視覚障害学生に対応したデータ分析及び分析結果活用演習プログラムの開発 堀江則之 筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 キーワード:データ分析,仮説思考,仮説検証,データ分析演習プログラム 1.はじめに データ分析のみならず,分析結果を現場で活用できる人材育成が課題となっている。そこで,データ分析の人材育成に視覚障害者が「どのように」,「どこまで」業務として携われるかを検討することは,「データ分析の人材確保及び育成」,「視覚障害者の雇用促進」という2つの課題の改善に貢献すると考えられる。 そこで,本研究は,視覚障害者のデータ分析能力の向上に着目する。そこで,データ分析能力の向上及び活用に適した演習プログラムを開発することを検討する。そして,これまで深く研究されていなかった視覚障害者の特性に対応したデータ分析の演習プログラムのあり方について考察する。 本研究は,下記に示す2点を目的とする。1点目は,ビジネス関連のデータ分析及び分析結果の活用プロセスに関する文献調査を行う。そして,2点目は,視覚障害者に対応したデータ分析及び分析結果を活用した演習プログラムの開発を行う。 2.成果概要 ビジネス関連のデータ分析及び分析結果の活用プロセスに関する文献調査を行った(伊藤[1], 岩崎[2],久米[3],清水[4],星野[5], 中室・津川[6], 宮川[7], Pearl[8]等)。 社会科学の研究分野では,変数間あるいは,事象間の因果関係を明らかにすることが主な研究目的となっている。そこで,「因果関係」と「相関関係」について理解を深め,データ分析を活用できる視覚障害者に対応した演習を可能とするコンテンツの開発を検討した。 具体的には,下記の項目を取り上げた。 ・統計的因果推論 ・仮説思考 ・仮説検証 ・企画立案 統計的因果推論を踏まえ,視覚障害者に対応した「仮説思考」,「仮説検証」,「企画立案」について,演習プロセスごとのコンテンツが視覚障害者に配慮しているか確認しつつ,Excelを用いた演習プログラムを開発した。今回得られた成果は,筆者が担当している授業科目である「ビジネスデータ処理1 及び 2」,「ビジネスゲーム」,「情報システム学実験1 及び 2」等において活用していく。 参照文献 [1] 伊藤公一朗.データ分析の力.因果関係に迫る思考法. 光文社新書,2017. [2] 岩崎学.統計解析スタンダード統計的因果推論.初版. 朝倉書店,2015. [3] 久米郁男.原因を推論する政治分析方法論のすゝめ. 有斐閣,2013 [4] 清水昌平.統計的因果探索.講談社,2017. [5] 星野崇宏.シリーズ確率と情報の科学調査観察データの統計科学―因果推論・選択バイアス・データ融合. 岩波書店,2009 [6] 中室牧子,津川友介.「原因と結果」の経済学―データから真実を見抜く思考法.初版.ダイヤモンド社.2017 [7] 宮川雅巳.シリーズ<予測と発見の科学> 1 統計的因果推論―回帰分析の新しい枠組み―.初版.朝倉出版,2004. [8] Pearl, J.[ 著 ],黒木学 [ 訳 ].統計的因果推論モデル・推論・推測.共立出版,2009.