不凝縮気体存在下における鉛直管外凝縮熱伝達に対する管の温度変化の効果の解明 金谷健太郎 筑波技術大学 産業技術学部 産業情報学科 キーワード:凝縮熱伝達,鉛直管,不凝縮気体,熱物質移動類推,吸い込み係数 管と冷却液の温度変化を考慮して不凝縮気体存在下における鉛直管の外表面上の凝縮熱伝達率の相関式が再考された。冷却液のエネルギー保存を用いて凝縮管の熱伝達モデルが導出された。モデルでは,凝縮熱伝達率に対する Dehbiの式 [1]が採用された。また,凝縮熱伝達率の二つの異なる吸い込み係数が調べられた:Birdらの吸い込み係数 [2]は凝縮面まわりの濃度境界層の層流に対応し,de la Rosaらの吸い込み係数[3]は乱流に対応している。管の過冷却がない極限では両者は一致する。管内の熱伝達率に対しては,冷却液の自由対流乱流が仮定された。 モデルの数値解を実験データに合わせることにより凝縮熱伝達率の補正係数を見積もった。壁面温度変化を取り入れると補正係数はわずかに増加する。補正係数は吸い込みパラメーターに依存することが示された。そのうえ,熱物質移動類推のために吸い込みパラメーターもしくは壁面の過冷却がなくなるところで Dehbiの熱伝達率の補正係数は必ず発散することを示した。この問題を解決するために,熱物質移動類推のない凝縮熱伝達率の簡単化された式を提案した。凝縮率が増えるにつれ,Birdらの吸い込み係数に対する補正係数は減少し,de la Rosaらの吸い込み係数に対する補正係数は増加する。 二つの吸い込み係数の中間状態を記述するために,二重層モデルを展開した。そこでは,濃度境界層は粘性(層流)底層と拡散(乱流)境界層とで構成される。ここで,Birdらとde la Rosaらの吸い込み係数はどちらかの層がなくなる極限で回復される。それゆえ,二重層モデルは Birdらとde la Rosaらの吸い込み係数の一般化とみなすことができる。吸い込みパラメーターに対する補正係数の変化は二重層モデルで説明することができる。二重層モデルのパラメーターは境界層厚さ関係し,異なる圧力と管長さに対して異なる値をもつ。 本研究の内容は,第 16回国際伝熱会議で発表され [4],さらに国際学術誌に論文として発表された[5]。 参照文献 [1] Dehbi A. A generalized correlation for steam condensation rates in the presence if air under turbulent free convection. Int. J. Heat Mass Transf. 2015;86:p.1-15. [2] Bird B R, Stewart W E, Lightfoot E N. Transport Phenomena. 2nd. John Wiley & Sons Inc. (New York), 2002. [3] de la Rosa J C, Herranz L E, Muñoz-Cobo J L. Analysis of the suction effect in the mass transfer when using the heat and mass transfer analogy. Nucl. Eng. Des. 2009;239:p.2042-2055. [4] Kanatani K. Condensation heat transfer outside a vertical tube with temperature variation in the presence of noncondensable gas. The 16th International Heat Transfer Conference (IHTC16);2018-8-12 (Beijing). 2018; 23787. [5] Kanatani K. Reconsideration of correlation for condensation outside a vertical tube in the presence of noncondensable gas. Int. J. Heat Mass Transf. 2019;136:p.427-435.