視覚障害者に対応した機械学習による業務シミュレーション型学習支援システムの構築 堀江 則之 筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 キーワード:有価証券報告書,機械学習,業務シミュレーション型学習支援システム 1.はじめに  機械学習の分野は,コンピュータに大量のデータを投入することで,予測・判断をするためのルールやロジックを構築することもできるようになってきている。また,コンピュータやネットワーク技術を学び,システムエンジニアや一般事務職として社会で活躍する視覚障害者も着実に増えている。  こうした情報通信技術が整ってきている現状を鑑み,視覚障害者においても,大量のデータを扱い,今後の事業活動や運営に役立つ有益な情報をアウトプットとして提供できる人材育成を目的とした学習支援システムの構築が取り組むべき課題といえる。  以上の背景を踏まえて,本研究は,視覚障害者が機械学習の活用によって,大量のデータ分析を可能とする業務シミュレーション型学習支援システムの構築について検討を行う。   2.成果概要  視覚障害者に対応した「データ収集」,「前処理」,「精度評価」「システム化」について,業務シミュレーション型学習支援システムの構築を検討した。データ収集では,有価証券報告書の活用を考察した。  有価証券報告書は,株式を発行する上場企業などが開示する企業情報である。また,投資家等に対し,投資判断に有用な情報の開示書類として提出が義務づけられている。記載されている内容は多岐にわたり,下記に示す項目が記載されている[1]。 ・企業の概況 ・事業の概況 ・設備の状況 ・提出会社の状況 ・経理の状況 ・提出会社の株式事務の概要 ・提出会社の参考情報 ・提出会社の保険会社等の情報  また,金融庁が提供しているEDINETを通じて,Webサイトから有価証券報告書に関するデジタル情報を入手することができる[2]。  これまでの機械学習を用いたビジネス領域における活用事例としては,有価証券報告書等を活用した倒産予知や粉飾予知などがある。実務面で考えると,取引先企業が今後も取引先として妥当かどうか,あるいはこれから自社の取引先として妥当か否かの管理を行う与信管理の観点からも機械学習の活躍が期待されている。  本研究においても,与信管理の観点も含めて視覚障害者に対応した機械学習による業務シミュレーション型学習支援システムの構築を検討し,新たな知見が得られた。今回得られた成果は,筆者が担当している授業科目である「企業研究1及び2」等で紹介していく。 参照文献 [1] Money Forward クラウド会計.有価証券報告書とは?目的や見るときのポイントまで詳しく解説.(cited 2022-4-30),https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/45916/ [2] 金融庁. EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム).(cited 2022-4-30),https://disclosure.edinet-fsa.go.Jp/