建物内外シームレスでGPS信号を利用可能な高精度時刻同期地震センサ 倉田 成人 筑波技術大学 産業技術学部 産業情報学科 キーワード:GPS,GNSS,地震センサ,時刻同期 1.目的  本研究の目的は,建物内外シームレスでGPS信号を利用可能なシステムを構築し,これと連携して高精度な時刻同期機能を有する地震センサを開発して,その機能を実証することである。 2.GPS時刻情報配信による地震センサシステム  GPS受信機は,GPS信号が受信できる環境であれば,高精度時刻同期と測位が可能になるが,GPS信号の届かない屋内では利用できない。そこで,GPS信号を屋内に配信することで,高精度時刻同期を実現する屋内GPS時刻情報配信システムを開発した。具体的には,ビルの屋上でGPS信号を受信し,既設のテレビ共同受信システムやケーブルテレビなどの伝送経路を利用して,ビル内に放送として配信する。屋内でGPS信号を配信したい任意の場所に送信機を設置して,GPS信号を送信する。その信号を受信したGPS受信機は,位置情報や時刻情報を読みとることで,高精度な同期信号(PPS信号)を出力する。GPS受信機を各地震センサに搭載し,計測データに高精度なタイムスタンプを付与するメカニズムを実装すれば,屋内でも高精度な時刻同期を確保したセンサデータ群が収集できる。前述のように,GPS衛星に同期した高精度時刻情報を配信する為に,建物の既設のTV共視聴システムやケーブルテレビなどの伝送経路を利用する。屋内GPS時刻情報配信による地震センサシステムは,図1に示すように,屋上階近くのD1,ビル内のD2,最終端のD3(屋内GNSS時刻情報送信機),及び地震センサから構成される。  本研究で開発した地震センサは,デジタル型MEMS加速度センサ,GNSS受信機,FPGA,CPU,メモリ,ローカルストレージ,ネットワーク・インタフェース等から構成した。FPGAは,GPS信号による高精度な時刻情報を利用してタイムスタンプを生成しながらセンサの計測を制御する。計測データをローカルストレージに保存した上で,データをEthernet,あるいは無線通信によりネットワークへ送信し,有線,無線を使ったデータ収集を可能としている。図2に地震センサの外観を示す。振動試験装置を利用して,開発した地震センサの計測性能,時刻同期性能を確認した。 3.まとめ  建物内でもGPS信号を利用可能なシステムを構築し,これと連携して高精度な時刻同期機能を有する地震センサを開発して,機能を確認した。 図1 システム構成 図2 地震センサ