音声ユーザインタフェースに関連する視覚障害者の環境について 鶴見昌代 1),宮城愛美 2) 筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 1),障害者高等教育研究支援センター 2) キーワード:音声ユーザインタフェース(VUI),スマートスピーカー,視覚障害者 近年の情報技術の急速な発達により,社会環境は大きく変わり,最新のテクノロジーにより視覚障害による障壁が減少し,音声による新しいインタフェースであるVUI(音声ユーザインタフェース)も登場した。 視覚障害者は,日常的に,視覚情報の不足を音声情報で補うことが多く,音声によるコミュニケーションの機会が多い。このようなことから,音声ユーザインタフェースは,視覚障害者にとって非常に使いやすいものであることが推測される。 我々は,2018年に視覚障害者のためのイベントであるサイトワールドにおいて,視覚障害者によるスマートスピーカー活用の可能性についてデモンストレーションを行った[1]。これに対して非常に大きい反響があった。さらに,視覚障害者自身がスマートスピーカーのアプリケーション(スキル)開発において,活躍できる可能性を実証している[2,3,4]。 このような成果に基づき,我々は,筑波技術大学オープンキャンパスの中の体験授業として,2019年7月21日と2019年8月17日に「AIアシスタントアプリ開発の世界に触れてみよう」を視覚障害のある高校生向けに実施した[5]。この体験授業では,スマートスピーカーを実際に使ってもらい,高校生自身が考えたクイズをすぐにスマートスピーカーのアプリとして実現した。参加した高校生から好感触を得た。 さらに,2019年のサイトワールドでは,スマートスピーカー・スマートホームデバイスに関するデモンストレーションとして,視覚障害のある学生によるスマートスピーカーおよびスマートホームデバイスのデモンストレーションを行った[6]。多くの視覚障害のある方に関心を持っていただき,盛況のうちにデモンストレーションを終えることができた。 参照文献 [1] 鶴見昌代,宮城愛美:視覚障害者によるスマートスピーカー活用の可能性(サイトワールド2018 出展報告),筑波技術大学テクノレポート,Vol.26, No.2, pp.74-79, (2018). [2] 杉崎信清(筑波技術大学保健科学部情報システム学 科3年),ハノイの塔トレーニングスキル(Alexa スキル),Alexaスキルアワード2018ファイナリスト賞,2018.9.29 [3] 筑波技術大学Alexa開発チーム(杉崎信清,大塚勇哉,金田はる菜,中村友海,鶴見昌代,宮城愛美),視覚障害学生のチームによるAlexaスキル開発 ―スマートスピーカーでワクワクしよう―,JAWS DAYS 2019, 2019.2.23(TOC五反田メッセ) [4] 鶴見昌代,宮城愛美,スマートスピーカーを用いたチーム・ プログラミングの実践 ―視覚障害者のためのプログラミング教育を見据えて―,3月WIT/IPSJ-AAC研究会,2019.3.8(筑波技術大学) [5] 鶴見昌代,杉崎信清,AIアシスタントアプリ開発の世界に触れてみよう,筑波技術大学オープンキャンパス,2019.7.21, 2019.8.17 [6] スマートスピーカー利活用に関する研究プロジェクト(筑波技術大学 鶴見昌代),「スマートスピーカー・スマートホームデバイスに関するデモンストレーション」サイトワールド2019,2019.11.3. http://www.sight-world.com/2019/event_detail.html#1103-4