平成27年度 修士論文 鍼灸等への助成に関する調査研究 筑波技術大学大学院修士課程技術科学研究科 保健科学専攻鍼灸学コース 井上 智寛 目次 第Ⅰ章 緒言 Ⅰ-1.研究の背景 1 Ⅰ-2.我が国の健康保険制度の成立過程 2 Ⅰ-3.健康保険制度の中での鍼灸等の取扱いの経緯と鍼灸等への助成の誕生過程  (1)療養費(鍼灸等に対する健康保険)について 3  (2)鍼灸等への助成制度について 4 Ⅰ-4.鍼灸等に対する療養費とは異なる助成の定義と名称について 5  1) 鍼灸等の定義  2)「鍼灸等に対する助成」の定義  3)「鍼灸等に対する助成」の名称 第Ⅱ章 鍼灸等に対する公的助成制度に関するアンケート調査と補足調査 Ⅱ-1.調査の目的 6 Ⅱ-2.調査の概要  (1)調査について 6  (2)調査対象と方法 6   1) 調査名   2) 調査対象   3) 調査方法   ① 第一次調査   ② 第二次調査   ③ 第三次調査   4) 調査期間   5) 調査内容   ① 電話依頼内容(第一次調査)   ② アンケート項目(第二次調査)   ③ インターネット調査項目(第三次調査)   6) 電話調査依頼承諾件数(第一次調査)   7) アンケート調査回答件数(第二次調査)   8) インターネット調査件数(第三次調査) Ⅱ-3.調査結果(第一次調査・第二次調査・第三次調査)  (1)第一次調査結果 8  (2)第二次調査結果 8   1)助成実施状況   2)助成の目的   3)助成対象となる施術   4)助成の財源   5)利用対象者   ① 利用可能対象者   ② 対象疾患指定の有無   ③ 医師の同意書の必要性   ④ 利用促進のための対策の実施   6)事業仕訳   ① 事業仕訳実施の有無   ② 事業仕訳の結果   ③ 事業仕訳の結果の理由   ⅰ 継続の理由   ⅱ 廃止の理由   ⅲ その他の理由   7)課題の有無   8)以前に、公的助成制度を実施   9)公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由   (3)第三次調査結果 12   1)助成内容   ①助成額   ②助成対象者 第Ⅲ章 考察 Ⅲ-1.結果に対する考察   (1)助成実施地方 13   (2)実施の目的 13   (3)制度の財源 13   (4)対象疾患の指定と同意書の必要性の有無 14   (5)助成額 14   (6)助成の利用の促進 14   (7)助成事業の評価 15   (8)鍼灸等への助成の課題 16 Ⅲ-2.全体の考察   (1)調査方法について 17   (2)健康の保持・増進の分野における鍼灸等について 17   (3)「鍼灸等が地域社会の生活・健康への寄与」という役割を担うために 18 第Ⅳ章 結語 20 引用文献 21 参考文献 23 謝辞 24 別紙・資料・表・図 25 別紙・資料・表・図 目次 (1) 別紙 別紙1 鍼灸等に対する公的助成制度に関するアンケート調査票 25 別紙2 鍼灸等に対する公的助成制度に関するアンケート回答表 33 (2) 資料 資料1 課題の自由記述 34 (3) 表 表1 鍼灸等への助成の実施市区町村数の割合 38 表2 助成開始年代別一覧 39 表3 目的 40 表4 対象となる施術 41 表5 財源 42 表6 疾患 43 表7 同意書 44 表8 利用促進対策 45 表9 事業仕訳 46 表10 事業仕訳の結果 47 表11 事業仕訳の結果の理由 48 表12 以前に公的助成制度を実施 49 表13 公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由 50 表14 以前に公的助成制度を実施していた市町の 公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由 50 表15 助成額、回数(枚数)、最大助成額 51 (4) 図 図1 鍼灸等への助成の実施市区町村数の割合 38 筑波技術大学 修士(鍼灸学)学位論文 第1章 緒言 Ⅰ-1.研究の背景  我が国は、2007年に65歳以上の高齢者の占める割合が全人口の21%を超え、超高齢社会に入っており、今後も、高齢者の割合が増えていくと予想されている。こうした状況の中、高齢者に対する鍼灸治療は、「身体的,精神的愁訴の軽減による苦痛の改善や機能改善を通して,日常生活の活動性の維持,増進,ひいては自立性の維持,向上に寄与することが期待されている1)。」と、松本は鍼灸に期待を寄せている。また、森らは、あん摩・マッサージ・指圧は、主として手を用いて人体に機械的刺激を加え生体反応をひき起こし、健康の保持増進、疾病の治療と予防を目的に行う療法2)と述べている。超高齢社会の我が国において、鍼灸あん摩マッサージ指圧(以下、鍼灸等)は、健康の保持・増進の分野において一定の役割を果たす可能性が考えられる。  しかし、山下は、2005年の調査から「1年間に最低1度でも鍼治療を受ける国民の割合は6%程度3)」であり、鍼灸治療を受療しない人たちが、その理由のひとつに「健康保険が使えないから3)」と回答したことを報告しており、鍼灸にかかわる経済的負担を軽減することができれば、鍼灸の受療者が増加する可能性が考えられる。矢野らは、2014年の鍼灸受療率は、4.9%と報告している4)。  このような状況において、鍼灸等の経済的負担を軽減する公的制度としては、鍼灸等に対する健康保険(療養費)と市区町村の一部で行われている鍼灸等への助成の2制度がある。  鍼灸に対する健康保険(療養費)は、神経痛・リウマチ・頚腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症5)の6疾患等に限り、医師の同意書(または診断書)があれば健康保険を使うことが可能である。しかし、その支給要件は、「西洋医学の治療で所期の効果がないと判断されて、医師が鍼灸施術に同意した場合という条件であり、医師の「同意書」が必要とされる厳しいものである。これが鍼灸を現行の保険制度の中で活用しようとする際の大きな足枷になっている6)。」と形井は指摘している。あん摩マッサージ指圧に対する健康保険(療養費)は、一律に診断名によることなく、筋麻痺・関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とする症例で、医師の同意があったことを証明できる同意書等があれば健康保険を使うことが可能である5)。  市区町村の一部において独自に鍼灸等に対して助成をおこなっているところがある。この鍼灸等に対する助成とは、鍼灸等の施術を受ける市区町村民等に対して、各市区町村が独自にその費用の一部を補助するものである。例えば、鍼の施術費用が3,000円の場合に、被施術者に対する助成が1回あたり1,000円であったとすると、自己負担が2,000円で済むというものである(各市区町村によってその助成の内容は異なる)。  この助成は、1960年前後に誕生した。札幌市は、1962年療養費の対象が限られていたことなどから、国保加入者の健康の保持増進ということで、独自の制度をもうけてほしいとの市民からの請願を採択、この制度を創設した7)。また、同時期に福岡市でも同様の助成を創設し、その後、全国の市区町村へ広がっていった。  この助成は、一部の市区町村が独自に行っている事業であることから、それぞれの市区町村において実施内容が異なっており、実態を明らかにした研究も少ない8)9)。そこで、この助成について全国の市区町村を対象にアンケート調査を行って実態を明らかにし、検討した。 Ⅰ-2.我が国の健康保険制度の成立過程  我が国においては、1897年ごろから近代産業が盛んになった。その結果、工場労働者や賃金労働者が誕生したが、劣悪な環境での労働を強いられていた。そうした中、労働運動も盛んになっていった。こうした社会情勢を背景に、労働者の生活上の不安の除去、労働能率の増進、労資の乖離の防止と対立の緩和、ひいては、国家産業の発展を目的に、1922年(大正11年)に労働者を対象とした健康保険法が制定され、1927年(昭和2年)に施行された。しかし、健康保険法は、労働者のみを対象としており、農民などは対象になっていなかった。  昭和初期の農村は極度に疲弊し、農民の生活の悲惨さは目を覆うものがあった。医療費が払えないことから、死んでもいいから医者を呼ばないでくれという者もいたほどであったと言われている。こうした社会情勢を背景に、農山漁民その他一般国民の負担を軽減し、医療を普及し、生活の安定を図ることを目的に、1938年(昭和13年)に国民健康保険法が制定され、施行された10)。  だが戦後の混乱もあり、1956年(昭和31年)当時、国民の3分の1にあたる約3,000万人が医療保険や年金保険の適用外とされ、病気時や退職後の不安にさらされており、社会保障による対応が求められていた11)。  そのため、「市町村に住所を有する者は被用者保険加入者等でない限り強制加入とする国民健康保険法の全面改正が1958(昭和33)年に行われた(施行は1959(昭和34)年、市町村に対する義務化は1961(昭和36)年)。こうして1961年に、国民誰もが一定の自己負担で必要な医療を受けることができる国民皆保険制度が確立することとなった12)。」 Ⅰ-3.健康保険制度の中での鍼灸等の取扱いの経緯と鍼灸等への助成の誕生過程  「Ⅰ-1.研究の背景」で述べたように、我が国において、鍼灸等の経済的負担を軽減する公的制度としては、(1)鍼灸等に対する健康保険(療養費)と市区町村の一部で行われている(2)鍼灸等への助成の2制度がある。 (1)療養費(鍼灸等に対する健康保険)について  我が国の健康保険制度における鍼灸等の取扱いは、「療養費」の形で可能となっている。それは、『健康保険法第八十七条 保険者は、療養の給付若しくは入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給(以下この項において「療養の給付等」という。)を行うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所、薬局その他の者から診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、保険者がやむを得ないと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる。』(国民健康保険法第五十四条、高齢者の医療の確保に関する法律第七十七条、船員保険法第六十四条、国家公務員共済組合法第五十六条、地方公務員等共済組合法第五十八条、私立学校教職員共済法は、国家公務員共済組合法を準用、に健康保険法と同様の条文がある)に基づいている。はり師、きゅう師の施術においては、慢性病であって、医師による適当な治療手段がないものであり、医学的な見地から、はり師、きゅう師の施術を受けることを医師が認め、これに同意した場合に療養費の支給対象となる。あん摩・マッサージ・指圧の施術のうち、医療上の必要があって行われたと認められるマッサージが対象であり、医師の同意があったことを証明できる同意書等を添付する場合に、療養費の支給対象となる。  鍼灸等の療養費の取り扱いは、1939年(昭和14年)ごろから始まった。滋賀県出身の医師、駒井一雄の国民健康保険中に鍼灸術等を加入せしめる運動の成果である13)。その後、1948年(昭和23年)に、灸の施術に対して、「療養費は、これを支給すべきものとする14)。」との決定書を社会保険審査会が出している。同年に、富山県鍼灸マッサージ師会が富山県から保険取扱いを認められ、その当時、同意書は不用であった15)。1950年(昭和25年)には、福岡県と福岡県鍼灸按摩師会が保険取扱いの契約をし、同意書は必要であったが、同意を得ることに困難はなかった16)。この他にも全国各地において同様の取扱いが行われていたと思われる。しかし、1950年(昭和25年)保発第4号『按摩、鍼灸術にかかる健康保険の療養費について 標記については療術業者の団体と契約の下に、これを積極的に支給する向もあるやに聞き及んでいるが、本件については従前通り御取り扱いを願いたい。従つて、この施術に基いて療養費の請求をなす場合においては、緊急その他真に已むを得ない場合を除いては、すべて医師の同意書を添付する等、医師の同意があつたことを確認するに足る証憑を添えるよう指導することとして、その支給の適正を期することと致されたい。』により、「団体契約の禁止」と「同意書」が義務づけられたため、療養費の取扱いは難しくなった。各県と契約をしていた多くの団体が姿を消したと言われている。しかし、すでに、1949年(昭和24年)当時、国民皆保険の議論が始まっていた為、鍼灸界においても健康保険制度への関心が高まっており、鍼灸師や鍼灸師の団体が「同意書添付の省略化」や「制限診療」の撤廃などを目指す運動をはじめた。そうした中から、療養費とは異なる助成を模索する動きも出てきたものと思われる。  その後の療養費の取扱いをみてみると、1959年(昭和34年)、三浦 彬敬は、「不自由且つ不明確な『適応範囲』と『医師の同意書』という『鉄扉』に『錠』をかけたままで押すようなもので、鉄扉のすき間から洩れる僅かな光をみて、『保険取扱いができる』などと言うことは、あまりにも悲しむべきことである17)。」と述べている。1972年(昭和47年)、木下晴都は、「社会保険の中にある療養費としての鍼灸は、一般医療からみてきわめて貧弱な位置におかれており、低廉な料金と諸種の制限にはばまれて、いかんともなしがたい情態におかれている18)。」と述べている。2013年(平成25年)、形井 秀一は、先に示したように、その支払い要件は、医師の「同意書」が必要とされる厳しいもので、「保険制度の中で活用しようとする際の大きな足枷になっている6)。」と述べている。 (2)鍼灸等への助成制度について  医師の同意書を必要とし、制限診療のある療養費とは異なる鍼灸等への助成は、1954年(昭和29年)頃から創設の動きがみられ、当時、鍼灸界の一部には、療養費に代わる保険制度が必要との声があった。例えば、1958年(昭和33年)、山口県宇部市において、保険取扱いに熱意と希望を有する16名にて宇部保険鍼灸師会を結成、市民の真剣な要望の声を唯一の味方として「被保険者の需る治療が自由に受けられる明朗な患者本位の保険」である可き事を目標として、市議会などに陳情請願を行い、1959年(昭和34年)から国民健康保険での取扱いがはじまった。施術の範囲は、末梢神経疾患、運動器疾患について行うものとし、その他の疾患については国民健康保険の療養担当者である医師の指示もしくは診断書を必要とするとされていた19)。また、1961年(昭和36年)、福岡市において、国民健康保険被保険者を対象として、医師の同意書を必要としない鍼灸への助成が開始された。さらに、1962年(昭和37年)、札幌市においても、全業者及び被保険者たる市民の熱烈なる希望と運動の結果、市民からの請願を採択し、国民健康保険被保険者を対象とした制度を創設した。その後、全国各地において同様の助成が創設されていった。  鍼灸等への助成は、我が国が高齢化社会(1970年)になり高齢者に対する対策が必要になったこと、公平性の観点から、その対象を住民や高齢者を対象とする事業へと発展してきたと考えられる。  以上のように、現在、鍼灸を療養費で受けようとする際には、医師の「同意書」が必要とされる状況にある。我が国においては、高齢者の増加と疾病構造の変化などにより、鍼灸等の果たす役割は高まっており、療養費に代わる保険制度の必要性から誕生した鍼灸等への助成は、現在、これまで以上にその必要性が高くなっていると考えられる。 Ⅰ-4.鍼灸等に対する療養費とは異なる助成の定義と名称について  1) 鍼灸等の定義  鍼灸等を「はり、きゅう、あん摩マッサージ指圧」とする。  2)「鍼灸等に対する助成」の定義  鍼灸等に対する助成を「鍼灸等の施術を受ける市区町村民等に対して各市区町村が独自にその費用の一部を補助する制度」とする。  3)「鍼灸等に対する助成」の名称  鍼灸等に対する助成の名称を「鍼灸等に対する公的助成制度」とする。(ただし、本文においては、「鍼灸等への助成」、または、「公的助成」と表記する。) 第Ⅱ章 鍼灸等に対する公的助成制度に関するアンケート調査と補足調査 Ⅱ-1.調査の目的  第Ⅰ章で述べたように、1950年当時、鍼灸等に対する療養費の適用には、医師の同意書が必要とされ、鍼灸等の受療のために健康保険を使うことは難しい状況にあったため、鍼灸等への助成は、療養費の利用の不便さを補うために、地域住民の要望等により誕生したと考えられる。  しかし、今日においても、鍼灸等に対する療養費は、医師の同意書が必要とされ、鍼灸等の受療のために健康保険を使うことの難しさは改善されていないので、それに代わる鍼灸等への助成の必要性は続いており、「鍼灸等への助成」制度の役割は、今後益々高くなることが予想される。しかし、この助成は、市区町村独自の事業として行われており、現状における全国規模での実態は明らかにされていない。そこで、「鍼灸等への助成」の実態を明らかにするために、全国規模でのアンケート調査を実施した。 Ⅱ-2.調査の概要 (1)調査について  本調査は、市区町村の一部で行われている「鍼灸等に対する公的助成制度」の実態を調査するために市区町村の国民健康保険担当課、または、鍼灸等に対する公的助成制度を実施している担当課に行ったアンケート調査である。その後、インターネットによる補足調査も行った。   (2)調査対象と方法   1) 調査名「鍼灸等に対する公的助成制度に関するアンケート調査」   2) 調査対象        日本の全1741市区町村(北方領土の6村を除く)        (総務省・市町村合併資料集に記載された市町村数1718        <平成26年4月現在>と東京23区をあわせた1741市区町村)   3) 調査方法        ①第一次調査;全1741市区町村へ電話で調査依頼        ②第二次調査;第一次調査で調査の了承を得た         市区町村へ          ・電子メールにてアンケート調査への回答を依頼          ・電子メール、又は、郵送による回答を得る        ③第三次調査;第二次調査により、回答を得た中で、助成を実施していた市区町村に対してインターネット調査を実施 4) 調査期間        第一次調査 平成26年7月9日から平成27年4月27日まで        第二次調査 平成26年9月8日から平成27年5月21日まで        第三次調査 平成27年8月22日 5) 調査内容  ①電話依頼内容(第一次調査)    全国規模で鍼灸等に対する公的助成制度に関するアンケート調査を実施する際の協力のお願いは以下の内容とした。    ⅰ.電子メールを使ったアンケート調査を想定している。    ⅱ.電子メールにアンケートの調査票(別紙1)(Word形式のファイル)、 回答表(別紙2)(Excel形式のファイル)等を添付する。    ⅲ.調査票等を各市区町村で確認してもらう。    ⅳ.各市区町村で調査票等の確認の結果、回答が可能であれば、電子メール、又は、郵送により回答を返信してもらう。    ⅴ.担当課の電子メールアドレスを教えてもらう。  ②アンケート項目(第二次調査)    鍼灸等への助成の有無などで選択式と記述式とした。 アンケート項目については、別紙1に記載。  ③インターネット調査項目(第三次調査)    Google検索サイト、Yahoo検索サイトを使用。    キーワードは、各市区町村名、鍼灸、マッサージ、助成とした。    調査項目は、助成額、助成回数(枚数)、助成対象者、助成の特徴。 6) 電話調査依頼承諾件数(第一次調査)  全国の1741市区町村のうち、調査票などをメールで送付することに対する承諾を得ることができたのは、1548市区町村(承諾率88.9%)であった。 7) アンケート調査回答件数(第二次調査)  第一次調査で承諾を得た1548市区町村のうち、回答を得ることができたのは872市区町村(回答率56.3%)であり、全1741市区町村のうちでは、回答率50.1%であった。鍼灸等への助成を行っているという回答は、310市区町村であったが、その中35市町が公費負担(重度心身障害者医療費助成等)による助成であったため、本研究においては、275市区町村(31.5%、872市区町村中)を助成実施市区町村とした。 8) インターネット調査件数(第三次調査)  助成実施275市区町村のうち、調査可能であったのは205市区町村(調査可能率74.5%)であった。  (複数実施の場合、一事業を任意に選択した。) Ⅱ-3.調査結果(第一次調査・第二次調査・第三次調査)    上記、Ⅱ-2.調査の概要 (2)調査対象と方法にしたがって、第一次、第二次、第三次調査を行った。 (1)第一次調査結果  全国の1741市区町村のうち、調査票などをメールで送付することに対する承諾を得ることができたのは、1548市区町村(承諾率88.9%)であった。 (2)第二次調査結果  全国の1741市区町村のうち、回答を得ることができたのは872市区町村(回答率50.1%)であった。  1)助成実施状況  助成を実施している市区町村数は、回答872市区町村中、275市区町村(31.5%)であった。ひとつ以上の市区町村が助成を実施していた都道府県数は、47都道府県中、37(78.7%)で、全国を北海道、東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州・沖縄の8地方に分けて実施率をみると、北海道:1.1%、東北:12.8%、関東:21.8%、中部8.5%、関西:6.6%、中国:20.6%、四国:21.1%、九州・沖縄:33.2%であった(表1、図1)。 また、助成は、今回の調査では1954年から開始されていた。助成開始年代別に市区町村数をみると、1950年代:5、1960年代:18、1970年代:47、1980年代:69、1990年代:74、2000年代:23、2010年代:5であった(同一の市区町村で複数の事業があった場合、助成開始が早い方を計上)(表2)。  また、助成実施市区町村中、113市区町村(41.1%)では、回答した担当課の名称に「福祉」が含まれていた。  ※8地方は以下の通りとする。北海道、東北(青森県・岩手県・宮城県・秋田県・山形県・福島県)、関東(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)、中部(新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県)、関西(三重県・滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)、中国(鳥取県・島根県・岡山県・広島県・山口県)、四国(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)、九州・沖縄(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県・沖縄県)  2)助成の目的  助成の目的別市区町村数は、275市区町村中、健康の保持・増進が262(95.3%)、療養費の補完が20(7.3%)、医療費の抑制が28(10.2%)、視覚障害者の生業確保が25(9.1%)、その他が21(7.6%)であった(複数回答可)(表3)。  3)助成対象となる施術  助成実施275市区町村中、はりを対象としている市区町数は275(100%)、きゅうを対象としている市区町村数は274(99.6%)、あん摩マッサージ指圧を対象としている市区町村数は239(86.9%)であった(複数回答可)(表4)。  はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧の3術を助成対象としている市区町村数は275市区町村中、238(86.5%)であった。  4)助成の財源  助成の財源別市区町村数は、275市区町村中、国民健康保険が81(29.5%)、後期高齢者医療が51(18.5%)、一般会計が210(76.4%)、その他が41(14.9%)であった(複数回答可)(表5)。  助成の総予算※は、3,235,491千円(274市区町村)であった。 ※総予算については、市区町村の中には、複数の事業(高齢者社会参加事業や障害者外出支援事業など)を同一の予算から支出しているものがあるため、鍼灸等の助成額以外の予算も含んでいる。  5)利用対象者  ①利用可能対象者  248市区町村の住民の中で、助成を利用できる対象者の総数は7,203,570人で、利用できる施術所の総数は13,027か所(264市区町村)であった。  (総数については、同一の市区町村において、複数事業がある場合、その合計を集計。施術所の数については、同一の市区町村において、複数事業がある場合、多い方を計上。)  ②対象疾患指定の有無  対象疾患の指定が有る市区町村数は274市区町村中、54(19.7%)、対象疾患の指定がない市区町村数は220(80.3%)であった(表6)。  ③医師の同意書の必要性  274市区町村中、医師の同意書が必要な市は1、不要な市区町村は273(99.6%)であった(表7)。  (同一市区町村中、複数事業があった場合、一事業でも指定疾患が有る場合には、指定疾患ありとした。)  ④利用促進のための対策の実施  利用促進のための対策を行っている市区町村数は263市区町村中、217(82.5%)、行っていない市町村が46(17.5%)であった(表8)。  利用促進の内訳の市区町村数は217市区町村中、広報で知らせたが168(77.4%)、庁舎等にポスターを張ったが22(10.1%)、窓口で対象者に知らせたが59(27.2%)、その他が78(35.9%)であった(複数回答可)。  6)事業仕訳  ①事業仕訳の実施の有無  270市区町村中、事業仕訳を行った市区町数が70(25.9%)、行わなかった市区町村数が200(74.1%)であった(表9)。  ②事業仕訳の結果  事業仕訳の結果、70市区町中、継続を選択した市区町数が47(67.1%)、廃止を選択した市町数が4(5.7%)、その他を選択した市町数が19(27.1%)であった(表10)。  その他の内訳の市町数:縮小(見直し・要改善を含む)が15(78.9%)、休止が1(5.3%)、拡大が1(5.3%)、廃止を検討(不用を含む)が2(10.5%)であった。  ③事業仕訳の結果の理由  ⅰ継続の理由  事業仕訳の結果、『継続』の理由は47市区町中、健康の保持・増進に役立っているが38(80.9%)、医療費が抑制されているが4(8.5%)、高齢者の経済的負担の軽減がなされているが14(29.8%)、健康の保持・増進に役立っていないが0(0.0%)、公的助成制度の利用者が少ないが1(2.1%)、利用できる人が限定的で公平ではないが0(0.0%)、厳しい財政状況にあるが3(6.4%)、その他が6(12.8%)であった(複数回答可)(表11)。  ⅱ廃止の理由  事業仕訳の結果、『廃止』の理由は4市町中、健康の保持・増進に役立っているが0(0.0%)、医療費が抑制されているが0(0.0%)、高齢者の経済的負担の軽減がなされているが0(0.0%)、健康の保持・増進に役立っていないが1(25.0%)、公的助成制度の利用者が少ないが2(50.0%)、利用できる人が限定的で公平ではないが0(0.0%)、厳しい財政状況にあるが1(25.0%)、その他が1(25.0%)であった(複数回答可)(表11)。  4市町の分布は、関東地方2市町、中国地方1市、九州地方1町であった。人口規模でみると、40万人規模が1市、4万人規模が1町、6万人規模が1市、6千人規模が1町であった(人口については、平成22年国勢調査(総務省統計局)による)。  ⅲその他の理由  事業仕訳の結果、『その他』の理由は、19市町中、健康の保持・増進に役立っているが8(42.1%)、医療費が抑制されているが0(0.0%)、高齢者の経済的負担の軽減がなされているが3(15.8%)、健康の保持・増進に役立っていないが0(0.0%)、公的助成制度の利用者が少ないが5(26.3%)、利用できる人が限定的で公平ではないが2(10.5%)、厳しい財政状況にあるが12(63.2%)、その他が6(31.6%)であった(複数回答可)(表11)。  7)課題の有無  課題があると回答したのは、67市町村であった。そのうち、課題を指摘した市町数は66であった。課題は、見直しが25件、効果(適正性を含む)が10件、利用が22件で、そのうち、利用率低下が9件、その他が22件で、計79件の指摘があった。その課題としては、対象者の増加による見直しや鍼灸等の有効性・鍼灸等の助成による効果が不明、利用者の固定、利用率低下、不正受給の恐れなどがあげられていた(資料1)(自由記述)。  8)以前に、公的助成制度を実施  「現在、公的助成制度を実施していますか。」との質問に対して、562市区町村が実施していないと回答した。そのうち、「以前、公的助成制度を実施していましたか。」との質問に対して、17市町(3.1%)が実施していた、538市区町村(96.9%)が実施していないと回答した(有効回答:555市区町村)(表12)。  9)公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由  公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由に対して、回答のあった市区町村数は、鍼灸の効果がわかりづらいが114市区町村(20.6%)、鍼灸を希望する人が少ないが138市区町村(24.9%)、施術所の選択の余地がないが50市区町村(9.0%)、財政が厳しいが301市区町村(54.3%)、その他が161市区町村(29.1%)であった(複数回答)(有効回答:554市区町村)(表13)。  以前、公的助成制度を実施していましたかの質問に対して、実施していたと回答した17市町の公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由に対する市町数は、鍼灸の効果がわかりづらいが3市(17.6%)、鍼灸を希望する人が少ないが5市(29.4%)施術所の選択の余地がないが0(0.0%)、財政が厳しいが12市町(70.6%)、その他が4市(23.5%)であった(複数回答)(表14)。  (3)第三次調査結果  1)助成内容  65歳以上(70歳以上、後期高齢者などを含む)を助成開始としている市区町村数は、205市区町村中、151(73.7%)であった。  ①助成額  助成対象者1回あたりの助成額の平均は945円、最頻値1,000円で、助成対象者の年間の最大利用回数(枚数)の平均は25回、最頻値12回であった。助成対象者1人あたりの年間の最大助成額の平均は23,778円で、最頻値は12,000円であった(表15)。  ②助成対象者  助成対象者は、国民健康保険被保険者、後期高齢者医療被保険者、高齢者、障害者などで、一部に、寝たきりや認知症の人を介護する人を対象としているところがあった。また、高齢者を対象としているものの、定員を決めて、先着順で助成を行っているところもみられた。その他に「整体師等の有資格者であって、町内で施術を行う者のうち特に町長が認める治療」を助成対象としているところもあった。 第Ⅲ章 考察 Ⅲ-1. 結果に対する考察  回答率は50.1%と比較的高かったが、全市区町村の約半数の実態しか把握することができなかった。国の調査などある程度の強制力のある立場での調査でなければ、正確な実態は把握できないと思われた。  また、調査依頼は、国民健康保険担当課、又は、鍼灸等への助成の担当課としたことから、それらの課の業務範囲を超えた回答を得られなかった可能性も考えられる。 (1)助成実施地方  鍼灸等への助成は、全国で実施されていた。しかし、九州・沖縄地方では、少なくとも3割の市町村で実施されていたが、北海道地方では、ほとんど実施されていなかった。このように、助成実施の地域にかたよりがみられ、鍼灸等を受療する際の補助のある地域とそうでない地域があり、地域差があることが明らかとなった。形井は、「西洋医学的な医療が、ある分野では病気や病を改善するために、必ずしもベストな医療ではないということも明らかになってきた20)。」と指摘しており、鍼灸あん摩などが、西洋医学の補完・代替医療、健康の保持・増進のために活用されることが必要であると思われる。そのためには、鍼灸等への受療を容易にする取組が必要だと思われた。   (2)実施の目的  鍼灸等への助成は、助成を行っている275市区町村中、262市区町村(95.3%)において、健康の保持・増進を目的に行われていることが明らかとなった。また、約10%においては、医療費の抑制を目的としていることから、鍼灸等への期待の高さがうかがわれた。さらに、9.1%で視覚障害者の生業確保を目的としていることや、助成実施市区町村中、113市区町村(41.1%)は、回答した担当課の名称に「福祉」が含まれており、市区町村において、鍼灸等の助成が福祉分野充実のための事業に位置づけられていることも明らかとなった。 (3)制度の財源  鍼灸等への助成は、「Ⅰ-3.健康保険制度の中での鍼灸等の取扱いの経緯と鍼灸等への助成の誕生過程」でみたように、1960年代の創設当初は、国民健康保険被保険者向けに行われていた。しかし、今回の調査では、助成を実施している275市区町村中、210市区町村(76.4%)が、鍼灸等への助成の財源として一般会計をあげていたことから、鍼灸等への助成が全国で創設されていく過程において、市民一般を対象とするようになってきたことが推察された。1970年(昭和45年)には、65歳以上の人口が総人口に占める割合である高齢化率が7%を超え、高齢化社会となっている。そのため、1970年以降、高齢者の健康の保持・増進のために行われるように、その対象がシフトされてきたと思われる。また、2008年(平成20年)に後期高齢者医療制度が始まった。本調査では、鍼灸等への助成を行っている市区町村の約18%において、後期高齢者医療被保険者を対象としていた。本来は、全住民を対象として鍼灸等への助成が行われることが望ましいが、財政事情から助成対象者を限定せざるを得なかったのではないかと思われる。鍼灸等への助成は、65歳以上(70歳以上、後期高齢者などを含む)を助成開始としている市区町村数は、205市区町村中、151(73.7%)で、高齢者を対象として実施されている。しかし、鍼灸等への助成の課題として、対象者の増加による見直しがあげられており、今後さらに高齢化が進む中、後期高齢者医療被保険者が主な助成対象者となると推測され、後期高齢者医療制度の中で鍼灸等が活用されるような取組が必要だと思われる。長崎県後期高齢者医療広域連合などでは、すでに、はり、きゅう施術費の助成が行われている。 (4)対象疾患の指定と同意書の必要性の有無  鍼灸等への助成の利用に関しては、対象疾患の指定がない市区町村数は、274市区町村中、220(80.3%)であり、医師の同意書が不要である市区町村数は、274市区町村中、273(99.6%)であった。対象疾患の指定がないところが多く、また、そのほとんどが医師の同意書を必要としないことから、療養費と比べて利用しやすいことが明らかとなった。これらのことから、少なくとも220市区町村において西洋医学では、病気とされないものでも鍼灸等で対応できることが明らかとなった。 (5)助成額  助成対象者1回あたりの助成額の平均は945円、最頻値1,000円で、助成対象者の年間の最大利用回数(枚数)の平均は25回、最頻値12回で、助成対象者1人あたりの年間の最大助成額の平均は23,778円で、最頻値は12,000円であった。鍼灸等への1回あたり助成額が945円(平均値)であり、鍼灸等の受療者の経済的負担の軽減に少なからず貢献しているものと思われた。 (6)助成の利用の促進  鍼灸等への助成の利用促進のための対策を行っている市区町村数は、263市区町村中、217(82.5%)で、利用促進の内訳の市区町村数は217市区町村中、広報で知らせたが168(77.4%)、庁舎等にポスターを張ったが22(10.1%)、窓口で対象者に知らせたが59(27.2%)、その他が78(35.9%)であった。鍼灸への助成は、市区町村が行っており、住民に対して広報やポスターなどで周知されるため、鍼灸等の普及や情報発信に役立つものだと思われる。 (7)助成事業の評価  鍼灸等への助成を対象とする事業仕訳を行ったのは、70市区町で、事業仕訳の結果、継続を選択したのが47市区町(67.1%)、廃止を選択したのが4市町、その他を選択したのが19市町であった。そして、その他の内訳の19市町においては、縮小(見直し・要改善含む)が15(78.9%)、休止が1(5.3%)、拡大が1(5.3%)、廃止を検討(不用を含む)が2(10.5%)である。  これらのことから、鍼灸等への助成は、継続を選択したのが47市区町(67.1%)でおおむね評価されているものの、その他を選択した19市町のうち15市町(78.9%)が、縮小(見直し・要改善を含む)と回答し、助成内容の縮小傾向がうかがわれた。  また、鍼灸等への助成を廃止と回答したのが4市町で、その他において、休止・廃止を検討・不用と回答したのが3市あり、あわせて7市となっている。これは、事業仕訳を行った70市区町の1割に相当する。今回の調査では、鍼灸等への助成の廃止について、詳細に検討することはできなかった。しかし、助成内容の縮小傾向がうかがわれたことは、鍼灸等への助成の利用者がさらに減少する可能性がうかがわれ、それが鍼灸等の受療者の減少となり、鍼灸等への助成の需要がないとの結果を生む恐れが考えられる。鍼灸等への助成を地域住民に魅力あるものにしていかなければ、今後、他の市区町村においても、鍼灸等への助成が廃止されていく傾向が出てくるものと思われる。  事業仕訳の結果、『廃止』の理由は、4市町中、健康の保持・増進に役立っていないが1(25.0%)、公的助成制度の利用者が少ないが2(50.0%)、厳しい財政状況にあるが1(25.0%)などであった。事業仕訳の結果、『その他』の理由は、19市町中、公的助成制度の利用者が少ないが5(26.3%)、利用できる人が限定的で公平ではないが2(10.5%)、厳しい財政状況にあるが12(63.2%)などであった。公的助成制度の利用者が少ない、厳しい財政状況にあるなどがあげられており、鍼灸等への助成を利用者に魅力あるもの(例えば、出張(訪問)でも利用できるなど)にしていく必要性があると思われた。また、厳しい財政状況により、鍼灸等への助成の見直しが一部の市区町村で考えられていることが明らかとなった。廃止と回答した4市町の分布は、関東地方が2市町(50.0%)、中国地方1市(25.0%)、九州地方1町(25.0%)となっている。また、人口規模をみると、40万人規模が1市、4万人規模が1町、6万人規模が1市、6千人規模が1町であった。これらのことから、鍼灸等への助成を廃止する要因に対して、地域性は何らかの影響を及ぼしている可能性が考えられるが、人口規模については、影響はないと考えられる。  その一方で、『継続』を選択した47市区町の約8割が、健康の保持・増進に役立っていると回答していることから、超高齢社会の我が国にとって鍼灸等への助成は、必要なものだと考えられる。 (8)鍼灸等への助成の課題  以前、公的助成制度を実施していましたかの質問に対して、実施していたと回答した17市町のうち、公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由に対する市町数は、鍼灸の効果がわかりづらいが3市(17.6%)、鍼灸を希望する人が少ないが5市(29.4%)、施術所の選択の余地がないが0(0.0%)、財政が厳しいが12市町(70.6%)、その他が4市(23.5%)であった。財政が厳しいと答えたものが12市町(70.6%)であり、鍼灸等への助成の継続性という点においては、各市区町村の財政状況に左右される可能性が考えられる。また、鍼灸を希望する人が少ないが5市(29.4%)となっており、地域の人々に鍼灸の魅力が伝わっていないと考えられる。  鍼灸等への助成の課題として、対象者の増加、鍼灸等の有効性や鍼灸等への助成による効果が不明、利用者の固定、利用率低下、不正受給の恐れなどがあげられていた。対象者の増加によって財政負担が大きくなることから見直しは必要だと思われるが、できるだけ多くの人々が鍼灸等への助成を利用できるように見直す必要があると思われる。また、鍼灸等の有効性および鍼灸等への助成による効果は、鍼灸等を提供する立場にあるはり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師側が、その効果を明らかにする努力が求められる点である。また、利用者の固定、利用率低下についても、鍼灸等の有効性を明らかにし、利用者を増やしていく努力が求められているものと考えられる。そして、不正受給の恐れなどについては、はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師側のモラルの問題であり、学校教育や師団の生涯教育などの努力にかかっており、その面での努力も必要であると思われる。 Ⅲ-2. 全体の考察 (1)調査方法について  アンケート調査の回答率が50.1%と比較的高くなったのは、学長名による調査依頼を行った事、調査依頼先を原則として国民健康保険担当課に決めていた事。直接担当者に電話にて調査依頼を行った事によると思われる。 (2)健康の保持・増進の分野における鍼灸等について  健康とは何か、は難しいが、2002年に公布された健康増進法は、急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していると謳っている。また、「高齢者の多くは病気に至らなくとも何らかの健康上の不安を抱えている21)」ことが指摘されている。2007年に65歳以上の高齢者の占める割合が全人口の21%を超え、超高齢社会となった我が国において、健康の保持・増進は、関心の高い分野である。さらに現在、健康寿命をいかに伸ばすかが課題となっている。健康寿命は、「日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間22)」とされている。また、馬場園は、健康増進の目的は、生活の質や人生の質をめざし、潤いのある生活をするためにとか、満足のできる人生を送るためにといったより積極的な理念をもった活動になってくる必要がある23)と述べている。さらに、健康については、田原らが、「健康の意味、内容はその地域、文化、時代とともにflexibleである24)。」と述べ、また、桝本は、「社会の変化や時代の要請,人々の価値観によって変化してきた25)。」としている。健康というものは、人々の価値観、その地域、文化、時代などによって変化するものであり、健康の保持・増進の手段方法についてもいろいろなものが考えられる。  特に、鍼灸は、Cure(治療),Care(手当),Consolation(慰安)まで網羅する26)と言われており、健康の保持・増進の分野も含んでいる。鍼灸の特徴は、養生を大事にすること。治未病の考えを持っていることである。それに関して、形井は、養生を大事にすることは、自然の摂理に従う(四季や昼夜の変化に順応した生活をする)。恬淡虚無の境地で生きる(心にわだかまりなく、心おだやかな生活を送る)。食養生(節度ある摂取)、自己鍛錬(適度の運動)、房事過多の戒め、であり、治未病については、病のごく初期の徴候の段階で治療して、本当の病に移行させない。ある病の段階から次の病の段階に移行しないように治療すること27)だと述べている。また、西條は、健康の保持・増進としての鍼灸の役割について、人間が、健康であるためには、活動と休息にリズムを持つことが大切で、活動によって生じた疲労が、休息によって回復されなければならないが、多くの疾患がこのリズム乱れによって、疲労が回復しきれず、蓄積疲労として始まることが多いので、鍼灸によって、筋、神経の過緊張を和らげ、緊張が解けない状態を断ち切り、活動と休息のリズムを回復すると述べている28)。緒方は、「2025年には75歳以上の高齢者が4人に1人の時代を迎える。あはき師が活躍できる場が大いにあると考える29)」と述べ、また、柳沢は、「鍼灸治療は手技が簡便で生体に与える侵襲や副作用も少なく、高齢者のQuality of Life(QOL)の向上および健康維持に対応できる経験医術と考えられ、高齢者医療における東洋医学の役割の一つとして期待できる30)。」としている。西條らは、保健理療の説明の中で、保健理療とはあん摩・マッサージ・指圧の方法を基本とし、その他簡単な機器や器具を用いて、人々の健康の保持・増進と疲労の回復をはかり、半健康症候群と呼ばれる状態にあるような人々の症状を処置したり、心身症や自律神経失調症などに起因する不定愁訴などに対処して、その苦痛の軽減・除去に寄与する施術である31)と、あん摩・マッサージ・指圧の役割について述べている。  飯塚らの「鍼灸の国民健康保険等公費負担取扱いに関する実態調査8)」において、1985年(昭和60年)当時、年齢制限のない国保助成制度が、55市32町村で実施されており、鍼灸の2術を対象とする市町村は全体の71%で、残り29%が鍼灸マッサージの3術を対象としていたと報告されている。鍼灸等への助成実施275市区町村中、はりを対象としている市区町村数は275(100%)、きゅうを対象としている市区町村数は274(99.6%)、あん摩マッサージ指圧を対象としている市区町村数は239(86.9%)であった。これらのことから、鍼灸等への助成実施市区町村においては、鍼灸のみならず、あん摩マッサージ指圧も助成対象に加えてきたことがうかがわれた。あん摩マッサージ指圧への助成を望む人々の声があったものと推察される。 (3)「鍼灸等が地域社会の生活・健康への寄与」という役割を担うために  厚生労働省保険局医療課、保険局調査課による「柔道整復、はり・きゆう、マッサージに係る療養費の推移(推計)」をみると、はり・きゆうについては、平成18年度が221億円、平成19年度が247億円、平成20年度が267億円、平成21年度が293億円、平成22年度が315億円、平成23年度が352億円、平成24年度が358億円となっている。マッサージについては、平成18年度が294億円、平成19年度が339億円、平成20年度が374億円、平成21年度が459億円、平成22年度が516億円、平成23年度が560億円、平成24年度が610億円となっている。しかし、喜多嶋は、「療養費の給付にあたる訪問マッサージについても、国試以後従事する者は相当数増加してきた。ところが、最近、金額的には柔道整復師の10分の1程度であるにもかかわらず、療養費取り扱いの延び率から抑制策がとられるようになった。2014年の段階では代行業者を通じて患者調査を行う保険者も増加し、しかも、このアンケート調査の文章には、「解答がない場合には療養費の適用を認めないこともある」との趣旨も入れられており、高齢患者には相当の負担と心理的圧迫を与えている状況となっている。また、同意書の発行についても、保険者から医師に同意書を書いた理由の説明を求める文章が送られるようになり、医師会の同意書を書かない傾向に一層の拍車をかけている32)」と指摘している。これらのことから、鍼灸等への潜在的需要はあると思われるが、鍼灸等への療養費の適用が、今後、拡大していくかどうかは不透明である。  2013年に、香川県三木町は、三木町はり、きゅう、マッサージ施術費助成制度を開始した。助成の目的は、健康の保持・増進であり、町に居住し、税を納めている70歳以上を対象とし、1回あたり1,000円(年12回)となっている。このように近年においても、鍼灸等への助成が創設されており、鍼灸等への助成は、その地域の人々の熱意と行動があれば創設が可能だと思われる。喜多嶋は、「医療性については、地域医療連携の中で、チームの一員としての活躍を発展させたいと願っているが、代替医療、補完医療の地位に甘んじている鍼灸マッサージにとって、医療性ばかりを追求することは職域の幅を狭め、診察権、開業権の否定にもつながる恐れはないであろうか32)。」と指摘している。  はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師は、高齢者の生活支援の場において活躍できると考えられる。例えば、高齢者に対して、養生を大事にすることや体調を整えること、お灸のセルフケアの指導を行うことなどが考えられる。鍼灸等への助成において、寝たきりや認知症の人を介護している人を対象としているところもあった。このことは、介護をしている人をケアすることで、寝たきりや認知症の人の生活を支援することにもつながると思われる。また、茨城県つくば市では、つくば市高齢者在宅福祉事業の一つとして、あん摩・マッサージ・はり及びきゅうの施術費助成事業が行われている。また、兵庫県稲美町においても、生活支援サービスの一つとして、はり・灸・マッサージ助成が行われている。静岡県磐田市においても、在宅支援サービスの一つとして、はり・きゅう・マッサージ治療費助成が行われており、市区町村の中には、はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧を生活支援サービスと位置付けているところもある。  公営や民営の借家に暮らす高齢者世帯などでは、経済的に安定した生活を送ることができない世帯も多くあることが指摘されている33)。鍼灸等への助成は、健康保険が一般医療と同様に鍼灸等に適用されていない状況であることから、高齢者が鍼灸等を受療するために必要だと考えられる。さらに、西洋医学では、病気とされないものについても、鍼灸等への受療を可能にすることから、高齢者の健康づくり、病気の予防、社会参加の促進に寄与する可能性も考えられる。 第Ⅳ章 結語 1.鍼灸あん摩マッサージ指圧に対する助成の実態を調査するために全国の1741市区町村の担当者に電話にて、アンケートの依頼を行った。 2.872市区町村から回答を得ることができ、872市区町村中、約3割で実施されていた。助成の総予算額は、約32億円であった。助成を利用可能な市区町村民は、約7百20万人であった。 3.鍼灸あん摩マッサージ指圧が地域の人々の健康の保持・増進に役立っている可能性が示唆された。 4.事業仕訳の結果、廃止を選択したのが4市町であった。その理由として、健康の保持・増進に役立っていないなどがあげられていた。鍼灸あん摩マッサージ指圧の施術によって「健康の保持・増進」にどのような影響が及ぶのかの客観的な研究が今後必要だと思われた。 引用文献 1) 松本 勅(編著).高齢鍼灸学 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谷泰隆.高齢社会のニーズと産業・制度の相互補完.貝塚 啓明,財務省財務総合政策研究所(編著).持続可能な高齢社会を考える 官民の「選択と集中」を踏まえた対応.第1版.中央経済社.2014:95. 22)桐野 高明.医療の選択.第1刷.岩波書店.2014:122. 23)馬場園 明.健康政策.山田 裕章監修.九州大学健康科学センター(編).現代健康学.初版.九州大学出版会.1998:20. 24)田原 靖.菅原 正志.長崎県民の健康・スポーツに関する調査研究 成人の個人的属性と健康の様相.長崎大学教養部紀要(自然科学篇).1981:22(1):85. 25)桝本 妙子.「健康」概念に関する一考察.立命館産業社会論集.2000: 36(1):138. 26)小野 直哉.生活モデル型支援と鍼灸.鍼灸osaka.2015;31(2):53. 27)形井 秀一.矢野 忠.小林 詔司.生活と鍼灸.全日本鍼灸学会雑誌.2005; 55(1):23. 28)西條 一止.鍼灸治療の実際.丹澤 章八(編集).高齢者ケアのための鍼灸医療. 医道の日本社.1995:85. 29)緒方 昭広.カリキュラムの編成と展開.吉川 恵士 監修.日本鍼灸手技療法教育研究会(編).理療教育学序説 はり師きゅう師あん摩マッサージ指圧師教育学の構築. ジアース教育新社. 平成27年8月2日:85. 30)柳澤 紘.加齢と膝疾患.日本東洋医学雑誌.1997;47(5).741. 31)西條 一止.佐藤 優子.森山 朝正.森 英俊.保健理療理論.東京ヘレン・ケラー協会. 平成8年2月10日:9. 32)喜多嶋 毅.職業教育と理療教育.吉川 恵士監修.日本鍼灸手技療法教育研究会(編).理療教育学序説 はり師きゅう師あん摩マッサージ指圧師教育学の構築. ジアース教育新社.平成27年8月2日:155-56. 33)坂口 正之.岡田 忠克.編よくわかる社会保障.第3版.ミネルヴァ書房.2009年:35. 参考文献 1) 市町村要覧編集委員会編.平成24年版全国市町村要覧.第一法規. 平成24年1月20日.初版. 2) 津嘉山 洋.山下 仁.補完代替医療における市場の混乱と利益相反. Clin Eval.2005.32(2-3):491-503. 3) 古川 孝順.福祉ってなんだ.第6刷.岩波書店.2013年4月24日. 4) 古川 孝順.社会福祉の新たな展望 現代社会と福祉.第1刷.ドメス出版. 2012年3月15日. 5) 国民の福祉と介護の動向.一般社団法人厚生労働統計協会. Vol.62 No.10.2015/2016:55. 6) 川村 匡由.新しい高齢者福祉 地域福祉への展望.初版.ミネルヴァ書房.1996年. 7) 芦野 純夫.あはき法解釈の昏迷を解きほぐす 鍼灸は医業か医業類似行為か. 第1刷.公益社団法人東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会. 2013年12月16日. 8) 健康保険組合連合会.あんま(マッサージ)、はり、きゆうの療養費の支給基準について.健康保険.健康保険組合連合会.1961;第十五巻第十号:36-7. 9) 青木 一男.療養費の支給基準の取り扱い.健康保険.健康保険組合連合会.1972;第二十六巻第五号:110-13. 10) 総務省.市町村数の変遷と明治・昭和の大合併の特徴. http://www.soumu.go.jp/gapei/gapei2.html 11) 内閣府.平成26年版高齢社会白書(概要版) http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2014/gaiyou/s1_1.html 12) 山下 仁.津嘉山 洋.日本の成人鍼灸受療者に関する全国規模電話調査2005.全日本鍼灸学会雑誌.2006;56(3):503. 13) 形井 秀一.山岡 傳一郎.連載対談 触れる語る.医道の日本.2009;68(10). 14) 吉川 信.灸刺激が生体免疫系に及ぼす影響.日本東洋医学雑誌.1997;47(5). 15) 坂井 友実.老年者の疼痛管理と鍼灸.日本東洋医学雑誌.1997;47(5). 16) 山岡 傳一郎.高齢化社会における生きがいある地域づくり.日本東洋医学雑誌. 1997;47(5). 17) 小川 卓良.形井 秀一.篠原 昭二.局所治療と遠隔部治療アンケート調査-2. 全日本鍼灸学会雑誌.2005;55(1). 18) 形井 秀一.東洋医学再評価の視点.月刊/保険診療.平成5年7月;48(6). 19) 津嘉山 洋.鍼の異質性:1970年以降の西洋医学コミュニティの鍼灸受容のプロセス-鍼はプラシーボか-,放送大学大学院修士論文.平成15年12月. 謝辞  本研究の実施から修士論文の執筆まで、終始温かい激励と熱意あるご指導、ご鞭撻を賜りました筑波技術大学大学院技術科学研究科の形井 秀一 教授に心より深く感謝申し上げます。  本研究に貴重なご助言とご指導を賜りました筑波技術大学大学院技術科学研究科の藤井 亮輔 准教授に心より感謝申し上げます。  本研究に貴重なご助言とご支援を賜りました筑波技術大学大学院技術科学研究科の野口 栄太郎 教授、緒方 昭広 教授に心より感謝申し上げます。  本研究全般にわたり多大なるご支援、ご協力を賜りました筑波技術大学大学院技術科学研究科の津嘉山 洋 教授に心より深く感謝申し上げます。  本研究に、ご支援とご協力を賜りました筑波技術大学客員研究員の前田 尚子 先生に心より感謝申し上げます。  アンケート調査の実施にあたり、ご協力を賜りました各市区町村のご担当者様に心より厚くお礼申し上げます。  本研究につきまして、ご支援、ご協力を賜りました筑波技術大学の村上 芳則 前学長、元教授の一幡 良利 先生、大沢 秀雄 准教授、殿山 希 准教授、特任研究員の周防 佐知江 先生、視覚障害系図書館の職員の皆様、多くの先生方に心より感謝申し上げます。  研究に関する資料をご提供いただきました福岡市鍼灸師会の古賀 慶之助 常務理事に心より感謝申し上げます。  本研究は、多くの方々のご協力によって成立しました。心より深く感謝し、厚くお礼申し上げます。 別紙1 鍼灸等に対する公的助成制度に関するアンケート調査票 (お願い)  本アンケートは、鍼灸等の施術を受ける市区町村民等に対して各市区町村が独自にその費用の一部を補助する制度(以下、公的助成制度という)の実態を調査するものです。  この調査票により個人が特定されることはありません。後日、ご照会させていただくために、ご連絡先をご記入くださいますよう、お願い致します。   まず、基本事項についてお尋ねします。 記載年月日 都道府県名 市区町村名 部署名 ご担当者名 電話番号 E-mailアドレス 問1 最新の人口はどのくらいですか。(20  年 月現在)(回答はひとつ)  1. 1万人未満  2. 1万人以上10万人未満  3. 10万人以上20万人未満  4. 20万人以上50万人未満  5. 50万人以上 問2 最新の人口の割合。(20  年 月現在) (回答はひとつ)  a. 0歳~14歳 1. 10%未満 2. 10%以上20%未満 3. 20%以上  b. 15歳~64歳 1. 50%未満 2. 50%以上60%未満 3. 60%以上  c. 65歳以上 1. 20%未満 2. 20%以上50%未満 3. 50%以上 問3 平成25年度決算に基づく財政力指数はどのくらいですか。(回答はひとつ)  1. 1.0以上  2. 0.5以上1.0未満  3. 0.4以上0.5未満  4. 0.3以上0.4未満  5. 0.3未満 問4 主要産業はどれですか。(回答はひとつ)  1. 第1次産業  2. 第2次産業  3. 第3次産業 問5 貴市区町村内にある鍼灸の施術をおこなっている数。(回答はひとつ) ※整(接)骨院・マッサージ院等でも鍼灸を行っていれば含める  1. 10か所未満  2. 10か所以上50か所未満  3. 50か所以上100か所未満  4. 100か所以上  5. 不明 問6 現在、公的助成制度を実施していますか。 1. 実施している 2. 実施していない 1. 実施している  問7~問25までお答えください。   問7 公的助成制度は、何年から実施されていますか。(西暦で記入)    年 (a. 合併した市区町村では、最も早くから実施していた旧市区町村の実施年を答えてください。 b.不明な場合には、新市区町村になって実施された最初の年を回答してください。) 問8 公的助成制度の目的は何ですか。(複数回答可)  1. 健康の保持・増進  2. 療養費の補完  3. 医療費の抑制  4. 視覚障害者の生業確保  5. その他( ) 問9 貴市区町村における公的助成制度の名称は何ですか。 問10 公的助成制度の対象となる施術は何ですか。(複数回答可)  1. はり  2. きゆう  3. あん摩マッサージ指圧 問11 公的助成制度の財源は何ですか。(複数回答可)  1. 国民健康保険  2. 後期高齢者医療保険  3. 一般会計  4. その他( ) 問12 「問11」で答えた財源の総額は、平成26年度は、いくらですか。(単位:千円)     千円 問13 公的助成制度の予算額はいくらですか。(単位:千円)     千円 問14 平成26年4月1日現在、公的助成制度を利用できる対象者の総数は何人ですか。     人 問15 平成26年4月1日現在、公的助成制度の取り扱いができる施術所は何か所ですか。   か所 問16 公的助成制度の取り扱いができる施術者の条件は何ですか。(複数回答可)  1. 施術に応じた免許取得  2. 市区町村内に施術所を開設している  3. 視覚障害者  4. その他( ) 問17 公的助成制度の対象となる疾患の指定はありますか。 1. ある 2. ない 1. ある 対象となる疾患の内容 (複数回答可) a. 療養費の対象疾患と同じ b. その他( ) ※療養費の対象疾患 神経痛、リウマチ、腰痛症、五十肩、頚腕症候群、頸椎捻挫後遺症、その他 これらに類似する疾患 問18 公的助成制度は、療養費との併給はできますか。 1. できる 2. できない 問19 公的助成制度は、医師の同意書が必要ですか。 1. 必要 2. 不要 問20 平成25年度における公的助成制度の利用率は予算に対して何%でしたか。   % 問21 公的助成制度の利用促進のために何らかの対策を行っていますか。 1. 行っている 2. 行っていない 1. 行っている a.どんなことを行いましたか。(複数回答可) 1. 広報でしらせた 2. 庁舎等にポスターを張った 3. 窓口で対象者に知らせた 4. その他( ) 問22 公的助成制度の事業仕訳を行いましたか。 1. 行った 2. 行っていない 1. 行った a. いつ行いましたか。(西暦で記入)※最近の年をお答えください。     年 b. 事業仕訳の結果どうなりましたか。(回答はひとつ) 1. 継続 2. 廃止 3. その他( ) c. 事業仕訳の結果(b.)の理由。(複数回答可) 1. 健康の保持・増進に役立っている 2. 医療費が抑制されている 3. 高齢者の経済的負担の軽減がなされている 4. 健康の保持・増進に役立っていない 5. 公的助成制度の利用者が少ない 6. 利用できる人が限定的で公平ではない 7. 厳しい財政状況にある 8. その他( ) 問23 今後、公的助成制度を見直すことは決まっていますか。 1. 決まっている 2. 決まっていない 問24 公的助成制度の課題が指摘されていますか。 1. 指摘されている 2. 指摘されていない 1. 指摘されている a. 具体的にはどういうことですか(自由記述) 問25 貴市区町村における公的助成制度の給付条件に該当するものを回答してください。  ※また、「有」の場合、何歳以上か、税込み年収何万円未満か、数字で回答してください。  ※aは、貴市区町村に住所を有する人。  ※b~iまでは、貴市区町村に住所を有する人で各項目に該当する人。 対象者 年齢制限の有無 何歳以上 所得制限の有無 何万円未満 a. 市民 b. 国民健康保険被保険者 c. 国民健康保険被保険者の家族 d. 後期高齢者医療保険被保険者 e. 身体障害者 f. 戦傷者 g. 原爆被爆者 h. 水俣病認定申請者 i. その他( ) ※ご回答ありがとうございました。 問6 現在、公的助成制度を実施していますか。 2. 実施していない 問26~問35までお答えください 問26 以前、公的助成制度を実施していましたか。 1. 実施していた 2. 実施していない 1. 実施していた a.何年から何年前までですか。(西暦で記入) (    )年から(    )年まで b.最後に実施した年の公的助成制度の 予算はいくらでしたか。また、不明な場合には、不明とお答えください。(単位:千円)     千円 問27 公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由。(複数回答可) 1. 鍼灸の効果がわかりづらい 2. 鍼灸を希望する人が少ない 3. 施術所の選択の余地がない 4. 財政が厳しい 5. その他( ) 問28 公的助成制度は「健康の保持・増進」を目的として行われているところが多いのですが、貴市区町村において「健康の保持・増進」のために独自で行っている事業はありますか。 1. ある 2. ない 1. ある a.その事業の名称は何ですか。 b.その事業の対象者は誰ですか。 c.その事業の平成26年度の予算はどのくらいですか。(単位:千円)     千円 問29 平成26年度の国民健康保険の予算はいくらですか。(単位:千円)     千円 問30 平成26年度の一般会計予算はいくらですか。(単位:千円)     千円 問31 これまでに貴市区町村において鍼灸に対する住民のニーズ等について調査をしたことがありますか。 1. ある 2. ない 3. 不明 問32 貴市区町村に対して、平成25年度中に住民から鍼灸に関する問い合わせがありましたか。 1. あった 2. なかった 3. 不明 1. あった a.問い合わせの内容(複数回答可) 1. 鍼灸の効果について 2. 鍼灸の施術所払いについて 3. 鍼灸の療養費の適用について 4. 苦情 5. その他( ) 問33 貴市区町村に対して、住民や鍼灸師の団体から公的助成制度の創設(復活を含む)の陳情等が今日までにありましたか。 1. あった 2. なかった 問34 貴市区町村内に鍼師、灸師、あん摩マッサージ指圧師の養成施設(盲学校・専門学校など)がありますか。 1. ある 2. ない 1. ある a.何か所ありますか。   か所 問35 貴市区町村において公的助成制度の創設(復活)を検討する材料となるものは何ですか。(複数回答可) 1. 国の医療・福祉政策 2. 住民からの要望 3. その他( ) ※ご回答ありがとうございました。 別紙2 鍼灸等に対する公的助成制度に関するアンケート回答表 資料1 課題の自由記述(原文のまま記載、一部重複する項目もある。ただし、市区町村名が特定されるおそれがあるものについては、市区町村名等を削除。) 1.助成の見直しについて 高齢化に伴う対象年齢範囲の見直し 対象者増に伴う助成額増加について 対象年齢の見直し 対象者の範囲の見直し(対象者の人口の増加により事業費の拡大が見込まれるため。) 65歳以上の全員対象者にして欲しい。市・県民税を少額でも支払っている場合は対象外というのは納得がいかない。所得に応じて段階的に区切るべき。 年々高齢者が増加するなかで、費用対効果はどうか、また助成内容についての見直しについて高齢者人数の増加に合わせ、制度維持のために対象年齢を段階的に引き上げる必要があるとの指摘があり、平成24年度より10年をかけて行っている。 単価と配布枚数について所得制限の設定等対象者の見直し 事業のあり方や、障がい者に限定するといった対象者に対する検討を指摘されている。 厳しい財政状況にあるため事業縮小・廃止が求められている 来年度は、継続するかどうか 対象者及び自己負担額の見直し 対象者の明確化現行は65歳以上の高齢者全員を対象として助成を行っているが、今後高齢者が増加していく中で、市財政への負担が大きいことから、助成方法や対象者の見直しを求められている 利用実績が僅かであることから,政策効果の観点や他市の状況を踏まえ,事業の廃止を検討する。 市民のニーズを踏まえた持続可能で真に必要な事業への転換を検討する必要がある。 実施回数、補助額(市民・国保) 施術利用回数、助成金額の適正化(市民) 高齢化に伴い、事業費は横ばいであるが将来的には増加することが予測される。限られた財源の中で、どのように事業を進めるか検討が必要 補助額、回数の増(後期) 一部の方から廃止の方向で事業見直しを求める意見が出ている ①医療費の抑制につながる事業として有効であるが、個人助成であるため、制度を利用する者のみの助成となる。制度見直しや医療費増への懸念などを継続調査する必要がある。 ②施術者が限られている。(鍼灸師会に所属していない所では助成対象とならない) 利用対象者の拡大 マッサージの施術による医療費抑制効果は不明。見直し対象の補助事業としてあがっているが、市としては今のところ継続予定。 2.助成の効果について(鍼灸等の効果を含む) 施術の効果が不明。 健康増進目的なら、健康食品やサプリにも補助すべき。 制度利用者の固定化。 全対象者が希望した場合、予算対応できない。 真に被保険者の健康の増進に寄与しているかどうか 年々高齢者が増加するなかで、費用対効果はどうか、また助成内容についての見直しについて 保健事業の一環として実施しており,鍼灸等への助成の適正性。 ・適正利用の実態を把握できない。 ・社会参加を促進する事業効果がはっきりしない。 ・施設入所者などを対象していることに疑問の声がある。 ・鍼灸マッサージ券は事業目的から異質なものと受け取られることが多い。 ・生活扶助の要素が強まっている。 効果の視覚化・数値化 高齢者人口の増加に比べて申請率・利用率が年々減少、有効性・公平性・費用対効果の面 費用に対する効果が不透明 利用者が固定した傾向にある、医療費削減に対する効果 マッサージの施術による医療費抑制効果は不明。見直し対象の補助事業としてあがっているが、市としては今のところ継続予定。 3.利用について 申請率、利用率が低い 対象者ペースで見た利用率の低さ 利用者が固定化傾向にある。 利用実績の増加施術の効果が不明。 健康増進目的なら、健康食品やサプリにも補助すべき。 制度利用者の固定化。 全対象者が希望した場合、予算対応できない。 申請者数が増加傾向にある一方、利用率が低いため 利用率の向上 利用者増に伴う財政支出対象者数に比べ交付率が低い 利用率の向上 施術者の高齢化、利用者の減少 利用率が低い ①財政難 ①利用対象者に対する利用者数の割合の減少 対象者に対する利用者の割合が低い 現行は65歳以上の高齢者全員を対象として助成を行っているが、今後高齢者が増加していく中で、市財政への負担が大きいことから、助成方法や対象者の見直しを求められている 対象者数の増加による費用増 高齢者人口の増加に比べて申請率・利用率が年々減少、有効性・公平性・費用対効果の面 利用者数の減少 利用実績が僅かであることから,政策効果の観点や他市の状況を踏まえ,事業の廃止を検討する。 利用者の実態把握ができていない 対象者に対する利用者が少ない。 利用者が固定した傾向にある、医療費削減に対する効果 4.その他 制度周知拡大 施術の効果が不明。 健康増進目的なら、健康食品やサプリにも補助すべき。 制度利用者の固定化。 全対象者が希望した場合、予算対応できない。 予算の半分で高齢者の理美容助成事業を実施すること。 保険診療か使える部分に公費助成は不要 他のサービスを求めている人にとっては不公平感がある 施術者の高齢化、利用者の減少 ・適正利用の実態を把握できない。 ・社会参加を促進する事業効果がはっきりしない。 ・施設入所者などを対象していることに疑問の声がある。 ・鍼灸マッサージ券は事業目的から異質なものと受け取られることが多い。 ・生活扶助の要素が強まっている。 現在、鍼灸マッサージ師会の会員である施術所でないと助成券が取り扱えないが、それは市民の利便性や市内の施術所に対する公平性に欠けている。 ①財政難 ①利用対象者に対する利用者数の割合の減少 保険適用外の施術が対象のため、レセプト等で受診を確認出来ないので、不正請求などがあっても分からない ●近隣他市町村で同様の事業を実施する団体が減ってきている。 ●所得制限を設けて保険外の施術を助成することにつき、所得制限超過となった市民から不公平だとの声があがっている。 対象者数の増加による費用増 財源である基金の枯渇 マッサージを利用する人は金銭的に余裕があると思われており、そのような人に助成する必要があるのかといった苦情がある。(市民)、施術師による不正請求(国保) 不正受給の恐れがある 助成制度については、その内容も含め、多方面から様々な声や要望が寄せられており、特定の意見に集約されたものではありません。 類似制度の混在(国保・高齢者) ①医療費の抑制につながる事業として有効であるが、個人助成であるため、制度を利用する者のみの助成となる。制度見直しや医療費増への懸念などを継続調査する必要がある。 ②施術者が限られている。(鍼灸師会に所属していない所では助成対象とならない) 療養費との重複審査の徹底 国保資格喪失後に受診券を使用した場合の対応 柔整との併用による助成予算の増大 療養費不正受給、他のサービスとの公平性 表1 鍼灸等への助成の実施市区町村数の割合 図1 鍼灸等への助成の実施市区町村数の割合  ひとつ以上の市区町村が助成を実施していた都道府県数は、47都道府県中、37(78.7%)で、全国を北海道、東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州・沖縄の8地方に分けて実施率をみると、北海道:1.1%、東北:12.8%、関東:21.8%、中部8.5%、関西:6.6%、中国:20.6%、四国:21.1%、九州・沖縄:33.2%であった。 表2 助成開始年代別一覧  助成開始年代別に市区町村数をみると、1950年代:5、1960年代:18、1970年代:47、1980年代:69、1990年代:74、2000年代:23、2010年代:5であった。 表3 目的 N=356(複数回答可)  助成の目的別市区町村数は、275市区町村中、健康の保持・増進が262(95.3%)、療養費の補完が20(7.3%)、医療費の抑制が28(10.2%)、視覚障害者の生業確保が25(9.1%)、その他が21(7.6%)であった。 表4 対象となる施術 N=275(複数回答可)  助成実施275市区町村中、はりを対象としている市区町数は275(100%)、きゅうを対象としている市区町村数は274(99.6%)、あん摩マッサージ指圧を対象としている市区町村数は239(86.9%)であった。 表5 財源 N=383(複数回答可)  助成の財源別市区町村数は、275市区町村中、国民健康保険が81(29.5%)、後期高齢者医療が51(18.5%)、一般会計が210(76.4%)、その他が41(14.9%)であった。 表6 疾患 N=274  対象疾患の指定が有る市区町村数は274市区町村中、54(19.7%)、対象疾患の指定がない市区町村数は220(80.3%)であった。 表7 同意書 N=274  274市区町村中、医師の同意書が必要な市は1、不要な市区町村は273(99.6%)であった。 表8 利用促進対策 N=263  利用促進のための対策を行っている市区町村数は263市区町村中、217(82.5%)、行っていない市町村が46(17.5%)であった。 表9 事業仕訳 N=270  270市区町村中、事業仕訳を行った市区町数が70(25.9%)、行わなかった市区町村数が200(74.1%)であった。 表10 事業仕訳の結果 N=70  事業仕訳の結果、70市区町中、継続を選択した市区町数が47(67.1%)、廃止を選択した市町数が4(5.7%)、その他を選択した市町数が19(27.1%)であった。 表11 事業仕訳の結果の理由 N=107(複数回答可)  事業仕訳の結果、『継続』の理由は47市区町中、健康の保持・増進に役立っているが38(80.9%)、医療費が抑制されているが4(8.5%)、高齢者の経済的負担の軽減がなされているが14(29.8%)などであった。  事業仕訳の結果、『廃止』の理由は4市町中、健康の保持・増進に役立っていないが1(25.0%)、公的助成制度の利用者が少ないが2(50.0%)、厳しい財政状況にあるが1(25.0%)、その他が1(25.0%)などであった。  事業仕訳の結果、『その他』の理由は、19市町中、健康の保持・増進に役立っているが8(42.1%)、高齢者の経済的負担の軽減がなされているが3(15.8%)、公的助成制度の利用者が少ないが5(26.3%)、利用できる人が限定的で公平ではないが2(10.5%)、厳しい財政状況にあるが12(63.2%)などであった。 表12 以前に公的助成制度を実施 N=555  「現在、公的助成制度を実施していますか。」との質問に対して、562市区町村が実施していないと回答した。そのうち、「以前、公的助成制度を実施していましたか。」との質問に対して、17市町(3.1%)が実施していた、538市区町村(96.9%)が実施していないと回答した(有効回答:555市区町村)。 表13 公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由 N=764(複数回答可)  鍼灸の効果がわかりづらいが114市区町村(20.6%)、鍼灸を希望する人が少ないが138市区町村(24.9%)、施術所の選択の余地がないが50市区町村(9.0%)、財政が厳しいが301市区町村(54.3%)、その他が161市区町村(29.1%)であった。 表14 以前に公的助成制度を実施していた市町の公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由 N=24(複数回答可)  実施していたと回答した17市町の公的助成制度を実施していない理由、または、廃止した理由に対する市町数は、鍼灸の効果がわかりづらいが3市(17.6%)、鍼灸を希望する人が少ないが5市(29.4%)、施術所の選択の余地がないが0(0.0%)、財政が厳しいが12市町(70.6%)、その他が4市(23.5%)であった。 表15 助成額、回数(枚数)、最大助成額  助成対象者1回あたりの助成額の平均は945円、最頻値1,000円で、助成対象者の年間の最大利用回数(枚数)の平均は25回、最頻値12回で、助成対象者1人あたりの年間の最大助成額の平均は23,778円で、最頻値は12,000円であった。 平成27年度 修士論文(筑波技術大学) 題名:『鍼灸等への助成に関する調査研究』 指導教員:形井 秀一 教授 著者:井上 智寛 平成28年2月23日