国立大学法人筑波技術大学 National University Corporation Tsukuba University of Technology 文部科学省認定 教育関係共同利用拠点 障害者高等教育研究支援センター 教育アクセシビリティの向上を目指すリソース・シェアリング ~合理的配慮がなされた環境における高等教育修学の保証~ 「障害者高等教育拠点」事業 事業成果報告書 [平成27年度~令和元年度] ご挨拶 筑波技術大学は昭和 62 年(1987 年)に聴覚障害者、視覚障害者のための高等教育機関として設立されました。これまで本学の実践教育において培ってきた障害学生支援に関する知見は、本学の研究を通して社会に公開、還元してまいりました。 これらの知的・技術的リソースを活用して、全国の大学で学ぶ聴覚障害、視覚障害のある学生を受け入れている高等教育機関の支援に携わる横断的支援を行っております。また、本学では、高大連携およびリカレント教育を通した縦断的支援を行っており、これから大学進学を考える児童や生徒、また学び直しを望む社会人を含め、すべての聴覚、視覚障害者の学びを支えていくことが、本学の使命だと考えております。 本学が充実した横断的、縦断的支援を提供することにより、障害者自身のエンパワメントを高め、インクルーシブな社会環境整備を推進することのできる障害者の育成につながること、そしてさまざまな人々の能力が発揮される共生社会の実現に寄与することを祈念し、ご挨拶に代えさせていただきます。 令和2年3月 筑波技術大学長 石原 保志 目次 事業概要(平成 27 年度~令和元年度) 2 令和元年度の活動実績 3 事業概要(令和 2 年度~令和 6 年度) 5 活動報告 7 他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 8 キャリア発達支援 22 ろう者学教育コンテンツ 25 情報保障 28 視覚障害学生支援 39 体育・スポーツ 42 語学に関するアカデミック・アドバイスの提供 47 メールマガジン 51 プロジェクトコーナー(令和元年度) 52 メールマガジン掲載タイトル(平成 28 年 5 月創刊号~令和 2 年 2 月号)71 巻末資料(平成 27 年度~平成 30 年度の活動) 79 事業紹介パンフレット・リーフレット等 80 事業報告書 86 開催報告(本学 Web サイト「ニュース」掲載) 88 メディアへの掲載 91 動画コンテンツ 93 取組担当者一覧 95 平成 27 年度~令和元年度 教育関係共同利用拠点「障害者高等教育拠点」 教育アクセシビリティの向上を目指すリソース・シェアリング ~合理的配慮がなされた環境における高等教育修学の保証~  筑波技術大学(以下、本学)は、わが国で唯一の聴覚障害者と視覚障害者のための高等教育機関です。開学以降、聴覚や視覚に障害のある学生に対する様々な情報保障技術や教育プログラムの開発、教育方法の研究開発を行ってきました。これらの成果が認められ、平成 22 年に文部科学省から「教育関係共同利用拠点[障害者高等教育拠点]」として認定を受けました。  本事業は、本学がこれまで蓄積してきた指導・支援ノウハウを全国の高等教育機関に提供する取組であり、聴覚・視覚障害学生が在籍する大学等からの相談に対応するほか、障害特性に応じた教育コンテンツ・情報保障技術の提供、他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催、他大学で開催される各種講習会への講師派遣等を実施しております。  本事業の教育的リソースが活用されることにより、これから聴覚・視覚障害学生の支援を開始する大学等においても、情報授受のバリアのない修学環境の構築が促進されることで、全国の高等教育機関の教育アクセシビリティ向上の実現を目指します。 参考 Web サイト 文部科学省 教育関係共同利用拠点の認定について http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigakukan/1292089.htm 「障害者高等教育拠点」事業 4 本の柱 他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 聴覚・視覚障害学生支援に関する相談対応 指導・支援に関するリソース・ライブラリ 各種講習会への講師派遣 「FD/SD 研修会」の各回のテーマ、「指導・支援に関するリソース・ライブラリ」で作成するコンテンツのテーマ: ■キャリア発達支援 ■ろう者学 ■情報保障(聴覚障害関連) ■体育・スポーツ科目への支援 ■視覚障害学生支援 ■語学教育の指導・支援(聴覚障害関連) 令和元年度の活動実績 本事業の実績総数(利用者数・支援件数) ※各取組間実績の重複分を除いた数 (表) 利用 ●FD/SD 研修会参加者 ●広報(見学対応等) ●各種講習会開催への講師派遣 ●コンテンツ利用 ●支援技術提供 のべ利用人数 1,292 大学実数 179 支援 ●相談およびアドバイス のべ支援件数 50 大学実数 25 「障害者高等教育拠点」事業「四本の柱」の実績 (表) 各取組の実績一覧 (表) 各取組の実績のうち、大学等高等教育機関(本学を除く)を対象とした活動のみを記載する。 令和 2 年度~令和 6 年度 教育関係共同利用拠点「障害者高等教育拠点」事業 障害学生の修学支援の充実を目指すリソース・シェアリング ~持続可能な合理的配慮提供の推進に関する具体化支援事業~  平成 22 年度~平成 26 年度、平成 27 年度~令和元年度の 2 期の事業年度に実施した「障害者高等教育拠点」事業の活動を通して得られた知見を、3 期目である令和 2 年度~令和 6 年度の事業に反映し、他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催を通して提供してまいります。また、障害学生支援体制の維持や支援ノウハウの継承により、各大学の障害学生支援の構築を目指したアドバイスを行います。本事業の利活用により、全国の高等教育機関の障害学生支援においてさらなる質の拡大と向上を目指します。 参考 Web サイト 文部科学省 教育関係共同利用拠点の認定について http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/daigakukan/1292089.htm 【全体計画】 本事業では、以下の項目について重点的に取り組んでまいります。 (1)他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 (2)相談対応・各種講習会等への講師派遣 (3)情報提供・情報発信 【本事業で取り組む項目】 聴覚障害学生支援 1障害に配慮した教授法(外国語科目、体育・スポーツ科目) 2聴覚障害学(ろう者学) 3情報保障支援(支援学生の養成やコーディネートに関するアドバイス) 視覚障害学生支援 1障害に配慮した教授法(体育・スポーツ科目) 2支援機器の活用・教材作成 両障害共通 卒業後を見据えたキャリア発達支援 令和 2 年度~令和 6 年度 障害学生の修学支援の充実を目指すリソース・シェアリング ~持続可能な合理的配慮提供の推進に関する具体化支援事業~ (図) 活動報告 【活動報告】 ■各取組の大学等高等教育機関(本学除く)の利用または支援について記載する。 他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 1.取組の目的  本取組では全国の大学における障害学生指導・支援担当教職員を対象に、本事業および本センターで蓄積してきた聴覚・視覚障害学生の指導・支援に関するノウハウや情報を全国の大学に提供することを目的として、各種のFD/SD研修会を開催する。研修会の開催にあたっては、これまで本学を中心に構築してきた日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)、VISS-Net(※1)と連携して広く情報を共有し、本事業について周知と利用の促進を図ることで、全国の大学における聴覚・視覚障害学生の修学環境の向上に資することを目指す。  本事業は文科省より「大学の職員の組織的な研修等の実施機関(教育関係共同利用拠点)」として認定を受けており、他大学の教職員を対象としたFD/SD研修会の開催および講師派遣については、本事業の主たる取組となる。そのため、取組毎に他大学教職員を対象として実施した研修会や講習会、および他大学で開催された研修会等への講師派遣についても記載する。  また、本事業の周知と利用の促進を図る活動についても、本取組の一環として捉え、広報活動等についても本報告として記載する。 (※1) 本センター障害者支援研究部・支援交流領域が運営する「視覚障害学生支援メーリングリスト」。 2.活動報告 1)講師派遣 1他大学で開催された FD/SD 研修会等への講師派遣 2他大学で開催された講習会(支援学生等が対象)への講師派遣 3学会等における発表 2)広報活動 1平成 30 度事業報告書 Web 公開 2「障害者高等教育拠点」メールマガジンの配信 3パンフレット等配付 4事業 Web サイト更新 5展示ブースへの出展 3)教育関係共同利用拠点間ネットワークの活動 1情報共有・フォーラム開催等 2書籍出版 1)講師派遣 1 他大学で開催された FD/SD 研修会等への講師派遣  他大学で開催された障害学生支援、聴覚・視覚障害学生の修学支援に関する FD 研修会へ講師を派遣した。 (表) 開催月 大学名 研修会等のタイトル 5 月 多摩美術大学 「障がい学生への合理的配慮について」【教員対象】※障害学生支援を担当する部署の職員も参加 11 月 茨城キリスト教大学「聴覚障がいのある学生への情報保障と合理的配慮」【教員対象】※障害学生支援を担当する部署の職員も参加 (写真) FD 研修会の様子(多摩美術大学) 2 他大学で開催された講習会(支援学生等が対象)への講師派遣 学生を対象とした講習会への講師派遣についても、本取組報告へ記載する。 (表) 開催月 内容 4月 ■パソコンノートテイク講習会:[情報保障]3件 ■視覚障害者スポーツに関する講習会:[体育・スポーツ]1 件 6月 ■パソコンノートテイク講習会:[情報保障]1 件 7月 ■パソコンノートテイク講習会:[情報保障]1 件 ■視覚障害者スポーツに関する講義と実習:[体育・スポーツ]1 件 9月 ■パソコンノートテイク講習会:[情報保障]2 件 10月 ■パソコンノートテイク講習会:[情報保障]1 件 11月 ■パソコンノートテイクスキルアップ講習会:[情報保障]1 件 12月■パソコンノートテイク講習会:[情報保障]2 件 ■パソコンノートテイク関連企画イベント 「ノートテイクフェア」パネルディスカッション ファシリテーター:[情報保障]1 件 ■聴覚障害者の体育授業に関する講義:[体育・スポーツ]1 件 1月 ■パソコンノートテイク講習会:[情報保障]1 件 ■聴覚障害者の体育授業に関する講義:[体育・スポーツ]1 件 ■視覚障害者スポーツに関する講習会:[体育・スポーツ]1 件 3月 (予定) ■障害者スポーツに関する講習会:[体育・スポーツ]3 件 補足:新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、3 月に予定していた講習会を中止しました。(令和 2 年 3 月記載) ※[]内には本事業取組名を記載し、各取組報告にも記載する。 3 学会等における発表 本事業で実施した取組の実績を学会において発表した。 (表) 開催月 内容 9 月 ■「日本体育学会第 70 回大会」において本事業における活動・実践内容を発表: [体育・スポーツ] ※[]内には本事業取組名を記載し、各取組報告にも記載する。 2)広報活動  本事業の利用促進に向け、各取組について紹介することを目的として、下記の活動を行なった。 1平成 30 度事業報告書 Web 公開 平成 31 年 3 月に発行した「平成 30 年度事業報告書」を、本学の機関リポジトリ Web サイトにおいて閲覧・ダウンロードが可能な形で公開した。 本学機関リポジトリにて Web 公開している事業報告書 1、平成 22~26 年度事業報告書 http://hdl.handle.net/10460/1486 2、平成 27 年度事業報告書 http://hdl.handle.net/10460/1485 3、平成 28 年度事業報告書 http://hdl.handle.net/10460/1575 4、平成 29 年度事業報告書 http://hdl.handle.net/10460/1713 5、平成 30 年度事業報告書 http://hdl.handle.net/10460/1951 6、Let's Try Laptop Note-taking! http://hdl.handle.net/10460/1491 【各事業報告書の閲覧(ダウンロード)数】 ※左端番号は上記記載の各報告書番号を示す (表) 2「障害者高等教育拠点」メールマガジンの配信  高等教育機関および関連機関の教職員を対象に、本事業の活動や障害学生支援・指導に関するノウハウおよび最新情報を発信することを目的として、「『障害者高等教育拠点』メールマガジン」を毎月第三金曜日に配信した。  本メールマガジンについてはリーフレット等で登録を呼びかけ、登録希望の問い合わせに随時対応した(2020(令和 2)年 2 月末現在の登録者数:他大学教職員 324 名・167 大学、関連機関 13 名・11 機関、個人登録 13 名/合計 350 名)。  メールマガジンでは毎号、FD/SD 研修会や各取組が行なう講習会・イベント・ポスター発表等の告知および開催報告、また各取組で作成したコンテンツの紹介や活動報告等の情報を掲載した。また、毎号1取組の担当者が執筆を担当する「プロジェクトコーナー」では、活動紹介や支援・相談事例の紹介、ワンポイントアドバイス、関連情報等を掲載することで、より具体的に各取組の活動や関連情報、指導や支援方法のノウハウが提供できるよう努めた。  定期的な情報発信を行なうことで、コンテンツの利用問合せや、相談件数の増加など、各取組の利用の促進に繋げることができた。 【各号の概要】 (表) 配信日 内容 第 36 号 4月 19 日 1.平成 30 年度事業報告書の発行について 2.プロジェクトコーナー「聴覚障害者の聞こえと個人差」 須藤 正彦[語学教育]担当 第 37 号 5月 17 日 1.本事業の活動報告[研修会への講師派遣] 2.プロジェクトコーナー「ロービジョン者支援機器と情報」飯塚 潤一[視覚機器評価]担当 第 38 号 6月 21 日 1.【お知らせ】AHEAD JAPAN 第 5 回大会のポスター発表、 分科会について 2.プロジェクトコーナー「利用者の声のご紹介」 小森園 一樹[体育・スポーツ]担当 3.【ご案内】視覚障害者向け情報機器レンタルが開始 ~編集後記に変えて~ 第 39 号 7月 19 日 1.本学を柴山文部科学大臣が視察 2.【報告】AHEAD JAPAN 第5回大会 ポスター発表 3.【再掲】平成 30 年度事業報告書について 4.プロジェクトコーナー「学生による PC ノートテイクの自主勉強会」 宇都野 康子[情報保障]担当 第 40 号 8月 16 日 1.事業パンフレット送付のご案内 2.メールマガジン新規ご登録とご紹介のお願い 3.プロジェクトコーナー「視覚障害者の通学・学内移動」 宮城 愛美[視覚障害学生の修学支援]担当 (表) 配信日 内容 第 41 号 9月20日 1.「第 15 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」の開催について 2.【イベント紹介】「TOKYO みみカレッジ」 3.入学試験に関する障害学生支援への相談について 4.【再掲】平成 30 年度事業報告書について 5.プロジェクトコーナー「支援学生の卒業後‐キャリアに結びつく支援経験‐」宇都野 康子[キャリア発達支援]担当 第 42 号 10月18日 1.【活動報告】「第 45 回全国視覚障害者情報提供施設大会(栃木大会)」2.【再掲】「第 15 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」の開催について 3.プロジェクトコーナー「読書・スポーツ・芸術、食欲の秋、、、そしてろう者学の秋?!」(ろう者学関連イベントのご案内)小林 洋子[ろう者学]担当 第 43 号 11月15日 1.【活動報告】聴覚障害学生支援に関する相談対応、講師派遣 2.プロジェクトコーナー コンパクトな印刷物読取り装置」飯塚 潤一[視覚障害情報保障機器の評価]担当 第 44 号 12月20日 1.【活動報告】 2.プロジェクトコーナー「視覚障害者のスポーツとその工夫」香田 泰子[体育・スポーツ]担当 第 45 号 1月17日 1.ご挨拶 2.プロジェクトコーナー「パソコンノートテイク講習会の役割」宇都野 康子[情報保障]担当 第 46 号 2月21日 1.【活動報告】講演会「スポーツとキャリア発達」および「職場におけるコミュニケーションを考えるワークショップ」開催 2.メールマガジン配信の継続・新規登録および事業報告書の送付について 3.【支援者の声】(執筆:目黒 聖果(筑波大学 理工学群数学類 4 年))4.プロジェクトコーナー「障害学生の入学前相談」宇都野 康子[キャリア発達支援]担当 (表) 配信日 内容 第47号 3 月 19 日(配信予定) 1.新入障害学生の履修登録に関するアドバイスコーナー 2.令和 2 年度~令和 6 年度の「障害者高等教育拠点」事業のご案内 3.令和元年度事業報告書の発行・送付について 3 パンフレット等配付  本学から講師を派遣した講習会、および本学で開催された障害学生支援に関連する会議等の配付資料として、パンフレット等を配付した。また、障害学生支援に関連するシンポジウム等の展示ブースでも資料として配付した。 (表) 実施月 内容 5 月 ■他大学における FD 講習会(多摩美術大学) 事業パンフレット、事業ホームページ・メールマガジン案内配付数 150 部 6 月 ■「AHEAD JAPAN 第 5 回大会」ポスター発表会場 事業パンフレット、事業ホームページ・メールマガジン案内 配付数 80 部 7 月 ■全国高等教育機関の障害学生支援担当部局等へパンフレット送付(郵送) 1,253 大学・機関(各 2 部) 11 月 ■第 15 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 事業パンフレット、事業ホームページ案内・メールマガジン 配付数 450 部 11 月 ■他大学における FD 講習会(茨城キリスト教大学)事業パンフレット、事業ホームページ・メールマガジン案内 配付数 220 部 1 月 ■障害学生支援大学長連絡会議 事業パンフレット、事業ホームページ・メールマガジン案内 配付数 36部 ■講演会「スポーツとキャリア発達」、「職場におけるコミュニケーションを考えるワークショップ」事業パンフレット、FD/SD 研修会開催実績・令和 2 年度事業案内 配付数 55部 4 事業Webサイト更新 平成 30 年度事業報告書を本学リポジトリで Web 公開し、本事業ホームページにリンクさせた。また、「障害者高等教育拠点」メールマガジンに掲載したプロジェクトコーナーのコラムを事業 Web サイトに掲載した。 5 展示ブースへの出展 令和元年 11 月に行なわれた「第 15 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」 (PEPNet-Japan 主催)において、本学の活動を紹介するブースにポスターを展示した。 3)教育関係共同利用拠点間ネットワーク 1 情報共有・フォーラム開催等 平成 28 年 9 月に設立された「大学教育イノベーション日本」の活動として、加盟校同士の情報共有や、フォーラム開催等の活動を行なった。令和元年度は、第 4 回大学教育イノベーションフォーラム「世界で一番とんがった大学から、大学教育の当たり前を問い直す~ミネルヴァ大学が示唆するもの~」を芝浦工業大学芝浦キャンパスで開催した。 本団体は、国公私立の設置形態の区別なく、「文部科学省より教育関係共同利用拠点として認定を受けている大学」「大学等の教職員を対象とした FD/SD 研修を実施している機関・団体」で構成されている。大学の教職員の能力開発、カリキュラムや教育方法の開発等の促進のほか、加盟している組織間の相互連携、交流を目的としており、加盟組織は全国の国公私立 15 組織(14 組織(13 大学)、1 ネットワーク団体 ※令和 2 年 2 月末日現在)である。 本事業も教育関係共同利用拠点「障害者高等教育拠点」として文部科学省より認定を受けており、また「教職員の組織的な研修等の共同利用拠点」としても活動をしていることから、本団体に「障害者高等教育拠点」事業として加盟している。 大学教育イノベーション日本 ホームページ https://www.heij.jp/ 2 書籍出版 平成 28 年 11 月に東北大学と共催した障害学生教育・支援セミナー「障害学生の学修の保証とキャリア発達支援-授業等での合理的配慮と実践をどうすすめるか-」における発表をまとめた書籍が出版されることとなり、本事業の取組担当者が執筆を担当した(令和 2 年 3 月中旬出版予定)。 書籍名:高等教育ライブラリ 16 「共生社会へー大学における障害学生支援を考える-」(東北大学出版会) 「第 4 章 聴覚・視覚障害のある学生の支援」を担当 執筆者(取組名) 石原 保志(キャリア発達支援) 須藤 正彦(語学・アカデミックアドバイス) 天野 和彦・中島 幸則(体育・スポーツ) 宮城 愛美(視覚障害学生の修学支援) 宇都野 康子(情報保障) 3.活動成果と今後の展望 <活動成果> 他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催(平成 27 年度~令和元年度) 計 7 回開催、参加者数(延べ)482 名 (表) 開催年月日 FD/SD 研修会タイトル 参加人数 平成27年 7 月 24 日 「障害学生の入学後の支援、ゴールを見据えて」(上智大学共催) 66 名 平成27年 11 月 5 日 「第 5 回筑波障害学生支援研究会」(筑波大学共催) 136 名 平成28年 2 月 20 日 「語学教育のイコールアクセスを考える」38 名 平成27年度 計3回実施 平成28年 11月8日 「障害学生教育・支援セミナー『障害学生の学修の保証とキャリア 発達支援』」(東北大学共催) 49 名 平成28年 12 月 2 日 「大学等における障害学生のキャリア発達支援」(上智大学共催) 62 名 平成28年度 計2回実施 平成29年 8月29日 「大学等における障害学生支援~聴覚・視覚障害学生支援の事例に学ぶ~」(山形大学共催) 32 名 平成29年 9月9日 「聴覚障害学生の語学教育のイコールアクセスを考える」19 名 平成29年度 計2回実施 日本特殊教育学会における自主シンポジウム(企画・実施) 計 2 回実施 (表) 開催年月日 自主シンポジウムタイトル 平成29年 9月16日「大学等における障害学生のキャリア発達支援-聴覚・視覚障害学生を中心に-」 (日本特殊教育学会第 55 回大会) 平成30年 9月23日「大学等における障害学生のキャリア発達支援-障害学生の意思表明支援を中心に-」(日本特殊教育学会第 56 回大会) 他大学で開催された教職員を対象とした研修会等への講師派遣(平成 27 年度~令和元年度) 計 26 件 (表) 派遣年月日 大学名 研修会タイトル 平成 27 年 9 月 29 日 法政大学 「視覚障がい者スポーツ競技『ゴールボール』実技講習会」 平成27年 11 月 4 日 筑波大学 「障害学生に対する合理的配慮:障害者差別解消法の施行を前に~弱視学生を含む集団指導での配慮と工夫~」 平成28年 2 月 16 日 帝京大学 「聴覚障害者スポーツに関する講習ならびに本学学生とのスポーツ交流」 平成28年 3月8日 茨城キリスト教大学 「障害のある学生に対する教育支援の在り方~視覚障害学生への合理的配慮の提供を例に~」 平成 28 年 3 月 19 日 北陸体育学会 「障害学生の体育(授業)を考える」 平成27年度 計5回 平成28年 7 月 23 日 慶應義塾大学 「障害学生に対する体育授業での合理的配慮-聴覚・視覚障害学生への指導における配慮と工夫-」 平成 28 年 8 月 25 日 四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)主催「聴覚障害学生の主体性を引き出す支援-パソコンノートテイクの体験をとおして-」 平成 28 年 8 月 25 日 四国地区大学教職員能力開発ネットワーク(SPOD)主催「視覚障害学生支援の基礎-テキストデータ化の体験-」 平成 28 年 10 月 11 日 慶應義塾大学「体育・スポーツ活動における聴覚障害学生との関わり方」 平成28年 11 月1日 茨城キリスト教大学「聴覚障害学生の情報保障に関する FD 研修会」 平成 28 年 11 月 5 日 立教大学 「視覚しょうがい学生の外国語学習環境と支援の課題」 平成 29 年 2 月 16 日 二松學舍大学 「視覚障害学生の授業支援について」 平成28年度 計7回 平成29年 9 月 12 日 千葉大学アカデミック・リンクセンター主催 「学生の抱える困難の理解と支援」(ALPS 履修証明プログラム・公開講座として開講) 平成29年 11 月 29 日 千葉県私立大学学生支援研究協議会 「要支援学生対応についての研究部会」 (表) 派遣年月日 大学名 研修会タイトル 平成 29 年 11 月 30 日 大阪樟蔭女子大学 「障害学生の修学支援~聴覚障害学生に対する情報保障を中心に~」 平成 30 年 2月7日 目白大学 「聴覚障害学生支援に関する研修会」 平成30年 2 月 28 日 岐阜市立女子短期大学 「聴覚障害者への対応について」 平成30年 2 月 19 日 東京経済大学 「視覚障害学生に対する合理的配慮など基本的考え『視覚障害学生への授業支援について』」(FD 講演会) 平成30年 3 月 16 日 東京経済大学 「聴覚障がい学生・視覚障がい学生のための授業支援・学生生活支援」(学生支援・学習支援研修会) 平成 30 年 3 月 23 日 八州学園大学 「障害を持つ学生への対応~視覚障害を中心に~」 平成29年度 計8回 平成30年 6 月 19 日 東京経済大学 「特別講義『多様性社会における心理支援を学ぶ』の『障がいとともに生きる(2)視覚障がい』回」特別講義 平成30年 9 月 13 日 北里大学 「障害学生への合理的配慮と聴覚障害学生支援における情報保障」 平成 30 年 12 月 7 日 東京農業大学 「視覚障害学生の修学環境の整備と考え方」 平成 31 年 2 月 20 日 目白大学 「視覚障害学生への合理的配慮について」 平成30年度 計4回 令和元年 5月8日 多摩美術大学「障がい学生への合理的配慮について」 令和元年 11月19日 茨城キリスト教大学「聴覚障がいのある学生への情報保障と合理的配慮」 令和元年度 計 2 回 他大学で開催された学生を対象とした研修会等への講師派遣(平成 27 年度~令和元年度) 計 107 件 (表) 年度 研修会の内容 件数 平成 27 年度 パソコンノートテイク講習会、アダプテッド・スポーツ研修、等 18件 平成 28 年度 パソコンノートテイク講習会、パラスポーツ(ゴールボール)体験会、等 25件 平成 29 年度 パソコンノートテイク講習会、視覚障害者スポーツに関する講義 と実習、等 23件 平成 30 年度 パソコンノートテイク講習会、聴覚障害者スポーツ体験会、等 20件 令和元年度 パソコンノートテイク講習会、視覚障害者スポーツに関する講義 と実習、等 21件 平成 27 年度~令和元年度 計 107 件 各事業報告書の閲覧(ダウンロード)数 (表)  平成 27 年度から令和元年度で、他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会を計 7 回開催した(参加延べ人数 482 名)。本事業が主催する FD/SD 研修会では、事例報告・パネルディスカッションのほか、参加者との情報交換等を目的としたプログラムとなるように企画した。情報交換会では各回のパネリストを含めた登壇者、参加者、運営スタッフの交流の場となったことで、FD/SD 研修会後の相談対応や情報共有、講師派遣依頼につながった。平成 29 年 8 月に山形大学との共催で開催した FD/SD 研修会「大学等における障害学生支援~聴覚・視覚障害学生支援の事例に学ぶ~」では、総論として障害学生支援の学内連携の重要性や聴覚・視覚障害学生に対する情報保障について解説したほか、聴覚・視覚障害それぞれの疑似体験を通して、情報授受のバリアのない修学環境の整備や障害学生支援体制の充実に向けて大学教職員が身につけておくべき考え方やスキルについて学ぶワークショップを実施した。ワークショップでは参加者を 2 グループに分け、各回 60 分程度の講座を 2 回実施することで、参加者全員に1聴覚障害学生支援ワークショップ、2視覚障害学生支援ワークショップに参加いただくことができた。ワークショップでは、聴覚障害・視覚障害の障害特性に関する解説のほか、情報保障の手段や支援機器の活用事例等を紹介した。参加者は 32 名で、各グループは比較的少人数で構成したため、ワークショップ中は講師からきめ細かなフォローやアドバイスができた。  また、他大学で開催される FD 研修会等へ講師を計 26 回派遣した。前述した通り、FD/SD 研修会の参加者からの派遣依頼が多かったが、本事業ホームページの問い合わせフォームから依頼につながることもあった。本事業から派遣した講師は講演時間の前後に、研修会等を企画した担当部署の職員や障害学生支援に携わる教職員との意見交換の時間を設け、障害学生支援にかかる個別の相談に対応したほか、他大学の事例の紹介とアドバイスを行なった。研修会の内容としては「障害学生に対する合理的配慮について」のように概論を扱うことも多かったが、平成 28 年度以降は聴覚障害や視覚障害のある学生に対する配慮や支援に関する講演を依頼される機会も多くなった。障害者差別法が施行されて以降、在籍している障害学生の支援に大学として取り組んでいることがうかがえる。  本事業で運営している「障害者高等教育拠点」メールマガジンを平成 28 年 5 月から開始した。登録者数は、令和 2 年 2 月末日現在で他大学教職員 324 名・167 大学、関連機関 13 名・11 機関、個人登録 13 名(合計 350 名)である。メールマガジンでは、本事業が主催する FD/SD 研修会のほか、本学が主催するシンポジウムなどの案内を行なった。また、毎号には障害学生・者支援等に広く関心を持ってもらうことを目的として、本事業各取組の中から毎号 1 取組にスポットを当て、担当者から活動報告や支援・相談対応事例の紹介、ワンポイントアドバイスなどを「プロジェクトコーナー」として毎号に投稿している。これまで本事業で開催してきた FD/SD 研修会の参加者を中心に登録・配信を行なってきたが、平成 29 年度以降は障害学生支援を担当する部署の情報共有等を目的として、部署の共有アドレスへ配信先を変更したいとの依頼を複数大学から受け付けた。また、新規登録希望の問い合わせも多かったことから、事業パンフレットと共に配付した事業ホームページ案内やメールマガジン案内リーフレットの効果があったと考えられる。  また、広報活動の一環として、令和元年 7 月に本事業のパンフレットを全国の高等教育機関に 2 部ずつ発送を行なった。障害学生支援を担当する部署に送付するとともに、オープンキャンパスや入学試験等で聴覚・視覚障害のある受験生に対応する入試を担当する部署への共有を依頼した。 <今後の展望>  本取組の 5 年間の活動として、他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会を開催、他大学で開催される FD/SD 研修会等への講師派遣、また学生を対象としたパソコンノートテイク講習会、障害者スポーツ講習会への講師派遣を行なった。他大学の教職員を対象としたFD/SD 研修会後のアンケート結果では「障害学生支援の土台となる重要な内容について、ポイントを押さえて説明していただき、とても分かりやすかった」「支援の方法を具体的に知ることが出来てよかった」という意見も多く見られ、概ね好評を得ることができた。一方で、「他大学の取組や事例を紹介してほしい」という意見の他に「障害学生に対する災害時の対応方法を学べる機会があるとよい」「窓口対応のあり方について学ぶ・考える機会があるといい」という具体的な意見・要望も見られたため、次年度以降の FD/SD 研修会のテーマとして検討する。  令和 2 年度以降の事業においては聴覚・視覚障害学生に対する支援方法のほか、授業での配慮等を扱う研修会を企画・実施する。また、平成 27 年度~令和元年度の事業においては、関東圏以外の県での開催は平成 29 年度の山形大学のみであったため、令和 2 年度以降の事業ではこれまでの FD/SD 研修会終了後アンケート等の回答で得られた意見を参考に、今後の FD/SD 研修会の開催地・開催時期・プログラム等を検討する。  本事業で運営している「障害者高等教育拠点」メールマガジンの内容については、これまでと同様に本事業が主催するイベントの案内や開催報告のほか、読者のニーズに応じて拡充を図っていく予定である。  また、事業パンフレットの作成・配布や本事業 Web サイトの充実、各ネットワーク等のメーリングリスト等の活用など、引き続き広報活動を積極的に行なうことで、事業の周知・利用の促進を図る。 執筆者:宇都野 康子、橋本 万里菜 キャリア発達支援 1.取組の目的 卒業後を見据えた障害学生のキャリア発達支援について、主にFD/SD研修会や講習会の開催等をとおして具体的なノウハウを各機関へ提供するとともに、他大学の事例等を共有する。また、社会からのニーズを考慮し、障害特性に応じた社会的スキル習得を含め、大学としてのキャリア教育・支援のあり方について情報共有を図る。併せて、他大学で障害学生の修学支援・就職支援に関わる教職員からの相談に対応する。 2.活動報告 令和元年度は本取組のみでの主立った活動を行なうことができなかったが、本事業から他大学で開催される FD 研修会等へ講師を派遣した際の講演等において、障害学生のキャリア教育の考え方を講演内容に盛り込んだ。キャリア教育とは、就職支援だけにとどまらず、生涯を見据えた学校から社会や職場への移行を教育段階で意識する必要があること、障害学生へ提供する修学支援の場面においても社会生活を目標場面とした支援が可能であることを扱うことで、参加した教職員へ日常の支援がキャリア教育につながることについて解説を行なった。 また、他大学に在籍する聴覚障害学生から、本学で行なっている就職支援に関する問い合わせおよび相談に対応した。 3.活動成果と今後の展望 <活動成果> 平成 27 年度および 28 年度は上智大学との共催により、他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会を開催した。 平成 27 年度は研修会のタイトルを「障害学生の入学後の支援、ゴールを見据えて」とした。前半に実施したパネルディスカッションでは、本学の教員 2 名と障害学生の就職支援を担当している機関の有識者の 3 名から本学における就職・キャリア形成に関する指導や支援の事例、障害者雇用に関する社会的背景やニーズについての話題提供を行なった。後半では卒業後を見据えたキャリア発達支援のあり方について、参加者からの質問を交えた意見交換を行なった。 平成 28 年度のテーマは「大学等でのキャリア発達支援」とした。大学の役割として求められるキャリア形成と就労、大学から社会への移行支援に関する障害学生支援の視点と解説を交えた「障害学生のキャリア発達支援」をテーマとした基調講演のほか、他大学の障害学生支援を担当している教員を含めた 5 名で話題提供とパネルディスカッションを行なった。パネルディスカッションでは、障害学生が特に大学在籍中に身につけるべき能力・スキルの獲得に向けた大学からの働きかけについて事例を交えた話題提供がなされた。本研修会では、参加者の現在の障害学生支援に関する課題を把握するため、事前質問を行ない、回答をパネリストで共有した。これらの回答により、事前質問で多く挙げられた課題の参考となり得る事例を扱うなど、参加者のニーズに即した研修会になるよう努めた。 【事前質問】 (1)障害学生の就職・キャリア支援に関する課題や質問等 (2)障害学生支援(全般)における現在の課題・関心等 (3)障害学生支援および就職・キャリア支援に関する学内間連携の有無、連携がある場合は部署名 各研修会では情報交換の時間を設けた。前半はパネリストがファシリテーターを担当するグループに分かれて課題の共有を行ない、共通する課題に対してファシリテーターから事例の紹介やアドバイスなどを行なった。また後半はパネリストを含む参加者全体で自由に情報交換を行なった。 写真:FD/SD 研修会 会場の様子 (写真)  平成 29 年度および 30 年度は、「障害特性に応じた社会的スキル習得を含めた大学としてのキャリア教育・支援のあり方」をテーマとして、日本特殊教育学会の自主シンポジウムを企画・実施した。平成 29 年度は、企画趣旨の説明後に 4 名のパネリスト(本学教職員)から本学における実践事例、他大学からの相談事例から修学、就職活動等の各場面における発達的課題の働きかけや間接的体験の具体例について話題提供を行なった。指定討論として、障害者雇用の調査研究を行なっている有識者より、大学卒業後の社会生活を見据えた上で障害者の職場環境の実態、キャリア発達の観点から課題が提起された。参加者からは聴覚障害学生の情報保障活用スキル等に関する質問も挙がり、活発な意見交換がなされた。  平成 30 年度は、企画趣旨の説明後に 3 名のパネリストから視覚障害学生の意思表明支援、聴覚障害学生への指導、パソコンノートテイクを通した事例、3 件の話題提供の後、企業の人的資源管理の視点で障害学生のキャリア発達支援に関する指定討論者からの話題提供を行なった。その後、フロアから質問を受け付けると共に、ディスカッションを行なった。フロアからは学内のキャリア支援部門と障害学生支援部門との連携に課題があることなどが示され、今後の本取組に関する示唆が得られた。 <今後の展望>  本取組は他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催、日本特殊教育学会の自主シンポジウムを企画・実施したほか、他大学の教職員から障害学生の就職に関する相談、障害学生自身からの相談等に対応してきた。  平成 27 年度および 28 年度に実施した FD/SD 研修会のアンケート結果では、「教育の観点からの研修会で役に立った」「卒業後の社会生活を見据えた支援の重要性を知ることができた」など、研修会の内容を評価するコメントが見られた。これらのアンケート結果やコメント、日本特殊教育学会における話題提供等を通して、本取組で目的としている社会からのニーズを考慮し、障害特性に応じた社会的スキルを障害学生自身がどのように習得していくか、大学がどのように指導・支援を行なっていくかについて、本学が蓄積してきたノウハウの提供と、他大学との情報共有の方法について考える機会となった。  障害学生のキャリア支援については、就職相談に限定されることではなく、修学支援や日々の学生生活における指導や支援の場においても培われる。障害学生の教育や指導、支援に携わる教職員が、障害特性を理解すること、障害学生本人の意思を尊重すること、そしてそれらを卒業後の自立を見据えた教育的な観点で指導、支援を行なう必要性について、今後開催する FD/SD 研修会のテーマとして扱っていく。また、他大学で開催される障害学生支援に関する研修会における講演等で扱うことで、障害学生支援の充実につながるよう、啓発に努めたい。また、これまでに対応してきた障害学生の就職や修学支援に関する様々な相談を、提供したアドバイスを含めて蓄積するほか、相談対応を通して得られた課題を今後の相談対応にフィードバックしていく。これにより、障害学生一人ひとりに対して、生涯を見据えた大学から社会への移行支援が可能となるようなサポート、相談対応を行なっていく。 執筆者:石原 保志(※)、宇都野 康子 ※本取組を平成 27 年度~平成 31 年度に担当 ろう者学教育コンテンツ 1.取組の目的  聴覚障害学生を対象とするエンパワメント指導としても非常に重要な学問である「ろう者学」の教育コンテンツの充実・強化を図るとともに、キャリア発達支援に係る学内プロジェクトと合同で全国の高等教育機関において聴覚障害学生にキャリア指導を行う教職員が利用できる教材を開発し、本学での試用による改善作業を経て、電子ライブラリを通して各機関とのリソース・シェアリングの可能な環境を整えることを目標とする。 2.活動報告 令和元年度に行った活動は以下の通りである。 1.ウェブサイトへの自立活動指導案の追加  新しい自立活動指導案 10 件をウェブサイトに追加した。内訳は ICT、コミュニティ、スポーツ、芸術、歴史の各分野 2 件ずつである。自立活動指導案の利用については新たに鹿児島聾学校、福島県立聴覚支援学校、日本社会事業大学から利用申請があり、相談対応した上でアカウントを発行した。 <令和 2 年 2 月 13 日現在の利用状況> 高等教育機関:日本社会事業大学特別支援学校:大分県立ろう学校・北海道札幌聾学校・愛媛県立松山聾学校・北海道高等聾学校・栃木県立聾学校(高等部)・長崎県立ろう学校(高等部)・京都府立聾学校(高等部)・宮崎県立都城さくら聴覚特別支援学校(中学部)・豊橋市立石巻中学校(特別支援学級)・新潟聾学校(中学部)・鹿児島県立鹿児島聾学校(高等部)・福島県立聴覚支援学校(小学部) 2.他大学の聴覚障害学生を対象とした研修会の開催 1「TOKYO みみカレッジ」におけるワークショップの開催 令和元年 11 月 17 日に首都大学東京で開催された「TOKYO みみカレッジ(東京都主催)」にて「手話言語 de ことば遊び」ワークショップを開催した。43 名の参加者(他、子供の保護者付き添い 1 名)を対象に、ろう者学教育コンテンツを活かしたプログラムを展開した。 2「ろう者学講座」の開催 令和元年 12 月 4 日に同志社大学社会学科との共催で、同志社大学今出川キャンパスにて、関西地域に住む聴覚障害学生等 26 名を対象とした「ろう者学講座」を開催した。ろう者学教育コンテンツを活用する形で、「情報保障とコミュニケーション保障」及び「きこえない人とライフキャリア」の講義を行い、一般の大学で聴覚障害学生がコミュニケーションとキャリアにおける課題と向き合う機会を提供した。 (写真) 「TOKYO みみカレッジ」におけるワークショップの様子 (写真) 「ろう者学講座」の様子 3.本学におけるろう者学ランチトークの開催を通したネットワークの拡充  ろう者学の啓発、聴覚障害学生に必要なロールモデルの検討、そして活躍している社会人などと本学学生が交流する機会を設けること、得られた成果を HP にアップして他大学の学生にも参考にしてもらえることを目的としてろう者学ランチトークを定期的に開催した。 第1回 講師の都合で中止 第 2 回 5 月 9 日(水) スニタ・タパ氏「ネパールのろう者社会」 第 3 回 6 月 10 日(月) 川端伸哉氏「ゲイ・アイデンティティとしての自分」 第4回 講師の都合で中止 第 5 回 7 月 11 日(木) 岡田聡氏「企業の技術者と手話活動者の二足の草鞋」 第 6 回 7 月 18 日(木) 石田祐貴氏「研究を通して捉える私の「これまで」と「これから」」 第 7 回 11 月 14 日(木) 藤木和子氏「聞こえない弟と一緒に育った SODA の弁護士として」 第 8 回 11 月 26 日(火) 松森果林氏「きこえる世界ときこえない世界をユニバーサルデザインでつなぐ〜東京ディズニーランドから空港まで〜」 第 9 回 12 月 17 日(火) 佐藤涼太郎氏「ろう者は接客業不向きってウソ?ホント?」 第 10 回 12 月 23 日(月) Louise Applegate 氏「アメリカにおける文化から学ぶこと」 第 11 回 1 月 22 日(水) 岡本祥吾氏「宇宙用電子部品に関して−難聴者の社会参加–」 第 12 回 1 月 23 日(木) 松田崚氏「弁護士になるまで&弁護士として」 3.活動成果と今後の展望 <活動成果>  平成 27 年度は前事業で開発した電子ライブラリの整備・メンテナンスを行い、必要に応じてリソース(動画等)を制作・追加した。また、学内の他プロジェクトと合同で聴覚障害者のキャリア発達支援に関する教材リソースの検討を行い、平成 28 年度においてこれらのリソースを活用する研修会の実施、及び学生指導モデル案のウェブサイト公開の取り組みを展開した。あわせて、本学におけるランチトーク等の実施によって得たネットワークを活かしてのキャリアインタビューのウェブサイト公開も始めた。平成 29、30、令和元年度は、学生指導モデル案(指導略案・教材・参考文献のセット)のさらなる拡充と新しいウェブサイトの公開、利用促進に力を入れた。  これらの具体的な成果は次の通りである。(アクセス数は計上を開始した平成 29 年 4 月 から令和 2 年 2 月までの3年間の合計) ・「ろう者学」のウェブサイト公開を続けた。(トップページへのアクセス数合計 42,503 件) ・聾学校(聴覚特別支援学校)を対象とした自立活動の学習指導モデル案 33 件、「デフコミュニティと社会参加」授業の指導案 9 件、通訳養成講座等の指導モデル案 9 個、合計 51 件をウェブサイトにアップした。(アクセス数合計 17,558 件) ・キャリアインタビュー4 件をウェブサイトにアップした。(アクセス数合計 7,258 件) ・デフリンピック金メダリストへのインタビュ−2 件をウェブサイトにアップした。(アクセス数合計 3,441 件) ・自立活動案の利用申し込みは高等教育機関 5 校。聴覚特別支援学校 12 校。 ・ろう者学及び手話言語に関係するテーマの講座・ワークショップ合計 12 件を実施した。(報告へのアクセス数合計 7,974 件) ・ろう者学ランチトークを合計 41 回開催した。(報告へのアクセス数合計 24,327 件) <今後の展望>  「ろう者学」の言葉が聴覚障害学生の在籍する高等教育機関及び特別支援学校にかなり浸透し、聴覚特別支援学校の自立活動授業や高等教育機関の学生支援に活用される例が増加してきた現在、次に目指すべきは、コンテンツのさらなる充実と活用しやすさの推進、そしてこれらコンテンツを利用しての指導案の増強にある。前者については、本学でコンテンツを制作することに加えて、障害者放送通信機構などが作成したコンテンツを全国の高等教育機関で利用できる仕組みを作ることが必要であり、その具体的な方法について障害者放送通信機構と協議を進めているところである。後者については、今までの取り組みにおいて指導案の作成に協力していただいた関係者のネットワークを形成し、それぞれが作成する指導案を逐次ウェブサイトに掲載する手順を確立する必要があり、これらの取組がろう者学教育コンテンツのウェブサイトの拡充を牽引する。  筑波技術大学では令和2年度の新カリキュラムでキャリア教育の分野を設けて、聴覚障害学生が社会参加を実現するに必要なキャリア教育科目を整備した。ろう者学教育コンテンツは聴覚障害学生のキャリア教育に不可欠な教材となるため、本学における活用と工夫が他の高等教育機関及び準備機関としての特別支援学校でも活用できる形を今後も目指していく。 執筆者:大杉 豊・小林 洋子 情報保障 1.取組の目的  近年、高等教育機関に進学する聴覚障害者数は増加傾向にある。平成17年度から実施されている日本学生支援機構の「障害のある学生の修学支援に関する実態調査」によると、平成30年度の調査では全国の高等教育機関582校に1,901人の聴覚障害学生が在籍していることが報告されている。そのうち、半数近くの高等教育機関で文字による情報保障支援が行なわれている(日本学生支援機構:平成30年度大学、短期大学および高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書)。また、聴覚障害以外の障害学生支援としても文字による支援が実施されていることが報告されており、今後もニーズが高まることが予想される。  聴覚障害学生が受講する講義では、ほかの学生と同等の情報を受け取ることができるように情報保障が行なわれる。情報保障とは、場を共有するすべての人が「同時に・同質の・同量の」情報を得て、その場に参加できるようにするための活動のことをいう。聴覚障害学生に対する情報保障のうち、多くの大学で用いられているのが手書きのノートテイクもしくはパソコンを用いて行なわれるパソコンノートテイク(以下、「PCノートテイク」)である。PCノートテイクとは、パソコンを用いて教員の発話内容を入力し、聴覚障害学生に提示する方法である。  本取組では、聴覚障害学生支援の体制の充実を目指し、他大学で開催されたPCノートテイク講習会や研修会への講師派遣を行なう。講習会では、PCノートテイクを基礎から学び、聴覚障害学生のサポートができる支援スキルをもつ学生の養成を目的としてカリキュラムの作成を行なう。  本取組では、PCノートテイクに関わらず、聴覚障害学生の修学支援に関する相談に対応する。PCノートテイクの導入に関するハード、ソフト両面からのアドバイスを提供するほか、新年度に入学する予定の聴覚障害学生の受け入れに伴う相談に対応する。 2.活動報告 1)他大学における PC ノートテイク講習会等の講師担当および相談対応 1 他大学における PC ノートテイク講習会等の講師 2 PC ノートテイク・スキルアップ講習会の講師担当 3 PC ノートテイクに関するイベントのファシリテーター担当 4 PC ノートテイク導入、聴覚障害学生支援に関する相談対応 5 遠隔情報保障実施に関する相談対応 1)他大学における PC ノートテイク講習会等の講師担当および相談対応 1 他大学における PC ノートテイク講習会等の講師 担当:宇都野 他大学からの依頼に応じて、PC ノートテイクで支援を行なう学生を養成する目的で開催された PC ノートテイク講習会の講師を担当した。指導を実施するにあたり、依頼のあった大学の担当者と実施時間や回数、受講者情報(初心者のみ or 経験者が含まれる、等)、受講後の活動に合わせてカリキュラムを検討・作成した。PC ノートテイク講習会への講師派遣の際には、講習会の時間や開催校で準備可能な機材を確認した。講習会終了後の活動目標等についてヒアリングを行なった。PC ノートテイク講習会実施の際には、基本的に本事業からノートパソコンや周辺機器(LAN ケーブル、スイッチングハブ、電源タップ等)を貸与した。 講習会の内容は、なるべく実施時間内で PC ノートテイクの活動に必要となる基礎的な技術を習得できるように指導案を作成し、講習会前に担当者と確認を行なうこととした。また、すでに PC ノートテイク等の支援活動をしている学生が受講した場合には、支援の場で難しいと感じたことなどを講習会内でヒアリングし、アドバイスを行なった。講習会の場には、手書きノートテイクや PC ノートテイクを利用している学生(聴覚障害学生)に可能な限り同席を依頼し、情報保障の必要性について話してもらう時間を設けた。PC ノートテイク等の情報保障を利用する聴覚障害学生から発表してもらうことで、受講生の情報保障や支援に対する意識の向上を目指した。 受講生が多い講習会では 2 名のペアを 2 組・計 4 名(A ペア、B ペア)のグループを作り、利用者体験の時間を設けた。まず、使用するソフトウェア「IPtalk」でA ペアと B ペアが同じグループに入り、A ペアが入力している様子は B ペアの受講生それぞれのノートパソコンで表示されるように設定する。B ペアは音声教材が聞こえない状態(各自のノートパソコンにインストールしたホワイトノイズを聞く)で、A ペアが入力している字幕から情報を取得する利用者体験を実施した(図 1)。これにより、情報保障(字幕に提示される内容やタイミング、一度に提示される文字の量など)に関して、PC ノートテイクの利用体験の機会とした。「講師が何かを話しているが、字幕に情報が提示されない」という体験をとおして、受講生からは「いかに速く字幕に情報を伝えるか」の必要性、そのためにはどのようなことを意識して入力すべきかについて理解してもらうことができた。 図1:利用者体験を取り入れた4人グループの例 (図)  初心者を対象とした PC ノートテイク講習会には、すでに支援活動をしている学生にアシスタントとして参加を依頼した。講習会の中では利用学生への情報保障、PC 操作のフォロー等を担うほか、受講生の入力についてコメントをもらった。また、PC ノートテイクの活動について説明をする時間を設け、自身が支援活動を始めたきっかけや PC ノートテイクを始めた頃の様子、活動を通して得られた体験などについて発表してもらった。これにより、受講生が PC テイクの活動に興味を持ち、その後の支援活動につながっている状況が多く見られた。 (写真) PC ノートテイク講習会の様子 2 PC ノートテイク・スキルアップ講習会の講師担当 担当:宇都野  支援回数(担当するコマ数)が増え、IPtalk を使用した連係入力に慣れてきた学生を対象とした講習会へ講師を派遣した。当該大学の職員をとおして、事前に受講予定の支援学生に「スキルアップ講習会で扱ってほしいこと」のヒアリングを依頼したところ、連係入力についてアドバイスが欲しいという声が多かった。このため、スキルアップ講習会では映像教材を使用し、スクリーンに映像、教室のスピーカーから音声を出力しながら、1 つのペアに連係入力をしてもらった。入力するペア以外の受講生は、1音が聞こえる状態で映像と字幕を見る、2ノイズを聞きながら映像と字幕を見るペアに分かれた。映像教材を視聴しながら 10 分程度の連係入力を行ない、その様子をビデオカメラで撮影した(図 2)。入力直後に、入力者の振り返り、字幕を見ていた受講生のコメントなどを記入させた。入力者の振り返りを行なった後、全員で連係入力の様子を見ながら、連係入力のタイミングやペアに入力のつまずき(変換ミスや聞き落とし)が生じた場合のフォローの方法などについてアドバイスを行なった。スキルアップ講習会では可能な限り、受講生全員がペアになって連係入力ができるように、講習会内で組み合わせの変更を行なった。これにより、経験が長いペアのスムーズな連係入力を見てもらうことができた。また、経験の長い支援学生と経験が浅い支援学生との組み合わせではフォローの仕方についてアドバイスを行ない、経験が浅い支援学生同士のペアでは話速に入力が追いつかない場合の要約や文末処理の方法についてアドバイスを行なった。  また、本スキルアップ講習会では、パワーポイントなどを使用した授業の支援についても説明を行なった。入力に集中するあまりにすべての情報を入力してしまうことも多いが、提示されている資料への視覚誘導を行なうほうが利用学生の視線移動の負担が少ない。これらを説明しながら、視覚誘導の表示方法等についても扱い、利用する学生の「字幕を見続けることへの配慮」に関する解説を行なった。スキルアップ講習会では、講習会を受講することで授業等における支援に活用できるスキルが習得できる内容になるように心がけた。 (図) 図2:利用者体験を取り入れた 6 人グループの例(ビデオ撮影あり) (写真) スキルアップ講習会の様子 3 PC ノートテイクに関するイベントのファシリテーター担当 担当:宇都野  PC ノートテイクの活動を学内に周知する、また新たな支援学生の募集を目的として開催された PC ノートテイクに関するイベントにおいて、ファシリテーターを担当した。第 1 部では、手話を含めた一切の言語の使用を禁止した非言語コミュニケーションの体感型ワークショップが行なわれた。第1部のワークショップを受けて、第 2 部では PC ノートテイク等の情報保障を利用している聴覚障害学生、PC ノートテイカーの計7名をパネリストとしたパネルディスカッションが行なわれた。パネルディスカッションのテーマは「コミュニケーション」として、利用学生、PC ノートテイカーそれぞれの立場で考えるコミュニケーションについて意見を聞きながら、パネルディスカッションを進行した。 (写真) PC ノートテイクに関するイベントのパネルディスカッションの様子 4 PC ノートテイク導入、聴覚障害学生支援に関する相談対応 担当:宇都野  平成 30 年度に引き続き、PC ノートテイクを初めて導入する大学へ、講習会の開催や支援学生の募集、基本的な必要機材等に関する相談対応を行なった。また、現在は PC ノートテイク等の支援は利用していない聴覚障害学生が進級によりグループワークを行なう授業を履修する可能性があるとのことで、PC ノートテイク、手書きノートテイク等の文字による情報保障支援の利用に関する相談に対応した。関係する教職員間の情報共有を目的として、相談の場には聴覚障害学生、障害学生支援に携わる教員および職員、聴覚障害学生が在籍する学科の担当教員が同席した。自身が補聴器等から取得できている情報と比較してもらうために、その場で話されている内容を PC ノートテイクで情報保障を行なったほか、PC ノートテイクの実施方法について他大学の事例について紹介を行なった。 5 遠隔情報保障実施に関する相談対応 担当:宇都野  複数のキャンパスがある大学の場合、全てのキャンパスに PC ノートテイカーがいるとは限らないため、キャンパス間の遠隔情報保障実施を検討する大学も増えてきた。遠隔情報保障が円滑にスタートできるように、遠隔情報保障を実施するためのシステムを紹介したほか、必要な機材や学内の担当者(情報システム等の部署)との連携についてアドバイスを行なった。また、遠隔情報保障の支援方法を学ぶ研修会実施の際には、必要な機材を貸与した。 令和元年度 他大学における PC ノートテイク講習会等への講師派遣実績 (13 件、受講生のべ 179 名、6 大学) (表) 実施日 参加者等 備考 1 平成31年4月 受講者20名 2 平成31年4月 受講者12名 1 と同大学 3 平成31年4月 受講者17名 利用学生 1 名参加 4 令和元年6月 受講者20名 3 と同大学 5 令和元年7月 受講者9名 1コマ×2回 6 令和元年9月 受講者5名 7 令和元年9月 受講者30名 8 令和元年 10 月 受講生26名 利用学生 1 名参加 9 令和元年 11 月 受講生 5 名 利用学生 1 名参加 スキルアップ講習会 3、4 と同大学 10 令和元年 12 月 受講生6名 5 と同大学 1 コマ×2 回 11 令和元年 12 月 参加者 20 名 利用学生 2 名参加、ノートテイクフェア・パネルディスカッション、3、 4、9 と同大学 12 令和元年 12 月 受講生6名 3、4、9、11 と同大学 13 令和 2 年 1 月 受講生3名 利用学生 1 名参加 3、4、9、11、12 と同大学 3.活動成果と今後の展望 <活動成果> 【PC ノートテイク講習会等への講師派遣】 本取組では、聴覚障害学生支援の体制の充実を目指し、他大学で開催されたPCノートテイク講習会や研修会への講師派遣を行なった。 他大学における PC ノートテイク講習会等への講師派遣実績(平成 27 年度~令和元年度) (計 68 件、参加者のべ 755 名) (表)      大学数(実数) 派遣件数 受講人数(延べ) 平成27年度 7大学 15件 180 名 平成28年度 7大学 15件 151 名 平成29年度 7大学 15件 154 名 平成30年度 4大学 10件  91 名 令和元年度 6大学 13件 179 名       合計 68 件 755 名 ※令和元年度の実績は令和2年2月末日現在で記載 PCノートテイク講習会前に依頼のあった大学の担当者にヒアリングを行ない、講習会後の目標に合わせたスキルの習得を目指してカリキュラムを作成した。PCノートテイク講習会の実施にあたってはPCノートテイクを基礎から学び、聴覚障害学生のサポートができる支援スキルをもつ学生の養成を目的としている大学が多い。しかし、近年では聴覚障害学生の入学を想定した支援体制の構築を目的としてPCノートテイク講習会等を開催する大学も増えてきた。PCノートテイクを含めた情報保障支援を担える支援学生の養成には一定の期間を要する。しかし、実際にPCノートテイクを利用する聴覚障害学生が在籍していない状況では、支援学生の募集やPCノートテイクに関する体制の維持が難しい。そのため、ボランティア系のサークル(公認・非公認ともに)で活動している学生へ講習会参加を呼びかけた大学もあった。 PCノートテイクの講習会の進行については、受講生のスキルに合わせて柔軟に対応した。講習会ではソフトウェアIPtalkの機能や入力方法のほか、話し言葉の特徴、話し言葉と書き言葉の違いなどを扱った。講習会の講師派遣に関する相談の際に伝えているため、講習会の時間として2コマでPCノートテイク講習会を実施する大学が多かった。一方で、受講を希望する学生の状況により、2コマ連続での受講が難しい大学があった。しかし、連係入力を到達目標とした場合、1コマのみでは十分な知識を得ることが難しい。そのため、講習会前に指定する教材(DVD)で学習を行なった上での受講を条件とした。これにより、1コマの講習会の際には基礎的な知識については資料を配付するのみとし、講習会の時間を実技・連係入力の時間に充てることができた。当該大学では、昨年度まで2コマ連続の講習会を実施していたが、前半の1コマのみ受講する学生、後半の1コマのみ受講する学生がおり、受講生の入れ替わりが多かった。2コマ連続で講習会の時間を設けているものの、実際には後半から受講する学生のために復習の時間を設ける必要がある回もあった。しかし、令和元年度は、PCノートテイクのコーディネートを担当している支援室からの相談を受け、受講前の学習を必須にするなどの条件を設けた上ではあるが、講習会を1 コマ×2回(同日に実施)とすることにより、受講する学生が参加しやすくなったと感じた。当該大学で毎年度実施されるPCノートテイク講習会の講師を担当しているため、支援室からの相談により講師から提案をするという連携が図れたことにより、受講を希望する学生が参加しやすい講習会の開催につながったと考えている。 また、初心者を対象としたPCノートテイク講習会には、すでに支援活動をしている学生にアシスタントとして参加を依頼し、自身が支援活動を始めたきっかけやPCノートテイクを始めた頃の様子、活動をとおして感じたことなどについて発表してもらう時間を設けている。これにより受講生がPCテイクの活動に興味を持ち、その後の支援活動につながる状況が多く見られる。しかし、支援学生がPCノートテイク講習会の時間に参加してもらうことが難しい回があったため、支援室を通して、アシスタントとして参加した際に発表する時と同じ内容を受講生へのメッセージとしてとりまとめを依頼した。支援学生からのメッセージは講習会内で紹介を行なった。 PCノートテイク講習会の実技の時間においては、可能であれば途中で組み合わせを変更して、なるべく多くの学生とのペアを経験させるようにした。PCのタイピングスキルが高い受講生同士をペアにする、タイピングがあまり得意ではない受講生は講師とペアになるなど、いずれにしても連係入力による成功体験を得られるような時間を設けた。講習会を受講したのちに支援活動を開始すると、様々なスキルの支援学生とペアになる可能性があることから、実際の支援活動を見据え、講習会の中で組み合わせを変更した。一人入力・連係入力のいずれにおいても、必ずコメントし、次の入力時に注意すべきポイントや課題を与え、よりよいPCノートテイクとなるように指導を行なった。 PCノートテイク講習会後のアンケート結果は、概ね好評を得ることができた。受講生からの感想には、「効率のよい入力方法などを知ることができた」「楽しみながら、学ぶことができた」「ノートテイクとPCノートテイクで共通する点とPCノートテイクならではのテクニックがあり、学べることが多かった」「講習会の雰囲気もとても明るく楽しかった」等のコメントがあった。  スキルアップ講習会では、現在支援活動を行なっている学生の意見の反映させた内容とするため、担当者と相談の上で内容を決定した。初心者向けの講習会では扱わないソフトウェアIPtalkの便利な機能、グループワーク等におけるPCノートテイクによる支援方法、連係入力のフィードバックやアドバイスなどに対応した。 【他大学で開催されたFD/SD研修会等への講師派遣】 他大学で開催された FD/SD 研修会等への講師派遣実績(平成 27 年度~令和元年度) (計4件) (表) 派遣年月日 大学名 研修会タイトル 平成 28 年 8 月 25 日 四国地区大学教職員 能力開発ネットワー ク(SPOD)主催 「聴覚障害学生の主体性を引き出す支援-パソコンノートテイクの体験をとおして-」 平成 28 年11 月 1 日 茨城キリスト教大学 「聴覚障害学生の情報保障に関する FD 研修会」 平成 30 年2月7日 目白大学 「聴覚障害学生支援に関する研修会」 平成 30 年2 月 28 日 岐阜市立女子短期大学 「聴覚障害者への対応について」  聴覚障害学生に対する支援および授業時の配慮に関するFD研修会へ講師を派遣した。FD 研修会前に、在籍する聴覚障害学生との面談の時間を設け、コミュニケーション方法について確認を行なった回もあった。研修会では、一方向の講演のみではなく、手書きノートテイクやPCノートテイクを体験する時間を設けた回もあった。また、依頼先の職員から聴覚障害学生を初めて受け入れる学科について「授業の中でのグループディスカッションが多いこと」「学外実習(フィールドワーク)が多いこと」などを事前に聴取し、他大学の事例等を含め、授業時の配慮や支援方法の決定プロセスについて説明を行なった。 【聴覚障害学生支援に関する相談対応と他大学支援】 本取組では、PCノートテイクに関わらず、聴覚障害学生の修学支援に関する相談に対応した。PCノートテイクの導入に関するハード、ソフト両面からのアドバイスを提供するほか、入学予定の聴覚障害学生の受け入れに伴う相談、学期の途中で情報保障が必要である旨を申し出てきた学生の対応に関する相談(ノートテイク講習会等の開催に関する相談を含む)等に対応した。本取組で対応できる相談も多かったが、PCノートテイク等の情報保障支援を利用することに消極的な学生の対応については、本事業のキャリア発達支援の担当者と連携を図り、アドバイスを行なった。  そのほか、キャンパス間の遠隔情報保障実施を検討する大学の相談に対応した。遠隔情報保障が円滑にスタートできるように、必要な機材や学内の担当者(情報システム等の部署)との連携についてアドバイスを行なうとともに、当該大学における関係者の打ち合わせに同席し、システム運用にかかるネットワーク環境について説明を行なった。また、遠隔情報保障を学ぶ講習会実施にあたり、タブレット等の必要機材を貸与した。  また、聴覚障害学生の支援として PC ノートテイクを実施しているが、支援学生が配置できない科目がある大学に対して、本学天久保キャンパスから遠隔情報保障システムを用いてパソコン文字通訳を行なった。このケースでは、教職課程科目の 1 科目に対応した。教室には支援学生 1 名を配置することとして、授業開始前にはマイクの確認、授業中には提示されている資料について本学天久保キャンパス内で入力している支援者に連絡するように依頼した(本学天久保キャンパスにおいて入力を行なった情報保障者に対しては、当該大学から規定の謝金が支払われた)。 【その他(学内におけるPCノートテイカー養成とスキルアップを目指した活動)】 本取組では、平成27年度~平成29年度までに計8講座を開講し、本学でPCノートテイクを行なう人材を養成した。本学で非常勤講師が担当する授業へ情報保障支援として、平成 27年度は10講義・123コマ、平成28年度は10講義・123コマ、平成29年度は9講義・108コマを担当した。研究所の見学等のため、遠隔情報保障を各年度とも5コマずつ実施した。PC ノートテイカーの支援の振り返りとしてメーリングリスト等を活用し、入力時の課題の抽出のほか、トラブルシューティングの共有を行なった。  本学で養成講座を開講することにより得られた課題等を、本取組の主な目的である全国の高等教育機関において開催されるPCノートテイク講習会等のカリキュラムに反映させることで、短時間の講座でも受講生が効率よく習得できるような教材作成を行なった。 平成30年度に、本事業で養成した情報保障者で任意団体を設立した。 <今後の展望>  本取組では、PC ノートテイク講習会等および他大学で開催される FD/SD 研修会への講師派遣、聴覚障害学生支援に関する相談対応と他大学支援、聴覚障害学生に対する支援技術の提供、支援方法に関するアドバイスを行なった。  他大学で開催される PC ノートテイク講習会では、当該大学が受講生に対するアンケートを行なっていた場合には、講習会後にアンケート結果をフィードバックとして提供いただいた。大学によっては講習会の難易度や講習会を開催する時期・曜日・時間等、講習会の開催を知った経緯を回答するほか、自由記述の欄を設けていた。PC ノートテイク講習会の講師を担当する際には、アンケートを行なった大学以外からの依頼であっても、講習会の難易度、自由記述に記載されたコメントを参考としてカリキュラムやタイムスケジュールを検討した。しかし、大学によってはアンケートを行なわない大学もあったため、本取組で担当した PC ノートテイク講習会に関する受講学生の評価が得にくいと感じた。今後は、本取組で質問項目2~3 項目程度を検討した上で、各大学で回答を得たい項目を自由に加筆ができる形式で作成し、PC ノートテイク講習会を開催する大学にアンケート実施について依頼する。また、受講学生だけではなく、担当した教職員に対して依頼するアンケートについても今後検討を行なう。  これまで本取組ではスキルアップ講習会を定期的に実施している大学への講師派遣に対応してきたが、初心者向け講習会で得た知識やスキルで支援活動を行なっている支援学生も少なくない。もちろん支援活動の中で支援経験が長い学生と支援を担当することで得られるノウハウやスキルもあるが、本取組が これまで初心者向け講習会やスキルアップ講習会へ講師を派遣してきた中で得られた入力時のつまずき、連係入力、文末の処理の方法等に関する課題等を抽出し、それらを解決できるような映像教材コンテンツの内容について検討を行なう。  PC ノートテイク導入等を含む聴覚障害学生の修学支援に関する相談のうち、聴覚障害学生への働きかけについては、本事業の「キャリア発達支援」と連携して対応した。また、1 年次の必修である英語と初修外国語の授業における PC ノートテイク・手書きノートテイクの支援に関する相談には、本事業の「語学・アカデミックアドバイス」の取組と連携し相談に対応した。今後も本取組で蓄積してきたノウハウを提供すると共に、本事業の他の取組と連携して取り組む。 執筆者:宇都野 康子 視覚障害学生の修学支援 1.取組の目的  本取組は、視覚障害学生の支援に関する相談全般に対応することにより、視覚障害学生を受け入れている他大学等に対する支援を行なう。大学間ネットワークを充実させるために、各大学における視覚障害学生支援の状況を把握し、また、支援の技術や考え方を発信することにより、本学を介した大学間の連携構築を図る。 2.活動報告 1)視覚障害学生の修学に関する相談対応  全国の大学から修学に関する各種の相談(教材作成、授業・学習、進学・受け入れ、支援機器、バリアフリー、その他に関する)を受け、メール、電話、来訪、往訪による対応を行なった。  相談件数(令和 2 年 2 月末現在)は、15 大学・機関から計 23 件あったが、昨年度の同じ時期の相談件数(43 件)と比較して減少した。その理由は、本取組担当者が年度後半に事情により不在となったためと考えられる。不在の間もメールによる相談対応は継続して行われていたものの、研修会講師等、学外における情報発信の活動が減少したことに伴って、相談を受ける機会も減ったことが原因と推測される。このことから、相談対応は受け身になりがちな活動ではあるが、積極的な情報発信が活動実績に繋がると考えられるため、今後も、より多くの視覚障害学生の支援のニーズに応えられるように、本取組の体制構築も含め、活動計画の見直しを検討していきたい。今年度の相談対応の内訳を以下に示す。 ■教材作成(8 件) 中途失明、色覚障害の学生向けの教材に関する問い合わせがあり、参考情報を提供した。また、例年、一定数の語学に関する相談があるが、今年度もロシア語、ギリシャ語の点訳に関する人材や機器に関する相談があった。 ■支援機器(5 件) 重複障害の学生や大学院生の支援に使用する機器の相談があった。また、学生が点字ディスプレイの購入を希望しているが自治体で日常生活用具給付金事業の対象に認められない、との話があり貸与した事例もあった。 ■授業、学習(4 件) 全盲学生の教職課程の履修や、実験の対応について、問い合わせがあった。 ■支援体制(2 件) 視覚障害学生の受け入れ時の体制や予算、継続可能な支援について相談があった。 ■進学・受け入れ(1 件) 来年度の視覚障害学生の受け入れについて、機材や学内設備の準備について相談があった。 ■啓発(1 件) 入学後の視覚障害学生の授業に関する教職員向けの研修会について相談があった。 ■バリアフリー(1 件) 視覚障害者誘導用道路横断帯(エスコートゾーン)敷設に関する相談があった。 ■その他(1 件) 視覚障害学生の支援のための人材について問い合わせがあった。 2)視覚障害学生の支援に関する FD/SD 研修会への講師派遣  昨年度、視覚障害学生が入学予定の大学から受け入れ準備に関する相談を受けたが、同大学から引き続き、教職員向けの研修会を実施することになり講師選定の相談があったため、紹介を行った。また、視覚障害学生の支援に関連して、企画、講演を行った内容を以下に示す。 ・全国高等教育障害学生支援協議会(AHEAD JAPAN)第 5 回大会においてポスター発表「視覚障害者の高等教育における現状と課題に関する一考察 ―筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター主催の講演会・勉強会から―」(平成 30 年 6 月 29 日) ・全国高等教育障害学生支援協議会(AHEAD JAPAN)第 5 回大会において分科会「図書館の障害者サービスにおける著作権法とテキストデータ提供について」企画(平成 30 年 6 月 30 日) ・第 45 回全国視覚障害者情報提供施設大会(栃木大会)においてシンポジウム「サピエの将来像を展望する」(第 1 分科会)発表(令和元年 10 月 3 日) 3.活動成果と今後の展望 1)活動成果  今期の活動は、障害者差別解消法の施行の前年度となる平成 27 年度から開始したが、その年度から視覚障害学生の在籍経験が無い大学からの問い合わせが増え始め、機器・設備の整備、学内バリアフリー整備など、各種の相談対応の件数が平成 28 年度には前年度の 1.5 倍以上となった。その後、毎年、教職員向けの啓発に関する研修会への講師派遣が一定数あり、支援に関する大学の活動がハード面の整備だけでなく、人的な体制構築へと変化してきたと考えられる。 (表) 2)今後の展望  前項で述べた障害者差別解消法の施行以外にも、近年、視覚障害学生支援のキーワードである学習資料の作成に関連して国内で社会的に大きな動きがあった。マラケシュ条約の締結に続き、著作権法の改正(第 37 条)、読書バリアフリー法の施行と、視覚障害者の図書利用を改善するための法制度が整備されたことである。  これら法律の下で障害学生の受け入れと支援が「当たり前」のこととして対応されるようになり、視覚障害者の入学が決まった大学では学修環境が整備され、組織的な支援が行われるようになった。同時に、支援の現場では、教職員への啓発、学習資料や支援機器に関する情報など、これまで以上に修学支援に関する情報が求められるようになってきたため、本取組においても、これらの動きに対応して、相談対応の体制および情報発信の方法について改善を検討していきたい。 執筆者: 宮城 愛美 体育・スポーツ 1.取組の目的  全国の高等教育機関に在籍する聴覚・視覚障害学生の体育・スポーツ活動に関する教育支援の充実に資することを目的とする。  上記の目的を達するため,以下の4項目に重点を置いて事業を展開する。 1)聴覚・視覚障害学生(者)の体育・スポーツ活動に関する情報の収集および提供 2)聴覚・視覚障害者スポーツに関する講習会の開催および講師派遣 3)聴覚・視覚障害学生の体育授業に関する相談・助言・支援 4)アダプテッド・スポーツ実践の場の提供 2.活動報告 ※平成 31年 4 月 1 日~令和2年 2 月27日現在 利用件数・利用述べ人数・大学実数:5 件・237 名・5 大学 支援件数・大学実数 :3 件 1)聴覚・視覚障害学生(者)の体育・スポーツ活動に関する情報の収集および提供 (表) 日時 対象・件数 内容 通年 全国の大学体育教員・障害学生支援担当職員など 聴覚障害者スポーツDVD「トップアスリートを目指して~聴覚障がい者スポーツの紹介」、視覚障害者スポーツ DVD「広がる、世界へ!~視覚障害者スポーツの紹介」の送付 【担当:香田・天野・中島・向後・小森園】 9月10日~12日 日本体育学会 日本体育学会第 70 回大会において拠点事業の実践内容を学会発表 【担当:香田・天野・中島・小森園】 2)聴覚・視覚障害者スポーツに関する講習会の開催および講師派遣 (表) 4月22日 筑波大学 (17名・1大学) 筑波大学体育専門学群ならびに筑波大学大学院人間総合科学研究科開講授業のアダプテッド体育・スポーツ学演習Iでの視覚障害者スポーツに関する講習会への講師派遣テーマ:視覚障害者のある人がスポーツをする上で必要なアダプテッドについて考える【担当:天野・小森園】 7月9日 中央学院大学 (20名・1大学) 中央学院大学法学部のライフスポーツ論での視覚障害者スポーツに関する講習会への講師派遣 テーマ:視覚障害者スポーツからアダプテッドを考える【担当:天野・小森園・中島】 12月24日 了徳寺大学 (76名・1大学) 了徳寺大学柔道整復・トレーナー学科の学生に聴覚障害者の体育授業に関する講義への講師派遣 テーマ:聴覚障害者スポーツ【担当:中島】 1月7日 帝京科学大学 (46名・1大学) 帝京科学大学教育人間科学部の学生に聴覚障害者の体育授業に関する講義への講師派遣テーマ:聴覚障害者スポーツ【担当:中島】 1月9日 流通経済大学 (78名・1大学) 流通経済大学スポーツコミュニケーション学科のグローカルスポーツ演習での視覚障害者スポーツに関する講習会への講師派遣 テーマ:視覚障害者スポーツを通じたコミュニケーション【担当:香田・天野・小森園】 3)聴覚・視覚障害学生の体育授業に関する相談・助言・支援 (表) 4月2日 長崎純心大学 3月29日拠点HPに全盲学生の入学決定に伴う支援についての相談(宮城・天野が担当)問い合わせがあり、メール・電話でのコンタクトおよびDVD送付で対応した。【担当:天野】 通年 筑波技術大学天久保キャンパス 本学産業技術学部「健康・スポーツC・D」において、聴覚過敏等により、特別なサポートの必要な学生の授業支援 【担当:小森園】 10月~現在 筑波技術大学天久保キャンパス 本学産業技術学部「健康・スポーツC・D」において、神経系疾患により、跛行のある学生の授業支援 【担当:小森園】 4)アダプテッド・スポーツ実践の場の提供 (表) 日時 対象・件数 内容 通年 筑波技術大学 本取組の実施・運営にも携わる立場として、技術補佐員(アダプテッド・スポーツ推進担当)を任用した。 3.活動成果と今後の展望 事業計画に基づき、以下の項目に従って報告する。 1)聴覚・視覚障害学生(者)の体育・スポーツ活動に関する情報の収集および提供  聴覚・視覚障害者スポーツに関する情報の収集、提供、発信を行った。前期事業から継続した情報の提供として、前期事業で制作した映像資料(写真1)である、聴覚障害者スポーツ DVD「トップアスリートを目指して~聴覚障がい者スポーツの紹介」ならびに、視覚障害者スポーツDVD「広がる、世界へ!~視覚障害者スポーツの紹介~」を全国の大学体育教員や、障害学生支援に携わる教職員等を対象に希望に応じて配付した。 (写真) (写真1:配付の映像資料(DVD)の表紙)  作成当初に比較して提供枚数は少なくなってきたものの、その有用性・汎用性は高く、聴覚・視覚障害者スポーツの紹介や認知向上について意義な役割を果たしている。掲載情報のリニューアルやインターネット配信などのより活用しやすい媒体での提供も検討したいと考えている。また、情報の発信として、体育や障害者スポーツ関係の学会において、本取組の紹介と利用事例の報告を目的とした発表を実施し、その有効性の発信を行った。 2)聴覚・視覚障害者スポーツに関する講習会の開催および講師派遣  聴覚・視覚障害者スポーツに関する講習会の開催や講師派遣として、大学体育教員を対象としたFD研修会への講師派遣、将来の指導者や支援者となる体育や教育、福祉、医療などを専攻する学生を対象とした障害者スポーツに関する講習、一般の大学教職員や学生を対象とした聴覚・視覚障害者スポーツ体験を目的とした講習会等の開催ならびに講師派遣を実施した(写真 2)。 (写真) (写真2:講習会の様子)  将来の教育や福祉を担い障害者と関わる可能性がある学部学生にもその対象範囲を広げ、また、依頼元大学の授業内での開催など柔軟な対応を展開してきたことにより、単回での講習依頼のみならず、定期的な講習会としての依頼も届くようになってきた。このことは、本取組による一定の効果が認められたものと思われる。講習会の対象を学生に広げていることにより、授業担当教員への直接的な啓発という本来のFD研修会としての成果にも繋がっているものと考えられる。 3)聴覚・視覚障害学生の体育授業に関する相談・助言・支援  体育授業の相談・助言として依頼元大学の障害学生支援体制、体育授業の内容や指導体制・体育施設に合わせた支援方法の提案、新年度に障害学生の入学を予定している大学での支援体制構築や、聴覚・視覚障害者に対する運動指導時における一般的な配慮に関する相談と助言の実施を計画した。  聴覚・視覚障害学生に対する体育授業支援の一般的な事柄の提供に加え、依頼元の事情・状況に応じた支援を共に考え提案するというアプローチで臨んでおり、その場に適した支援方法などに関する即応性の高い情報を提供できたことで、依頼元からは肯定的な評価が得られたものと自負している。 4)アダプテッド・スポーツ実践の場の提供  本取組の実施・運営にも携わる立場として、特任研究員(アダプテッド・スポーツコーディネーター)や技術補佐員(アダプテッド・スポーツ推進担当)を任用した。両者は本取組の実施・運営に携わり、本学での授業や他大学での事業、各種イベントへの参加により、聴覚・視覚障害者スポーツを中心としたアダプテッド・スポーツ実践・実習を通して、この分野の資質向上を図った。  両者とも年度進行とともに、本取組の実施・運営にも深く携わるようになり、この分野における知識や経験を積み重ねることで、聴覚・視覚障害者スポーツの実践に必要な能力の向上に繋がった。  本取組の実施により得られた効果・評価を振り返り、あらためてその必要性・重要性を認識している。次期においても、基本的にはこれまでの取組にそった内容を計画・実施していく考えである。一方で、各大学が障害学生に対する教育支援を自立かつ持続して実施できることを目指すという観点も加え、これまでの取組に関する成果・課題の詳細な見直しに努め、取組内容の検討および実施に臨みたいと考えている。 執筆者:香田 泰子、中島 幸則、天野 和彦、向後 佑香、小森園 一樹 語学に関するアカデミック・アドバイスの提供 1.取組の目的  本取組では全国の一般大学や高等専門学校等で学ぶ聴覚障害学生が外国語学習において直面する困難を軽減、支援するために、本事業および本学障害者高等教育研究支援センターで蓄積してきた外国語指導・支援に関するノウハウや情報を全国の大学の学生本人や指導者・支援者に提供することを目的としている。  これまで「字幕付き TOEIC 試験対策講座」や留学に関する「留学準備 Web 講座」の作成、指導者や支援者に対して FD/SD 研修会を開催した。近年、実用英語検定試験や TOEIC 等の結果を入学資格や単位認定する大学が増え、障害への配慮(聴覚障害者に対してはリスニングテストの免除や字幕によるテスト等)がなされつつある。しかし、入学後の語学や指導・評価(特に会話やディスカッション等)は課題が多く、当教育関係共同利用拠点事業では、語学指導に関する相談に対応しつつ、学生本人には聴覚障害学生が多く学ぶ世界の大学、留学に必要な情報を提供している。 2.活動報告 令和元年度 (1)聴覚障害英語教育研究会とシンポジウムを共催し、e-ラーニングの可能性、その有効性について実演を交えて講演を行うとともに、英語民間試験機関、公益財団法人の講師を交えて大学入試改革に伴う英語民間試験導入時の障害者特別措置について参加者間で情報交換、討論した。 (写真) 写真 1. 英語学習における e-ラーニング環境、実例、利用状況を解説(8/24) (2)「聴覚障害障害者対応 TOEIC TEST 対策講座(33 講座)」の一部を HTML 版に移植して利便性を高めた。講座は e ラーニング形式、Adobe Flash 規格ながら、当規格が 2020 年サポート終了のため現主流規格である HTML5 版に変更した。データ通信量の軽減、セキュリティーの強化、タブレット PC 利用、機能面でのユーザビリティが向上し、利用者から好評を得た。 (写真) 写真2.聴覚障害者対応 TOEIC TEST 対策講座解説一例 (3)実用英語検定試験や TOEIC 受験予定の受験生に対して、受験上の配慮事項や申請に関する助言・指導を行った。1月 26 日に実用英語検定一次試験を本学にて実施した(受験者 2級1名、準2級2名)。今年度も一般校に在籍する難聴生の受験相談を受けた。語学アカデミックアドバイスとして、指導法、障害特性に応じた学習方法、代替科目、評価法、留学、教員免許取得などの質問や相談に対応した。 3.活動成果と今後の展望  平成 28 年 2 月 20 日、本共同利用拠点の筑波技術大学で「語学のイコールアクセスを考える -聴覚障害学生の語学授業の担当教員および支援者の視点から—」と題して、英語、フランス語の授業を担当する 3 名の講師、聞こえない大学生や中高生に英語を指導する聴覚障害当事者、英語による英語学習を支援する講師によるシンポジウムを主催し、各講師の授業での視覚的伝達の工夫や配慮、情報保障の実践と課題が浮き彫りにされた。パネルディスカッションやフロアとの質疑応答で全国の高等教育での指導者や支援者に有益な情報をもたらすとともに人的ネットワークづくりに貢献した。これが契機となり、次年度の他機関でのシンポジウム開催となった。  平成 28 年 11 月 8 日、東北大学高度教養教育・学生支援機構との共催で「高等教育機関における障害学生の学修の保証とキャリア教育発達支援-授業等での合理的配慮と実践をどうすすめるか—」と題したシンポジウムを東北大学川内北キャンパスで開催したところ、東北地区の教職員から多くの参加者を得て、「授業環境の整備、障害学生の体育授業の配慮、精神障害のある学生の配慮と相談支援、障害学生の発達的課題と支援、聴覚障害学生の語学授業の配慮」について情報提供、討論した。情報伝達の工夫や配慮、情報保障法が平易に解説され、その際に提供された情報は東北大学出版会より出版された(詳細については本報告書「他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催」の章に掲載)。  平成 29 年 9 月 9 日、「聴覚障害学生の語学教育のイコールアクセスを考える」と題したシンポジウムを筑波大学東京キャンパス文京校舎で開催し、関東の大学を中心に全国の大学の教職員や学生、多くの参加者を得て、「英語必修科目、第二外国語の授業状況(ディスカッション科目中心)、聴覚障害学生への語学授業の支援、英語科目における合理的配慮と課題、盲ろう者の英語学習の可能性」の発表があり、支援の情報交換をしながら指導者・当事者・支援者間で議論を深めることができた。個々の支援、配慮事項は様々であり、受講生と指導者、支援者間の事前相談は課題解決や軽減に不可欠である。また支援者として既履修者・母国語話者・留学生等の活用、聴覚を活用する受講者には近年の補聴援助システムの有効利用が期待できる。 (写真) 写真 3.「聴覚障害学生の語学教育のイコールアクセスを考える」参加者と発表者 (平成 29 年 9 月 9 日)  シンポジウムやワークショップを通じて、聴覚に障害のある学生が語学の時間に受講法やその評価に関して不利益を得ることがないよう今後も情報集約、情報発信を行う。また大学入試改革に伴う英語民間試験導入に関する障害者特別措置についての関係省庁からの問い合わせにも対応できる体制を整えたい。  現在、医学診断書と試験機関の申請書に記載して提出することでリスニング/スピーキングが免除となる試験、リスニングはテロップ表示、スピーキングは筆談など各民間機関の受験配慮や対応は様々である。評価を示す CEFR(Common European Framework of Reference、ヨーロッパ言語共通参照枠)の段階別表示は多様な背景で算出されており、CEFR の段階別表示統一の可能性の見極め、聴覚に障害のある受講生の 4 技能(リスニング・リーディング・スピーキング・ライティング)測定の意義について再考しつつ、授業における支援、障害に応じた学習法・障害補償などの質問や相談に対応していきたい。 執筆者: 須藤 正彦 メールマガジン 【メールマガジン】 ※「障害者高等教育拠点」メールマガジンで連載した「プロジェクトコーナー」・「活動報告等」を取組毎に転載しています。 (令和元年 4 月・第 36 号~令和 2 年 2 月・第 46 号掲載分) ■「プロジェクトコーナー」テーマ:各取組の活動紹介、指導・支援の事例紹介、取組内容に関連した情報、等 プロジェクトコーナー(令和元年度) キャリア発達支援 【執筆:宇都野 康子、2019(令和元)年 9 月号】 「支援学生の卒業後‐キャリアに結びつく支援経験‐」  本事業の【情報保障】の取組では、他大学で開催されるパソコンノートテイク講習会等への講師派遣を行っています。講師を担当した中に、5 年ほど年に数回、講習会の講師を担当している大学があります。こちらの卒業生(聴覚障害学生、支援学生ともに)と、今でも交流があります。  先日、大学在籍時にパソコンノートテイクの支援活動をしていた 2019 年 3 月に卒業した社会人一年生にお会いする機会がありましたので、支援活動から得られた経験や知識が、社会人になって活かされていることがあるかどうか、伺いました。  それぞれ就職した業種が異なる 3 名の方にお話を伺いました。このうち、現在は接客を担当している方が勤務する店舗に聴覚障害の方が来店された際、聴覚障害があることにすぐ気づくことができて、かつ紙とペンを用意して筆談を始めたところ、とても喜んでいただいたそうです。また、別の方は会議の議事録係になったそうです。話されている言葉を箇条書きで要約する作業は、ノートテイクの経験がなければ、最初はとまどっていたかもしれない、とおっしゃっていました。もうお一方は、現在文章を書くお仕事に就いています。支援活動から得られた話の要点をつかむ力、簡潔で正確な文章表現などの筆記能力が非常に役立っているとのことでした。  支援の活動だけではなく、大学生活を通して得られたことが多くあると思いますが、特に聴覚障害学生のために支援をする中では、「人に伝えること」「コミュニケーション」を考える機会が多かったのだと思います。  2018 年 4 月より法定雇用率が引き上げられたことに伴い、今後は障害のある方と共に働く機会もあると思います。大学で支援に携わることによって、障害の有無に関わらない他者への接し方、寄り添い方を学び、またコミュニケーションスキルを培った学生たちが社会で活動することで、誰もが働きやすい環境になっていくことを期待しています。 【執筆:宇都野 康子、2020(令和 2)年 2 月号】 「障害学生の入学前相談」  年度末のこの時期、次年度に入学する予定の障害のある高校生に対して個別相談の機会を設ける大学が多いと思います。障害のある入学予定者と保護者、入学する学部の教員や担任教員、障害学生支援を担当する部署の職員が一堂に会して実施される機会があると思います。  こういった場は、障害のある入学予定者の学生生活におけるキャリア発達を考慮して、支援に向けた相談の場にすることが必要だと考えています。ここでいう「キャリア」とは、進路指導や就職支援のみではなく、社会人・職業人としての自立や生涯を見据えた「ライフキャリア」の観点で用いています。  入学前相談の場では、入学後の修学環境を整備する、あるいは入学後の配慮に関するヒアリングはもちろん必要です。ですが、その場が大学生活における最初の意思表明の場になることは間違いありません。学生生活の主役(主体)は学生(入学予定者)自身です。学生の考えやニーズ、あるいはこれまでの学習歴や支援を受けてきた経歴などを十分に聞き、支援のメニューを検討することが必要だと思います。さらに、キャリア発達支援の観点を加えるとすれば、卒業後の社会人としての生活やキャリアを見据えた支援も必要になるケースがあると考えます。  入学前の相談の際には、入学直後の支援を相談する場にするだけではなく、支援の見直しの際のニーズの表明や4年間の学生生活を含めた先々のことも考え、可能であれば本人から自身の障害や必要としている支援について話す時間を設けるとよいでしょう。 ろう者学教育コンテンツ 【執筆:小林 洋子、2019(令和元)年 10 月号】 「読書・スポーツ・芸術、食欲の秋、、、そしてろう者学の秋?!」 (ろう者学関連イベントのご案内)  秋といえば、読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋などがありますね。今回は、「ろう者学」に関するイベントのお知らせです。  「ろう者学」は、きこえない人が自分自身の障害を受け止め、言語と文化に支えられて前向きな生き方を実現するのに役立てる学問でもあり、きこえる人に啓発する学問でもあります。 ●11 月 17 日(日)『手話言語 de ことば遊び』ワークショップ(首都大学東京南大沢キャンパス)  学生参加型ワークショップ。オリンピック・パラリンピック出場国の国旗の色とデザインを手話で表現し、正解を当てる「フラッグ争奪戦」や「手話単語の解剖」など、手を使ってことばを伝え合う手話言語の楽しさや奥深さを体験していただきます。 (参考 URL:http://tokyo-mimicollege.com) ●12 月 4 日(木)『ろう者学講座』(同志社大学今出川キャンパス)  きこえない学生を中心に、きこえる学生や教職員、社会人を対象とした講座です。前半は「情報保障とコミュニケーション保障」を題材に、宿泊施設の情報アクセシビリティの現状と課題を例に取り上げ、きこえない人にとって必要な 2 つの保障を考えていただきます。後半は「きこえない人とライフキャリア」を題材に、きこえない先輩が仕事や家庭生活、地域社会との関わり合いなどを通して経験するライフイベントの事例を取り上げながら自分に合ったライフキャリアについて考えていただきます。 (参考 URL:https://www.deafstudies.jp/info/news0149.html)  近年、特に 2020 年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決まって以降、「多様性(ダイバーシティ)」という概念がここ数年急速に浸透してきています。障害の有無、性別、国籍、年齢などで変わる多様な価値観を受け入れようという動きが、至るところで見られるようになってきています。  みなさんも、「ろう者学」を通してきこえない人の言語と文化を学び、価値観が自分と異なっても謙虚に受け入れる共生社会のあり方を考えてみませんか。 情報保障 【執筆:宇都野 康子、2019(令和元)年 7 月号】 「学生による PC ノートテイクの自主勉強会」  パソコンノートテイク講習会の講師として、5 年間、年に数回依頼をいただいている大学の職員さんから、先日ご相談をいただきました。  現在 4 年生で、2 年生の時から PC ノートテイクの支援活動をしている学生が主体となって、4 月に講習会を受講・登録したばかりの新人テイカーの学生を対象として勉強会をすることになったそうです。勉強会を企画する 4 年生から、「先輩が後輩に指導するときに、どのような点に気をつければよいか」という相談があったとのことでした。  アドバイスとしては、まずはシンプルに「自分がどうやって教えられてきたか」を思い出した上で、取り組んでくれるようにお伝えしました。そのほか、入力させるだけではなく、表示された文字情報を見て、先輩の気づいたことを伝える時間を設けてほしいことも伝えました。その際には、新人のテイカー学生ができていることを先に伝え、その上で「次はこういうところに気をつけてやってみよう!」というように、具体的にアドバイスしてほしいことも伝えました。  本事業にご依頼をいただいた際には、PC ノートテイク講習会の講師として派遣され、情報保障に関する基礎的なことや連係入力のコツなどを扱いつつ、「授業で PC ノートテイク支援をする」ことはできるように指導やアドバイスをします。ですが、学内で蓄積してきた実際に支援を通して得られた支援ノウハウを共有していくこと、そしてそれらは支援を担ってくれている先輩から後輩へ引き継いでいただくことが必要であることを、あらためて感じました。  支援学生として登録したばかりで支援に入る機会が少ない、利用学生の年次が進んできて PC ノートテイクに入るコマ数が少なくなるなど、モチベーションの維持が難しい時期も出てくると思います。こういった勉強会の機会も、支援に登録したばかりの学生たちが「PC ノートテイクは楽しい!」とか「先輩や一緒に講習会を受けた仲間と続けてみようかな」と思ってくれるきっかけになって、支援活動の継続にもつながるのではないかと思います。 【執筆:宇都野 康子、2020(令和 2)年 1 月号】 「パソコンノートテイク講習会の役割」  本取組では、パソコンノートテイクを担う支援学生の養成を目的とした講習会への講師派遣を行っています。  12 月に講師を担当した講習会では、事前のヒアリングにより、幼稚園や小学校の教諭を目指している学生が多く受講することが分かりました。そこで、講習会ではパソコンノートテイク技術の習得だけではなく、インクルーシブ教育が推進されている中で教える立場になる学生に対して、普段の講習会では扱っていない話題についても触れることにしました。聴覚障害への理解や聞こえの程度により支援の方法が異なること、聴覚障害のある生徒が授業などに参加できる環境作りへの配慮について扱いました。また、筑波技術大学があるつくば市でも実施されている、小中学校の特別支援教育支援員制度を紹介するとともに、今後は小学校や中学校は様々な支援を受ける生徒と一緒に学ぶ環境になっていくことについてもお話ししました。つくば市以外にも、この制度を導入している自治体は多いと思います。  障害のある生徒と共に学ぶ環境、そして特別支援教育支援員が障害のある生徒にサポートを行っている環境で学ぶことで、周囲の生徒も障害への理解が芽生えると思います。そういった環境で学んだ生徒は大学に入学してから、また社会人になってからも、友だちや同僚をサポートすることは当たり前だと考えるようになるかもしれません。もちろん、合理的配慮や基礎的な環境整備は必要で、周囲の人の気づきや思いやりだけで成り立つものではありません。  ですが、障害による壁を取り除く方法をたくさんの人が知っている・実践できる環境になることが、本当の意味での共生社会といえるのではないでしょうか。  パソコンノートテイク講習会は、パソコンノートテイクを担う支援学生を養成することが目的ではありますが、受講した学生が今後出会うであろう障害のある方たちへの配慮についても伝えることができる機会だと考えています。 視覚障害学生の修学支援 【執筆:宮城 愛美、2019(令和元)年 8 月号】 「視覚障害者の通学・学内移動」  最近、視覚障害学生が在籍するいくつかの大学にお邪魔する機会がありました。緑に囲まれた広いキャンパスにたくさんの建物が点在し、その間を多くの人や自転車が行き交います。視覚障害学生がよく利用する建物と建物の間には点字ブロックが敷設されていますが、さすがに広いキャンパスのすべてに敷設されていることはありません。  通学や学内の移動はすべての学生に求められますが、環境整備だけでキャンパス内すべての単独移動を実現することは現実的には難しいため、支援学生による移動サポートを利用することも多いようです。さらに、学生達はキャンパス外のアパートや自宅に暮らしていますので、近隣の住宅街や最寄りの駅から徒歩で通学しますが、その経路に点字ブロックが敷設されていることはまれです。単独で通学できるように歩行訓練を受ける学生や、家族や友人と一緒に通学する学生もいるようです。大学の近くで交通量が多い道路には、横断歩道に歩行者用信号機やエスコートゾーン(横断歩道上の点字ブロックのような設備)の設置を警察や自治体に要望するなど、視覚障害学生の通学経路である学外の環境整備を行なう大学もあるようです。  各大学のそれらの取り組みに、学内のリソースをフル活用した工夫が感じられ、また、入学時のファミリアリゼーション(視覚障害者が環境に慣れるための説明と確認)によって学生の多くが単独で移動できるようになる本学の環境が特殊であると感じられます。視覚障害者でも、就職後は通勤や社内の単独移動を求められることも少なくなく、視覚障害学生にとっては単なる「通学」や「学内移動」には留まらず、在学中に受けた支援や本人の行なった努力が貴重な経験となることを認識しました。 視覚障害情報保障機器の評価 【執筆:飯塚 潤一、2019(令和元)年 5 月号】 「ロービジョン者支援機器と情報」  全国の大学・短大・高専で学ぶ視覚障害者は 864 人。そのうち,ロービジョン者(弱視)は 685 人、と全体の約 8 割を占めています(日本学生支援機構「平成 30 年度(2018 年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査」、2019 年 3 月 29 日より)。その学生の多くが自前のルーペ等を持っていると考えられますが、眼鏡店などでも見かけることが少ないので、小稿では、ロービジョン者に便利な支援機器を解説している小冊子と書籍をご紹介します。  まず、『視覚補助具ハンドブック』は、“日本ロービジョン学会”から提供されているもので、A5サイズで 24 ページと薄いものですが、図が多用されてわかりやすく全体像を知るには最適だと思います。1 冊 150 円なので障害学生支援に関する講習会などでも活用できます。URL は、https://www.jslrr.org/low-vision/hojogu です。  『新しいロービジョンケア』は、メジカルビュー社から発刊されている書籍です。全 228 ページ(オールカラー)で、イラスト 50 点と写真 250 点が掲載され、より詳しく学ぶには好適です。見え方、機器の使い方、眼疾患、福祉制度など内容も多岐にわたっています。URL は、http://www.medicalview.co.jp/catalog/ISBN4-7583-1635-X.html です。  最後に、視覚障害関連学会のご紹介です。“第 20 回日本ロービジョン学会学術総会”が、5 月 24 日~26 日、ソラシティカンファレンスセンター(東京・御茶ノ水)で開催されます。URL は、https://convention.jtbcom.co.jp/20lowvision/index.html です。ご興味のある方は是非どうぞ。 【執筆:飯塚 潤一、2019(令和元)年 11 月号】 「コンパクトな印刷物読取り装置」  最近 2 件の視覚障害者向けの機器展示会がありました。1 件目は “日本ライトハウス展 全国ロービジョンフェア 2019”(10 月 19、20 日)で、2 件目は“第 14 回 視覚障害者向け総合イベントサイトワールド 2019”(11 月 1~3 日)です。どちらも、最新の拡大読書器や点字ディスプレイなどの情報保障機器や音声対応の家電のほか各種サービスなど多様な出展がありました。また、同日関連する講演会も開催されました。ちなみに、サイトワールドには筑波技術大学も出展しました。  前回のコラムでは、眼鏡型の情報機器が増えてきている、とご紹介しましたが、今回は印刷物を読み上げる専用装置についてです。従来は、印刷物を装置のテーブルに乗せ、カバーを閉じ、文字を読み取って(文字認識)、合成音声で読上げるものでした。しかし、最近、折りたたんで手で下げられるタイプのものや、スマホ型の本体とスタンドのセットのものなど一層コンパクトになり、印刷物も置くだけです。カメラの解像度、画像解析や文字認識技術の向上などが、視覚障害者用の情報保障機器にも応用された成果だと思います。  視覚障害は情報障害とも言われ、こうした機器はこれを改善するものです。しかし、利用者の自己負担が 1 割で済む“日常生活用具給付事業”で購入する機器には耐用年数が定められ、2 製品目を購入する場合は、全額自己負担になってしまいます。大学在学中に購入するか、就職してから購入するか悩ましいところです。 (2019(令和元)年 6 月号に掲載) 視覚障害者向け情報機器レンタルが開始 ~編集後記にかえて~  7 月から、国内唯一の点字ディスプレイメーカーのケージーエス株式会社が点字ディスプレイのレンタルを開始するという情報がありました。 https://www.facebook.com/kgs.jpn.bm/photos/a.258079914935612/499800434096891/?type=3&theater  国内の視覚障害学生が利用している点字ディスプレイは、主にケージーエス株式会社の「ブレイルメモ」シリーズと有限会社エクストラの「ブレイルセンス」シリーズです。これらは製品の性質上、高価な機器となりますが、点字を使用する視覚障害学生の修学で非常に活用できる機器です。価格や、当該の学生が卒業した後の利用を考え、大学で購入することを躊躇する場合、このようなレンタルサービスを利用することもできそうです。  これまでご案内しましたように、本事業では視覚障害学生の支援機器の貸し出しを行っておりますので、まずは、本学の機器を短期間お試しいただき、学生さんが使いこなせるようであれば、上記レンタルサービスを利用するという方法も考えられます。  特定の会社の製品をお勧めするものではありませんが、修学上の選択肢が増えることに繋がりますのでご案内いたしました。  皆様の周囲でも障害学生支援に役立ちそうな情報がありましたら、ご遠慮なくお知らせください。障害学生支援の推進のために、幅広く情報共有していきたいと思います。 体育・スポーツ 【執筆:小森園 一樹、2019(令和元)年 6 月号】 「利用者の声のご紹介」  「体育・スポーツ」では聴覚・視覚障害者スポーツに関する講習会の開催および講師派遣を行っています。大学教職員はもとより、将来、障害者への指導や支援に携わる可能性のある教育学部・体育学部・福祉学部・医療系学部などの学生にも対象範囲を広げています。  今回は、一昨年度から継続して本事業を利用されているつくば国際大学・トレーナー活動研究会の先生方からお寄せいただいたご感想を紹介いたします。昨年度は 3 月 12 日に講習会を実施しました。 ===== 『スポーツ体験・交流会に参加させていただいて』 鈴木康文 永井智 沼尾夏葵 向後和典 (つくば国際大学 トレーナー活動研究会顧問)  この度、私たち「つくば国際大学トレーナー活動研究会」は、筑波技術大学教育関係共同利用拠点事業を利用させていただきまして「スポーツ体験・交流会」をご依頼させていただきました。同様の機会を一昨年度より引き続いていただいております。ありがとうございます。当研究会はアスレティックトレーナーに関する勉強会の開催や、近隣高校部活動へのサポート活動、地域のマラソン大会でのコンディショニングサポートなどを行なっている、つくば国際大学の課外活動団体です。  当日は研究会所属の学生 26 名、教員 4 名の合計 30 名で参加させていただきました。体験・交流会の内容としては聴覚・視覚障がい理解のための講義に加えて、両大学の学生同士のスポーツ交流会も企画していただきました。昨年度の聴覚障がい学生との交流会に加え、今年度は視覚障害学生との交流会も行なっていただきました。当研究会の学生からも「アダプテッド・スポーツの体験会では、普段ふれることがあまりできないアダプテッド・スポーツを実際に体験してみることで、見えていないところまで気を使い動かなければいけない事や、音だけを頼りに動かなければいけない事ばかりで障害を持ちながらスポーツをすることの難しさ、やりがいというものが分かりました。(3 年生 主務:佐川君)」といった感想が上がっており、学生間の交流やスポーツ体験といった直接体験のインパクトがとても大きいものであることを実感しております。トレーナーとしてはもちろん、将来の医療職(当研究会所属の学生のほとんどが理学療法学科所属の学生でもあります)として、学生時代に多種多様な経験、特に様々な背景を持った方々と交流を持つことがとても大切であると考えております。学内に戻りましても、この経験が今後の学生生活、将来に向けて有意義なものになっていくよう働きかけていきたいと思います。  最後になりますが、お忙しい中、運営していただいた先生方、筑波技術大学学生の皆様、この度は本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 【執筆:香田 泰子、2019(令和元)年 12 月号】 「視覚障害者のスポーツとその工夫」  「体育・スポーツ」では、聴覚・視覚障害学生の体育・スポーツ活動について、「体育授業に関する相談・支援」、「講習会の開催や講師派遣」、「体育・スポーツ活動に関する情報提供」を実施しています。今回のコラムでは、視覚障害者のスポーツとその工夫について、取り上げたいと思います。  2020 オリンピック・パリンピックイヤーを目前にして障害者スポーツへの関心が高まっており、パラリンピックでどのようなスポーツが行われるのか、報道が増えていくことでしょう。ただ、パラリンピックで行われる競技は障害者スポーツのごく一部でしかありません。視覚障害者は来年のパラリンピックで、陸上競技、水泳、自転車、トライアスロン、ゴールボール、ブラインドサッカー、柔道、ボート、馬術の9種目に出場しますが、実際にわが国で視覚障害のある人が行っているスポーツには、もっと多くの種目があります。例えばサウンドテーブルテニス、フロアバレーボール、グランドソフトボールなど、一般的なスポーツの用具やルールを、視覚障害の人たちも実施できるように工夫したスポーツが数多くあります。  本事業では、視覚障害学生の体育授業に関するご相談に対応するとともに、必要に応じてボールなどの用具の貸出も行っています。また、授業では視覚障害学生と一般の学生が一緒にスポーツできるように、新しいスポーツ種目を創造することもおすすめします。教員のみならず、当事者の視覚障害学生や一般学生も一緒に考えて創造するとよいのではないでしょうか。その際に、専用の用具を用意するだけでなく、普段使っている用具を工夫して活用することもできると思います。このようなご相談についても対応していますので、お気軽にご連絡ください。 語学に関するアカデミック・アドバイスの提供 【執筆:須藤 正彦、2019(令和元)年 4 月号】 「聴覚障害者の聞こえと個人差」  聴覚障害とは一般に「聞こえない・聞こえにくい」という状態ながら、補聴器や人工内耳(音をデジタル処理して内耳や聴神経に伝える機器)を通して音や音声をある程度理解できる人から、音の on-off の知覚が困難な人まで個人差があります。また、発音が初対面の人にも理解される人、声だけでは通じにくいため筆談も利用する人、声を用いず手話のみでのコミュニケーションを望む人まで様々です。共通な事項として、聴覚による情報のみでは音声の聴取が困難な点が挙げられます。聴覚に障害のある人は、相手の口元や表情を見ながら話し手の意図を理解すべく視覚情報や聴覚情報に神経を集中させますが、日本語の同口形異語、ましてや外国語の学習においては日本語にない発音(v、fなど)もあり、聴覚情報、視覚情報のみでの理解は極めて困難となることは容易に想像できると思います。  近年、実用英語検定試験や TOEIC 等の結果を入学資格や単位認定として採用する大学が増えつつあり、障害への配慮(聴覚障害者に対しては、リスニングテストの免除や字幕によるテスト等)がなされています。ただ、入学後の語学や指導・評価(特に会話やディスカッション等)には課題が多いようです。当教育関係共同利用拠点事業では、語学に関するアカデミック・アドバイスとしての相談業務や聴覚障害者が多く学ぶ世界の大学に関する情報、留学に必要な事項・手続き、WEB での TOEIC 対策講座(字幕付き)等で支援が可能ですので、どうぞご利用下さい。 特別コーナー 【2019(令和元)年 5 月号】  「体育・スポーツ」の取組では聴覚・視覚障害者スポーツに関する講習会の開催および講師派遣を行っています。大学教職員はもとより、将来、障害者への指導や支援に携わる可能性のある教育学部・体育学部・福祉学部などの学生にも対象範囲を広げています。 今回は、2013 年から継続して本事業を利用されている、東海大学体育学部・内田先生からお寄せいただいたご感想を紹介いたします。 ----- 『東海大学体育学部の取組』 内田 匡輔・吉岡 尚美(東海大学 体育学部体育学科)  東海大学体育学部では、2013 年から筑波技術大学の障害者高等教育拠点事業の中で、 FD/SD 研修制度を、学生の障害に対する理解を深めると同時に、指導教員の研修も含め利用しています。本学体育学部は、一学年 480 人程度が在籍する、比較的規模の大きな大学です。しかしながら、障害のある学生が在籍することが少なく、障害者スポーツへの理解を含め、障害そのものに対しても興味や関心があまり高いとはいえない状況です。 そのような状況の中で、学部内でアダプテッド・スポーツを専門とする教員の研究ゼミナール活動の一環として、スポーツ交流を通した障害への視点を獲得し、さらには、将来的な指導者となる学生の障害理解を深めてもらいたいという願いを込めて、3 月中旬に、春日・天久保の両キャンパスにて、研修合宿に取り組んでいます。  この研修合宿では、必ず、視覚障害・聴覚障害について、最低限、理解しておくべき知識について講義をお願いしています。その上で、可能な範囲での障害学生との交流を含めたスポーツ活動を行っています。スポーツの実施に際しては、できるだけ学生同士が声をかけて進めるように促し、障害の有無に関わらず、学生同士が同世代の仲間としてスポーツを楽しむためのステップを踏んでゆく経験が重ねられるよう取り組んでいます。  学生からは、交流を通して「これだけ長く障害のある学生と話したことはなかった。新鮮な経験でした」「一緒にスポーツができることは知っていたけれども体験してみないと実感がわかなかった」など、実際に体験するからこそ、広がるスポーツの新たな可能性に気づいている様子を感じています。高等学校まで、障害のある人たちと具体的に関わることが多くない中で、こういった制度を活用し、教員が場を設定することで新たな可能性を生み出すことを、指導者としても感じています。 ----- 講習会の内容につきましても、柔軟に対応いたします。まずは、お気軽にご相談ください。また、あわせて体育関係の先生方へもご案内いただければさいわいです。みなさまからのお問い合わせ・ご利用をお待ち申し上げます。 【2020(令和 2)年 2 月号】 他大学の聴覚障害学生支援に携わってきた学生が、本事業の取組の一つである「ろう者学」の業務のサポートとして、1 年間アルバイトをしてくださいました。4 年間の支援活動を通した、聴覚障害のある学生との関わりについて感じたことを寄稿いただきました。 ----- 『支援者の声』 目黒 聖果(筑波大学 理工学群数学類 4 年)  私は筑波大学の聴覚障害学生支援に携わっております。その中で感じたことについてお話しさせていただきたいと思います。  学生が支援に携わる最大の特徴は、聴覚障害学生と支援学生の仲が深まることだと思います。一般的な支援とは異なり、聴覚障害者と支援者の間には密接だったり、同じ大学生という共通点を持っています。また、支援外での交流の機会もあります。そのため、聴覚障害学生と支援学生との仲が深まりやすいのが特徴だと思います。 この点においてはメリット、デメリットがあります。  1 つめのメリットは、仲間の支えのおかげでピア・チューター(※)が続けやすいということです。私も最初は「こんなのでいいのかな」「逆に迷惑になっているんじゃないかな」など思っていました。しかし、それを相談できる仲間がいたので、今まで続けることができました。  2 つめのメリットは、聴覚障害学生が支援を頼みやすいということです。  その反面生じるデメリットとして、「聴覚障害学生が不満を言いづらい」というところがあると思います。もちろん、不満を言っただけで崩れる関係はそれまでという気はしますが、友達に対して不満を言うというのはとても勇気のいることです。一般の支援の場合は「お金と契約の関係」ですが、先ほども述べた通り、学生支援はそれに「友情」などが入ることが多いです。この「友情」が裏目にでるときもあるのだと思います。  障害学生支援をうまく続けるためには、この「友情」を大切にしながらも、聴覚障害学生の声を埋もれさせないような制度が必要だと思います。  以前に比べて進んできた障害学生支援ですが、前述した以外でもまだまだ課題は多いと感じています。今後も、誰もが学びたいことを学ぶために、必要なサポートを受けることができる環境になることを願っています。 ※ピア・チューターとは、筑波大学ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリア(DAC センター)が開催する養成講座を受講した後に支援活動に携わっている学生のことです。 活動報告等 「AHEAD JAPAN 第 5 回大会」ポスター発表【2019(令和元)年 7 月号に掲載】  6 月 28 日(金)~30 日(日)に開催された「AHEAD JAPAN(全国高等教育障害学生支援協議会)第 5 回大会」において、[視覚障害学生の修学支援]の取組担当・宮城愛美が「視覚障害者の高等教育における現状と課題に関する一考察―筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター主催の講演会・勉強会から―」というタイトルでポスター発表を行ないました。視覚障害学生が在籍する大学の教職員の皆様や、支援団体、研究者の方と意見交換をさせていただきました。  また、企画に加わった 30 日(日)午後の分科会「図書館の障害者サービスにおける著作権法とテキストデータ提供について」では、会場には多くの大学からお越しいただき、また、講師に加えて、国立国会図書館の方からも様々な情報提供をいただきました。マラケシュ条約に続き、著作権法、読書バリアフリー法など、法制度が整備された今こそ、障害のある学生の学習資料を含めた読書環境について、大学として整備していく必要性をあらためて感じました。 ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 「第 45 回全国視覚障害者情報提供施設大会(栃木大会)」 【2019(令和元)年 10 月号に掲載】  2019 年 10 月 3 日(木)~4 日(金)に宇都宮市で「第 45 回全国視覚障害者情報提供施設大会(栃木大会)」が開かれました。その中のシンポジウム「サピエの将来像を展望する」(第 1 分科会)に、本事業の取組[視覚障害学生の修学支援]担当の宮城が登壇しました。  サピエは、視覚障害者のための電子図書館を中心とした情報総合ネットワークですが、デイジーや点字データといった視覚障害者がアクセスしやすい形式の図書が数 10 万件登録されており、登録した視覚障害者はそれらの図書をダウンロードして無償で利用できます。ただ、残念ながら大学で教科書として使用されるような書籍の点訳はなかなか見つからない、また、最近の学生のニーズとして多いテキストデータについては登録件数がほとんど無い、といった高等教育機関におけるサピエ利用の現状とニーズについてお話しさせていただきました。  今年は、マラケシュ条約の発効や改正著作権法の施行、読書バリアフリー法の成立など、視覚障害者の読書環境に関する各種の法制度が整備された節目となる年です。今後、サピエや国立国会図書館の利用を通して、視覚障害者の読書環境がさらに充実していくことを期待させる大会でした。 「みみカレッジ」「聞こえない学生のためのろう者学講座」 【2019(令和元)年 12 月号に掲載】  ろう者学に関連するイベントの開催報告をろう者学教育コンテンツ開発プロジェクトのホームページに掲載いたしました。 【TOKYO みみカレッジ】 令和元年 11 月 17 日(日)(首都大学東京南大沢キャンパス) https://www.deafstudies.jp/info/news0153.html (図) ろう者学教育コンテンツ開発プロジェクト[ホームページ] 【きこえない学生のためのろう者学講座】 令和元年 12 月 4 日(水)(同志社大学今出川キャンパス) https://www.deafstudies.jp/info/news0157.html (図) ろう者学教育コンテンツ開発プロジェクト[ホームページ] ※配信したメールマガジンでは開催報告が掲載されている URL のみお知らせいたしましたが、本報告ではホームページの一部を掲載いたしました。 講演会「スポーツとキャリア発達」および「職場におけるコミュニケーションを考えるワー クショップ」【2020(令和 2)年 2 月号に掲載】  令和 2 年 1 月 25 日(土)に開催した下記 2 件のイベントの開催報告を本学ホームページ に掲載いたしました。 【講演会「スポーツとキャリア発達」】 【「職場におけるコミュニケーションを考えるワークショップ」】 https://www.tsukuba-tech.ac.jp/announcement/hi_2020021001.html (図) 国立大学法人筑波技術大学[ホームページ] ※配信したメールマガジンでは開催報告が掲載されている URL のみお知らせいたしましたが、本報告ではホームページの一部を掲載いたしました。 研修会への講師派遣 【2019(令和元)年 5 月号に掲載】 今年度、他大学で開催される障害学生の修学支援に関連する講演会等へ講師を派遣しました。テーマは「障がい学生への合理的配慮」でした。  内容としては、平成 28 年 4 月に施行された障害者差別解消法に伴い義務付けられた合理的配慮の提供を、大学としてどのように提供していくのか、また合理的配慮の内容を検討する際の建設的対話と判断基準などについてお話ししました。  本来、教員を対象とした研修会でしたが、多くの職員の方も参加いただいたようです。  質疑応答では「障害学生支援を担うセンターのような組織が中心となって支援を行うことが理想だろうが、現状では難しいので、現在のマンパワーでどのように対応していけばよいか」という質問が挙がりました。大学の規模や体制によっては、必ずしも「障害学生支援」のみを担う部署が配置されているわけではありませんが、支援を担当する部署が学内外に周知できていること、窓口を担う部署、またそれを所掌する事務組織が学内に周知できていること、支援の窓口となっている職員と教員の連携や情報共有が重要であるとお答えしました。  現場レベルでの情報共有だけではなく、大学に在籍する学生の支援として取り組むためには、窓口・教員だけが支援や相談、対応を担うのではなく、関係する各部署が情報共有を行い、またそれらの情報を適切に管理することが必要になると思います。  このような講演会や講習会への講師を派遣することにより、他大学における障害学生支援の取り組みを伺う機会となり、さらに本事業として提供できる情報や障害学生支援にお役立ていただけるコンテンツ開発のヒントをいただくことができていると考えています。  今後も、本事業でお役に立てる機会がございましたら、講習会等の講師をお引き受けいたしますので、事務局(krk-net@ad.tsukuba-tech.ac.jp)までご相談ください。 聴覚障害学生支援に関する相談対応、講師派遣 【2019(令和元)年 11 月号に掲載】  9 月~11 月に、他大学で学ぶ聴覚障害学生の修学支援に関する相談に対応したほか、パソコンノートテイク講習会への講師派遣を行いました。また、今月は教員を対象とした研修会への講師派遣を行うことになっています。  相談対応の際には、大学の支援体制、現在の支援状況のほか、聴覚障害学生のニーズについても伺った上で、支援方法についてアドバイスを行いました。  パソコンノートテイク講習会では、利用する聴覚障害学生に提供されている支援の状況等を踏まえ、扱う内容を検討しました。また、支援学生が抱える課題(どのようにテイクをしたらよいか難しいと感じた場面など)についても扱うことができるように、依頼いただいた大学の職員さんに支援学生へのヒアリング等をお願いするほか、講習会の中でも、支援を担当している学生からの質問を募り、共に考え、全員で共有できる場を設けるようにしました。  教員を対象とした研修会では、パソコンノートテイクのデモンストレーションをする予定になっています。パソコンノートテイクは、聴覚障害学生の修学支援の一つとして実施されることが多くなってきましたが、文字情報の提供が行われるプロセスのほか、パソコンノートテイクを配置するだけではなく、授業を担当される先生方の協力も不可欠であることについてもご理解をいただく機会になればと考えています。  このような講演会や講習会への講師を派遣することにより、他大学における障害学生支援の取り組みを伺う機会となり、さらに本事業として提供できる情報や障害学生支援にお役立ていただけるコンテンツ開発のヒントをいただくことができていると考えています。  今後も、本事業でお役に立てる機会がございましたら、講習会等の講師をお引き受けいたしますので、事務局(krk-net@ad.tsukuba-tech.ac.jp)までご一報ください。 メールマガジン 掲載タイトル(平成 28 年 5 月創刊~令和 2 年 2 月号) プロジェクト・リレーコラム(2016(平成 28)年創刊~2017(平成 29)年 5 月号)、 プロジェクトコーナー(2017(平成 29)年 6 月号~2020(令和 2)年 2 月号) (表) FD/SD 研修会の開催 執筆者 配信日 FD/SD 研修会の開催(タイトルなし/視覚障害学生支援) 宮城 愛美 2016 年8 月 19 日 FD/SD 研修会の開催(タイトルなし/キャリア発達支援関連) 宇都野 康子 2017 年1 月 20 日 キャリア発達支援 執筆者 配信日 キャリア発達支援(タイトルなし) 石原 保志 2016 年5 月 20 日 キャリア発達支援(タイトルなし) 宇都野 康子 2016 年10月21日 「支援活動をとおしたキャリア発達」宇都野 康子 2017 年6 月 16 日 「聴覚障害学生の学外実習」宇都野 康子 2018 年1 月 19 日 「障害学生の就労移行支援」石原 保志 2018 年8 月 17 日 「支援学生の卒業後‐キャリアに結びつく支援経験‐」宇都野 康子 2019 年9 月 20 日 「障害学生の入学前相談」宇都野 康子 2020 年2 月 21 日 情報保障 執筆者 配信日 情報保障(タイトルなし) 宇都野 康子 2016 年5 月 20 日 「講習会における支援学生の役割」宇都野 康子 2016 年9 月 16 日 「部署間の連携でスムーズなパソコンノートテイクの導入へ」宇都野 康子 2016 年12月16日 「支援者間の情報共有」宇都野 康子 2017年2月17日 「授業の中でのコミュニケーション」宇都野 康子 2017年5月19日 「遠隔情報保障システム[ T-TAC Caption ]の運用状況について」三好 茂樹 2017年9月15日 「遠隔情報保障システム[ T-TAC Caption ]の運用状況について」三好 茂樹 2018年4月20日 (表) 情報保障 執筆者 配信日 「聴覚障害学生に対するさまざまな情報保障支援」三好 茂樹 2018年11月16日 「学生による PC ノートテイクの自主勉強会」宇都野 康子 2019年7月19日 「パソコンノートテイク講習会の役割」宇都野 康子 2020年1月17日 ろう者学 執筆者 配信日 ろう者学(タイトルなし) 管野 奈津美 2016年7月15日 「【ろう者学豆知識?】電話リレーサービス」 管野 奈津美 2016年11月18日 ろう者学(タイトルなし) 管野 奈津美 2017年3月17日 「自立活動で必要なこととは?」門脇 翠 2017年7月21日 「[段また段を成して]を通して」門脇 翠 2018年2月16日 「スポーツ分野における指導案開発の検討」門脇 翠 2018年9月21日 「最後の一仕事」門脇 翠 2019年3月15日 「読書・スポーツ・芸術、食欲の秋、、、そしてろう者学の 秋?!」(ろう者学関連イベントのご案内)小林 洋子 2019年10月18日 視覚障害学生の修学支援 執筆者 配信日 視覚障害学生の修学支援(タイトルなし) 宮城 愛美 2016年6月17日 「視覚障害学生の体験を増やす」宮城 愛美 2017年2月17日 「学外リソースの活用」宮城 愛美 2017年3月17日 「視覚障害学生が履修可能な科目は?」宮城 愛美 2017年5月19日 「図書館で働く視覚障害者」宮城 愛美 2017年12月15日 「墨字から点字への移行」宮城 愛美 2018年7月20日 「就職に関する最近の話題から」宮城 愛美 2019年2月15日 「視覚障害者の通学・学内移動」宮城 愛美 2019年8月16日 (表) 視覚障害情報保障機器の評価 執筆者 配信日 視覚障害学生支援(タイトルなし) 飯塚 潤一 2016年10月21日 「最近の視覚障害者・学生用の情報保障機器について」飯塚 潤一 2017年10月20日 「身近な便利グッズのご紹介」飯塚 潤一 2018年5月18日 「ゴーグル型の視覚障害支援機器がブーム?」飯塚 潤一 2018年12月21日 「ロービジョン者支援機器と情報」飯塚 潤一 2019年5月17日 「コンパクトな印刷物読取り装置」飯塚 潤一 2019年11月15日 体育・スポーツ 執筆者 配信日 体育・スポーツ(タイトルなし) 栗原 浩一 2016年6月17日 「ゴールボールの体験授業~講師派遣の一例として」中島 幸則 2016年9月16日 「障害者スポーツ体験会への講師派遣」栗原 浩一 2016年12月16日 「障害学生に対する体育実技についてのデータベース公開について」天野 和彦 2017年11月17日 「学外集中授業における障害学生への配慮」向後 佑香 2018年6月15日 「聴覚障害者スポーツを通した障害の理解」中島 幸則 2019年1月18日 「利用者の声のご紹介」小森園 一樹 2019 年 6 月 21 日 「視覚障害者のスポーツとその工夫」香田 泰子 2019年12月20日 語学教育に関するアカデミック・アドバイスの提供 執筆者 配信日 語学教育に関するアカデミック・アドバイスの提供(タイトルなし) 松藤 みどり 2016年7月15日 「聴覚障害学生に対する語学教育の指導・支援」松藤 みどり 2017 年 8 月 18 日 「初修外国語と語学支援」須藤 正彦 2018年10月19日 英語教育コンテンツ 執筆者 配信日 「[英語教育コンテンツ]の取組紹介」 須藤 正彦 松藤 みどり 2016年11月18日 「聴覚障害者の聞こえと個人差」須藤 正彦 2019 年 4 月 19 日 FD/SD 研修会、イベント案内、活動報告、事業コンテンツ等紹介、号外、その他 (表) FD/SD 研修会、イベント案内等 配信日 ポスター発表について(AHEAD JAPAN(全国高等教育障害学生支援協議会) 第 2 回大会) 2016 年 6 月 17 日 「SPOD フォーラム 2016」プログラム実施について 2016年7月15日 「第 12 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」の開催および本事業関連の企画について 2016 年 8 月 18 日 障害学生教育・支援セミナーの開催について 2016年9月16日 「大学教育イノベーション日本」(仮称)キックオフ・シンポジウムの開催について 2016 年 9 月 16 日 「映画『LISTEN リッスン』自主上映会 in つくば」開催について 2016年9月16日 障害学生教育・支援セミナーの開催について(再掲) 2016 年 10 月 21 日 聴覚障害学生を対象とした「ろう者学講座」開催について 2017年1月20日 第 10 回 FD/SD 研修会について 2017年5月19日 第 10 回 FD/SD 研修会について(プログラム詳細)2017年6月16日 第 10 回 FD/SD 研修会開催について(イベント情報 URL)2017年7月21日 「語学教育のイコールアクセスを考える」開催について 2017年7月21日 「第 13 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」の開催のご案内 2017年8月18日 「第 13 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」の開催および企画について 2017年10月20日 セミナーのご案内 なごや会セミナー「公共図書館は視覚障害者が活躍できる職場です」 2018 年 1 月 19 日 ポスター発表について(AHEAD JAPAN(全国高等教育障害学生支援協議会) 第 4 回大会) 2018 年 6 月 15 日 「第 14 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」の開催について 2018 年 9 月 21 日 聴覚障害学生を対象としたろう者学講座開催について 2018 年 11 月 16 日 聴覚障害学生を対象としたろう者学講座開催について(再) 2019 年 1 月 18 日 AHEAD JAPAN 第 5 回大会のポスター発表、分科会について 2019 年 6 月 21 日 FD/SD 研修会、イベント案内等 配信日 視覚障害者向け情報機器レンタルが開始~編集後記にかえて~ 2019年6月21日 「第 15 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」の開催について 2019年9月20日 「TOKYO みみカレッジ」2019年9月20日 【再掲】「第 15 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」の開催について 2019年10月18日 活動報告 配信日 【実施報告】「AHEAD JAPAN 第 2 回大会」ポスター発表 2016 年 7 月 15 日 【活動報告】「SPOD フォーラム 2016」プログラム実施について 2016年9月16日 【実施報告】「第 12 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」における企画実施(本事業関連)について 2016年10月21日 【活動報告】「映画『LISTEN リッスン』自主上映会 in つくば」実施について 2016年11月18日 【活動報告】障害学生教育・支援セミナーの開催について 2016年12月16日 【活動報告】第 9 回 FD/SD 研修会「大学等における障害学生のキャリア発達支援」開催について 2017 年 1 月 20 日 【活動報告】パソコンノートテイカー養成講座の実施について 2017年2月17日 【活動報告】「聴覚障害学生を対象とした『ろう者学講座』」実施について 2017年3月17日 【活動報告】他大学 FD 講演会への講師派遣について 2017年3月17日 【開催報告】「視覚障害学生の入学を控えた大学の交流会」2017年4月21日 【開催報告】第 10 回 FD/SD 研修会「大学等における障害学生支援~聴覚・視覚障害学生支援の事例に学ぶ~」ワークショップ 2017年9月15日 【開催報告】「聴覚障害学生の語学教育のイコールアクセスを考える」2017年10月20日 【活動報告】「第 13 回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」における本事業関連の企画実施について 2017年11月17日 【活動報告】[講習会への講師派遣] 2017年12月15日 【活動報告】[他大学で開催された FD/SD 研修会への講師派遣]2018年3月16日 (表) 活動報告 配信日 【実施報告】「AHEAD JAPAN(全国高等教育障害学生支援協議会)第4回大会」ポスター発表 2018 年 8 月 17 日 【活動報告】「日本特殊教育学会 第 56 回大会」における本事業企画実施について 2018年10月19日 【活動報告】障害者スポーツに関する講習会について 2018年12月21日 【開催報告】聴覚障害学生、支援学生、教職員を対象とした「ろう者学講座」 2019 年 2 月 15 日 【活動報告】[研修への講師派遣] 2019年5月17日 【実施報告】「AHEAD JAPAN(全国高等教育障害学生支援協議会)第5回大会」ポスター発表 2019 年 7 月 19 日 【活動報告】「第 45 回全国視覚障害者情報提供施設大会(栃木大会)」 2019年10月18日 【活動報告】聴覚障害学生支援に関する相談対応、講師派遣 2019年11月15日 【活動報告】TOKYO みみカレッジ、きこえない学生のためのろう者学講座 2019年12月20日 【活動報告】講演会「スポーツとキャリア発達」および「職場におけるコミュニケーションを考えるワークショップ」開催 2020 年 2 月 21 日 事業コンテンツ等紹介 配信日 新コンテンツ「『障害者高等教育拠点』アドバイスシート」のご紹介 2016年5月20日 平成 27 年度事業報告書の発行について 2016年6月17日 「Let's Try Laptop Note-taking!」(「やってみよう!パソコンノートテイク」英語版) 2016年11月24日 キャリアインタビュー「私たちのキャリア未来地図」(ろう者学) 2016年12月16日 平成 28 年度事業報告書の発行について 2017年4月21日 「障害者高等教育拠点」事業ホームページリニューアルについて 2017年4月21日 事業ホームページ・動画ライブラリのご案内 2017年11月17日 事業ホームページ・動画ライブラリのご案内(「聴覚障害学生支援4~体育・スポーツ~」) 2018 年 2 月 16 日 平成 29 年度事業報告書の発行について 2018 年 4 月 20 日 (表) 事業コンテンツ等紹介 配信日 平成 30 年度事業報告書の発行について 2019年4月19日 【再掲】平成 30 年度事業報告書について 2019年7月19日 事業パンフレット送付のご案内 2019年8月16日 メールマガジン新規ご登録とご紹介のお願い 2019年8月16日 入学試験に関する障害学生支援への相談について 2019年9月20日 【再掲】平成 30 年度事業報告書について 2019年9月20日 号外 配信日 1.ワークショップ「聴覚障害学生の意思表明支援とは」の開催について 2.第 9 回 FD/SD 研修会「大学等における障害学生のキャリア発達支援」開催について 2016年10月26日 第 10 回 FD/SD 研修会「大学等における障害学生支援~聴覚・視覚障害学 生支援の事例に学ぶ~」開催について 2017 年 7 月 7 日 1.講演会「スポーツとキャリア発達」のご案内 2.「職場におけるコミュニケーションを考えるワークショップ」のご案内 2020 年 1 月 9 日 その他 配信日 「利用者の声のご紹介(体育・スポーツ)」※プロジェクトコーナーとして配信 執筆:内田 匡輔・吉岡 尚美(東海大学 体育学部体育学科) 2018 年 5 月 18 日 「利用者の声のご紹介(体育・スポーツ)」※プロジェクトコーナーとして配信 執筆:鈴木 康文・永井 智・井手 夏葵・向後 和典(つくば国際大学) 2018 年 7 月 20 日 特別コーナー 「東海大学体育学部の取組」執筆:内田 匡輔・吉岡 尚美(東海大学 体育学部体育学科) 2019 年 5 月 17 日 本学を柴山文部科学大臣が視察 2019年7月19日 特別コーナー 「支援者の声」執筆:目黒 聖果(筑波大学 理工学群数学類 4 年) 2020 年 2 月 21 日 巻末資料 (平成 27 年度~平成 30 年度の活動) 事業紹介パンフレット・リーフレット等(抜粋して掲載) 事業紹介パンフレット 平成 27 年 6 月作成・全国の高等教育機関へ発送 (図) 事業紹介パンフレット 平成 28 年 3 月作成・全国の高等教育機関へ発送 (図) アドバイスシート(リーフレット/両面・3 種) 平成 28 年 3 月作成・全国の高等教育機関へ発送 (図) 事業概要 キャリア発達支援 情報保障 視覚障害学生支援 語学教育/ろう者学 体育・スポーツ科目 アドバイスシート(3 種)については、取組担当者変更等により平成 31 年 3 月以降の配付は行っておりません。 事業紹介パンフレット 平成 30 年 3 月作成・全国の高等教育機関へ発送 (図) リーフレット(両面・2 種) 平成 30 年 3 月作成・全国の高等教育機関へ発送 (図) FD/SD 研修会開催・講師派遣実績 事業概要・ご利用の流れ 事業ホームページご案内 メールマガジンご案内 事業報告書 (図) 平成 28 年 6 月作成、71 ページ 平成 27 年度事業報告書 目次 事業概要 活動報告 ◆他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 ◆キャリア発達支援 ◆ろう者学教育コンテンツ ◆情報保障 ◆視覚障害情報補償機器の評価と大学間連携 ◆体育・スポーツ ◆語学に関するアカデミック・アドバイスの提供 ◆英語教育コンテンツ 成果物紹介 巻末資料 FD/SD 研修会アンケート 各担当者一覧 (図) 平成 29 年 3 月作成、94 ページ 平成 28 年度事業報告書 目次 事業概要 平成 28 年度の活動実績 活動報告 ◆他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 ◆キャリア発達支援 ◆ろう者学教育コンテンツ ◆情報保障 ◆視覚障害情報補償機器の評価と大学間連携 ◆体育・スポーツ ◆語学に関するアカデミック・アドバイスの提供 各取組からのアドバイス・コラム 巻末資料  メディアへの掲載  開催報告(本学 Web サイト「ニュース」掲載)  各担当者一覧 (図) 平成 30 年 3 月作成、73 ページ 平成 29 年度事業報告書 目次 事業概要 平成 29 年度の活動実績 活動報告 ◆他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 ◆キャリア発達支援 ◆ろう者学教育コンテンツ ◆情報保障 ◆視覚障害学生の修学支援 ◆体育・スポーツ メールマガジン 巻末資料  メディアへの掲載  開催報告(本学 Web サイト「ニュース」掲載)  各担当者一覧 (図) 平成 31 年 3 月作成、51 ページ 平成 30 年度事業報告書 目次 事業概要 平成 30 年度の活動実績 活動報告 ◆他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 ◆キャリア発達支援 ◆ろう者学教育コンテンツ ◆情報保障 ◆視覚障害学生の修学支援 ◆体育・スポーツ ◆語学・アカデミックアドバイス メールマガジン 各担当者一覧 開催報告(本学 Web サイト「ニュース」掲載) (図) (図) (図) (図) (図) (図) (図) メディアへの掲載 (写真) 常陽新聞 平成29年3月11日(土)付 5 面に掲載 そのほか、日本私立大学協会「教育学術新聞」平成 28 年 5 月 18 日(水)付 3 面に「聴覚障害学生と視覚障害学生の支援(執筆:宮城愛美・宇都野康子・ 戸井有希)」、「障害学生のセルフアドボカシースキルとキャリア発達支援(執 筆:石原保志)」が掲載された(記事掲載記事・原稿については「障害者高等 教育拠点」事業 平成 28 年度報告書に掲載) (写真) 教育学術新聞 平成27年12月16日付 「第 5 回筑波障害学生支援研究会」 開催報告として掲載 動画コンテンツ 平成 27 年度作成・本事業ホームページに掲載 (図) (図) 取組担当者(平成 27 年度~令和元年度) (表) 他大学の教職員を対象とした FD/SD 研修会の開催 宮城 愛美 宇都野 康子 戸井 有希(※1) キャリア発達支援 石原 保志(※2) 宇都野 康子 ろう者学教育コンテンツ 大杉 豊 小林 洋子 目黒 聖果 管野 奈津美(※3) 門脇 翠(※4) 情報保障 三好 茂樹 宇都野 康子 視覚障害学生の修学支援 宮城 愛美 視覚障害情報保障機器の評価 飯塚 潤一 体育・スポーツ 香田 泰子 中島 幸則 天野 和彦 向後 佑香 小森園 一樹 栗原 浩一(※5) 語学に関するアカデミック・アドバイスの提供 須藤 正彦 藤井 拓哉 松藤 みどり(※6) ※1 平成 27 年度~平成 28 年度担当 ※2 平成 27 年度~平成 31 年度担当 ※3 平成 27 年度~平成 28 年度担当 ※4 平成 29 年度~平成 30 年度担当 ※5 平成 27 年度~平成 28 年度担当 ※6 平成 27 年度~平成 29 年度担当 筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 「障害者高等教育拠点」事業 事業成果報告書[平成 27 年度~令和元年度] 発行者 筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 〒305-8520 茨城県つくば市天久保4-3-15 TEL/FAX:029-858-9483 E-mail:krk-net@ad.tsukuba-tech.ac.jp https://krk-ntut.org/ 編集責任者 佐藤 正幸 編集 「障害者高等教育拠点」事務局(宇都野 康子 橋本 万里菜) 文部科学省認定 教育関係共同利用拠点 障害者高等教育研究支援センター 「障害者高等教育拠点」事業 国立大学法人 筑波技術大学 National University Corporation Tsukuba University of Technology