ATOK上の簡易かな点字変換 情報処理学科 染田 貞道 要旨:かな漢字変換システムATOK上に点字変換用辞書を作成し,かな入力を直接点字に変換できるようにした。 キーワード:点字,文書処理 はじめに  本格的に墨字を点字に変換・編集するにはEXTRAなどの変換システムが使用されるが,これらが使えないときでも手軽に変換を行いたいことがある。たとえば花子などの描画システムを用いて触図の原稿を作成中に点字で説明文を入れる場合や,墨字の文章の中に点字を引用する場合などである。このような場合,従来は1字ずつ点字パタンを呼び出して挿入していたが手間がかかり,また間違いが生じる率が大きかった。これらの問題点を改善するために,ATOK上に点字変換辞書を作成し,文節単位のかな点字変換を可能とした。 点字パタン  まず必要なドット数(16,24,32)の点字パタン63種を作成し,ATOKの外字ファイルに登録した。これは【点字】(め)のパタンを作成すれば,あとは不要な点を消去することにより容易に作れる。 点字辞書(BRA,DIC)  何も入っていないATOKの単語辞書に各単一のかなを単語として対応した点字パタンを登録した。(たとえば「そ」→【点字】,「ぎゃ」→【点字】、等)ただしATOKの性質上「を」,「ん」,「っ」,「ー」などはそのまま単語として辞書に登録できないので,これらおよびその組み合わせを通常のかなの後ろについたものとして登録した。 (たとえば「ぱっ」→【点字】,「じょー」→【点字】)このため登録単語数は1086語とかなり多くなっている。アルファベットや数字も同様に登録した。また,特殊記号などを直接点字で入力するために,6点の点字を8進2桁のコードで表したものを「*」の後に続けてキーインして変換できるようにした。(たとえば数符は「*47(変換)(改行)→.【点字】」) 活用  BRA.DICを使用するにはATOKでこれを基本辞書に設定する。たとえば「情報処理」を変換するには「じょーほー(変換)(改行)(スペース)しょり(変換)(改行)」とキー入力すれば「【点字でじょーほーしょり】」が得られる。 1字ずつ変換するのに比べて能率が良く,また間違いも少ないことが確認された。