地震モニタリングを利用した本学の防災計画の研究 筑波技術大学 産業技術学部 産業情報学科 倉田成人 キーワード:地震モニタリング,構造モニタリング,時刻同期,ビッグデータ 1.研究目的  3・11 東日本大震災から3年が経過したが、首都直下地震、東海・東南海連動地震などが起こった際の被害の想定も進み、災害対策の必要性が高まっている。 本学内の実際の建物での地震時の危険性を、高密度に設置したセンサによるデータでとらえ、事前の災害対策、災害時の避難誘導等に利用することを目標として、自律的に高精度な時刻情報を確保するセンシング技術を開発し、性能を確認した。 2.時刻同期  筆者は、MEMS 技術と無線センサネットワーク技術を組み合わせたユビキタス・モニタリングシステムの研究開発を行い[1]、実際の超高層ビルに適用して実証実験を行ってきた[2] 。こうした研究開発から得られ本質的な課題の1つはセンサ問の時刻同期であった。 本学の建物に多数のセンサを設置することができても、 センサ間の時刻同期が取れていなければ、異なるセンサのデータを統合して分析することができない。そこで、自律的に高精度な時刻情報を確保するセンシング技術を開発した[3]。本研究では、開発したセンサモジュールを本学の建物に設置することを念頭に、その性能を実験的に確認した。 3.センサモジュールの性能確認  水晶よりも高精度な時計であるチップスケール原子時計を内蔵した加速度センサモジュールを開発した[3]。 この性能を確認するために、振動台実験を行った。4 台のセンサモジュールを振動台上に固定して水平1方向に対して同じ振動を加え、計測結果を比較した。実験は、3〜10Hz のスイープ波を入力波として計測を行った。サンプリング周波数は100Hz とした。1 台のセンサモジュールをマスターとして、ほかの 3 台(スレーブ)の加速度計測波形のフーリエ位相スペクトル比を計算した結果を図 1 に示す。センサモジュール間で、 図中に示した 0.001 秒以内の時刻同期が実現できていることが確認できた。 図1 マスターに対するスレーブ 3 台のフーリエ位相 スペクトル比 4.まとめ 本学内の建物に地震センサを設置し、高密度なモニタリング行うことを目標として開発したセンサモジュールの時刻同期性能を実験的に確認した。 参考文献 [1] N. Kurata, BF. Spencer, M. Ruiz-Sandoval, “Risk Monitoring of Buildings Using Wireless Sensor Network”, Journal of Structural Control and Monitoring, Vol.12, pp. 315-327, 2005. [2] N. Kurata, M. Suzuki, S. Saruwatari and H. Morikawa, “Application of Ubiquitous Structural Monitoring System by Wireless Sensor Networks to Actual High-rise Building”, Proceedings of 5th World Conference on Structural Control and Monitoring (5WCSCM), Tokyo, 2010. [3] 倉田成人, “チップスケール原子時計(CSAC)を利用した高精度時刻同期センサモジュールの開発”, 日本建築学会大会学術講演梗概集 情報システム技術部門,2015.9(in print).