はり師,きゅう師,あん摩マッサージ指圧師の卒後研修に関する調査 筑波技術大学保健科学部附属東西医学統合医療センター 櫻庭 陽 キーワード:はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師,卒後研修,アンケート 成果の概要  2015年5月22日(金)〜24日(日)に開催される, 第64回全日本鍼灸学会学術大会(ふくしま大会)に演題登録を行い,採択された。以下,発表の抄録を示す。 鍼灸あん摩マッサージ指圧師の卒後研修に関するアンケート調査−養成大学の学生を対象とした調査− 櫻庭陽1),福島正也1),近藤宏2),岡田富広3),川浪勝弘4),鈴木聡4),森山朝正2),木下裕光1,2) 1)筑波技術大学   保健科学部附属東西医学統合医療センター 2)筑波技術大学保健科学部保健学科 3)福岡県立福岡高等視覚特別支援学校 4)北海道鍼灸専門学校 5)鈴鹿医療科学大学 【目的】あん摩マッサージ指圧師,はり師,きゅう師の養成大学(以下,養成大学)学生を対象に資格取得 後の研修に関するアンケート調査を行い,そのニーズ等を明らかにした。  【方法】対象は本邦の養成大学最終学年の学生で,期間は2013年12月から2ヶ月間とした。各養成大学で 無記名の選択または記述式で回答を得た後,郵送にて回収した。主な内容は技術や知識の修得の程度,卒後 研修の必要性とその具体的事項とした。  【結果】最終学年が在籍している9大学のうち7大学,189名から回答を得た。知識や技術は養成校で習得し た内容で十分かどうかという設問では,知識は75.1%が,技術は83.6%が“不十分”と回答した。研修制度に ついて,“必要”が76.7%, "不要”が20.6%であった。研修制度が必要と回答した145名に具体的事項を質問 した結果,研修で最も学ぶべきことぱ多様な疾患に対する治療手段(以下,治療手段)"が20.9%と最多で,“治 療に必要な知識(以下,知識)"が17.6%, "安全な技術”が14.5%と続いた。対象者ぱ全ての有資格者”(43.3%) が最多で,次に“新卒者”(35.9%)であった。また,実施施設けどこでもよい”が26.9%,次に“専門学校や大学 の施術施設”ど治療院”が各々23.4%であった。  【考察】本結果より,知識や技術の不足感が卒後研修のニーズを高めていることが示唆された。実際,重要 視する研修内容は治療手段や知識が多かった。また,具体的な対象者や施設については柔軟に捉えているよ うであった。平成26年度より2つの職能団体と学会,教育機関の4団体が設立した「国民のための鍼灸医療 推進機構」が鍼灸師の卒後研修を開始した。これを契機にますます卒後研修の制度や環境整備が進むこと が期待される。業界や関係者にとって理想的な研修の制度・環境を構築するためには,今後,特別支援学校 や専門学校の学生,既資格取得者まで対象を広げて調査を行う必要があるだろう。