EDAC方程式への階層型格子の応用

丹野 格 
筑波技術大学 産業技術学部 産業情報学科

キーワード:EDAC，階層格子，非圧縮性流体解析

成果の概要 
本研究課題では非圧縮性流体解法の一種であるEDAC方程式(Clausen)を，階層型格子を利用して実装した。階層型格子を用いた実装例は数多くあるが，本研究ではブロック型階層格子(例えば，Dudek and Colella や Nakahashi and Kim)を選択した。これは例えば2次元であればn×n個の格子を持つブロックを用いて，計算領域を分割する方法である。今回の実装では，各ブロックは正方形であり，正方形の計算領域内に四分木構造的に配置される。ブロック同士の位置関係は系譜(Ogawa)により判別した。ブロック間のデータ受け渡しは袖領域で行った。あるブロックが，異なる格子幅を持つブロックに隣接する場合，その袖領域の値は一般的によく用いられる2次関数を用いた補間(例えば堀井ら)により求めた。また各物理量はセル中心に配置した。
実装した計算コードにより二次元正方キャビティ流れを計算した例を図1と2に示す。図1は計算格子と速度ベクトル，図2は計算格子と圧力等高線を示している。ハンギングノード付近で発生しがちな振動もそれほど顕著ではなく，比較的良好な結果が得られた。本研究結果の詳細は，近いうちに学会等で報告予定である。

図 1 計算格子と速度ベクトル
（図）

図 2 計算格子と圧力等高線
（図）

参照文献
Clausen, J.R., Phys. Rev. E 87, (2013)
Dudek, S. A. and Colella, P., AIAA Paper, (1998) Nakahashi, K. and Kim, L. S., AIAA Paper, (2004) Ogawa, T., Computational Fluid Dynamics 2000, (2000)
堀井ら, 日本機械学会論文集(B編), (2001)