機能性セラミックス材料に対する形彫放電加工 ─ アイソパルス制御の効果 ─ 後藤啓光 筑波技術大学 産業技術学部産業情報学科 キーワード:セラミックス,放電加工 1.成果の概要 本研究では,補助電極法を用いたセラミックスに対する放電加工においても,パルス幅を一定に保ちながら安定して加工が行なえる放電波形制御方式を適用することで加工面性状の向上を試み,その効果について調べた。 加工中に観察される放電加工例を図1に示す。図1(a)に示すように,これまでの制御手法を用いた場合には,様々なパルス幅の放電波形が観察される。一方,図1(b)に示すように,本研究で適用する手法を用いた場合の放電波形は一定の値に制御することが出来る。 図 1 加工中に観察される放電波形の代表例 (a)従来の放電波形制御方式を適用した場合 (図) (b)特殊放電波形制御方式を適用した場合 (図) 考案した放電波形制御方式を適用した小型の卓上放電加工機を作製し,絶縁性Si3N4セラミックスに対する穴加工を実施した。その結果,従来の制御方式では加工が不安定となるような加工条件においても安定した加工が実現できるようになり,加工速度の高速度化を図ることができた。 2.成果の今後における教育研究上の活用及び予想される効果 本研究で作製した放電加工機はセラミックスに対する放電加工においても放電波形制御を実現することができる加工装置である。そのため,通常の放電加工機では加工対象としていない材料に対する加工特性を調査する装置として使用することが可能である。 また,本学で実施されるシステム工学特別研究における実験装置として使用できる。市販の装置を使用するだけでなく,自らが機械を設計・作製することにより得られた経験は,他の研究を実施する際にも活かすことができる。 3.成果の学会発表等 (1)後藤啓光,明松圭昭,谷貴幸,平尾篤利,毛利尚武: 熱可塑性CFRPの加工に関する研究 - 超音波穿孔加工における部材強度低下 -,第13回生産加工・工作機械部門講演会,B19 (2)谷貴幸,後藤啓光,平尾篤利,毛利尚武:気中単発 放電加工による材料除去過程の観察 - 材料の違いが除去過程に及ぼす影響 -,第13回生産加工・工作機械部門講演会,B25 (3)後藤啓光,明松圭昭,谷貴幸,平尾篤利,毛利尚武: CFRPに対するコンデンサ放電加工の試み,電気加工学会全国大会(2019)講演論文集,pp37-38,(2019) (4)Yoshiaki Akematsu, Takayuki Tani, Hiromitsu Gotoh:Effect of Stress Fields on Acoustic Emission During Delayed Fracture of Glass, ICAMR 2020