修士論文 聴覚障害のある乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境構築の課題 手話言語条例分析と質問紙調査から見えてくるもの 令和3年度 筑波技術大学大学院修士課程技術科学研究科 情報アクセシビリティ専攻 山田京子 目次 第1章 序論 1 1.1手話教育に関する社会的背景 1 1.2乳幼児期における手話教育に関する先行研究 2 1.3乳幼児期における手話教育に関する問題の所在 6 1.4目的 7 1.5本研究における言葉の定義 8 第2章 方法 11 2.1条例の分析 11 2.2質問紙調査 13 第3章 結果 16 3.1幼児・乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境構築にかかる条例条文の分析 16 3.1.1学校等における手話教育にかかる条文分析 16 3.1.2都道府県制定と市町村制定の違いによる条文分析 17 3.1.3学校の設置者と地方自治体の主体別条文分析 19 3.1.4手話言語条例と意思疎通条例の違いによる条文分析 21 3.1.5施策や推進計画等の策定の有無と実施状況 22 3.2質問紙調査 25 3.2.1聴覚障害者協会への質問紙調査結果 25 3.2.2聴覚特別支援学校乳幼児相談への質問紙調査結果 30 3.2.3自由記述文の分類と分析 34 第4章 考察 39 第5章 結論 46 文献 47 謝辞 52 資料 53 1 関連条例の抽出条文 53 2 自由記述文(回答) (略) (表) 本研究の全体構成 構成 第1章 序論 手話教育に関する社会的背景 乳幼児期における手話教育に関する先行研究 乳幼児期における手話教育に関する問題の所在 目的 本研究における言葉の定義 概要 ・先行研究 視覚,聴覚,ことばの発達 情緒の発達 聴覚障害教育,手話言語条例関連 ・言葉の定義 手話,聴覚障がい ・年齢の区切 児童福祉法,母子健康法に従う 構成 第2章 方法 条例の分析 質問紙調査 第3章 結果 幼児・乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境構築にかかる条例・条文の分析 質問紙調査 概要 方法と結果 ・条例・条文の分析 1 学校等における手話教育にかかる条文分析 2 都道府県制定と市町村制定の違いによる条例の分析 3 学校の設置者と地方自治体の主体別条文分析 4 手話言語条例と意思疎通条例の違いによる分析 5 施策や推進計画等の有無と実施状況 ・質問紙調査 1 聴覚障害者協会 2 聴覚特別支援学校乳幼児相談 構成 第4章 考察 概要 ・考察 構成 第5章 結論 概要 ・結論 構成 文献 概要 ・研究論文,報告書,出版物 ・統計資料 ・行政公開資料等 構成 謝辞 構成 資料 概要 ・関係条例の抽出条文 ・自由記述文(略) 筑波技術大学 修士(情報保障学)学位論文 第1章 序 論 1.1 手話教育に関する社会的背景  平成 18 年(2006)年に国連総会で「障害者権利条約」が採択され,手話は言語であると定義された。日本は,国内法の整備を進め,2013 年 12 月に参議院本会議において障 害者権利条約の批准が可決・決定し,翌年1 月以降,条約が発効された。  国内法においては,改訂障害者基本法第三条三に,「全て障害者は,可能な限り,言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに,情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。」とある。   さらに,平成 25 年に「鳥取県手話言語条例」が全国で初めて制定され,その後多くの都道府県,市町村に継受され,令和 3 年 4 月 30 日現在,全国 410 の地方自治体において手話言語条例等が制定されている。これらの条例の中には,地域の手話学習の機 会以外に,学校での手話学習,聴覚障がい幼児児童生徒が通う学校での手話の環境,乳幼児とその保護者等への手話言語獲得の機会等について規定している条文も見られる。  一方,文部科学省による平成29年度から始まった特別支援学校指導要領では,第2 章第1節第1款の2の(3)に,「児童の聴覚障害の状態等に応じて,音声,文字,手話,指文字等を適切に活用して,発表や児童同士の話し合いなどの学習活動を積極的に取り入れ,的確な意思の相互伝達が行われるよう指導方法を工夫すること。」と述べられている。 このように,条約,条例,指導要領等で手話に関する叙述があり,啓発が進められてきている。 1.2 乳幼児期における手話教育に関する先行研究 1.2.1 乳幼児の視覚,言語,情緒の発達について  乳幼児期からの手話導入を論ずるにあたり,聴覚障害のある乳幼児が手話を視覚的に捉えられるようになる時期が分かる視覚の発達について Maurer 他(1992)2)調査研究がある。さらに聴覚障がい児が表出された手話の意図を理解することができるようになる時期,そして自分で表出することができるようになる時期について,Marschark 他 (2015)3) らの調査研究があり,それらを聴児の発達段階と並列で表1に示した。聴覚障がい乳幼児の言語発達については,一人一人の障害の程度と補聴器や人工内耳などの聴力補償等や療育環境の違い等多くの要素があるため表中には記載しなかった。  表1は著者が文献を元に作成したもので,聴覚障がい児の発達については,Marschark 他『デフ・スタディーズ』(2015)3)及び,Maurer 他『赤ちゃんには世界がどう見えるか』 (1992)2)からの引用に加え,定型発達の聴覚障害のない乳幼児の発達段階と日本における新生児から乳幼児に至る社会福祉的サービスを重ねて表示した。  表1において,『デフ・スタディーズ』参照は[破線枠]で,『赤ちゃんには世界がどう見えるか』参照は[実線枠],社会福祉的サービスは[実線枠内塗りつぶし]で示している。 表1 聴児と聴覚障がい児の月齢毎の発達の様子と福祉サービスの実施時期 (表)  表 1 に示したように,聴児の音声言語表出の時期も聴覚障がい児の手話表現による言語表出の時期もおよそ同時期で,このことは Suskind(2018)1)によれば,人工内耳装用児も同様に見られる。さらに,音声言語でも手話言語でも,豊かな言語環境で育ってこなかった子ども達は,音声も手話も土台となる言語が獲得できず,コミュニケーションがうまくとれなかったと述べている。  母子間で使用する「手話」について,手話使用の経験が無い養育者が育児のために手話を学ぶときは,おおよそ「手指日本語」(日本語対応手話)になってしまう傾向がある。森他(2016)23) は,「日本語対応手話は手話ではない,日本語を話しながら手話を表現するシムコムは到底受け入れられないものである」と述べている。しかし,幼児による表出が1語文,2語文であるような時期に,手話の種類が影響を及ぼすとは考えにくい。さらに Marschark 他(2015)3)によると,聴覚障がい児は,やがて成長するに従い,出会った人々の影響でいつでも Signed English(英語対応手話)から American Sign Language(アメリカ手話)に移行していくことができるので,幼児期における手話については,柔軟に捉えて構わないと述べている。  一方,複数の聴覚障がい者がいる家族の中で育つ聴覚障がい児においては,かなり早期から日本手話の文法的なことも習得できていることも報告されている。  また,Maurer 他(1992)2)によると,視力の発達は,1 ヶ月内で光に反応し,2 ヶ月あたりでは母親を認識し,4,5ヶ月目には立体的に周りの様子を認識することができる。つまりこの頃には,視覚言語である手話を見て,その動きを理解はできなくても認識ができる状態に成長していると捉えることができる。 1.2.2 言語発達,愛着形成,心理的安定と手話  聴覚障害児教育と手話に関しては,野本・都築(2002)15) や矢沢(2019) 26),また,乳幼児期からの手話の使用に関する研究では,森井(2001)24)や田中他(2016)12),玉井 (2010)14),大塚ろう学校の取組の実践報告 5,6)等があり,聴覚に障害のある乳幼児のための語彙獲得に手話導入の効果があることが報告されている。  一方,聴覚特別支援学校における幼児教育や支援体制については,我妻(2008)4)や谷本・小川(2005)13),庄司他(2011)11)等がある。ここでは,幼稚部や乳幼児相談等で音声言語の獲得を進めている学校や視覚言語を取り入れている学校での学校の方針の違いや取組の効果や課題について述べている。主に個に応じたコミュニケーションモードの選択や発達に併せてモードの移行について述べている。  さらに,医療関係や療育関係における支援体制については,橋本他(2015)16)や鷲尾 (1990)27)等がある。これらは研究の当時から医療・療育・教育関係による「諸関連機関の連携が必要である」と述べている。  聴覚障がい児の言語や心理の発達について,実践報告としては,下司(2009)10),森井 (2008)25)等の報告がある。著作本では,前述の Suskind(2018)1)や河﨑(2005)8)等がある。また,手話の導入と心の安定やコミュニケーション能力について述べた南村他 (2014,2015)21,22)等がある。愛着形成や心理的安定には,母子間における手話によるコミュニケーションの関係だけでは収まらないパーソナリティの問題など多くのファクターが関係することも念頭に置いておく必要もある。  手話言語条例に関しては,二神他(2015)18)による手話言語条例の制定に至る異なる過程における取り扱いの違いや,中原(2015)20)や尾田(2020)7)による手話言語条例の制定と鳥取聾学校の取組について経過報告があるが,乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の構築については明らかにされていない。 1.3 乳幼児期からの手話教育に関する問題の所在  国内外において「手話は言語である」という定義がなされており,手話言語条例等においては手話に対する啓発を進めようとする中で,乳幼児とその保護者等に対する手話コミュニケーション環境の構築はどのように進んでいるのであろうか。  昨今の新生児聴覚スクリーニング検査の実施の広がりにより,早期に聴覚障害を発見し早期療育につなげようとする動きが高まる中で,現在,人工内耳の施術が推し進められようとしてきている。人工内耳が効果を発するまでには,音入れのための時間が必要である。これは聴者である乳幼児も同様で,音声言語を発するまでには 1 年近く時間を必要とする。1 年近く経ってから,施術はしたものの,子どもによっては人工内耳の効果がなかったということが判明するケースも起きている。  生後 1 年間は,聴覚障害のない乳幼児にとって豊かな音声言語環境を作ることが大切なことと同様に,新生児聴覚スクリーニング検査で要精密検査となり,聞こえに課題があるかもしれないという乳幼児の場合,視覚言語である手話言語環境をつくることもまた大切な時間である。言語を表出する時期になって初めて聞こえない状態であることに気づいた場合は,言語獲得の空白期間が発生してしまうことになる。そこで,新生児聴覚スクリーニング検査で要精密検査になった場合,音声言語と共に視覚言語を取り入れながら意思疎通の準備を進めていくことが必要である。この 2 点は前述の先行研究の通りである。  それらの先行研究があるにもかかわらず,現在手話言語条例等が各地で制定されてきている中で,条文の中に乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境について言及がない,あるいは明文化されているものの何も行われていないといった現状がある。  ここにおいて,乳幼児期からの手話コミュニケーション環境の構築が,手話言語条例の中でどのように保障されているのか,また,例えば親子手話教室や聴覚障害乳幼児教育相談など具現化が図られているのか,さらに,具現化されていない場合,その原因は何であるか等の疑問が浮かぶ。 1.4 目的  これまで述べてきたように,聴覚障害がある子どもにとって,早期に手話を導入することは,心理的安定,母子間の愛着形成,コミュニケーション力の育成等に効果的であるということが報告されている。そこで,これまで制定された手話言語条例等の中で,聴覚障害のある乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の構築がどのように位置づけられているか分析する。そして,それらの条例に基づいて,例えば聴覚障害のある乳幼児のいる家族が手話を学べたり,成人の聴覚障がい者と交流をしたりできるような手話コミュニケーション環境の構築をどのように具現化しているかについて調査する。また,その調査結果に基づいて,地方自治体,聴覚障がい当事者団体,聴覚障害教育関係者にヒアリングや質問紙調査を行い,そこに見られる課題を明らかにすることを本研究の目的とする。 1.5 本研究における言葉の定義 1.5.1 手話  本研究において,「手話」とは,言語としての手話,意思疎通の手段としての手話として捉え,日本手話や手指日本語(日本語対応手話)だけでなく,音声言語でいうところの幼児語,つまり喃語などにあたる乳幼児ならではの手指の未熟な表現であってもそこに意思を伝えようとする表現,例えば表情や指差し,視線の動きなども含めて「視覚言語」として,広く「手話」として位置づける。  これは,音声言語使用における乳幼児が,ミルクも母親も「マンマ」と言って意思を伝えようとすることに対応している。乳幼児期における「手指喃語」も含めた手話について述べるため,いわゆる成人聴覚障がい者や手話通訳者が使用する規格化された手話のみを意味するものではない。 1.5.2 乳児と幼児の年齢区分  年齢区分は,諸法律によって対応年齢が定義されている。児童福祉法や母子保健脳の定義を本研究でも使用する。 1.5.3 聴覚障害と聴覚障がい  「しょうがい」については,聴覚障害の名称は「障害」,「しょうがい」のある人を表す場合は「聴覚障がい」と表記し,事業名,条例中の文言などの用語など出典のあるもの等は出典元に合わせた。  この研究において,聴覚障害のある乳児,幼児,児童,生徒について,条例の文中には,「ろう児」,「聴覚障害児」,「聴覚障がい児」,「聴覚障害のある幼児児童生徒」などの表記が見られるが,本文中では「聴覚障害のある乳幼児」等の表現にした。新生児聴覚スクリーニングにおいて,要精密検査(リファー)となっても,正式な診断が下されるまで時間的な経過があることや,軽度,中度,高度,重度などの聞こえのレベルの違い,補聴器や人工内耳等装用による聞こえの補償の違いもあるので,それらの違いには視点をおかず,「聞こえない,聞こえにくい」子どもという意味で「聴覚障害のある」,「聴覚障害がある」あるいは,「聴覚障がい」児と表現する。 1.5.4 保護者と家族について  この研究において,「保護者」という場合は,その多くは父親や母親のことである。しかし,乳幼児が育っていく環境はいろいろ異なる場合があるので,養育者として「保護者」と表現する。一方,乳幼児を取り巻く環境において,祖父母や兄弟姉妹も含む広い意味での家庭におけるコミュニケーションや障害理解・認識に視点をおいた場合は「家族」と表現している。 第2章 方法 2.1 条例の分析  現在全国で制定されている手話言語条例等において,幼児・乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の構築に関する条例・条文を抽出し,下記の項目で分類した上で,分析し考察する。 1 学校等における手話教育にかかる条文分析 2 学校の設置者か地方自治体かの主体別条文分析 3 都道府県か市町村かの違いによる条文分析 4 手話言語条例か意思疎通条例かの違いによる条文分析 5 施策や推進計画等の策定の有無と実施状況 (地方自治体へのヒアリングと質問紙調査)  1~4においては,条文そのものを分類した。そして5では,抽出した条文の中でも特に幼児,乳幼児に関する記載がある地方自治体については,対象となる条文に「乳児」が含まれているか,また,具体的に施策や推進計画等の策定の有無について質問紙調査(次頁)を実施し,分析する。  2,3,4の各項目の条文の分析はカイ二乗検定を用い,1%または 5%水準で検定を行う。 地方自治体(障害福祉課等)への質問 手話言語条例に於ける手話言語獲得のための手話コミュニケーション環境,手話教育環境の構築に関するアンケート   都道府県,市町村    課   記入者様名 (手話言語獲得のための手話コミュニケーション環境構築の対象児の年齢について) 1 条文の第〇条の「(聴覚障害児:条文の表現を引用)やその家族に対して・・・・」 について,対象となる「聴覚障害児」は,何歳からを想定されていますか。 (乳児(0 歳児)を含むかどうか) (手話言語獲得のための手話コミュニケーション環境構築のための「施策」について) 2-1 条例に「~~を提供する」(や「次にあげる施策を実施する」)とありますが,具体的な「施策」の策定は行われましたか。該当する方に○を付けてください。 施策が策定されている( ) 策定されていない( ) 2-2 「施策」が策定されている場合,乳幼児期からの聴覚障害児とその家族への手話環境についてどのように規定されているか教えて頂けますか。 2-3 「施策」が策定されるにあたり,乳幼児期からの聴覚障害児とその家族への手話環境について,議事録,パブリックコメントやそれに対する当局の返答等について,資料があれば教えて頂けますか。また,HP に公開されていれば,URL 等でも構いません。 (手話言語獲得のための手話コミュニケーション環境構築のための企画) 3 施策により,何らかの企画がなされましたか。もし,企画された場合は,どのような内容ですか。 2.2 質問紙調査  2.1 で得られたデータを元に質問紙を作成し,聴覚障がい当事者団体として各都道府県の聴覚障害者協会に,また乳幼児教育機関として聴覚特別支援学校の乳幼児相談担当者に質問紙調査(次頁)を実施し,乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境構築の実施状況と課題について分析する。  質問内容は,  1 県内の子育て支援機関から,手話指導に関する協力依頼や相談はあったか。  2 乳幼児とその家族を主な対象とする手話教室やイベントを実施したか。  3-1 乳幼児とその家族への手話教育環境の構築にはどのような課題があるか。  3-2 特に,「乳児」とその家族に対しては,どのような課題があるか。  1と2の項目に関して,相談が「あり」の場合や手話関係の実施が「あり」の場合は,「手話言語条例等」の「制定前から」,「制定後に」,「条例はないがあった・実施した」の3 種類と「なし」の計 4 つの選択肢を設定する。 全国の聴覚障害者協会への質問 乳児やその家族への手話教育環境構築に関する調査 □の該当箇所に☑してください。 1 貴協会に対して,県内の子育て機関(例:保育園,幼稚園,児童発達支援センター (旧難聴児通所施設),子育て支援センター等)から乳幼児,家族,職員等への手話指導に関して協力依頼や相談はこれまでありましたか? □ある -□手話言語条例前からあった -□手話言語条例制定後にあった -□手話言語条例はないが依頼や相談等はあった □ない 2 貴協会は,乳幼児(小学校入学前まで)とその家族を主な対象とする定期的な手話教室や単発の手話イベント(主催,共催,後援でも可)など,県内で活動事例がありますか? □ある -□手話言語条例前からあった -□手話言語条例制定後にあった -□手話言語条例はないが活動している □ない 3-1 乳幼児とその家族への手話教育環境の構築についてどんな課題がありますか。 3-2 特に,乳児(1歳未満)とその家族に関しては,どんな課題がありますか。 聴覚特別支援学校乳幼児相談への質問 乳児やその家族への手話コミュニケーション環境構築に関する調査 □の該当箇所に☑してください。 1 貴校に対して,県内の子育て機関(例:地域の保育園や幼稚園,児童発達支援センター(旧難聴児通所施設),子育て支援センター等)から乳幼児やその家族等への手話 指導に関して協力依頼や相談はこれまでありましたか? □ある -□手話言語条例制定前からあった -□手話言語条例制定後にあった -□手話言語条例はないが依頼や相談等はあった □ない 2 貴校には,外部の乳幼児やその保護者,あるいは貴校在籍の幼児やその保護者等に対して,手話を学ぶ機会を設定した活動実践例はありますか? 例:定期的な手話学習会や放課後や土日などに学校の施設等を利用した学外活動等 □ある -□手話言語条例制定前からしている -□手話言語条例制定後にしている -□手話言語条例はないが活動している □ない 3-1 乳幼児とその家族への手話コミュニケーション環境の構築について,どんな課題がありますか。 3-2 特に乳児(1歳未満)とその家族に関してはどんな課題がありますか。 第3章 結果 3.1 幼児・乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境構築にかかる条例・条文の分析 令和 3 年 4 月末日現在で,410 の手話言語条例等が制定されており,それらの中から手話教育関係が記載されている条例・条文を抽出し,分析した。 3.1.1 学校等における手話教育にかかる条文分析 令和 3 年 4 月末日現在で,410 の手話言語条例等が制定されている。学校教育に関連のあるすべての条例数は 151 で,そのうち一般の学校等で手話に触れる機会や障害について理解することについて述べているのは,133 条例(32.4%)であった。また,聾学校や地域の学校で聴覚障がい児童生徒が通う学校での手話使用について述べているものは,57条例(13.9%)で,さらに幼児とその保護者等への手話教育環境の提供や情報の提供,教育相談について述べているものは,42 条例(10.2%)であった。一方,「乳幼 児期から」聴覚障害のある子どもとその保護者に手話の環境や相談の場を提供すると明記しているものは,15 条例(3.7%)であった。 (図) 図1 教育について関連条文・条項を含む条例数 3.1.2 都道府県制定と市町村制定の違いによる条文分析  都道府県の制定数は 31 条例で少ないため,学校関係の手話教育に関する条文の有無の割合を比較検討するには,全体の 410 条例数を母数にした場合の割合で判断するのは不合理であると考えた。そこで,制定された 31 条例数を都道府県,379 条例を市町村それぞれの母数に設定し,それに占める割合で各条例の割合を確認した。  まず,都道府県制定の条例の中では,一般の学校における手話教育の実施について述べてある条例よりも,聴覚特別支援学校等における手話教育環境について言及している条例が多く,23 件(90.3%)ある。また,聴覚特別支援学校等における幼児児童生徒や幼児とその保護者等に対する手話コミュニケーション環境や情報提供,相談等について明記してある条例の占める割合も幼児とその家族は 28 件(90.3%),乳幼児とその家族では 10 件(32.3%)と高い。(図 2 参照)  一方,市町村における条例の中では,一般の学校における「手話に触れる,手話に親しむ」といった内容の条文が多く見られ,割合も都道府県よりも高かった。市町村 における「幼児・乳幼児とその保護者等」への手話教育の環境の提供について述べている条例は 5 件(1.3%)で非常に少ない。(図 3 参照)  条例中の一般の学校や聴覚障がい幼児児童生徒や乳幼児等への手話教育について言及している都道府県制定と市町村制定の条例数の違いは,検定により大きく有意差が見られた(p<.001)。都道府県制定の条例は,聴覚障がい児について言及している条文が多く,市町村制定の条例は,一般の学校について言及している条文が多いといえる。 (図) 図2 都道府県における各項目の条文・条項を含む条例数 (図) 図3 市町村における各項目の条文・条項を含む条例数 3.1.3 学校の設置者と地方自治体の主体別条文分析  条文で「幼児又は乳幼児とその保護者等」を対象とし,手話コミュニケーション環境の提供主体が学校等の設置者か行政かの違いを,都道府県制定の条例と市町村制定の条例の違いで割合が異なるかどうかについて分析した。  都道府県の条例 31 件中,「幼児又は乳幼児とその保護者等」について言及した条例数は 28 件(90.3%)で,そのうち手話コミュニケーション環境の提供主体は「学校の設置者」が 7 割を占めていた。市町村の条例 379 件で,そのうち「幼児又は乳幼児とその保護者等」について言及した条例数は 16 件(4.2%)で,手話コミュニケーション環境の提供主体は「学校の設置者」が担当するのは,1 条例だけで,多くは,地方自治体の担当だった。乳幼児とその保護者等の手話コミュニケーション環境の提供について条文が言及している条例数は,都道府県制定と市町村制定による主体の違いは,検定により有意差が見られ(p<.001),大きいといえる。  表2は,都道府県の条例と市町村の条例,主体が学校の設置者と行政の違いによる条文の文例を示している。 表2 条文中の主体と文例 (表) 条文の種類 都道府県条例 「学校の設置者 は」 条文の例 ろう児等が通学する学校の設置者は,ろう児等及びその保護者等に対し,手話を学ぶ機会を提供するとともに,ろう児等及びその保護者等の手話に関する教育に係る相談及び支援に努めるものとする。 条文の種類 都道府県条例 「県は」 条文の例 県は,ろう児等が在籍する学校において,この条例の目的及び手話に対する理解を深めるため,ろう児等及びその保護者に対し,手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談への対応及び支援に努めるものとする。 条文の種類 市町村条例 「学校の設置者は」 条文の例 ろう児等が通学する学校の設置者は,ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 条文の種類 市町村条例 「市は」 条文の例 市は,ろう児等(聴覚障害のある乳幼児,児童,生徒又は学生) 及びその家族に対し,心身の成長の過程に応じた手話に関する必要な情報の提供及び手話を獲得するための必要な支援を行うよう努めるものとする。 (図) 図4 幼児・乳幼児とその保護者等への手話環境提供元 3.1.4 手話言語条例と意思疎通条例の違いによる条文分析  手話言語条例と意思疎通条例での,幼児・乳幼児とその保護者等への手話環境の提供の有無の違いについて分析した。聴覚障害における手話の導入は,早期発見と早期療育の開始が必要であると言われるのに対して,他の障害についても言及する意思疎通条例では,扱いが異なるのか分析した。例えば,視覚障害の場合は,音声による母子間のコミュニケーションが可能で,さらに点字の導入は小学校入学以降が多い。また,コミュニケーションモードとして,手話に加えて,触手話,点字,指点字,文字通訳などについて広く述べている。そのため,手話言語条例と意思疎通条例において,条文に違いが見られるかについて分析したものである。  手話言語条例と意思疎通条例で,幼児・乳幼児とその保護者等への手話環境の提供の言及の条例数に違いがあるかどうかについて,検定では有意差は見られなかった (P>.05)。よって思疎通の条例は,手話言語条例に比して,幼児・乳幼児とその保護者等への手話環境の提供への言及のある条例は少ないとは言えない。 (図) 図5 手話言語条例と意思疎通条例の違いによる条文数 3.1.5 施策や推進計画の策定の有無と実施状況  先駆的に取り組んでいるとされる北海道石狩市と鳥取県へのヒアリング調査と,行政等が公開している HP 等での資料等により,乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の提供の実態について調査した。  まず,北海道石狩市と鳥取県でのヒアリング調査では,条例に乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の提供について明記されていたり,推進計画において進めるという記載されていたりするものの,それに伴う具体的な施策の策定へとは進んでいないため,実動には至っていないという回答が得られた。そこで,施策の策定や推進計画等について,HP 等のデータを収集すると共に,手話言語条例等に「幼児や乳幼児」と明記されている地方自治体の担当課(障害福祉課等)に質問紙調査を実施した。 表3 条文中の記述と施策や実施事業の有無の例 (表)  分類 1 で見られたのは,群馬県,京都府,大阪府,北海道,富山県,和歌山県,三重県 山口県など条例文に「乳児」と明記されていると共に,施策の策定が行われ,実際に委託事業として,あるいは聴覚特別支援学校の乳幼児相談として,親子で手話を学ぶ場の提供と相談等の支援を実施している形である。  分類 2 では「乳児」という文字による明記はないが,「ろう児」と広い概念で表示されていたり,「幼児」という表記ではあるが,具体的には施策の中に「乳児」と記載されたりする例で,実際には 0 歳児からの対応を実施している例である。  この分類 2 に該当する県には,鳥取県,山形県,埼玉県,青森県,鹿児島県,奈良県や広島県東広島市,大分県大分市,熊本県熊本市等がある。  また,神奈川県では,条文では,一般の学校における手話の普及についての記載はあるが,「乳児」も「幼児」についても触れていない。しかし,別事業として「聴覚障害児手話言語獲得支援事業」として,乳幼児期の聴覚障がい児とその家族に向けた手話交流会等を実施している。このような「聴覚障がい児手話言語獲得事業」を実施している自治体は複数見られる。  分類 3 では,条文に「乳児」の記載はあるものの,対象となる乳児がいないため,実施していない例も複数見られた。これは,主に市町村での条例で,エリアが都道府県に比べて狭いため,実施なしという状況であった。  また,岐阜県は,「児童等の保護者からの学校に意思疎通の利用に関する相談への対応や支援」と条文で述べているが,岐阜県障害福祉課によれば,「支援学校」の利用を考えており,対象は学齢期児童の保護者を想定しているということである。  さらに,福島県の条例では,「幼児期」も「乳幼児期」についても条文で,触れていない。また,パブリックコメントで県民から「乳幼児期からの手話の教育環境の整備」についての意見が提出され,「参考にする」という応答が行政から出ているが,最終的に採用にはなっていない。一方,石狩市では,石狩市長の「施策を推進するための方針」に,「子どもたちが手話や手話を使用する市民と親しむ機会をつくること」と述べており,実際に小中学校だけでなく,高等学校でも手話に触れる機会を作っている。「条例の見直しに係る提言」では,「聞こえない子どもや保護者への支援について,乳幼児期において」という施策の検討も求められている。 3.2 質問紙調査 3.1 の結果を元に,聴覚障がい者団体と聴覚特別支援学校乳幼児相談等へ質問紙調査を実施した。手話言語条例の制定がどのように乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の構築に具現化されているか,あるいは,されていない場合,そこに見られる課題は何かについて質問した。 聴覚障がい当事者団体として,全国の聴覚障害者協会(47 協会中 41 協会の回答,回収率:87%),また,乳幼児関係の団体として,全国の聴覚特別支援学校等の乳幼児相談等(93 校中 82 校の回答,回収率:88%)にアンケートを実施した。 3.2.1 聴覚障害者協会への質問紙調査結果 アンケート調査は,4 つの質問で構成されており,質問(1),(2)は選択式で,質問(3),(4)は自由記述式である。質問の内容は次の通りである。 まず,全国の聴覚障害者協会へのアンケート調査の結果は,次の通りである。 質問(1) 子育て支援機関等からの相談があったかどうか。 1 貴協会に対して,県内の子育て機関(例:保育園,幼稚園,児童発達支援センター(旧難聴児通所施設),子育て支援センター等)から 乳幼児,家族,職員への手話指導に関して協力依頼や相談がこれまでありましたか?  □ある -□手話言語条例前からあった  -□手話言語条例制定後にあった  -□手話言語条例はないが依頼や相談等はあった  □ない  平成 30 年度,令和元年度において,聴覚障害者協会への子育て支援機関からの相談や協力依頼を受けたのは 9 協会(21%)あり,そのうちの半分以上は,条例の制定前から相談や協力依頼があった,または条例はなくても相談や協力依頼があった。 (図) 図6 条例の制定と相談等の有無の関係 質問(2) 乳幼児とその家族等への手話教室等の企画はあったかどうか。 2 貴協会は,乳幼児(小学校入学前まで)とその家族を主な対象とする定期的な手話教室や単発の手話イベント(主催,共催,後援でも可)など,県内で活動事例がありますか?  □ある -□手話言語条例前からあった     -□手話言語条例制定後にあった     -□手話言語条例はないが活動している □ない  平成 30 年度,令和元年度に,聴覚障害者協会による,幼児あるいは乳幼児とその保護者等への手話教室等の実施したのは 10 協会(24%)で,これらの多くは,条例の制定前から行われている様子が見られた。また,手話言語条例がきっかけで乳幼児とその保護者等への手話環境の提供事業を進めてきたのは,大阪府 1 ヶ所である。 (図) 図7 条例と手話教室やイベントの実施関係 3.2.2 聴覚特別支援学校乳幼児相談への質問紙調査結果 質問(1) 子育て支援機関等からの相談があったかどうか。 1 貴校乳幼児相談において,県内の子育て機関(例:保育園,幼稚園,児童発達支援センター(旧難聴児通所施設),子育て支援センター等)から乳幼児,家族,職員への手話指導に関して,協力依頼や相談がこれまでありましたか?  □ある -□手話言語条例前からあった     -□手話言語条例制定後にあった     -□手話言語条例はないが依頼や相談等はあった  □ない  平成 30 年度,令和元年度に,聴覚特別支援学校の乳幼児相談への子育て支援機関からの相談や協力依頼を受けたのは 28 校(35%),ここでも,条例の制定以前から行われている様子が見られた。 (図) 図8 条例の制定と相談等の有無の関係 質問(2) 乳幼児とその家族等への手話教室等の企画はあったかどうか。 2 貴校乳幼児相談において,乳幼児(小学校入学前まで)とその家族を主な対象とする定期的な手話教室や単発の手話イベントなど,活動事例がありましたか?  □ある -□手話言語条例前からあった     -□手話言語条例制定後にあった     -□手話言語条例はないが活動している  □ない  平成 30 年度,令和元年度に,乳幼児とその家族等への手話教室等を実施が 62 校(75%),条例の制定以前から行われている様子が見られた。条例が制定された後に乳幼児とその家族等への手話教室等を実施したのは,聴覚特別支援学校乳幼児相談で 5件だった。 (図) 図9 条例と手話教室やイベントの実施関係 3.2.3 自由記述部分の分類と分析  記述部分の質問項目は下記の通りである。 3-1 乳幼児とその家族への手話コミュニケーション環境の構築についてどんな課題がありますか。 3-2 特に,乳児(1歳未満)とその家族に関しては,どんな課題がありますか。  課題としてあげられた記述部分の内容をKJ法で分類してカテゴリー化した。 KJ法による分類では,熊本聾学校で乳幼児相談担当者複数名と共に確認しながら分類を行ってカテゴリー化し,4 つの上位概念と 10 個の下位概念定義に分類した。 表4 自由記述部分の回答文の分類された概念項目 (表) 上位概念 I手話環境と相談支援 下位概念 1 乳幼児と家族等の手話環境の有無 2 家族の手話に関する理解・意識・受容 3 家族の障害認識 4 家族への相談支援 上位概念 II諸関連機関における手話の認識と相互 の連携 下位概念 1 聾教育関係者の手話に関する理解と意識 2 諸関連機関の手話に関する理解と意識 3 関連機関による相互の連携 上位概念 III手話言語条例と手話習得支援体制作り 下位概念 1 人材や予算など,活動支援の構築 2 手話言語条例との関係 上位概念 IV重複障害関連 下位概念 1 重複障害に関する理解と受容  全国の聴覚障害者協会からの回答は,下記の通りである。回答数は延べ数で,1 文章に 2 つの観点が含まれる場合は,それぞれに計上する形を取った。  まず「乳幼児とその家族への手話コミュニケーション環境の構築についてどんな課題がありますか。」については図 10 のグラフで示している。  41 カ所の聴覚障害者協会からの「課題と感じられる」回答は,1乳幼児とその家族に手話環境がないこと,4家族に「聞こえない,聞こえにくいこと」に関して相談の支援をしたくても,なかなかできないこと,7医療機関などとつながることができず,どこに聞こえない赤ちゃんがいるのか情報を得られないことなどがあげられた。 (図) 図10 聴覚障害者協会:乳幼児とその家族への手話コミュニケーション環境の提供の課題  次に,「特に,乳児(1歳未満)とその家族に関しては,どんな課題がありますか。」については,図 11 のグラフの通りである。1 と同様に,回答は延べ数である。 「特に乳児とその家族」に対しては,前述の質問と同様に,不安な状況にある保護者等に対して支援をしたいけれども,4家族への相談の支援ができないこと,6医療機関や療育機関などの関連機関が手話に対する理解や意識を肯定的に捉えられない点を上げている。4と7は,同一文章に多く記述されており,関連性が見られる。つまり,聴覚障がい乳幼児がどこにいるのか等の情報が得られず,そのため相談支援につながらないことを述べている回答が多数見られた。 (図) 図11 特に乳児とその家族への手話コミュニケーション環境の提供の課題  次に,聾学校,聴覚特別支援学校乳幼児相談からの回答は次の通りである。これも,延べ数で表している。  聾学校・聴覚特別支援学校乳幼児相談では,1乳幼児と家族へ手話環境がなかなかスムーズに提供できないこと,2家族の手話に関する理解や意識,受容等が得られないこと,4家族の障害の受容が進まず,結果として,家族への相談支援が進みにくいことが挙げられる。 (図) 図12 聴覚特別支援学校:乳幼児相談  さらに,「特に乳児とその家族」に関しては,次の通りである。  聾学校・聴覚特別支援学校乳幼児相談で,特に「乳児とその家族」に関する課題としては,2家族の聴覚障害の認識が得られないこと,そのため,4家族への相談支援が進みにくいことが挙げられている。  また,聴覚特別支援学校でも聴覚障害者協会と同様に,聴覚障害のある乳幼児の情報が得られず,相談等の支援につながりにくいこともあげられている。関連機関との連携を必要としている。一方,三重県や山口県など,行政と医療関係と連携がとれており,保護者の承諾のもと行政に連絡があり,行政から乳幼児相談へつながる仕組みができている地域もある。 (図) 図13 特に乳児とその家族への手話コミュニケーション環境の提供の課題 第4章 考 察 4.1.1 学校等における手話教育にかかる条文分析(3.1.1参照)  令和 3 年 4 月末日現在で,410 の手話言語条例等が制定されているが,学校の種類を問わず,学校教育関係で手話を扱うことについて言及している条例数は,合計 151 条例(36.8%)という低い数値になった。  これは,「一般の学校で手話に触れる機会」についての叙述が少ないように見受けられるが,熊本市によると,「一般の学校の場合,市民の定義が,市内に在住の人や市内の学校や会社等に通勤通学している人であるので,『市民を対象とした手話の学習の機会』の中に,地域の小中学校等での手話教育も含まれる」ということだった。そのため,「学校等」という文字が明記されていなくても,学校での手話に触れる機会の提供については,考慮されていると解釈できる地域もあるといえる。 4.1.2 都道府県制定と市町村制定の違いによる条文分析(3.1.2参照)  都道府県は,聴覚特別支援学校の設置者であることが多く,聴覚障がい幼児児童生徒が在籍する学校での手話教育環境について言及している条例が 31 条例中 28 条例 (90.3%)と多く見られた。一方,市町村では,聴覚障害のある幼児児童生徒についてよりも,一般の学校で地域の幼児児童生徒達が手話に触れ親しむ機会を設定することについて述べている条文が 379 条例中 118 条例(31.1%)と多いことが分かる。また,明文化していなくても,3.1.1 で述べたように,「市民」の設定の中に,地域の子ども達が手話に触れる機会も含まれることが考えられるので,一般の学校の方に重点が置かれていると考えられる。 4.1.3 学校の設置者と地方自治体の主体別条文分析(3.1.3参照)  聴覚障がい幼児児童生徒について述べている条文が全体の数から見ると少ないが,これは,聴覚特別支援学校の設置の有無や関連条文の主体が都道府県か市町村かという理由が考えられる。都道府県の場合は,発達支援センター(旧難聴児通所施設)や聴覚特別支援学校等を設置しているので,行政主体として言及できることの影響が考えられる。  一方,市町村の多くは聴覚支援学校の設置者ではなく,逆に行政による事業的な形で手話に触れる機会を設定することになると推測できる。実際に,都道府県の場合が聴覚特別支援学校や療育センター的なところでの定期的な関わりであるのに対して,市町村ではイベント的な単発の事業企画が見受けられる。 4.1.4 手話言語条例と意思疎通条例の違いによる条文分析(3.1.4参照)  意思疎通条例・コミュニケーション条例については,幼児・乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の提供について述べている条例数が少ないが,検定では有意差は見られず,意思疎通条例は,他の障害種についても述べているため手話コミュニケーションについて言及している条例は少ない傾向にあるとは必ずしも言えない(p>.05)。 4.1.5 施策や推進計画の策定の有無と実施状況(3.1.5参照)  ここで特徴的なのは,都道府県レベルの広域の条例では,外部委託等としての事業活動の設定が容易であったり,聴覚特別支援学校と連携しやすかったりするため,条文の明記の有無にかかわらず「施策や推進計画,各種事業」等の形で実際にすすめている状況が分かる。また,施策により,医療機関から障害福祉課等へつながり,そこから療育関連機関や聾学校等への連携ができている所も窺える。  また,意思疎通条例・コミュニケーション条例では 63 条例中 4 条例「幼児期」について述べているが,その中でも「乳幼児期」について記載のある条例は広島県廿日市市の 1 条例だけである。これは,障害種によっては,その意思疎通に必要な支援の仕方が異なるため,一概に「乳児期から」という文言になりにくいと考えられる。  次に,これらの結果を元に,聴覚障がい当事者団体と聴覚特別支援学校乳幼児相談等へ実施した質問紙調査では,手話コミュニケーション環境の構築に関連して実態といくつかの課題が挙げられた。 4.2.1 聴覚障害者協会への質問紙調査(3.2参照)  質問(1)子育て支援機関等からの協力依頼や相談があったかどうかについては,聴覚障害者協会への協力依頼や相談等は,条例の制定との関係が見られない。また,質問 (2)乳幼児とその家族等への手話教室等の企画はあったかどうかについても,聴覚障害者協会への相談や依頼等と同様に,手話教室等のイベントも1/4程度が実施するにとどまっている。 また,聴覚障害のある乳幼児とその保護者等にとって,成人聾者の存在は,ロールモデルとして貴重である。協会として果たす役割も大きい。保護者にとって成人聾者の生き方は,子育ての参考になると思われる。 4.2.2 聴覚特別支援学校乳幼児相談への質問紙調査  質問(1)聴覚特別支援学校の乳幼児相談において,子育て支援機関等からの協力依頼や相談は,約 35%があった。しかし,これまでは,聾学校の幼稚部に派生した乳幼児相談としての役割から,地域支援やセンター的機能を持った仕組に移行していく中で,乳幼児相談の存在と役割は今後大きくなっていくものと思われる。  質問(2)乳幼児とその家族等への手話教室等の企画については,聴覚特別支援学校・聾学校における教育相談や手話教室等は 75.6%が実施している。その中でも,条例制定前からあるいは条例がなくても実施している学校が 7 割ある。これは,佐藤他 (1990)9)の調査によると,早期教育の試みは戦前から行われてきている。また,昭和 34 年頃から東京教育大学附属聾学校に幼稚部が設置されると同時に,1 歳~2 歳の教育相談にも力を入れ,その後,昭和 42 年には,日本聾話学校で 0 歳児の教育が実現し,昭和 40 年代に入ると,全国の公立聾学校が教育相談部・母子教室等で乳幼児を受け入れはじめた頃から積み重ねられてきている。さらには,昭和 60 年代には「聴覚障害乳幼児療育事業」等が始まり,様々な事業が展開されてきている。そして現在でも,早期診断・早期療育・早期支援が求められている。  聴覚障がい児教育における「早期支援」は,近年では,「超早期支援」という言葉で表されるように早くからの介入が求められるようになってきている。これらにおいて,聴覚特別支援学校の役割は大きく,条例の制定と連携してさらに充実していくことが期待できる。  このような流れの中で,聴覚障害者協会や聴覚特別支援学校が挙げる乳幼児とその家族への手話コミュニケーション環境の構築に対する課題について考察する。  聴覚特別支援学校からは,乳幼児とその保護者等に接する手話コミュニケーション環境の設定について,「手話環境がないこと」,「相談支援」,「家族の聴覚障害及び手話に関する認識」等に関して課題が指摘されている。聴覚障がい当事者団体からは「手話環境がないこと」や「相談支援」に加え,「関係機関の手話に関する認識」と「相互連携」,さらに「手話言語条例との関連性」に課題が指摘されている。20 年ほど前から開始されている新生児聴覚スクリーニング検査事業において医療・療育・教育の連携が課題とされている背景と合わせて考察するに,聴覚障害の要精密検査や聴覚障害の診断がなされた乳幼児の保護者等に対して適切な情報提供を含む相談支援体制が十分に機能していないと思われる。 4.3 総合考察  新生児聴覚スクリーニング検査で再精密検査が必要になり,実際に精密な検査ができる月齢の 6 ヶ月以前でも,聴覚障害の有無にかかわらず乳幼児を豊かな言語環境におくことは,乳幼児と保護者との間のコミュニケーションの基盤や愛着,そして乳幼児の言語力を形成するために大切なことである。しかし,聴覚障害があることの可能性を告げられた保護者は戸惑ったり,悩んだりしている内に半年や 1 年が過ぎてしまう例が多いことが知られている。その期間が乳幼児にとって言語獲得上の空白の時期にならないための対策をとる必要があるだろう。  人工内耳インプラントを行う医師の助言を「聴覚活用のために,手話は使わないように」と受け止める保護者が多いことが聴覚支援学校乳幼児相談で挙げられている。本田(2019)19)が「健聴の子どもにおいても,話し言葉といった音声言語のみよりも,指差しやおもちゃの手渡しといった視覚言語・視覚情報を音声言語に併せて用いることは,子どもとのやりとりを続けるには有効である」と述べるように,視覚言語,すなわち手話言語による豊かな言語環境におくことが乳幼児とのコミュニケーションを形成する上で有効であるという研究報告がある。  近年では,米国を中心に「ベビーサイン」と呼ばれる育児上のコミュニケーション方法が広がっている。これは,聴覚障害に関係なく,まだ言語を表出できない乳幼児達とのコミュニケーションをとるために始まった視覚言語の活用の実践例である。日本では関西方面を中心に各地で少しずつ広がりを見せている。しかし,これらは米国の手話言語(ASL)を使用している面で,本研究が考察する手話コミュニケーション環境の整備に馴染まない面がある。  このように聞こえる乳幼児の育児においても視覚言語を活用して早期からの母子間のコミュニケーションを図ろうとする取組がある一方,国内の聴覚障害のある乳幼児とその保護者等を対象とする手話コミュニケーションの環境構築は,地方自治体や聴覚障害者協会等による取組はあまり見られず,聴覚特別支援学校の乳幼児相談で多数見られることが調査の結果明らかになった。  乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の構築に触れる手話言語条例等は 410 条例中 15 条例と少なく,さらに,都道府県制定の条例内で比較しても条例数は 31 条例中 10 条例と少ない。質問紙調査の結果でも手話コミュニケーション環境構築の取組は手話言語条例等の有無と関係なく実施されている傾向が見られた。聴覚特別支援学校の乳幼児相談体制における手話コミュニケーション環境の提供実績が手話言語条例等に反映されておらず,また乳幼児手話言語獲得事業,乳幼児の聴覚障害早期支援事業等による支援体制づくり等の事業も手話言語条例等との関連づけが見られなかった。 第5章 結論  本研究で,聴覚障害のある乳幼児とその保護者等に対する手話コミュニケーション環境の提供が,手話言語条例等の地方自治体による法形式で保障された親子手話教室や乳幼児相談,成人聴覚障がい者との交流などによる手話コミュニケーション環境の提供の具現化の例は非常に少なかった。しかし,条例の制定に関係なく従前より,多くの聴覚特別支援学校の乳幼児相談等では,乳幼児とその保護者等が定期的に学んだり相談をしたりする場が提供されていることがわかった。さらに聴覚障害者当事者団体や聴覚特別支援学校の乳幼児相談体制においては,家族の手話や聴覚障害に対する認識や各関連機関との連携が課題となっていることが明らかとなった。  一方,手話言語条例に具体的に明記されていなくても,施策や推進計画等,地方自治体による地域事業により,乳幼児とその保護者等への手話コミュニケーション環境の構築に取り組んでいるところがあることがわかった。これらの取組は手話コミュニケーション環境構築の施策の策定や推進計画の作成に参考にすることができる。さらに,手話言語条例等の改正,手話言語法制定の可能性,そして聴覚障がい児の早期発見・早期療育に関する乳幼児手話言語獲得事業や聴覚障害児支援中核モデル事業等政策等の事業活動が進められる中で,行政,医療,教育・療育関連機関の連携と聴覚特別支援学校における乳幼児教育相談の連携を充実させていくことが,今回の調査結果で挙げられた課題の解決の糸口になるのではないかと期待する。 文献 研究論文・報告書等 1) Dana Suskind, Beth Suskind (掛札逸美訳) 2018 『Thirty Million Words:Building a Child’s Brain (3000 万語の格差)』 2) DaphneandCharlesMaurer (吉田利子訳) 1993 『Theworldofthenewborn(赤ちゃんには世界がどう見えるか)』 草思社 3) Marc Marschark, Patricia Elizabeth Spencer (四日市章他訳) 2015 『Deaf Studies (デフ・スタディーズ 聾者の研究・言語・教育)』 明石書店 4) 我妻敏博 2008 聾学校における手話の使用と障害認識 特殊教育総合研究所 B-181 報告書 43-47 5) 江川麻貴他 2015 乳幼児期の関わり~大塚ろう学校の乳幼児相談における支援の実際~ ろう・難聴教育研究会会報 39, 2-24 6) 大塚ろう学校における手話導入の成果と課題 http://www.rougakkou.com/1_edu/edu11.html 7) 尾田将史 2020 鳥取聾学校の歩みと手話教育推進委員会 鳥取手話言語条例制定後の 7 年間を振り返って 手話学研究 29(2), 4-19 8) 河﨑佳子 2005 『聞こえない子の心・ことば・家族』 明石書店 9) 佐藤清六他 1990 聴覚障害乳幼児療育事業の充実のための調査研究 社会福祉法人北海道社会福祉協議会研究報告 6, 137-154 10) 下司実奈 2009 聴覚障害幼児の手話使用に関する保護者の語り コミュニケーション障害学 26(3), 171-177, 2009-12-31 11) 庄司和史他 2011 新生児聴覚スクリーニングの進展と聾学校における乳幼児支援体制の現状 特殊教育学研究 49(2), 135-144 12) 田中瑞穂,鹿内信善 2016 聾学校乳幼児相談室における日本手話話者による親子支援 http://hdl.handle.net/11470/305 13) 谷本忠明,小川寛史 2005 聾学校における乳幼児教育相談対に関する研究 広島大学大学院教育学研究紀要第一部 54,141-149 14) 玉井智子 2010 聴覚障がい児と健聴母親の手話コミュニケーションについての一考察 松山大学論集 22(5) 15) 野本裕子,都築繁幸 2002 聴覚障害児教育への手話導入に関する一考察 治療教育学研究 22,75-84 16) 橋本かほる他 2015 新生児スクリーニング後の療育支援体制に対する一考察 Audiology Japan 58, 143-150 17) 早川惠 2021 聴覚障害支援中核機能モデル事業の実際 ろう・難聴教育研究会 51, 49-56 18) 二神麗子他 2015 手話言語条例の上程プロセスにおける当事者制の発揮に関する一研究 群馬大学教育学部紀要 人文・社会科学編 65, 161-169 19) 本田和也 2019 1 歳以前の聴覚障害児と母親の遊びの場面における相互的なやりとりの一考察 ろう教育科学 61(2), 55-62 20) 中原 英一 2015 手話言語条例の制定とその後の鳥取聾学校 ろう・難聴教育研究会会報 39, 25-37 21) 南村洋子 2014 聴こえない・聴こえにくい子供の保護者支援19 ろう・難聴教育研究会会報 37, 45-53 22) 南村洋子 2015 乳幼児期の保護者支援の意味とその方法 ろう・難聴教育研究会会報 38, 29-43 23) 森壮也他 2016 『手話を言語と言うのなら』 ひつじ書房 24) 森井結美 2001 乳幼児期からの手話使用 その成果と課題 手話コミュニケーション研究 41, 10-15 25) 森井結美 2008 早期教育における障害認識と保護者支援 特殊教育総合研究所 B-181報告書 5-13 26) 矢沢国光 2019 言葉はコミュニケーションの中で育つ ろう・難聴教育研究会 27) 鷲尾純一 1990 聴覚障害幼児の療育をめぐる諸問題 聴能言語学研究7, 1-11 統計資料 28) 厚生労働省 2019 難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト会合資料 29) 関沢昭彦 2019 全ての新生児が聴覚スクリーニング検査を受けて確実に早期療育につながる体制の実現に向けて 第 3 回難聴児の早期支援に向けて,保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト会合資料 30) 全国手話言語市区長会 2020 令和 2 年度手話関連施策アンケート施策一覧 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/20200610-sgh-chokai-shisaku.pdf 31) 日本学術会議言語・文化委員会 2017 音声言語及び手話言語の多様性の保存・活用とそのための環境整備 条例・施策等 HP 資料 32) 全日本ろうあ連盟 手話言語条例マップ https://www.jfd.or.jp/sgh/joreimap (2021年4月30日現在) 33) 静岡県 聴覚障害児支援中核モデル事業報告書 2021 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000845329.pdf 34) 明石市福祉部福祉総務課障害者施策担当 2020 手話言語・障害者コミュニケーション条例の施行に伴う施策 https://www.city.akashi.lg.jp/fukushi/fu_soumu_ka/sesaku/torikumi.html 35) 朝霞市 2016 朝霞市日本手話に係る施策の推進方針 https://www.city.asaka.lg.jp/uploaded/attachment/38517.pdf 36) 石狩市手話に関する基本条例見直し検討会 2016 石狩市主に関する基本条例の 見直しに係る提言 https://www.city.ishikari.hokkaido.jp/uploaded/attachment/22187.pdf 37) 京都府 2020 聞こえの共生社会推進施策の取組状況 http://www.pref.kyoto.jp/shogaishien/news/general/documents/torikumijyoukyou.pdf 38) 熊本県熊本市 2021 熊本市手話に関する施策の推進方針(素案) https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=8567&sub_id=47&flid=238937 39) 群馬県 2016 群馬県手話施策実施計画 https://www.pref.gunma.jp/contents/100097953.pdf 40) 群馬県 2020 第 2 次群馬県手話施策実施計画 https://www.pref.gunma.jp/contents/100149343.pdf 41) 鳥取県障がい福祉課 2015 鳥取県手話施策推進計画(案)へのパブリックコメントの実施結果について https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/841402/pubcomkeikaku2.pdf 42) 富山県 2018 他県の障害者計画等における手話関連施策等について 資料 6 https://www.pref.toyama.jp/documents/3395/01287314.pdf 43) 長崎県 聴覚障害児支援中核モデル事業報告書 2021 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000845335.pdf 44) 福島県保健福祉部障がい福祉課 2018 福島県手話言語条例について提出された御意見とそれに対する県の考え 45) 北海道 2019 北海道言語としての手話の認識の普及等に関する条例の概要 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/4/9/0/5/3/4/6/_/syuwagaiyorubi.pdf 46) 三重県 2015 他県の手話計画比較表 第2回三重県手話言語に関する条例検討会資料 4 https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000702804.pdf 47) 三重県 2020 「三重県手話施策推進計画」取組状況 https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000794422.pdf 48) 三重県 2021 第 2 次三重県手話施策推進計画(最終案) https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000943661.pdf 49) 山口県 2020 令和 2 年度第 1 回山口県手話言語条例施策検証委員会概要 https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/3/6/1/36125b221a06af5dfff319546f6c34d8.pdf 50) 米子市 2019 米子市手話言語条例に基づく施策推進方針 https://www.city.yonago.lg.jp/secure/34001/houshin.pdf 謝辞 本研究を進めるにあたり,お力添えを頂いた多くの方々に心よりお礼を申し上げます。 指導教員である大杉豊先生と小林洋子先生には,研究のご指導だけに限らず,多くの励ましを頂きました。誠に厚くお礼申し上げます。また,諸先生方には,色々な視点からのアドバイスを頂きましたことに感謝申し上げます。 さらに,本調査にご協力頂ました全国の聴覚障害者協会や聴覚特別支援学校の乳幼児相談の担当者の方々,各地の条例の条文に関して各地方自治体の障害福祉課等の方々から貴重なデータをいただき,本研究を形にすることができましたことに,改めて心より深く感謝申し上げます。 最後に,毎回ゼミの時に意見や感想などいろいろなアドバイスを頂いた大杉研究室の同級生や先輩,後輩の皆様に感謝申し上げます。 今後は,この研究を通して学ばせて頂きましたことを社会に還元できるように力を注いで参りたいと思います。 令和4年3月 資料1 関連条例中の条文(抽出) (表) 施行順 1 自治体名 鳥取県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-tottori.php#tottori 幼児 (学校における手話の普及) 第12条 ろう児が通学する学校の設置者は,手話を学び,かつ,手話で学ぶことができるよう,教職 員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 2 ろう児が通学する学校の設置者は,基本理念及び手話に対する理解を深めるため,ろう児及びその保護者に対する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 11 自治体名 群馬県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-gunma.php#gunma 幼児 (学校における手話の普及) 第十二条 2 ろう児等が通学する学校の設置者は,この条例の目的及び基本理念に対する理解を深めるため,ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 乳児 (学校における手話の普及) 第十二条 聴覚障害のある幼児,児童又は生徒(以下「ろう児等」という。)が通学する学校の設置者は,ろう児等が手話を獲得し,手話で各教科・領域を学び,かつ手話を学ぶことができるよう乳幼児期からの手話の教育環境を整備し,教職員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 施行順 35 自治体名 長野県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-nagano.php#nagano 幼児 (ろう者が通う学校の設置者の役割) 第8条2 ろう者が通う学校の設置者は,基本理念にのっとり,基本理念及び手話に対する理解を深めるため,通学するろう者及びその保護者に対する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 41 自治体名 埼玉県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-saitama.php#saitama 幼児 (学校における手話の普及等) 第十一条2 ろう児等が通学する学校の設置者は,基本理念及び手話に対する理解を深めるため,当該ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 46 自治体名 沖縄県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-okinawa.php#okinawa 幼児 (学校における取組) 第6条 ろうである幼児,児童及び生徒(以下「ろう児等」という。)が通学する学校(学校教育法(昭和 22 年法律第 26 号)第1条に規定する学校をいい,大学を除く。)の設置者は,ろう児等及びその保護者に対し手話に関する学習の機会を提供するとともに,教職員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 施行順 50 自治体名 千葉県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-chiba.php#chiba 幼児 (学校における手話等の普及) 第十二条2 聴覚障害児が通園し,又は通学する学校の設置者は,聴覚障害児に対する手話等に関する学習の機会の提供並びに聴覚障害児の保護者に対する教育に関する相談への対応及び支援に努めるものとする。 施行順 52 自治体名 三重県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-mie.php#mie 幼児 (ろう児等の手話の学習等) 第十一条2 県は,ろう児が在籍する学校において,ろう児の保護者に対する手話に関する学習の機会を確保し,並びに手話に関する教育に係る相談及び支援を行うよう努めるものとする。 乳児 第十一条3 県は,聴覚障がいのある乳児が手話を獲得するための機会を確保し,及びその保護者に対する手話に関する学習の機会を確保するよう努めるものとする。 施行順 55 自治体名 愛知県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-aichi.php#aichi 幼児 (学校等の設置者の取組) 第七条3 障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用を必要とする児童,生徒,幼児等が通学する学校等の設置者は,当該児童,生徒,幼児等の保護者からの学校等における障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用に関する相談に的確に応ずるよう努めるものとする。 施行順 78 自治体名 山形県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-yamagata.php#yamagata 幼児 (学校における手話の普及) 第 11 条2 ろう児等が通学する学校の設置者は,基本理念に対する理解を深め,ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並びにろう教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 79  自治体名 群馬県高崎市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-gunma.php#gunma-takasaki 幼児 (学校における手話の普及)第10条2 ろう児等が通学する学校の設置者は,ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 95 自治体名 大阪府 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-osaka.php#osaka 幼児 (手話の習得の機会の確保) 第三条 府は,市町村,聴覚障害者の日常生活及び社会生活の支援を行う民間の団体並びに学識経験のある者と協力して,聴覚障害者が乳幼児期からその保護者又は家族と共に手話を習得することのできる機会の確保を図るものとする。 乳児 (手話の習得の機会の確保)第三条 府は,市町村,聴覚障害者の日常生活及び社会生活の支援を行う民間の団体並びに学識経験のある者と協力して,聴覚障害者が乳幼児期からその保護者又は家族と共に手話を習得することのできる機会の確保を図るものとする。 施行順 96  自治体名 奈良県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-nara.php#nara 幼児 (学校における手話の普及) 第十三条3 ろう児等が通学する学校の設置者は,ろう児等及びその保護者に対し,手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 114 自治体名 和歌山県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-wakayama.php#wakayama 幼児 (学校における手話の普及) 第 8 条 2 ろう児等が通園し,又は通学する学校の設置者は,ろう児等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談への対応及び支援に努めるものとする。 乳児 (手話を習得する機会の確保)第8条 県は,市町村その他の関係機関,ろう者及び手話通訳者等と連携し,ろう者が乳幼児期からその保護者又は家族とともに手話を習得する機会の確保に努めるものとする。 施行順 120 自治体名 新潟県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-niigata.php#niigata 幼児 (学校及び保育所等における取組) 第 12 条2 県は,聴覚障害者等が通う学校及び保育所等において,聴覚障害者等及びその保護者に対する手話に関する学習の機会が提供されるよう努めるものとする。 施行順 129 自治体名 石川県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-ishikawa.php#ishikawa 幼児 (学校における取組の推進) 第九条2 ろう児等が通学する学校の設置者は,ろう児等及びその保護者に対し,手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 137 自治体名 京都府 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-kyoto.php#kyoto 幼児 (学校等の役割) 第8条 聴覚障害者である乳幼児,児童,生徒又は学生(以下この条において「聴覚障害児等」という。)が入所,就園,就学又は在学をしている学校等においては,基本理念にのっとり,当該聴覚障害児等の教育又は保育に関わる教員等に対して当該聴覚障害児等の障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する知識及び技能を習得するための研修の機会の確保その他の措置を講じるよう努めるとともに,当該学校等における当該障害の特性に応じたコミュニケーション手段の使用に係る当該聴覚障害児等及びその保護者からの相談に適切に応じ,必要な情報の提供,助言その他の援助を行うよう努めるものとする。 乳児 (学校等の役割) 第8条 聴覚障害者である乳幼児,児童,生徒又は学生(以下この条において「聴覚障害児等」という。)が入所,就園,就学又は在学をしている学校等においては,基本理念にのっとり,当該聴覚障害児等の教育又は保育に関わる教員等に対して当該聴覚障害児等の障害の特性に応じたコミュニケーション手段に関する知識及び技能を習得するための研修の機会の確保その他の措置を講じるよう努めるとともに,当該学校等における当該障害の特性に応じたコミュニケーション手段の使用に係る当該聴覚障害児等及びその保護者からの相談に適切に応じ,必要な情報の提供,助言その他の援助を行うよう努めるものとする。 施行順 141 自治体名 福井県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-fukui.php#fukui 幼児 (学校における手話の普及等) 第十二条2 ろう児等が通学する学校の設置者は,ろう児等およびその保護者の基本理念に関する理解を促進するため,合理的な範囲内において,学習の機会の提供ならびに教育に関する相談および支援に努めるものとする。 施行順 142 自治体名 静岡県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-shizuoka.php#shizuoka 幼児 (学校における手話の普及) 第 12 条2 ろう児等が通学する学校の設置者は,基本理念に対する理解を深めるため,ろう児等及びその保護者に対する学習の機会の提供,教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 149 自治体名 北海道 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-hokkaido.php#hokkaido 幼児 (手話を習得する機会の確保) 第4条 道は,市町村,関係団体等と協力して,聴覚障がい者が乳幼児期からその家族等と共に手話を習得する機会を確保するよう努めるものとする。 乳児 (手話を習得する機会の確保) 第4条 道は,市町村,関係団体等と協力して,聴覚障がい者が乳幼児期からその家族等と共に手話を習得する機会を確保するよう努めるものとする。 施行順 159 自治体名 岐阜県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-gifu.php#gifu 幼児 (学校の設置者の取組) 第十三条3 児童等が通学する学校の設置者は,児童等の保護者からの学校における意思疎通手段の利用に関する相談への対応及び支援を行うよう努めるものとする。 施行順 163 自治体名 富山県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-toyama.php#toyama 幼児 (学校における手話の普及) 第 14 条2 県は,ろう児及びその保護者に対する手話に関する学習の機会の提供,手話を使用した教育に関する相談その他必要な支援に関する措置を講ずるよう努めるものとする。 乳児 (相談及び意思疎通の支援体制の整備) 第8条2 県は,聴覚障害者である乳児又は幼児及びその保護者に対して,手話に関する情報の提供,相談,訓練その他必要な支援を行う体制の整備を図るものとする。 施行順 183 自治体名 広島県廿日市市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-hiroshima.php#hiroshima-hatsukaichi 幼児 (学習機会の確保等) 第10条3 市は,聴覚に障がいのある子どもが乳幼児期からその保護者等と共に手話を習得し,及び情報の交換等をするための機会の確保を図るものとする。 乳児 (学習機会の確保等) 第10条3 市は,聴覚に障がいのある子どもが乳幼児期からその保護者等と共に手話を習得し,及び情報の交換等をするための機会の確保を図るものとする。 施行順 191 自治体名 石川県かほく市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-ishikawa.php#ishikawa-kahoku 幼児 (施策の推進)第6条市は,次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。(3) ろう児(18歳未満のろう者をいう。)の養育に必要な情報の提供及び相談体制の整備に関する施策 乳児 (施策の推進)第6条市は,次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。(3) ろう児(18歳未満のろう者をいう。)の養育に必要な情報の提供及び相談体制の整備に関する施策 施行順 192 自治体名 佐賀県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-saga.php#saga 幼児 (学校における意思疎通手段の普及等)第 7 条3 県教育委員会は,県立学校に通学する聴覚に障害のある児童等又はその保護者からの学校における意思疎通手段の利用に関する相談に応じ,必要な支援を行うよう努めるものとする。 施行順 194 自治体名 茨城県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-ibaraki.php#ibaraki 幼児 (学校における手話の普及等) 第 14 条2 ろう児が通学する学校の設置者は,当該ろう児及びその保護者に対し,手話に関する学習の機会の提供,手話を使用した教育に関する相談その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。 施行順 212 自治体名 福島県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-fukushima.php#fukushima 幼児 (学校における手話の普及)第十条 聴覚障がいのある幼児,児童又は生徒(以下「聴覚障がい児」という。)が通学する学校の設置者は,この条例の趣旨にのっとり,聴覚障がい児が手話を学び,かつ,手話により学ぶことができるよう,教職員の手話に関する技術を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるとともに,聴覚障がい児及びその保護者に対し,手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談及び支援に努めるものとする。 施行順 219 自治体名 愛知県知立市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-aichi.php#aichi-chiryu 幼児 (聴覚に障害のある児童等に対する支援)第9条 市は,聴覚に障害のある児童(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条第1項に規定する児童をいう。)及びその保護者(同法第6条第1項に規定する保護者をいう。)等に対し,手話を獲得するために必要な情報その他の手話に関する情報を提供するよう努めるとともに,これらの者からの相談に適切に対応する体制の整備に努めるものとする。 施行順 259 自治体名 奈良県奈良市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-nara.php#nara-nara 幼児 (聴覚障害児及び保護者等に対する支援) 第9条 市は,聴覚障害児及びその保護者等に対し,手話に関する必要な情報の提供及び手話を獲得 するための必要な支援を行うよう努めるものとする。 施行順 262 自治体名 大阪府四條畷市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-osaka.php#osaka-shijonawate 幼児 (施策の推進)第8条 市は,ろう者に関する計画を策定し,次に掲げる施策を推進する。(1)聴覚障がい児への,手話の獲得に関する情報の提供と養育に関する相談,その機会を確保するための施策 施行順 268 自治体名 鳥取県米子市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-tottori.php#tottori-yonago 幼児 (施策の推進) 第5条市は,これらの施策の推進のための方針(以下「推進方針」という。)を策定し,これらを総合的かつ計画的に実施するものとする。(5) 教育機関におけるろう児の手話言語の早期教育及びその環境整備のための施策 乳児 (施策の推進)第5条 市は,これらの施策の推進のための方針(以下「推進方針」という。)を策定し,これらを総合的かつ計画的に実施するものとする。(4) 乳幼児期におけるろう児の早期発見及び療育並びにろう児の保護者のための施策 施行順 287 自治体名 山口県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-yamaguchi.php#yamaguchi 幼児 (手話の普及)第十条2 県は,ろう児等が在籍する学校及び児童福祉施設並びにろう者が勤務する事業所における手話の普及を図るため,情報の提供,専門的又は技術的な助言その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。 乳児 (手話の習得の機会の確保)第十一条 県は,聴覚障害者が,乳幼児期からその発達段階に応じ,その家族と共に手話を習得することができる環境の整備を行うよう努めるものとする。 施行順 293 自治体名 広島県熊野町 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-hiroshima.php#hiroshima-kumano 幼児 (施策の推進方針)第6条2(4) 町民が幼児期から手話に関心を深めることができるようにするための学習の振興に関する事項 施行順 301 自治体名 愛知県西尾市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-aichi.php#aichi-nishio 幼児 (聴覚に障害のある児童等に対する支援) 第8条市は,聴覚に障害のある児童(児童福祉法第4条第1項に規定する児童をいう。)及びその保護者(同法第6条第1項に規定する保護者をいう。)等に対し,手話を獲得するために必要な情報その他の手話に関する情報を提供するよう努めるとともに,これらの者からの相談に適切に対応する体制の整備に努めるものとする。 施行順 316 自治体名 愛知県大府市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-aichi.php#aichi-obu 幼児 (聴覚障がい児等への支援)第7条市は,聴覚障がい児及びその保護者等に対し,手話に関する必要な情報の提供その他の支援を行うものとする。 施行順 340 自治体名 鹿児島県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-kagoshima.php#kagoshima 幼児 (学校における取組の推進)第12条2 ろう児等が通学する学校の設置者は,ろう児等及びその保護者等に対し,手話を学ぶ機会を提供するとともに,ろう児等及びその保護者等の手話に関する教育に係る相談及び支援に努めるものとする。 乳児 (手話を習得するための支援体制の整備) 第8条 県は,市町村等と連携し,聴覚障害者が乳幼児期からその家族その他の関係者とともに手話を習得することができるよう,手話に関する情報の提供及び相談,手話に接する機会の確保その他手話を習得するために必要な支援を行う体制の整備を図るものとする。 施行順 342 自治体名 熊本県熊本市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-kumamoto.php#kumamoto-kumamoto 幼児 (施策の推進)第7条 市は,次に掲げる施策を実施するものとする。(3) 聴覚障害児及びその保護者等への支援に関する施策 施行順 358 自治体名 青森県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-aomori.php#aomori 幼児 (習得の機会の提供) 第八条県は,手話の習得を必要とする聴覚障害者及びその家族等並びにろう者の家族等が手話を習得することができる ようにするため,その機会の提供等必要な措置を講ずるものとする。 乳児 施行順 362 自治体名 大分県大分市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-oita.php#oita-oita 幼児 (施策の実施) 第7条(5) 聴覚に障がいのある児童の養育をする上で有益な情報の提供並びに聴覚に障がいのある児童及びその保護者等に対する手話の習得の支援 施行順 378 自治体名 山口県下関市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-yamaguchi.php#yamaguchi-shimonoseki 幼児 (ろう児等及びその家族に対する支援) 第 10 条 市は,ろう児等(聴覚に障害のある乳幼児,児童,生徒又は学生)及びその家族に対し,心身の成長の過程に応じた手話に関する必要な情報の提供及び手話を獲得するための必要な支援を行うよう努めるものとする。 乳児 (ろう児等及びその家族に対する支援) 第 10 条 市は,ろう児等(聴覚に障害のある乳幼児,児童,生徒又は学生)及びその家族に対し,心身の成長の過程に応じた手話に関する必要な情報の提供及び手話を獲得するための必要な支援を行うよう努めるものとする。 施行順 380 自治体名 大分県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-oita.php#oita 幼児 (学校等における取組)第12条 聴覚に障がいのある乳幼児,児童及び生徒(以下この条において「聴覚障がい児」という。)が通学等をしている学校等の設置者は,聴覚障がい児の実態に合わせて適切な意思疎通手段を選択し,又は組み合わせて教育又は保育(以下この条において「教育等」という。)を行うよう努めるものとし,当該聴覚障がい児の教育等に関わる教職員が手話に関する知識及び技術を身に付けるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 乳児 (手話を獲得し,又は習得する機会の確保)第7条 県は,市町村その他の関係機関,ろう者,手話通訳者等と連携し,手話を必要とする人が乳幼児期からその家族等と共に手話を獲得し,又は習得する機会を確保するよう努めるものとする。 施行順 381 自治体名 大阪府枚方市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-osaka.php#osaka-hirakata 乳児 (市の責務)第4条4 市は,ろう者が乳幼児期からその保護者等とともに手話に親しむことができるよう支援するものとする。 施行順 384 自治体名 岡山県真庭市 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-okayama.php#okayama-maniwa 幼児 (施策の推進)第8条 (3)ろう児(18 歳未満のろう者をいう。)の療育に必要な情報の提供及び相談体制の整備に関する施策 施行順 394 自治体名 宮城県 https://www.jfd.or.jp/info/misc/sgh/map/j-miyagi.php#miyagi 幼児 (学校における手話の普及)第十一条 県は,ろう児等が在籍する学校において,この条例の目的及び手話に対する理解を深めるため,ろう児等及びその保護者に対し,手話に関する学習の機会の提供並びに教育に関する相談への対応及び支援に努めるものとする。