視覚障害者サッカー選手の競技力向上支援に関する研究 木下裕光1),佐久間亨1),松井 康1),福永克己2)筑波技術大学 保健科学部 保健学科1)情報システム学科2) キーワード:視覚障害,サッカー,ペナルティキック わが国では,スポーツ基本法の基本理念の中で障害者スポーツの推進が掲げられている。また,2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決まり,障害者スポーツへの関心は,さらに高まると考えられ,パラリンピックなどの国際競技大会での障害者アスリートの活躍は,障害者スポーツの発展・普及に多大な貢献をもたらすと考えられる。さらに,障害者の教育研究の分野において重点的支援を行う本学としても,障害者アスリートの支援に関する研究を推進する必要がある。本学とパラリンピック競技である5人制視覚障害者サッカー(以下,ブラインドサッカー)の関わりは深く,在校生,卒業生からなるクラブチームは全日本選手権などにおいて何度も全国優勝を果たしており,これまで,数名の日本代表選手を輩出してきた。 本研究では,日本ブラインドサッカー協会と連携し,ブラインドサッカー日本代表候補選手の競技力向上支援を行うために,下記の項目について調査・研究を行った。 1.ブラインドサッカーの国際試合における勝敗分析 2.スピードガンとモーションキャプチャによるボール速度の比較 3.ブラインドサッカーにおけるペナルティキックの得点率とボール速度との関係 4.視覚障害保障などの介入によるブラインドサッカーのペナルティキック精度向上の効果その結果,ブラインドサッカーの国際大会におけるペナルティキックの戦略的重要性が確認された。また,スピードガンを用いたキック後のボールスピードの測定は信頼性があり,キック後のボールスピードが増加するとペナルティキック得点率が上がることが明らかとなった。さらに,ブラインドサッカー選手にペナルティキック時のボールスピードやキック方向等の視覚障害を保障するフィードバックによる介入を行うことにより,ペナルティキック精度の向上が示唆された。今後,介入方法を改善することにより,さらにペナルティキック精度が改善し,ブラインドサッカーの国際競技力向上に寄与する可能性があると考えられた。また,今回の研究成果を他の競技に応用することにより,視覚障害者スポーツの普及・発展に貢献することができると考えられた。 これらの研究成果をまとめて,下記4件の学会発表を行った。 1.福永克己,松井康,佐久間亨,木下裕光.ブラインドサッカーの国際試合における勝敗分析.第25回日本障害者スポーツ学会,2016.3.26(新潟県新潟市). 2.佐久間亨,松井康,福永克己,木下裕光.スピードガンとモーションキャプチャによるボール速度の比較.第25回日本障害者スポーツ学会,2016.3.26(新潟県新潟市). 3.松井康,木下裕光,福永克己,佐久間亨.ブラインドサッカーにおけるPKの得点率とボール速度との関係.第25回日本障害者スポーツ学会,2016.3.26(新潟県新潟市). 4.木下裕光,福永克己,佐久間亨,松井康.ブラインドサッカー選手の競技支援に関する研究 -ペナルティキック精度向上-.第25回日本障害者スポーツ学会,2016.3.26(新潟県新潟市).