の施術料金中央値は3500円となっている。今回の対象者は、開業している地域も異なり、また、療養費による訪問又は来院施術、各種手技や方法を用いた自由施術、それらを併せて行う総合施術など様々な料金設定で行っており、施術料金の傾向を見出すことができなかった。また、対象者10人中1人は療養費による訪問施術のみだったため料金は既定であったが、その他9人はそれぞれの考えで開業当初の施術料金を設定し、その後、値上げを行っており、うち7人は消費税の動きを意識して、値上げのタイミングや値上げ幅を決めていた。企業における商品の価格設定について甲斐は、「商品の価格を如何に設定するかは経営上の要諦であり、価格には経営の意思や方向性が込められる」(甲斐,2014)と述べている。また、歯科のインプラント治療における価格設定について佐藤は、「患者の負担を減らすためには、インプラント治療料金は低い方が良い。しかし、低すぎる料金設定は経営を圧迫し、不適切な節約につながる」(佐藤,2011)と述べている。  以上のことから、対象者は施術料金の設定や変更を経営の根幹をなす要素の一つとして認識し、従業員の待遇や自らの処遇、今後の経営目標等を念頭において、消費税アップの時期などを考慮しながら、その額やタイミングを決定していたと考えられる。 Ⅲ 視覚障害がある施術所経営者は支店の出店に消極的であること  グループbの文書クラスター分析においては、クラスター1に分類された6回答のうち、5回答で支店について消極的な語りという結果であった。一般的には施術所経営のような店舗経営の発展や拡大を検討する際の有力な方策として、支店の出店が考えられるが、今回の事前アンケートの結果では、複数の店舗を経営している対象者は、10人中1人(2店舗経営)のみであった。支店の出店について対象者10人の状況をまとめると、「まったく或いはほとんど考えていないまたは、いなかった」が4人、「考えたことはあるが実現に至らなかった」が3人、「実際に出店したが採算が合わず閉店した」が1人、「今後考えている」が1人、「2店舗経営」が1人であった。また、2店舗を経営している対象者Fも「正直、今いるスタッフいなくても、事務員だけいれば同じ金額、俺1人で稼げちゃうんだもん。」と言っており、それでも支店を継続している理由について「新卒で就職しようとした時ね。実際、患者に鍼打たしてくれるところって、ほとんどないと思う。(中略)だから鍼灸は広まらないんだよ、鍼灸師は増えてても。だから僕は新卒を取り、その人たちを育てる現場だけはなくさないように。だから店舗もそのままにして」と語っている。このようにこれから出店を目標に掲げている1人以外の9人は、自分の施術所の発展を理由に支店の出店を検討或いは実行していなかった。支店の出店を検討するかどうかについては、当時者の施術に対する考え方や、それに基づく経営方針が、また、それを実現させるかどうかの判断に当たっては、資金や人員の問題、その他、取り巻く様々な要因が関係するため、今回の対象者の大半がそのことに消極的であった原因を簡単に考察することはできない。さらに、今回の対象者は全員が視覚障害者であることから、支店の視察やそこに従事する従業員との対話や情報交換においても困難な面があることは想像に難くない。このことについて鈴木は、「経営者と従業員のあらゆる場面における接触頻度が組織コミットメントを強化する」(鈴木,2012)と報告している。このように今回の調査では支店の出店に対して、消極的な意見が多かったことから、対象者の大半が、これら関係する要素をすべて検討した上で、支店の出店より、本店の経営又は他の要素への注力を選択していたと考えられる。 Ⅳ 自尊感情が高く社会適応していること  グループcの共起ネットワークでは、「思う」、「人」、「自分」、「治療」、「マッサージ」等、直接施術に関わる語を結んだネットワークから延伸する形で「視覚障害」、「経営」、「情報」、「晴眼者」という語に対してネットワークが描かれた。また、グループcの文書クラスター分析におけるクラスター3に分類された回答で、対象者が「視覚障害と施術所経営」に関する様々な考えを語っていた。内容としては、視覚障害を前向きにとらえたもの、視覚障害にとって不利な要素、視覚障害者と業界の関係について語られたもの等、切り口は多様であった。その中で、特徴的な語りとして、「障害があるからどうこうじゃなくて」(対象者A)、「視覚障害があろうとなかろうと」(対象者I)、「目が悪かろうが良かろうが関係ないなというふうに思いますね。」(対象者J)、「視覚障害であろうが晴眼者であろうが関係ない」(対象者F)、「確かに視覚障害者だから、できないこともあるけども、人に助けてもらったら、その分出来ることでお返しをすればいいわけですから」(対象者D)等があり、経営や私生活の中で様々なことを考え実行する際、障害が「ある」、「なし」を基準にしていないという趣旨の内容が8回答中5回答で表現されていた。一般的には、視覚障害者は健常者に比べて様々な面で不便や困難を強いられていると考えられ、それに対する公的支援の不足や社会の厳しさが施術所経営に影響を与えていることから、研究前の段階では、対象者から、それらの是正を希望するような語りが聞かれるのではないかと推測していた。しかし、実際の回答は、そこに注目するのではなく、「現状を受け入れ、自分の置かれた状況や立場でやるべきことを確実に行うことが大切である」という趣旨の語りが多かった。また、事前アンケートで、「受けている支援の満足度」について尋ねたところ、満足が5人、不満足が3人、受けていないが1人、内容によって様々が1人であった。つまり、不満足は10人中3人しかいなかった。これらのことについて久光らは「個人が、対自己・対他者・対状況を含む様々な社会的状況において適応していくための包括的な概念」として「社会的かしこさ」を定義し、それと自尊感情との間に正の相関が認められた(久光,2009[1]、久光,2009[2]、岩淵,2009)と報告している。そうであるならば、自尊感情が高い者は「社会的かしこさ」を有し、社会の状況に不満を述べるより、それに適応する思考が優先すると考えられ、そのことが、対象者の今やるべきことの重要性に関する語りや支援に対する満足度に影響していると考えられる。これらのことから、対象者は自尊感情が高いと考えられる。しかし、前述の鈴鴨の研究では、視覚障害者は晴眼者に比べ「自尊感情」が低い傾向があることが報告されている。このことに関連して伊藤らは、自尊感情には「随伴性自尊感情」と「本来の自尊感情」の2種類があると定義しており、前者は何らかの基準で他者と自己を比較した上で、他者よりも秀でていることで感じる自己肯定的な感情であり、後者は個人が自分らしくいられていることで自然に感じられる本来の感情である(伊藤ら,2011)と報告しており、また、菱田は、自立性や自律性の根幹をなすものは、自分を大切なものとして受容する「本来の自尊感情」である(菱田,2021)と報告している。今回の対象者は、10人中8人が養成学校卒業までに雇用による就職ではなく、独立開業を選択し、残り2人も、その時点で「何としても自立したい」や「留学したい」等、自立性や自律性が強かったことから、もともと「本来の自尊感情」が高かった可能性がある。一方で、自尊感情の発達段階に目を転じてみると、幼児期から学童期、思春期、青年期それぞれの段階で、障害を含めた本人の状況や家庭環境、学校教育、友人関係など多種多様な要因によって自尊感情は大きく変容する(中井,2014、山﨑,2013)。また、向日は、成人した障害のある従業員の職場における自尊感情について、「経営者が障がい者を必要な戦力として受け入れることで、障害者は自分たちの能力が評価され、必要とされていると感じることができ、職場の随伴的自尊感情が高まる」や「自分の個性が尊重されていることを実感し、また、ありのままの自分を受け入れられていることを実感することを通して、職場の真(本当)の自尊感情が高まっている」(向日,2018)等について報告している。このように、青年期以降も、置かれた状況によって自尊感情は大きく変容することから、対象者がいつどのようなプロセスで自尊感情を高めたかの詳細は明らかではない。しかし、池田らは、リーダーとしての経験年数の長さが自信を形成する1つの要因であり、リーダーとしての自信の高さは自己の全般的な評価としての自尊感情と正の関係を有している(池田ら,2005)と報告していることから、対象者が施術所の経営者というリーダーを長く経験する中で、次第に自信を付け自尊感情を高めた可能性は高い。また、施術による効果や患者からの感謝が、自己効力感や自己有用感を実感させ、「自分自身を価値あるものとして自覚する感情」としての自尊感情(山崎,2013)を高めたとも考えられる。  これらのことから、対象者は施術所を開業した時には既に自尊感情が高かったものの、長年の経営と臨床の過程を通して、更にそれを高めてきたという共通点を有していると考えられる。 Ⅴ 起業家特有の心理特性を有し、経営能力を高めていること  グループbのクラスター3に分類された語りでは、対象者が自分で決めた進路に向けて能動的に行動していることや、経営者として自らの考え方で経営方針を定めた上で自分で意思決定し、最後は自分で責任を取ること等が特徴的であった。これらは施術所経営を志向し、実現させてきた者にとって、当然の内容であろう。伊藤らは本当の自尊感情と似た概念として、「本来感」を定義している。前者は「自分らしくあることによって自然と湧き起こる自己価値の感覚」に対し、後者は「自分らしくある感覚」と若干、ニュアンスの違いがあるものの、本来感は自分の責任により選択していくこと、自己の新しい可能性へと踏み出そうとする意識、そして現状の自分を改善させていこうとする意識にとって重要な内的資源であることが示唆された(伊藤ら,2006)と報告している。このことは、前述の通り高い自尊感情が、対象者において自己決定、自己責任を貫くことができる強い意志に結びついていることを示している。また、出村は、「経営者能力の要因」として、①先見性・決断力、②対応力・創造性、③実行力・応用力、④計数感覚・合理性、⑤目的性、ロマン性、⑥主体性、協調性の6項目を挙げている(出村,1990)。また、大沢は「経営職能に求められる能力要素」として①課題形成力(将来予測力・洞察力・戦略形成力・革新性)、②課題遂行力(具体化能力・決断力・推進力・経営意識)、③人材活用力(掌握力・統率力・方針指示力・度量)、④対人対応力(積極的傾聴力・説得力・渉外力・倫理性)を挙げている(大沢,1995)。これら先行研究で報告されている経営者に求められる能力と、グループbの文書クラスター分析でクラスター3に分類された回答の内容を対応させたものを表17に示す。今回の対象者は、このクラスターに分類された回答の中で、これらの要素に該当する内容を多く語っている。また、事前アンケートで質問した、星田が提唱する「起業家特有の心理的要因」においては、肯定的回答が82.1%を占めていた。この要因18項目の抽出過程の詳細は図9に示すが、抽出のために起業家及び従業員に行った、質問紙調査45項目の作成に当たっては、本田の「普通の人がこうして億万長者になった」(本田,2008)と犬飼の「チャンス」(犬飼,2005)を活用している。具体的には、前者はスタンリーによる報告から、富裕層の多くが起業家またはフリーエージェントであること(スタンリーら,1997)に着目し、富裕層と起業家の心理的共通性から質問項目を導き出している。また、後者は企業をリストラされた後、中古車販売の自営業を始めた青年が、業種を変えながら失敗を繰り返す過程で、経営の師との出会いをきっかけに次第に経営ノウハウを身に付け、オーナー店長へと成長する過程を考察する中で、主人公の心理的変化を要点化し、質問項目を導き出している。このように、これら18項目は起業家層または、そこへ成長していく者の意識の中から作成された項目を起業家層と従業員層に質問し、一定以上の差が出た項目が「起業家特有の心理的要因」として抽出されていることになる。このような質問項目で、80%を超える肯定的回答が得られているということは、対象者は調査時点で、起業家特有の心理特性を有している傾向があった考えることができる。  以上のことから、対象者は経営者に求められる能力と起業家特有の心理特性を高い割合でもち合わせていたと考えられる。 Ⅵ 人とのつながりや同業種のネットワークを大切にしていること  グループcの文書クラスター分析の結果から、クラスター1では、「人とのつながり」に関する内容が特徴的に語られていた。松原は、「リーダーシップ行動が、対人関係におけるメンバー、同僚、および上司に与える影響であるという点を考慮すると、知能の中でも対人関係に焦点を当てた、いわゆる知能の社会的側面が、リーダーにとって重要な特性と考えられる」(松原,2009)と述べており、リーダーにとっての対人関係の重要性を説いてる。対象者が、このクラスターに分類された語りの中で、「人とのつながり」について多く語っていることは、彼らが経営者というリーダーの立場で対人関係を重視して日々の施術所経営を行っていることを現している。  また、Pinkは、独立開業後に個人事業主がソーシャル・ネットワークに参加することの重要性について次のように述べている。「組織に雇用されないフリーランスが直面する問題の一つである孤独への対策として、フリーランス同士での勉強会や、ビジネス上のアドバイスや相互扶助のネットワークへの参加が重要であり、こうしたフリーランス同士が横で繋がり合い、協力し相互に利他的関係になることが結果として両者に利益をもたらす」(Pink et al,2002)。本研究の対象者も表15の語りのとおり、施術所経営の様々な場面で、人とのつながりやネットワークを活用してきたことがうかがえる。また、知本は、本研究の対象者である施術所経営者と同じように専門領域である、デザイナー系の個人事業主が参加するソーシャル・ネットワークについて次のように述べている。「デザイナー系の個人事業主で異業種型コミュニティに参加している者は4人中1人しか確認できず、士業系と異なり、多くが同業種型のコミュニティに参加している点に特徴が見られた。こうした背景として、1つにはデザイナーは職人気質があり、同じ専門領域の職人同士で互いに自分たちの技を競い合い、深めていくことを志向する傾向が強い可能性が考えられること、2つには、デザイナーは同業種の人同士の情報交換の中から、お互いが有している技術を理解し合い、それが仕事の斡旋につながるなどのメリットを生んでいる可能性があることが考えられる」(知本,2022)。さらに知本は、この研究の結語で「個人事業主がソーシャル・ネットワークに関わっていくことは営業機会の創出につながっている側面があり、こうした示唆は特に個人事業主として独立後間もない人にとっては有益である。」とも述べている。本研究の対象者は施術所開業間もない状況ではないが、デザイナー系と同じような専門職域であり、全員が同業種型のコミュニティである業団体に所属していた。ただ、対象者の募集段階で業団体を経由しているため、所属は当然であるが、10人中7名は業団体役員の経験があり、うち5人は現職であった。また、7人中2人はそれとは別に自ら勉強会を立ち上げ、20~40人で週1回程度、少ない時でも月1回、20年以上に渡って企画、運営を継続していた。  このように、今回の対象者は、同業種型のコミュニティへの参加にとどまらず、運営する立場で積極的に関わり、場合によって自らソーシャル・ネットワークを立ち上げ長期間継続するとともに、他にも多くの人とのつながりを作ることで、結果的に施術所の継続と発展に結びつけていたと考えられる。 Ⅶ 本研究の限界と課題及び、今後の展望  本研究により、一定額以上の売り上げを得ている視覚障害施術所経営者が、どのような心理特性を有し、どのような意識や考え方のもと、如何に行動した結果、現在の経営状態にいたっているのかの一端を明らかにすることができた。しかしながら、本研究は一定額以上の売り上げを得ている視覚障害者のみを対象にしているため、売り上げが低い者や晴眼者との比較ができておらず、あくまで今回の対象者の意識や行動、心理特性の傾向を明らかにしたに過ぎない。また、調査対象者は機縁法や一つの業団体を通じて募集しており、10人という少数であることから、様々な面で偏りがあり、一定額以上の売り上げを得ている者の意識や行動、心理特性の全体的な傾向を反映している訳ではないことに留意する必要がある。さらに、今回の研究ではKH Coder Version3を使用し、計量テキスト分析の手法を用いて分析を行ったが、対象者10人程度であれば、各種定性的調査手法(質的調査手法)を用いて、理論的飽和状態まで分析することで、違った要素が現れる可能性は十分にある(大谷,2017、木下,2021)。  こうしたことから、視覚障害者があはきの施術所を経営して一定額以上の売り上げを獲得する条件をさらに明確に特定するためには、今回のような目的を掲げた質的研究がさらに深く行われるとともに、無作為に対象者を募集し、売上額や視覚機能で分類して比較検討を行うような量的研究を進める必要がある。  こうした研究が数多く実施されることで、視覚障害あはき師が、将来の社会自立という明るい見通しをもって、施術所開業の道を選択しやすくなるような情報提供ができれば幸いである。そして、その結果、世の中に視覚障害者が経営する施術所の数が増えることを期待したい。 第5章 結論  本研究では、2010年以降、個人経営の場合、年間500万円以上、法人経営の場合、年間1000万円以上を売り上げた年が5回以上ある視覚障害を有する施術所経営者が、どのような心理特性を有し、どのような意識や考え方のもと、如何に行動して経営を継続してきたかについて調査を実施した。その結果、彼らには、以下のような共通の要素があることが明らかになった。 ・患者の施術に際しては、常に患者を第一に考えており、その結果、患者との間にラポールを形成し、施術効果の向上につなげるという意識に共通性を有していた。 ・施術料金の設定や変更を、経営上の根幹をなす要素の一つと認識し、それぞれの状況や客層を考慮した上で、値上げのタイミングや方法も含めて、様々な工夫を行っていた。 ・施術所の支店の出店については、消極的であった。 ・自らの成育過程及び、成人後は就職や施術所の経営実践を通して、自尊感情を高めて来たと考えられ、その結果、自分を取り巻く状況に不満を述べるのではなく、それに適応しようとする意識を養っていた。 ・起業家としての心理特性を高い割合で有し、経営者としての意識や能力を獲得している傾向がみられた。 ・同業種のコミュニティーに積極的に参加し、運営の立場に携わるものが多くみられ、また、自ら勉強会やコミュニティーを立ち上げるケースが散見されるなど、技術の向上や情報交換を行う中で、人との繋がりを大切にしていた。 謝辞  本研究の実施にあたりまして、指導教員をお引き受けいただきました近藤 宏先生には研究の進め方や枠組みについて有益な御助言をいただき、また、対象者募集の際には大変なご尽力をいただきました。心から感謝申し上げます。また、副指導教員の快くお引き受けいただいた加藤 一夫先生、特別研究のディスカッション等で御指導をいただいた福島 正也先生には、節目でのアドバイスや心温まる励ましのお言葉をいただきました。本当にありがとうございました。その他、多くの先生方からの御指導、御鞭撻、また、関わっていただいた多くの皆様からの御支援に対しまして感謝の意を表します。誠にありがとうございました。  最後になりますが、対象者の募集に際しまして、公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会 視覚障害委員会 前委員長 仲澤 進先生には、全国への呼びかけ等、多大な御尽力いただきました。また、仲澤先生をはじめ、研究対象者として御協力いただいた10人の先生方には、お忙しい中、貴重なお時間を割いて調査に御協力いただきました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。誠にありがとうございました。 引用・参考文 1)Bowling, N. 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