+パソコンノートテイク導入支援ガイド やってみよう!パソコンノートテイク 改訂版 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan) はじめに  大学等の高等教育機関では、聴覚障害学生への支援にパソコンノートテイクを導入する事例が増えてきています。2008年に初版を発行した頃から約10年が経過しましたが、現在も「パソコンノートテイクを始めたいけれど、いまいちよくわからない・・・」などの声が引き続き寄せられています。手書きノートテイクによる支援から、より充実した支援方法をと考える大学や、聴覚障害学生のニーズの変化を受けて、支援方法の見直しを図っている大学が増えていることの表れだと思います。けれども、実際にパソコンノートテイクによる支援を導入する場合に、何から手をつけて良いのか分からない、そんな現状があるのではないでしょうか。  本書では、そうした大学現場の声にお応えして、パソコンノートテイクを導入するにあたって必要な知識を、基礎から丁寧に解説しました。パソコンノートテイクの概説から、基本的な入力の仕方や必要機材、パソコン同士の接続・設定、つまずきやすいポイントの解説やトラブルシューティングまで、支援の導入に必要な基本知識をできるだけわかりやすく詰め込んでいます。また、パソコンのバージョンアップに対応すべく、改訂を行いました。身近に専門家がいなくても、一度チャレンジしてあきらめてしまった方も、みんながパソコンノートテイクを始められるようにという思いで作成していますので、手に取ってご覧いただければ幸いです。  なお、パソコンを使った文字通訳は、パソコンノートテイクの他、「パソコン要約筆記」、「パソコン通訳」等とも呼ばれます。本書では、大学におけるパソコン文字通訳の特殊性を考慮し、大学における「パソコンノートテイク」と、一般的に講演会等で用いられる「パソコン要約筆記」を呼び分ける形をとりました。こうした呼び分けはあまり一般的ではないかもしれませんが、今後双方がより専門化され、互いに発展しあえるようにという思いで使用していますので、ご理解いただければ幸いです。 2019年8月吉日 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan) 本書の構成  本書では、パソコンノートテイクの専用ソフトであるIPtalk(アイピートーク)を用いた聴覚障害学生支援の方法について、基礎から順を追って解説しています。IPtalkの基本的な使い方や入力方法を解説した「入力体験編」と、実際に入力を始めるまでの準備や機材の接続・設定方法について詳しく解説した「接続・設定編」の二つに分かれていますので、それぞれ必要なページから読み進めて下さい。 パソコンノートテイクってどんなもの?実際にどうやって支援しているの?よくわからないけどとにかく触ってみたい!→P5「体験!パソコンノートテイク」へ どんな機材をそろえればいいの?パソコンの設定なんて難しそう!トラブルがあったらどうしたらいいの?→P43「これで完璧!パソコン接続・設定」へ 体験!パソコンノートテイク パソコンノートテイクとは? 6 パソコンノートテイクの概要 必要な機材とソフトウェア IPtalkによるパソコンノートテイク パソコンノートテイクの入力方法 パソコンノートテイク体験 14 やってみよう!単独入力 やってみよう!連係入力 パソコンノートテイクの練習 28 もっと練習!連係入力 連係入力のポイント 入力のポイント パソコンノートテイクの実際 34 授業現場でのパソコンノートテイク 聴覚障害学生用パソコンの設定 入力者用パソコンの設定 こんなときは…① 15 ●文字の大きさやフォントの色を変更したい ●文章が途切れないように表示したい ●表示部に流れた文字を修正したい   F9キーで直前の文章を戻す/F11キーでDelete   F7キーで訂正文を送信/訂正送信ウィンドウの使用 ●自分で打った文章を見直したい こんなときは…② 24 ●決まり文句を簡単に入力したい   IMEへの単語登録/Fキー・メモの利用 ●「 」( )などを簡単に表示したい ●ルビを自動で表示させたい ●IME辞書を切り替えて使用したい ●設定を保存したい ●入力した文章を保存したい こんなときは…③ 36 ●入力された文字をリアルタイムに表示したい ●少しの間スクロールを止めておきたい ●聴覚障害学生用パソコンでノートを取りたい こんなときは…④ 40 ●交代のタイミングをうまく伝えたい ●前もっていただいた原稿を表示したい これで完璧!パソコン接続・設定 パソコンノートテイクに必要な機材 44  ノートパソコンの準備  その他の周辺機器 パソコン同士の接続 46  パソコン同士の接続方法  パソコン同士の接続手順   2台のパソコンをつなぐ場合   3台以上のパソコンをつなぐ場合   プロジェクタとの接続 ネットワークの設定 54  IP アドレスの設定  IPtalk の接続設定 よくあるトラブルと解決方法 68 トラブルシューティング IPtalkのインストールと機能紹介 90  IPtalkのダウンロードとインストール  よく使う機能の紹介  参考情報 パソコン同士がうまくつながらない! パソコン同士の接続・パートナー設定に困ったら・・・→P67 こんなときは・・・⑤ 69 ● モニター部や表示部にパートナーの文字が表示されない! ● パートナーに「なってよ!」ボタンが動かない! ●「メンバーを探す」をクリックしても相手が表示されない! ● パートナーTab で IP アドレスが「10.14.1.1」と表示される! ● パートナーTab で自分の IP アドレスが 􀀕 つ表示されている! ● パートナーTab で自分の IP アドレスとは違う値が表示される! ●「ローカルエリア接続」が無効になっている! ●「ローカルエリア接続」に「ネットワークケーブルが接続されていません」と表示される! こんなときは・・・⑥ 86 ● Tab が見つからない。あるはずの機能が見あたらない! ● 表示部の下の行がきちんと表示されない! ● 表示用画面が途中で真っ暗になってしまった! ● スクリーンに画面が表示されない! ● 入力中に、アルファベットや記号しか表示されなくなった! ● 入力中にカーソルが移動してしまい、入力できなくなった! (イラスト) Check! 体験!パソコンノートテイク 聴覚に障害のある学生の支援には、さまざまな手段が用いられます。 本書では、このうちパソコンを利用した文字通訳であるパソコンノートテイクを取り上げ、支援の方法や機材の設定等について解説していきます。 「パソコン?機材?なんだか難しそう…」そう思った方こそ本書をご覧ください。「もしかして、ちょっとできるかも…」なんて感じたら、それが支援を始める絶好のタイミングです。 ここでは、まずパソコンノートテイクの概要とソフトの仕組み・使い方について説明していきます。多少知識が必要なパソコンの接続・設定やトラブルへの対処方法については、後半にじっくり解説していますのでこちらも参考にしてください。 パソコンノートテイクとは? パソコンノートテイクの概要  パソコンノートテイクは、パソコンの文字入力を利用してその場の音情報を伝えるもので、聴覚障害者への情報保障の手段の一つです。大学・短期大学等(以下、大学)で普及している手書きのノートテイクと同様、聞こえてくる音情報をパソコンを用いて入力し、聴覚障害学生に提示します。  支援に特殊な機材は不要で、はじめのうちは一般的なノートパソコンとワープロソフトなどを用いて行うことも可能です。しかし、専用ソフトを用い、複数台のパソコンをLANでつないで支援することで、より柔軟で多様な支援の実施が可能になります。  本書では、聴覚障害学生への支援に有効なパソコンノートテイクの方法について、基礎から順を追って解説します。 実際の支援の様子 (図) 入力者A 入力者B HUB 聴覚障害学生 パソコンノートテイクの特徴 【長所】 ●手書きノートテイク等と比較して情報量が多い ●ある程度の訓練を経れば支援が可能 ●一定時間情報が提示されるため、目を離していても情報取得が容易 ●状況に応じて多様なシステム構成が可能 【短所】 ●機器の購入にコストがかかる ●支援者養成に一定の時間がかかる ●数式や記号・図形等の入力が困難 ●課外実習など動き回る授業形態では対応が困難 さまざまなノートテイク  ノートテイクにはさまざまな方法があります。同じ文章を聞いてノートテイクを行っても、手段によって以下のような違いが現れます。 【原文】聴覚に障害のある学生への支援方法には、ノートテイクや手話通訳などいくつかの種類があります。このうち、ノートテイクは文字を使った支援方法です。これには、紙とペンを使って手でルーズリーフに書いていく方法もありますし、パソコンのキーボードを使って文字を入力していくこともできます。  このうち、後者をパソコンノートテイクといいます。パソコンノートテイクには、普通のワープロソフトなどを使って1人ずつ順番に交代で入力していく方法のほかに、複数の人が同時に入力して、共同でひとつの文章を完成させていく方法があります。この後者の方法を連係入力などと言ったりします。 ●手書きによるノートテイク (図) 聞こえてくる情報を手書きで文字にし、聴覚障害学生に伝えます。通常複数の人が一定時間ごとに交代しながら支援をおこないます。 ↓ 記入例 (図) 略字や記号を使った柔軟な表現が可能。文章は要約的で要点が伝えきれないことも。 ●ワープロソフトを使ったノートテイク (図) 聞こえてくる情報をキーボードで入力して伝えます。聴覚障害学生は入力中のパソコンの画面をのぞき込む形になります。 ↓ 入力例 (図) フォントや画面設定を工夫して見やすく表示。原文の要点はほぼ伝達されている。 ●専用ソフトを使ったパソコンノートテイク (図) 複数台のパソコンをLANケーブルでつないで支援を行います。入力された文字は、Enterを押すことで、聴覚障害学生用のパソコンに送信されます。 ↓ 入力例 (図)↑スクロール 複数の入力者が共同でひとつの文を入力していけるため、細かな部分まで伝達可能。表示方法も自由に設定できる。 必要な機材とソフトウェア  パソコンノートテイクに必要な機材は、システムの組み方によって若干の違いがでてきます。しかし基本的には、ノートパソコン数台とHUB(ハブ)1台、LANケーブルがあれば支援を始めることができます。 必要な機材と配線 ●ノートパソコン:入力者の人数+1台 ●LANケーブル:パソコンの台数分 ●HUB:1台 ●OAタップ:1個(パソコンの台数+1の口数があるもの) (図) 入力者A 入力者B 聴覚障害学生 HUB  パソコンノートテイクに用いる専用ソフトには、IPtalk(アイピートーク)、まあちゃんなどいくつかの種類があります。これらのソフトには、それぞれ独自の工夫や特徴がみられますが、ここではより一般的に用いられているIPtalkを例に、聴覚障害学生支援を進めていく方法について解説します。 主な専用ソフトの例 ●IPtalk (図) 聴覚障害者への情報保障を目的に開発されたフリーソフト(作者:栗田茂明氏http://www.s-kurita.net/)。 現場の意見を取り入れながら、頻繁なバージョンアップがされ ています。 ●まあちゃん 大学での情報保障を視野に入れて開発されたフリーソフト(作者:太田晴康氏https://www.machanbazaar.com/)。複数の人が1人ずつ交代で入力する「単独入力」を基本としています。 (図) IPtalkでできること  IPtalkには情報保障に必要な機能が多数搭載されています。大学での支援現場では、主に以下のような機能を利用することができます。 ●複数人による連係入力 P19  複数の人が共同でひとつの文章を入力し、完成させていくことができます。この機能を使うことで、より多くの情報を伝達することができます。 (図) 入力者A 入力者B ↓ 二人の入力がつながる ●さまざまな入力支援機能 P25~26  あらかじめ登録しておいた文章を読み出すFキーメモや、ふりがなやカギ括弧を簡単に入力できる入力支援機能が備わっています。 (図) F1キー 連係(れんけい) F4キー 質問はありますか? F8キー 「ノートテイク」 ●多彩な表示・自在スクロール P15, 36  聴覚障害学生用の表示画面では、好みに応じて表示方法を変更したり、自動スクロールを止めて前の画面に戻り、内容を確認することができます。 (図) 多彩な表示設定 読みたい場所に自在スクロール ●聴覚障害学生のノート作成支援 P37  聴覚障害学生は、入力された文章を元に自分のノートを作成することができます。入力文を引用したり、重要箇所をマークすることも可能です。 (図) 入力文を自分のノートに引用 ●事前原稿を用いた情報保障 P41 入学式や卒業式など、事前に原稿が手に入る場合には、これを元にした情報保障ができます。 (図) 事前原稿を元に表示文を作成 IPtalkによるパソコンノートテイク  それでは、さっそくIPtalkを使いながら、実際のパソコンノートテイクの様子を体験してみましょう。 まず、IPtalkをダウンロードの上、パソコンにインストールしましょう。  インストールが済んだらIPtalkの起動です。アイコンをダブルクリックすると、起動画面が出た後、以下のような画面が表示されるはずです。これが、IPtalkの基本画面です。 →インストールの詳しい方法は P90参照 IPtalkの起動 (図) IPtalk v9t ↓ダブルクリック 起動画面が表示される ↓ しばらくたつと、基本画面に切り替わる 表示部 モニター部 入力部 画面は大きく3つの部分に分割されています。 ●入力部・表示部  まず、一番下の入力部です。ここは、自分が文字を入力する枠です。  入力した文字は、Enterを押すと上の表示部に流れ、LANでつながれた聴覚障害学生用のパソコンにも同じ内容が送られます。 →8人モニタ(P36)等を使って入力過程を表示させることも可能です。 (図) 一番下が入力部。Enterを押す と表示部に流れる。 ●モニター部  モニター部には、LANでつながれたパソコンを利用しているパートナーの入力が表示されます。これを使うことで、二人以上の入力者が連係しながら入力することが可能になります。 (図) パートナーが入力している文字はモニター部に表示される ●設定Tab  表示部の上には小さなTab(タブ)がいくつか並んでいます。画面の色や文字の大きさ、パートナーの設定など細かな設定は、このTabで画面を切り替えて行います。 (図) Tabをクリックすると、画面が切り替わる。 基本画面に戻りたいときは、表示・入力Tabをクリック。 →各Tabの詳細はP92~参照 IPtalkの用途選択機能 IPtalkでは用途によって表示されるメニューの数を変更できるようになっています。本書では、より便利な機能を紹介するため「上級者用」設定を用いています。設定の変更方法は以下の通りです。 ①選択Tabをクリックします。 ②「用途による機能の表示選択」で、「上級者用(全機能)」を選択します。 ③表示されるメニューが増え、Tabの数も変わります。 (図) 選択Tabを開き、上級者用(全機能)を選択 ↓ 上級者用 表示されるメニューの数が増え、より多くの機能が使用できるようになる。 初心者用 ↓ 上級者用 上級者用では、Tabの数も増える。 パソコンノートテイクの入力方法  IPtalkを用いたパソコンノートテイクは、入力方法の違いから大きく以下の二つに分けられます。ここではまず、単独入力によるパソコンノートテイクから体験してみましょう。 ●単独入力 1人ずつ入力する方法   手書きによるノートテイクと同様に、先生の話や音情報を要約しながら1人ずつ単独で入力していく方法です。通常は2人以上のペアで、約15分程度で交代しながら入力します。 ●連係入力 複数人が連係して入力する方法   聞こえてくる文章のうち、前半を入力者A、後半を入力者Bが打ち込むなど、複数の人が協力して文章を完成させていく方法です。同時に作業をする人数が2人以上になるので、その分1人入力より情報量も多くなります。 入力方法の違い 【例文】IPtalkを使ったパソコンノートテイクの特徴は、なんと言っても連係入力が可能だと言うことでしょう。ある程度入力速度があれば、単独入力であっても授業の要点は理解することができます。むしろすっきりまとめられていて読みやすいと感じるかもしれません。しかし、枝葉末節を含んだ文章の中から要点を自分で把握することこそ、大学教育で身につけるべき力であることを忘れてはなりません。 ↓ (図) 【単独入力】 入力者A 入力者B 1人ずつ交代で入力 【連係入力】 入力者A 入力者B 複数人が共同で入力 パソコンノートテイク体験 やってみよう!単独入力  単独入力によるパソコンノートテイクは、基本的には手書きによるノートテイクと同様、聞こえてくる文章を要約しながら入力していくものです。何人かの支援者がいる場合には、15~20分ごとに交代しながら入力します。  では、実際に短い文章を打ってみましょう。  入力部にカーソルを置き、聞こえてきた文章を入力します。Enterを押すと、入力した内容が表示部に流れるのがわかると思います。音声に追いつけないときは、意味のわかる文章に要約しながら打つことを意識しましょう。 →パソコンがLANでつながれている場合は、パートナーTabの「入力をLANに流す」のチェックを外しておきましょう。  入力した情報が他のパソコンに流れないので、練習がしやすくなります。連係入力の練習の時に、元に戻すのをお忘れなく! 単独入力の様子 (図) 入力部に文字を入力します。 ↓ Enter Enterを押すと入力した文字が表示部に流れます。 次の文章をゆっくり読み上げてもらい、音声を聞きながら打ち込んでください。 例文  聴覚に障害のある学生が大学などの高等教育機関で学ぶ際、通常の音声によって伝えられる講義の情報を受け取ることができないなどの困難が生じます。このような聴覚障害学生の状況に対して、ノートテイクや手話通訳などの手段を用い、講義を聴く権利、講義に参加する権利を保障する取り組みのことを「講義保障(情報保障)」と言います。 (PEPNet-Japan TipSheet「高等教育における聴覚障害学生支援」より抜粋) こんなときは…① 文字の大きさやフォントの色を変更したい  表示部や入力部・モニター部の表示方法を変更するときは、表示1Tabをクリックします。ここでは、表示部および入力・モニター部の背景色・フォント・行数等を変更することができます。 (図) 表示が見づらい ↓ 表示1Tab フォントの大きさや色を設定 入力部・モニター部の設定はこちら。行数も調整できる。 表示部の行数・行間設定はこちら。自動設定にするか、行数を入力し、「行数から行間を計算」をクリック。 ↓ 表示が見やすくなった →文字の大きさや行数は、聴覚障害学生と相談して決めましょう。  一般的に用いられているパソコン要約筆記と違い、聴覚障害学生の場合、文字を小さめにしてでも、たくさんの行数が画面に表示されている方が良いという意見が多いようです。実際にいくつかのパターンを試し、意見を聞きながら決めていくと良いでしょう。 文章が途切れないように表示したい  IPtalkの初期設定では、Enterを押すと改行が挿入され、文章が途切れ途切れに表示されてしまいます。表示1Tabを開き、「空行のみ改行」にチェックを入れると、前の文章の続きに文字が入力されるので、表示文が読みやすくなります。 (図) Enterを押すと文章が途切れる→表示1Tabで、「空行のみ改行」にチェック→マークの位置に次の文章が入力される。文章がつながった 表示部に流れた文字を修正したい  パソコンノートテイクを行うときには、できるだけ間違いを流してしまわないよう、正確に入力することが求められます。ですが、Enterを押して表示部に流した後、間違いに気づいた場合には以下のような方法で修正を行うことができます。 F9キーで直前の文章を戻す  表示部に流してしまった文章を入力部に戻して編集したいときには、F9キーを使うとUndo(取り消し)が可能です。数回分ならこれで戻ることができますが、表示画面がちらつくので聴覚障害学生によっては見づらいという意見もあるようです。 (図) F11キーでDelete 訂正Tabで「Delキー/Clsキーにする。」にチェックを入れると、F11キーをDelete(1字削除)キーとして使用することができます。 (図) F7キーで訂正文を送信  修正箇所が表示部の上の方に流れてしまった時や、すでに画面から消えてしまっている時などは、訂正文を送信することでも修正が可能です。 ①あらかじめ訂正Tabで「F7キーを訂正キーにする」にチェックを入れ、その下の空欄に訂正文のひな形を入力しておく。 ②入力部でF7キーを押す。 ③入力部に訂正:「」→「」等の訂正文が表示されるため、訂正前後の言葉を「」部に入力し、Enterを押す。 (図) 訂正Tab で、「F7キーを訂正キーにする」をクリック ↓ 「」部に正しい言葉を入力する ↓ Enterを押す 訂正送信ウィンドウを使用する  修正箇所が画面中に残っていて、補助者がいる場合には、訂正送信ウィンドウを用いた修正も可能です。手順は以下の通りです。 ①訂正Tabの「訂正送信W表示」をクリックしてウィンドウを開きます。 ②「元文」に修正前の文字、「訂正」に正しい文字を入力し、「訂正(送信)」をクリック。 ③誤入力が訂正され、該当箇所が色で示されます。 (図) 訂正Tabを開き、「訂正送信W表示」をクリック ↓ 訂正内容を入力 ↓訂正送信 誤入力が訂正され、該当箇所の色が変わる →訂正後の色は、訂正送信ウィンドウの中で設定することができます。  補助の人は、あらかじめウィンドウを開いておくとよいでしょう。 自分が打った文章を見直したい  授業の合間や終了後、入力したログを見直したい時には、表示画面をワープロモードに切り替えます。ワープロモードでは、スクロールバーを使って過去に入力した文章を見ることができるほか、ログを修正したり、修正を他のパソコンに反映させることも可能です。 (図) 「ワ」ボタンをクリック →画面スクロールやログの修正が可能になる。→元に戻るときには「再」をクリック (図) 修正を他のパソコンに反映させたいときには、訂正Tabを開きここにチェックを入れる。 ↓ ワープロモードにすると「送」ボタンが表示される。ここを押すと変更後の文章が他のパソコンに送信される。 →「送」ボタンによる修正は、修正箇所がわかりにくい他、画面がちらつくのであまり好まれないことが多いようです。 やってみよう!連係入力  単独入力に慣れてきたら、次はいよいよ連係入力に挑戦です。  連係入力では、二人以上の入力者が共同で一つの文を完成させていきます。あらかじめパートナーとどちらが先に入力するかを決め、一人が入力を始めたらもう一人はモニターを見ながら2~3文節先の言葉を入力します。  先に入力を始めた入力者は、もう一人が入力を始めたのを確認し、それにつながるところまでを担当します。そしてパートナーの入力を見ながら、その2~3文節先から打ち始めることを繰り返します。 連係入力の方法 (図) 入力者A HUB 入力者B 2台のパソコンはLANでつながれており、お互いの入力がモニター部に表示されている。 入力者Aの画面 自分の入力 パートナーの入力。ここを見ながら、自分がどこまで打つかを判断する。 入力者Bの画面 自分の入力 パートナーの入力。ここを見ながら、自分がどこまで打つかを判断する。 このように、タイミング良く役割を交代しながら入力することで、単独入力の1.5~2倍近くの情報を保障することが可能です。 連係入力のイメージ 【例文】連係入力では、交代のタイミングを待つのではなく、自分から積極的にわりこみ、入力権を奪っていく気持ちが大切です。入力者は互いにモニター画面をよく見て、パートナーの入力に自分の文末をあわせるよう工夫しましょう。 入力者A 音声を聞き、先に入力を始める ↓ Bの入力がはじまった ↓ Bの入力につながるところまで入力してEnter ↓ Aの入力が表示部に流れる Bの入力箇所を確認して、少し先から入力開始 ↓ Bの入力を見ながら、継続して入力 ↓ Bの入力が表示部に流れる 入力者B Aの入力がはじまった ↓ 音声を聞き、Aの少し先から入力を開始する ↓ Aの様子を見ながら、継続して入力 ↓ Aの入力が表示部に流れる Aの入力がはじまった ↓ Aの入力のにつながるところまで入力してEnter ↓Enter Bの入力が表示部に流れる 連係入力を行うためには、複数台のパソコンをLANで接続する必要があります。パソコンを用意したら、下の図のように、それぞれのパソコンにLANケーブルを接続し、もう片方の口をHUBにつないでください。詳しい接続の方法は本書の後半で説明しています。 パソコンの接続 (図) 入力者A 入力者B 入力者C 聴覚障害学生 HUB →もっと簡単なシステムも組めます。詳しくはP46参照 パソコンを起動し、IPtalkを立ち上げたら、パートナーTabを開き、「メンバーを探す」ボタンをクリックします。 班のメンバー一覧にパートナーのパソコンが表示されたら、どちらか1人がパートナーに「なってよ!」ボタンを押して準備完了。 モニター部にパートナーの入力が表示されるのを確認しましょう。 (図) パートナーの設定 パートナーを選び、「なってよ!」ボタンをクリック ↓ ボタンが右に移動し、パートナーが選択された ↓ モニタ部にパートナーの入力が表示される →単独入力の練習で「入力をLANに流す」のチェックをはずした時は、元に戻すのをお忘れなく!  ネットワークの詳しい設定とトラブルシューティングはP54~参照 では、実際に短い文章を連係しながら入力してみましょう。 次の文章を読み上げてもらい、音声を聞きながら連係入力していきます。はじめはゆっくりな文章から始め、慣れてきたら徐々にスピードを上げてみましょう。 (イラスト) 例文1  聴覚に障害のある学生が大学生活を送る際に、まず問題になるのが授業への参加の方法です。特に重度~最重度の聴覚障害学生の場合、大教室で教員が90分間話し続ける講義形式の授業では、まったくと言っていいほど情報が入りません。  たとえ口話によるコミュニケーションに非常に長けている学生であったとしても、教員の口の動きというわずかな情報から未知の学問を学ぶことは不可能に近い話だと思った方がよいでしょう。 (PEPNet-Japan「はじめての聴覚障害学生支援講座」より抜粋) 例文2  最近ではパワーポイントなど視覚的な資料を用いる先生方も増えてきました。このことは、聴覚障害学生の就学にとって、とても有効な手助けにはなっているのは事実です。しかし、この場合であっても、文字にされた情報のみを受け取っておけばよいのであれば、授業に参加する意味がありません。大学の授業というのは、やはり資料や文献から得られる情報のみでなく、先生方の体験に基づいた解説や専門分野に対するさまざまな想いを聞いてこそ深みが出るものです。  そのため、どのような形態の授業であっても基本的には何らかの形で「情報保障」が必要であると考え、有効な手段について検討していかなければいけないでしょう。 (PEPNet-Japan「はじめての聴覚障害学生支援講座」より抜粋) 例文3  聴覚障害学生が高校までに受けてきた支援の内容は、育ってきた教育環境により異なります。聾学校での教育を受けてきた学生の場合、中学校~高校段階では、教員が手話を用い、多様な視覚教材を併用しながら、1クラス10人以下の少人数指導を受けてきたケースが多いと言えます。  これに対して一般の中学校・高校では、教員が資料を配付したり、板書やパワーポイントなどの視覚教材を用いて指導を行っている例が多いと言えるでしょう。ただこの場合であっても、聴覚障害学生の感想としては「ほとんど独学であった」と漏らす学生が非常に多く、決して授業の内容がわかる環境にはなっていないのが現実のようです。 (PEPNet-Japan「はじめての聴覚障害学生支援講座」より抜粋) どうでしょう?きれいな文章を入力できましたか? 少し入力に慣れてきたら、以下のポイントに気をつけて練習してみてください。 チェックポイント □文章がきちんとつながっている □「、」や「。」がきちんと入力されている □適度に改行が入り、見やすく整形されている □漢字の変換ミス等がなく、正確な情報が入力されている (図) 良い例 入力ミスがなく、句読点や改行も適度に入っていて読みやすい。 悪い例 入力ミスや連係入力の失敗が見られる。句読点や改行がないため、文章の切れ目がわからない。 こんなときは…② 決まり文句を簡単に入力したい  実際に情報保障を行っていると、長かったり変換しにくかったりと入力しづらい言葉を何度も繰り返し入力しなければいけない場面が出てきます。そんなときには、IME(文字入力ソフト)を使って単語登録をしたり、IPtalkの機能を使って簡単に入力を行うことができます。 →IMEというのは日本語の文字入力を支援するソフトのことです。Windowsに標準で添付されているMicrosoft IMEやジャストシステムから販売されているATOK(エイトック)などがこれにあたります。 IMEへの単語登録  「口話(こうわ)」「失聴(しっちょう)」などそのままでは変換しづらい言葉や、「おはようございます」「出席をとります」「質問はありますか?」など、授業の際によく使われる決まり文句はIMEの辞書に登録しておくと短い言葉で簡単に入力することが可能です。 <Microsoft IMEの場合> ①タスクバーの「IMEツール」メニューから「単語の登録」を選択する。 ②単語の登録画面で、登録したい単語とよみを入力して登録をクリックする。 (図) タスクバーの「IMEツール」右クリックし、「単語の登録」を選択 ↓ 単語、よみを入力し、登録をクリックすると単語が登録される。 <ATOKの場合> ①登録したい単語を選択し、Ctrl+F7キーを押す。 ②単語登録画面が現れるので、読みを入力してOKをクリックする。 (図) Ctrl+F7キー→よみを入力し、OKをクリック Fキー・メモの利用  IPtalkには、よく入力する単語をFキーに割り当て、入力を省略できる機能があります。「先生/」「学生(女)/」など発言者を示すときや、論文や本のタイトルなど長い言葉を省入力する時に便利です。  利用するときは、補W1Tabで「Fキー・メモ表示」をクリックしウィンドウを開き、空欄に入力したい文字を入力します。  すると、Fキーを押すだけで入力した文字を入れることができます。 (図) Fキー・メモ表示→発言者名などを登録しておく。→入力部でFキーを押すと、登録した文字が表示される。 「 」( )などを簡単に表示したい  文字だけで話の内容を伝える時には、強調したい言葉を「 」でくくるなどの工夫も必要です。IPtalkでは、文字を入力・確定した後、F8キーやShift+F8キーを押すと自動的に入力した単語の両端をカッコでくくることができます。あらかじめ、入力1Tabで「くくる」にチェックをし、カッコに使用したい記号を空欄に入れておきましょう。 →スライドや教科書を利用する授業では、スライド「…」、教科書「…」などの文字を入れておくと、読んでいる箇所を示すのに便利です。 (図) 入力1Tabを開き、「F8キー」の設定で、カッコに使いたい文字を入れる ↓ 入力 ↓F8キー 「入力」 聴覚障害とは ↓Shift+F8キー スライド「聴覚障害とは…」 F8キー/Shift+F8キーを押すと入力した文字が自動的にカッコでくくられる。 ルビを自動で表示させたい  読み方の難しい専門用語などは、ルビを自動で挿入することも可能です。入力2Tabで「下の文字で入力読みを囲う」にチェックを入れ、入力部に文字を入力した後、変換・確定してF1キーを押してみましょう。 →ルビには入力した文字がそのままひらがなになって出るため、単語登録している言葉は要注意です。 (図) 入力 ↓F1キー 入力(にゅうりょく) IME辞書を切り替えて使用したい  IMEへの単語登録は便利ですが、実際の支援現場では共有のパソコンを用いることも多く、個々の入力者がバラバラに単語登録しづらいこともあります。このような場合には、入力者や授業ごとにIME辞書を作成し、随時切り替えて使用すると良いでしょう。 (図) <Microsoft IMEの場合> タスクバーの「IMEツール」右クリックし、「ユーザー辞書ツール」を選択 ↓ 「新規作成」をクリックし、新しいユーザー辞書を作成する。 標準のユーザー辞書 これまでに登録した単語はここに入っている。 新しいユーザー辞書名を入力して「開く」をクリック。 ↓ 新規辞書が作成された。 →ATOKにも同様の機能があります。 作成した辞書ファイルは、他のパソコンにコピーして利用することも可能です。 設定を保存したい  フォントや背景などの表示設定は、IPtalkを終了するとクリアされ、元に戻ってしまいます。次に立ち上げた時にも同じ設定を反映したいときには、保存Tabで「起動時設定にする」設定にしておきます。 (図) 保存 Tabを開く ↓ 「起動時設定にする」をクリック ↓ 再起動時にも同じ設定で起動される →授業や聴覚障害学生によって異なる設定を用いたいときには、「保存」をクリックして、複数の設定ファイルを作成することもできます。作成したファイルを読み込みたいときには「読込」をクリックして、保存したファイルを開きましょう。 入力した文章を保存したい  入力した文章はIPtalkを終了すると破棄されます。ファイルとして残しておきたい場合には、保存Tabから「保存」をクリックし、ファイル名と場所を指定して保存することができます。また、IPtalk終了時に自動保存する設定にすることもできます。 (図) 保存Tabを開き、「保存」をクリック ↓ 保存場所と名前を指定して「保存」をクリック。 ↓ テキストファイルとして保存される 終了時に自動保存する時にはここをクリック。→IPtalk終了時に自動保存する。 パソコンノートテイクの練習 もっと練習!連係入力  ある程度連係入力ができるようになったら、今度は少し長めの文章で練習をしてみましょう。適度に句読点や改行を挿入するのを忘れずに、聴覚障害学生にとって見やすい表示を心がけてください。 例文1  支援の内容を決定するためには、何はともあれ本人がどのような支援を求めているかを確認しなければなりません。多くの場合、受験相談や入学前相談がこのような機会になりますが、場合によっては入学した後本人からの申し出で面談が必要となることもあります。また、一回で支援内容が決定しなかった場合には、何度か入学前に顔を合わせて話し合いを行っていくこともあります。  面談で重要なのは、ある程度の意志決定が可能な人に同席をいただくということです。担当課の課長のみでなく、関係組織の組織長や担任・学部長など、事務・教員組織の両方からしかるべき立場の人に出席をいただき、この機会に責任の所在と各部署の役割について明確にしたいところです。  また、本人ときちんと意志疎通をするために、面談の場で手話通訳・ノートテイクなどの情報保障を行ってくれる人を確保することもとても重要です。このような一度きりの派遣であれば、地域の派遣サービスを用いることも可能ですので、本人の意思を確認した上で必要なサポートを用意してみるとよいでしょう。このことは、面談に参加した関係者に情報保障というものの存在を伝える上でも非常に効果的です。  さらに、ぜひ知っておいてほしいことは、聴覚障害学生の多くが大学に入るまで情報保障を利用した経験がないということです。また、多くの学生が大学の授業に関するイメージを持っていません。そのため、実際に担当者から本人に必要な支援について尋ねられても、高校までと同じく独学で大丈夫だと回答するケースも少なくありません。もちろん、障害学生への支援というのは大学から押しつけるべきものではありませんし、支援を受けないという選択肢があっても一向にかまいません。しかし、このようなケースの場合、実際に授業が始まってからやはりついていけないことがわかり、再度相談に来る例も多いので、できれば事前に大学の授業を見学してもらい、いくつかの支援手段を見てもらった上で、どういう形で授業を受けたいのかを確認していきたいものです。 (PEPNet-Japan 「はじめての聴覚障害学生支援講座」より抜粋) 例文2  実際に必要な配慮の内容が決定したら、この実現に向けて動き出さなければなりません。特に授業において情報保障が必要という場合には、人材の確保と養成が不可欠です。春期休業期間にはいると学生の確保が困難になるので、できるだけ早く調整を進めたいものです。  ノートテイクや手話通訳などの人材として、大学周辺の環境によっては、地域の情報保障者派遣サービスが利用できたり、地域サークル等の力を借りることが可能なこともあります。しかし、現在のところどの地域でも人材不足の状態が続いているため、基本的には大学が独自に人材を確保し、情報保障者として養成する必要があると思っておいた方がよいでしょう。支援者の確保は聴覚障害学生支援において最も大きな課題ですが、今のところ「いろいろな手段を講じる」以外に有効な手だてが見つかっていません。そのため、他大学の事例を参考にさまざまな角度からアプローチしていくほかに手段がないようです。  ある程度の人材が集まったら、情報保障に必要な知識と技術を身につけるため養成講座を開講するとよいでしょう。講座の回数や時間はさまざまな例がありますが、最低2~3時間、できれば1日~3日間の集中講座で行いたいところです。講師は近隣の大学等で情報保障を行っている機関があれば、そちらで情報保障経験のある方に依頼をしたり、地域の情報保障者派遣サービスを行っている団体等に相談してみるとよいでしょう。また、実際に派遣をはじめた後、ある程度の現場経験を積んだところでスキルアップの研修会を開催したり、長期休業等を利用して中級・上級編の養成講座を開講することも効果的です。  養成講座が終わったらいよいよ授業への派遣がはじまります。講座を修了した学生を中心に、情報保障者としての登録希望を募り、聴覚障害学生の履修する授業にあわせて人材を配置していきます。この際、授業の内容や各情報保障者の専門、聴覚障害学生にとっての重要度、情報保障者同士の相性、経験年数等を考慮に入れて配置を検討します。また、授業における情報保障というのは、多かれ少なかれ担当する人にとって負担になるものです。人材不足によりできる限り多くの時間を担当してもらいたいところですが、長く情報保障の活動に携わってもらうためにも、1週間の担当時間数は2~3コマに抑える必要があるでしょう。  同時に情報保障に関するルールの作成も重要です。謝金の有無や金額、支払いの方法、情報保障の担当時間数、授業が休講になったときの扱い、聴覚障害学生または情報保障者が欠席する際の連絡方法や代理の担当者の見つけ方など、統一した見解を設定し、関係者に周知しておきましょう。  また、情報保障者のみでなく、情報保障を利用する聴覚障害学生に対するルールもはっきりしておく必要があります。書かれたノートやパソコンノートテイクの入力データの扱い、やむを得ず直前に欠席しなければならなくなった時の連絡方法等がこれにあたります。 (PEPNet-Japan「はじめての聴覚障害学生支援講座」より抜粋) 連係入力のポイント ●交代のタイミングは話の速度や入力者のタイピング速度によって変わってきますが、できるだけ短いタイミングで、即座に切り替わる方がスムーズに入力ができます。一般的に、初心者が先に打ち始め、経験者がその様子を見ながら交代をリードしていく方が入力しやすいようです。 【入力速度が同程度の場合】 (図) 2人とも同じぐらいのタイミングで交代する。 【入力速度に差がある場合】 (図) 初心者が先に打ち始め、経験者が様子を見ながらリードする。 ●はじめのうちはなかなか交代のタイミングがつかめないことが多いようですが、相手が打ち終わるのを待つのではなく、後に打つ人が頃合いを見て文字を入力し、積極的に「入力権」を奪うのが基本です。 ●入力が重なってしまったときには、カーソルが文末にある「先に入力していた人」の方が重なり部分を消去し、「後に入力し始めた人」の文頭につなげる形に修正するのが効率的です。二人同時に消してしまわないよう、対応の方法を話し合っておきましょう。 (図) Bが文頭にカーソルを戻して消すのは非効率的 ↓ Aが文末を削除し、Bの入力につなげる ●パートナーとの連係がうまくいかず、入力が入れ替わってしまったときには、それぞれがF9キーを一度ずつ押して誤り部分を入力部に戻しましょう。その後、正しい順番になるようにEnterキーを押せば、スムーズに文章を修正することができます。 (図) 入力順が入れ替わってしまった! ↓ それぞれ、1回ずつF9キーを押して入力を戻す。 ↓F9キー F9キー 正しい順番に入れ直す。 ●入力部の文字を一度に消したい時は、Escを使用するのが効率的です。パートナーと同時に文章を消してしまった場合は、Ctrl+Zを押せば消してしまった文字を入力部に戻すことができます。ただし、BackSpaceを使って削除した文字は、途中までしか戻らないことがあるので注意が必要です。 (図) 入力を消したい! ↓ Escを押すと、入力が一度に消える。 ●入力部内で改行を入れたいときには、Ctrl+Enterを押します。パートナーの入力がまだ終わっていない状態で話が一段落し、次の部分も自分が続けて入力しなければいけないときに効果的です。 (図) 改行を入れて、続けて入力したい! Cntrl+Enter 入力のポイント ●連係入力には、キーボードを見なくても入力ができるタッチタイプの技術が必須です。パートナーの入力を確認しながらでないと連係入力はできませんし、キーボードに視線を動かしていると変換に時間がかかってしまいます。はじめはゆっくりでもいいので、正確にタッチタイプができるよう練習しましょう。 ●タッチタイプの練習には、楽しみながら技術の向上が望めるタイピング練習ソフトを用いるのが効果的です。市販されているソフトの他、無料でダウンロードできるものもあります。ある程度タッチタイプができる人の場合はゲーム性の高いもの、これから練習を始めるという人はホームポジションの練習からきちんと指使いを学習できるものを選択すると良いでしょう。 【タイピング練習ソフトの例】 ・e-typing(ブラウザ/開発:イータイピング(株)) https://www.e-typing.ne.jp/ ブラウザ上でできる無料タイピング練習サイト。資格にも挑戦できるので、自分のタイピングスキルを明確にすることができる。 ・寿司打(ブラウザ/開発:Neutral) http://typing.sakura.ne.jp/sushida/ ブラウザ上でできる無料タイピング練習ゲーム。レベルが選択できるので初心者でも楽しめる。 ・美佳のタイプトレーナ(フリーソフト/開発:今村二郎氏) https://www.asahi-net.or.jp/~BG8J-IMMR/ 無料でダウンロードできるタイピング練習ソフト。タイピング初心者から高速タイプを目指す人まで練習ができる。 (図) →このほかにもインターネットで検索すれば、たくさんのソフトが出てきます。 ●タッチタイプが習得できたら次は聞きながら文字を入力する練習をしましょう。文字を見ながら入力するのとは違って高い処理能力が必要とされます。音楽を聴きながら歌詞を入力したり、テレビやラジオの音声を聞いて入力するなど、練習方法はさまざまです。可能なら、各大学で授業の音声をテープに録音し、練習教材としてストックして活用できるとよいですね。 ●もともとの音声が早い場合には、入力しながら要約する技術が要求されます。要約の際には、間投詞(「え~っと」「あ~」等)や繰り返し部分など冗長なところをまず除き、5W1Hが抜け落ちないように注意します。配付資料を読み上げている時は、F8キーを利用して、(資料「歴史的な…」読み上げ中)などと表示するなど、入力を簡略化する工夫もしてみると良いでしょう。 ●パソコンノートテイクの練習をする時には、入力したログを見直すだけでなく、時々入力過程を録画し、振り返ってみることをお奨めします。こうすることで、自分の弱点や入力の癖などを冷静に見直すことができます。  録画にはビデオを用いる方法もありますが、パソコンのソフトを使って画面の動きを記録しておくことも可能です。 【画面を記録できるソフトの例】 Camtasia TechSmith(29,000円) https://www.techsmith.co.jp/camtasia.html パソコンの画面をキャプチャできるソフトです。動画編集も可能で、DVDの映像等に字幕を付ける際にも活用できます。 (図) キャプチャしたい画面の範囲を選択し、録画ボタンを押すと画面を録画できる。 ↓ 作成した映像は、動画ファイルとして保存されるので、手軽に自分の入力を振り返ることができる。 IPCapture(フリーソフト/開発:森直之氏) https://caption-sign.jp/?page_id=50 IPtalkの入力過程を記録しておけるソフトです。パートナーのひとつとしてIPtalkと同じネットワークに入り、入力過程を記録します。 (図) 記録用パソコン IPtalkの動作を記録し、再現できる。 パソコンノートテイクの実際 授業現場で のパソコンノートテイク  ある程度パソコンノートテイクの技術が身に付いたら、いよいよ授業現場での実践です。 ここでは、3名の入力者による支援の状況を想定し、実際の授業でパソコンノートテイクを行うために必要な知識を解説していきます。 入力者の人数  通常一般のパソコン要約筆記では、2時間の講演で4人程度、2時間を超えると6人が一組となって情報保障を行うことが多いようです。これに対して大学の場合、1コマ75~90分と時間が短いこともあり、通常は1コマ2~3名で対応するのが一般的です。 ただし、一人の入力者が長時間入力を続けることは大変負担になりますので、一人入力の場合には2名以上、連係入力を行う場合には3名以上の派遣ができる体制を整えることが重要です。  まず、機材の準備を行いましょう。  3名の入力者による支援の場合、パソコンは支援者3名分+聴覚障害学生=4台必要になります。 その他必要な周辺機器とあわせて大学で購入し、ひとまとめにしてロッカー等に入れておくとよいでしょう。  また、機材がなくならないようチェックリストを入れたり、トラブルが起きたときのためのマニュアルを入れておくのも効果的です。  機材セットの例 【教室に持って行くもの(入力者3人の場合)】 ●ノートパソコン・電源コード 4組 ●LANケーブル 4本 ●HUB1台 ●OAタップ 1個 ↓ Aセット ノートパソコン 電源コード  LANケーブル HUB OAタップ Bセット ノートパソコン 電源コード  LANケーブル  HUBやOAタップが一緒に入ったAセットと、ノートパソコン・LANケーブルのみのBセットを用意しておく。  入力者が3人の場合、授業にはAを1つ+Bを3つ持っていく。 (図)  機材のセッティングは、多くの場合10~15分の休み時間の中で行わなければいけません。パソコンは事前に立ち上げておくなど、効率の良い方法を工夫し、電源の位置を確認して準備を始めます。 聴覚障害学生用パソコンの設定  パソコン同士の接続が終わったら、IPtalkのセッティングに入ります。4台のパソコンのうち1台を聴覚障害学生のための「表示用」に設定します。 表示用パソコンの設定 (図) 入力者A 入力者B 入力者C 聴覚障害学-1台を聴覚障害学生のための「表示用」に設定。 HUB  表示用画面では、入力部やモニター部が表示されず確定された文章のみが流れます。  設定の手順は以下の通りです。 ①表示1Tabで「表示用」を選択し、表示・入力Tabに戻る。 ②IPtalkを全画面表示にし、F1キーを押してメニューやウィンドウ枠を消す。 ③元に戻すときにはもう一度F1キーを押す。 (図) 表示1Tabで「表示用」にチェックを入れる ↓ 「表示用」設定では、モニター部や入力部が消え、表示部のみが画面に表示される。 ↓F1キー F1キーを押すとメニューやウィンド枠も消える。元に戻すときは、もう一度F1キー。 こんなときは・・・③ 入力された文字をリアルタイムに表示したい  聴覚障害学生の中には、入力された文字をリアルタイムに見たいというニーズのある学生もいます。この場合、補W1Tabで「8人モニター」を表示させておくと良いでしょう。ここには同じネットワークにつながっているすべてのパソコンの入力がリアルタイムに表示されるため、即時的な情報保障が可能です。 (図) 補W1Tabで「モニター表示」をクリック。 ↓8人モニターが 表示される。 バーを下げると設定画面が現れる ↓ 実際の表示。入力中の文章が8人モニターに、確定後の文字が表示部に流れる。 →8人モニターの設定画面で「自動的に上から表示する」にチェックを入れると、入力を始めた人から順に表示されるので、より見やすくなります。 少しの間スクロールを止めておきたい  IPtalkの表示部では、入力に応じて画面がスクロールされていきます。しかし、授業中ノートを取ったり、資料を読んだりするときには、少しの間スクロールを止めておきたいこともあるでしょう。この場合、「PCテイクでノートを取る」機能を使うと便利です。 (図) 補W1Tabで「PCテイクでノートをとる」をクリック。 ↓ 表示部に手動スクロールパレットが現れる。 画面上で右クリックすると、スクロールが止まる。この状態で、マウスのホイールを回転させると、スクロールが自由に上下する。戻すときはもう一度右クリック。 聴覚障害学生用パソコンでノートをとりたい  パソコンノートテイクを見ながら学習をしている聴覚障害学生の中には、入力文の重要箇所にマークを付けたり、パソコンを利用してノートを取りたいというニーズもあります。PCテイク用ノート機能を使用すると、入力文を自分のノートに引用したり、後で復習する際に、入力部の該当箇所を簡単に見つけて学習に役立てることができます。 →入力文の活用にはさまざまな議論があります。また入力には誤りが含まれる可能性もあるので、おかしいと思った箇所は、必ず教員に確認を求めましょう。 (図) 補W1Tabで、「ノート表示」をクリック。 ↓ PCテイク用ノートウィンドウが表示され、自由にメモを取ることができる。 <重要箇所を引用・マークする> 表示部で右クリックしてスクロールを止め、Shiftを押しながら選択したい箇所をドラッグする。 ↓ F1キー 該当箇所がノート部分に転記される ノート上部の設定を変更すれば、引用文や元文の書式を変えることも可能。 ノートは、ワード形式で保存できる。 表示部で右クリックしてスクロールを止め、Shiftを押しながら選択したい箇所をドラッグする。 ↓ F2キー 選択した箇所に、色でマークを付けることができる。 <マークした箇所に戻る> 【 】で囲まれた数字が入っている行にカーソルをあわせ、F1キーを押す。 ↓ F1キー 入力文の該当箇所に戻って内容を見返すことができる。 入力者用パソコンの設定  入力者を3人にする場合、通常下図のようにパートナーを入れ替えながら交代で入力します。このように、入力者の人数が多いときには8人モニターを表示しておくと、全員分の入力を確認することができます。 (図) 3人の交代方法 二人ずつ、10~15分交代で入力していく。■は入力担当者。 ↓ パートナーが変わるとモニター部に表示されない。 ↓ 8人モニターを使うと、全員分の入力を見ることができる。 (図) 左端のバーを右にずらすと、パートナーに「なってよ」ボタンが現れる。 ↓ ボタンを押すと、パートナーを変更することができる。 さまざまな画面配置  8人モニターを使用していて、モニター部が不要な時には、表示1Tabで「1人入力」を選択すると非表示にできます。また、入力部もサブ入力ウィンドウを使うと自由に配置場所を決められるので、より柔軟な画面構成を作ることができます。 (図) 表示1Tabを開き、入力人数で「1人入力」を選択。 ↓ モニター部が非表示になり、入力部のみが表示される。これに8人モニターを組み合わせて使用する。 (図) 表示1Tabを開き、入力人数で「表示用」を選択。 補W1Tabで、「サブ入力W」をクリック。 ↓ 入力部・モニター部が非表示となり、表示部のみが表示される。 8人モニター・サブ入力ウィンドウを組み合わせると、見やすい位置に自由にレイアウトを変更できる。 こんなときは・・・④ 交代のタイミングをうまく伝えたい  実際の授業では、入力者間の交代のタイミングも重要です。入力者同士の距離が近ければ小声でタイミングを伝えることもできますが、IPtalkでは入力者間の連絡のために、「連絡窓」というチャットボックスが用意されています。使用方法は以下の通りです。 ①補W1Tabで「連絡窓表示」をクリックする。 ②下の入力部に文字を入れて、Enterを押すとメンバーに表示される。 ③表示方法等の設定は、画面上の緑色のバーを下にさげて行う。 (図) 補W1Tabで「連絡窓表示をクリック」 ↓ 文字を入力してEnter ↓ 入力した文字がメンバーに流れた。 発言者名の入力、受信時の背景色の設定などはここで行う。 ↑ 緑色のバーを下げると設定画面が表れる。 前もっていただいた原稿を表示したい  式典等前もって話の原稿が入手できる場合には、テキストデータをそのまま生かした方が効率的です。IPtalkでは「前ロール」という機能を使って、テキストデータの内容を修正を加えながら聴覚障害学生のパソコンに送ることができます。 ①補W1Tabで「原稿前ロール」をクリック。 ②画面上部のA,B,Cボタンを押して、前ロール(テキストファイル)を読み込む。 ③↑↓矢印キーで前ロールを前後に動かしながら、必要な部分でEnterを押すと文章が表示部に流れる。 ④原稿にない発言があった場合には、前ロールを編集しながら流すこともできる。 ⑤前ロールが複数ある場合は、画面上部の「表示する前ロールは?」で3つまで切り替えることができる。 (図) 補W1Tabで「原稿前ロール」をクリック ↓ A,B,Cにそれぞれ前ロールを読み込んでおくことができる チェックを入れると、他のパソコンと連動して前ロールを動かすことができる。 読み込んだ前ロールを選択 ここでEnterを押すと、文章が表示部に流れる。変更があったときには、修正をして流すことも可能。↑↓矢印キーを押すと、前後の文がこの枠内に表示され、文章を選択できる。  前ロールは、普通のテキストファイルをそのまま使用することができます。ただし、改行の数が少ないと、大量の文が一度に流れてしまうので、事前に表示部での見え方をチェックし、細かく改行を入れておくと良いでしょう。 (図) 改行が少ないと大量の文字が一気に流れてしまう。 ↓ 短い単位で改行しておくと流したときに見やすい。 文末に無駄な空白などが入らないように注意。 参考:ウィンドウの配置モデル(単独入力)  単独入力の場合、あまり多くの機能を使わなくても情報保障は可能です。ここではFキー・メモのみを画面上に配置しています。表示部に表示される文字の大きさや量は聴覚障害学生用の画面とそろえておくと見え方が確認できて良いでしょう。 (図) Fキー・メモ 表示・入力Tab「一人入力」に設定 参考:ウィンドウの配置モデル(連携入力)  3人以上の入力者が連携入力を行うときには8人モニターが必須です。他に、連絡窓や訂正送信ウィンドウなどよく使用する機能を配置しています。 (図) Fキー・メモ 連絡窓 表示・入力Tab「表示用」に設定 訂正送信ウィンドウ 8人モニター サブ入力ウィンドウ これで完璧!パソコン接続・設定  これまで、パソコンノートテイクを使った聴覚障害学生支援の方法について解説してきました。実際の支援がどんな風に行われているか、だいたいイメージがつかめてきたでしょうか?  ここからは、パソコンノートテイクを導入する際に避けては通れないパソコンの接続・設定やトラブルへの対処方法、支援に利用する機材の準備についてより詳しく解説していきます。 パソコンノートテイクに必要な機材 ノートパソコンの準備  パソコンノートテイクには、複数台のパソコンを使用します。普段使用しているものを使いまわすこともできますが、設定等のトラブルを防ぐためにも、専用の機材を準備しておいた方が良いでしょう。 ノートパソコン (写真) パソコンは軽くて持ち運びがしやすく、キーボードが手になじみやすいものを選びます。台数はシステムの組み方で異なりますが、一般的には入力者数(普通は2~3台)+聴覚障害学生用(1台)を1セットとして用意しています。  また、キーボードが小さすぎたりキー配置がよくないと、ミスタイプが多くなります。新しくパソコンを購入する場合には、入力のしやすさを重視して選んで下さい。それぞれのパソコンには、あらかじめIPtalkをインストールし、動作確認をしておきます。 (写真) Enterキーの周辺にたくさんのキーが密集しているタイプは要注意です。 (写真) 入力途中に間違って押してしまうことがあるので、Enterが一番端にあり、DeleteやBackSpaceもある程度の大きさがあるものを選びましょう。 →IPtalkはWindowsでしか動作しないため、Macで使用したい場合は、 ・仮想環境でWindowsを起動する ・ブートキャンプでWindowsを起動する必要があります。 その他の周辺機器 他に、以下のような機材が必要です。 (写真)【電源コード】 パソコンに付属のものですが、教室に持って行くのを忘れやすいので注意しましょう。途中の接続部分が抜けてしまうこともあるので、接続前に確認しましょう。 (写真)【OAタップ】 パソコンの台数+HUBの口数があるものを選びます。3人で入力するときには5口以上のものが必要です。教室の配置によっては電源が確保しづらい場合もあるので、長めのものを用意すると良いでしょう。 (写真)【LANケーブル】 パソコンとHUBの接続に使用します。一般的には、「ストレートケーブル」を使用します。以前は「ストレートケーブル」と「クロスケーブル」を厳密に使い分ける必要がありましたが、現在はネットワーク機器が自動判別する機能を備えているため、ほとんどのケースで「ストレートケーブル」を使用できます。 (写真)【スイッチングHUB】(以下、HUB) 一般的なものは電源コードが付いています。USBによりパソコンから電源供給できるものもあります。接続するパソコンの台数に合わせて、差し込み口の数を選択しましょう。 (写真)【プロジェクター】 パソコンノートテイクの文字をスクリーン等に投影する場合に使用します。授業では使わない場合も多いですが、聴覚障害学生が複数いる場合や、行事の時には利用すると便利です。 (写真)VGAケーブル (写真)HDMIケーブル【VGAケーブル】または【HDMIケーブル】 プロジェクターとパソコンを接続する際に用います。一般的にはプロジェクターに同封されていますが、場所の制約で長いものが必要になることがあります。細いものの方が取り回しやすく使い勝手がいいでしょうパソコンによってどちらかの端子しか搭載していないものもあるため、注意してください。 パソコン同士の接続 パソコン同士の接続方法  パソコンノートテイクのシステムの組み方は、場面や状況によってさまざまです。一般的にはCの形を取ることが多いですが、システムの柔軟性がパソコンノートテイクの利点の一つでもあるので、これにとらわれず状況に合わせた工夫をすると良いでしょう。 2台のパソコンをつなぐ場合 A 一人入力で聴覚障害学生用に表示用パソコンを用意する。 (図) 入力者A 入力者B 聴覚障害学生 【用意するもの】 ノートパソコン・電源コード 2組 LANケーブル 1本 OAタップ(2口以上) 1個 B 連携入力で聴覚障害学生が入力画面をのぞき見る。 (図) 入力者A 入力者B 聴覚障害学生 【用意するもの】 ノートパソコン・電源コード 2組 LANケーブル 1本 OAタップ(2口以上) 1個 →A・Bともシステムは同じです。 接続方法はP47参照 3台以上のパソコンをつなぐ場合 C 連携入力で聴覚障害学生用パソコンを用意する。 入力者A 入力者B 聴覚障害学生 HUB 【用意するもの】 ノートパソコン・電源コード 3組~(入力者数+1) LANケーブル 3本~(パソコン台数分) OAタップ(パソコン台数+1口以上) 1個 HUB 1個 →入力者の人数が増えてもシステムは同じです。接続方法はP48~50参照 パソコン同士の接続手順 2台のパソコンをつなぐ場合  パソコン2台を、LANケーブルで接続するだけなのでとても簡単です。ただしこの場合、2台以上のパソコンは接続できません。 (図) ①パソコンの電源コードをOAタップに差し込みます。 ②LANケーブルの両端をそれぞれのパソコンの差し込み口に入れます。 (写真) このマークがLANケーブルの差し込み口を示します。 カチッと音がするまでしっかり差し込んでください。 こちらは電話線の差し込み口です。LANケーブルより一回り小さい形をしています。現在のパソコンにはほとんど搭載されていませんが、形状が似ているので、間違って差し込まないように気をつけましょう。 ③LANケーブルの接続が終わってから、パソコンの電源を入れます。 ④このような形でつながりましたか? (写真) (図) 入力用パソコン ↑ ↓LANケーブル 表示用パソコン 3台以上のパソコンをつなぐ場合  3台以上のパソコンを接続する場合には、HUBを使います。基本的にはすべてのパソコンをLANケーブルを使ってHUBとつなぐだけなので、難しい配線ではありません。  入力台数が増えた場合には、同じような形で接続可能です。 (図) ①パソコンとHUBの電源コードをOAタップに差し込みます。 ②LANケーブルの両端をそれぞれのパソコンの差し込み口に入れます。 (写真) このマークがLANケーブルの差し込み口を示します。カチッと音がするまでしっかり差し込んでください。 こちらは電話線の差し込み口です。LANケーブルより一回り小さい形をしています。現在のパソコンにはほとんど搭載されていませんが、形状が似ているので、間違って差し込まないように気をつけましょう。 ③それぞれのパソコンから出ているLANケーブルの片方を、HUBに差し込みます。 (写真) ④HUB・LANケーブルの接続が終わってから、パソコンの電源を入れます。 ⑤パソコン・HUBがきちんと接続されているか、確認します。 (写真) LANケーブルがHUBと接続されている場合、ランプが光って表示されるものもあります。 (写真) HUB側は、以下の2点を確認しましょう。①電源が入っているか②差し込み口に対応した番号のランプがついているか ⑥このような接続になっていますか?コードの配線にも気を配るようにしましょう。 (写真) (図) 表示用パソコン ↑ ↓LANケーブル HUB←LANケーブル→入力用パソコン ↑ ↓LANケーブル 入力用パソコン 【参考】2台でHUBを使う場  3台の場合と同様、それぞれのパソコンをLANケーブルを使ってHUBと接続します。 (写真) (図) 入力用パソコン ↑ ↓LANケーブル HUB ↑ ↓LANケーブル 入力用パソコン プロジェクターとの接続  複数の聴覚障害学生が同時にパソコンノートテイクを利用する場合や、式典等で利用するときには、表示用パソコンをプロジェクターにつなぎスクリーン等に投影することができます。 (図) 入力者3名の場合[HUBにつながったPC4台と、そのうち1台のPCとつながったプロジェクターとスクリーン]。2名ならパソコンは3台。 ①パソコン同士の接続方法、立ち上げの順番は先ほどと同じです。 ②すべてのパソコンを接続したら、表示用パソコンとプロジェクターをVGAケーブルまたはHDMIケーブルで接続します。 (写真) パソコン側のVGAコネクタ (写真) プロジェクター側のVGAコネクタ (写真) プロジェクター側のHDMIコネクタ パソコン側のHDMIコネクタ ③プロジェクターの電源コードを差し込み、VGAケーブルまたはHDMIケーブルの接続を確認して電源を入れて下さい。 (写真) プロジェクターは、投影した画面が見やすい表示になるよう、ピントや位置を調整しましょう。 ④プロジェクターが立ち上がったらパソコンの映像を出力します。パソコンによって操作は異なりますが、一般的にはファンクションキー(Fn)を押しながら、図のようなマークのあるキーを押して、「複製」を選択してください。 (写真) 外部出力を示すマーク。Fnを押しながら、このキーを押す。 図のようなマークのついたキーが見つからない場合は、コントロールパネルなどから設定する必要があります。 Windows 7の場合 「スタート」-「コントロールパネル」を開き、「ハードウェアとサウンド」にある「プロジェクターへの接続」をクリックします。「複製」を選択すると、パソコンに表示されている画面と同じものがプロジェクターから投影されます。 (図) Windows 10の場合 画面右下の「通知」を開き、下側のパネルから「表示」をクリックします。「複製」を選択すると、パソコンに表示されている画面と同じものがプロジェクターから投影されます。 (図) Windowsキー + Pキー を押すことでも、外部ディスプレイメニューを開くことが出来ます。 「拡張」を選択すると、パソコンの画面とプロジェクターから投影される画面を、1つの大きなスクリーンとして利用できます。パソコンに表示されている画面とプロジェクターから投影される画面を別のものにしたい場合に活用してください。 ⑤全てを接続すると、このような配線になります。入力用パソコンに接続されているのは、LANケーブルと電源コードだけです。表示用パソコンには、LANケーブルと電源コード・VGAケーブルまたはHDMIケーブルが接続されています。 (写真) (図)               表示用パソコン→ケーブル→プロジェクター                ↑                ↓LANケーブル 入力用パソコン←LANケーブル→HUB←LANケーブル→入力用パソコン                ↑                ↓LANケーブル               入力用パソコン ネットワークの設定 IPアドレスの設定  パソコン同士を接続したら、次はLAN接続のためにIPアドレスを設定します。IPアドレスは、パソコンに割り振られる電話番号のようなもので、パソコン同士を識別するために使われます。Windows 7と10では設定方法が異なりますので注意してください。 Windows7の場合 ①「スタート」-「コントロールパネル」-「ネットワークとインターネット」の「ネットワークの状態とタスクの表示」をクリックします。 (図) ②「ネットワークと共有センター」が開きます。「接続:」と書かれている右側の「ローカルエリア接続」をクリックします。 (図) ③「ローカルエリア接続の状態」が表示されますので、「プロパティ」をクリックします。 (図) ④「ローカルエリア接続のプロパティ」から「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択し、「プロパティ」をクリックします。 (図) ⑤「IPアドレスを自動的に取得する」にチェックが入っている場合、「次のIPアドレスを使う」に変更してください。「IPアドレス」・「サブネットマスク」を入力し、OKをクリックします。ここで入力したIPアドレスはIPtalkの設定にとても重要なので、番号を忘れないように覚えておいてください。 (図) IPアドレスの設定については、各大学のネットワーク管理者にお尋ね下さい。  聴覚障害学生への授業支援のために、IPtalkというソフトを使ってパソコン同士の通信を行いたいと思っています。  数台のパソコンにプライベートIPをふり、学内LANとは独立したローカルネットワークを組みたいのですが、IPアドレスの設定等で何か規定はあるでしょうか? 特に規定等がない場合は、下表の標準的なIPアドレスを割り振ることができます。 (表) クラス IPアドレス         サブネットマスク A   10.0.0.0~10.255.255.255   255.0.0.0 B   172.16.0.0~172.31.255.255  255.255.0.0 C   192.168.0.0~192.168.255.255 255.255.255.0 一般的によく用いられるのは、クラスCと呼ばれる下記の設定です。 【標準的な設定】 IPアドレス:192.168.XXX.YYY サブネットマスク:255.255.0 (XXX-YYYは0~255の任意の数字) このうちIPアドレスは、サブネットマスクが255になっている桁までをすべてのパソコンでそろえます。 上記の例の場合XXXはすべてのパソコンで同じ値を入力し、YYYは他のパソコンと重ならないような数字を割り当てることになります。 例)PC1 192.168.1.1 PC2 192.168.1.2 PC3 192.168.1.3 など これらの設定を変更すると、多くの場合インターネット等への接続ができなくなります。パソコンノートテイク用のパソコンを他の用途にも使用する場合には、元の設定をメモし、復旧できるようにておくとよいでしょう。 →全国のパソコン要約筆記団体が共同で作業を行ってもIPアドレスの競合が生じないよう、各団体で使用するIPアドレスを割り振る取り組みが行われています。外部団体と共同で作業する機会が多い場合には、こうしたIPアドレスの申請も検討するとよいでしょう。 パソコン要約筆記団体としての活動は終了していますが、IPアドレスの管理は継続しています。 団体:O-CAP →http://www.o-cap.jp Windows 10の場合 ①画面左下のWindowsマーク「スタート」をクリックし、歯車のマーク「設定」をクリックします。 (図) ②「ネットワークとインターネット」をクリックし、「状態」タブの「アダプターのオプションを変更する」をクリックします。 (図) ③「イーサネット」を右クリックし、メニュー内のプロパティをクリックします。 (図) ④[接続の方法]にLANアダプタの名称が表示されていることを確認後、[インターネットプロトコル バージョン4(TCP/IPv4)]をクリックし、[プロパティ]をクリックします。 (図) 正しいアダプタ名が表示されているか確認。 ⑤[インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)のプロパティ]画面で[次のIPアドレスを使う]にチェックを入れ、IPアドレス・サブネットマスクを設定し、[OK]をクリックします。 (図) IPtalkの接続設定 IPアドレスの設定が終わったら、IPtalk同士の通信設定をしましょう。 ①アイコンをダブルクリックしてIPtalkを起動します。 (図) IPtalk9t[アイコン] ↓ダブルクリック 起動画面のあと、基本画面が表示される ②パートナーTabをクリックし、左下の枠にP54~61で設定したIPアドレスが正しく表示されているか確認してください。出ていなければ「IP再読込み」ボタンを押しましょう。 (図) 設定したIPアドレスと同じ物が表示されているか確認 出ていなければ、「IP再読込み」をクリック ③接続するパソコン同士で入力班とチャンネルをそろえます。班やチャンネルが異なると連係入力ができません。 入力班、チャンネルが同じになっているかどうかをチェックする。 →1つの班には9台のパソコンしか入れません。養成講座等でたくさんの人が接続するときには注意してください。 チャンネルと入力班 (図) 同じ入力班にいれば、互いに通信したり、パートナーを組んだりできる。 通常、入力班同士の通信は行われない。ただし「他の入力班の全員に送信する」を選択すると、チャンネル内の入力者全員と通信可能。 チャンネルが異なると通信できない。 ④「メンバーを探す」をクリックします。同じネットワークに入っている人がいると、メンバー一覧に名前とIPアドレスが表示されます。 (図) メンバーの名前とIPアドレスが表示される →メンバーが表示されないときには、一度「お休み」を押して再度「メンバーを探す」を押してみてください。 (図) セキュリティの警告が出た時には、「アクセスを許可する」設定にしてください。 ⑤連係入力をするパートナーを選んで、パートナーに「なってよ!」ボタンを押すと、「名前」の前に「パートナー」の表示が出ます。 (図) 「なってよ!」ボタンをクリック ボタンが移動し、「パートナー」と表示される ⑥最後に「仲間」と「入力をLANに流す」がチェックされていることを確認し表示・入力Tabに戻る。 (図) ⑦パートナーの入力が、自分のパソコンのモニター部に表示されることを確認しましょう。 (図) 自分の画面 ここに、パートナーの入力が表示されます。 ↓ パートナーの画面 モニター部には、あなたの入力が表示されます。  両方の画面で確認できれば、接続完了です。  以下に設定のチェックポイントを挙げておきます。これでもうまくいかないときには、次ページ以降の解決方法を参考にしてください。 チェックポイント □アドレスは正しく表示されていますか? □入力班・チャンネルはきちんとそろっていますか? □10人以上が同じ班に入ろうとしていませんか? □パートナーに「なってよ!」ボタンは押されていますか? □「仲間」にチェックが入っていますか? □「入力をLANに流す」にチェックは入っていますか? □IPtalkのバージョンはそろっていますか? ~MEMO~ よくあるトラブルと解決方法 ネットワーク設定に慣れないうちは、IPtalk同士がなかなかつながらない!とのトラブルが生じがちです。ここでは、IPtalkの接続で生じやすいトラブルと解決方法について解説します。 トラブルの解決には原因の分析が不可欠です。まずは、以下のチャートにしたがってネットワークのどこに問題が生じているのかを検討してください。 それぞれの問題の詳しい解決方法は次ページ以降に解説しています。 (図) トラブルシューティング モニター部にパートナーの入力が表示されない! ↓ パートナーTabを開いてください パートナーはメンバーに表示されていますか?→Yes→□パートナーに「なってよ!」ボタンは押されていますか? □「入力を LAN に流す」はチェックされていますか? □「仲間」にチェックが入っていますか?→P69 ↓ 「なってよ!」ボタンが動かない!→□ 他の人とパートナーになっていませんか?  􀀃他の人がその人とパートナーになっていませんか? □「パートナー固定」にチェックをしていませんか?→P70 パートナーTabを開いてください パートナーはメンバーに表示されていますか? ↓ No ↓ メンバーに表示されない! ↓ 「IP再読込み」を押してください。 自分のIPアドレスは正しく表示されていますか?→Yes→□ 「メンバーを探す」ボタンを押しましたか?□ 入力班・チャンネルはあっていますか?□ 「メンバー固定」にチェックが入っていませんか?□ 同じ班に10 台以上のパソコンをつないでいませんか?□ サブネットマスクは正しく入力されていますか?□ 同じ HUB につながっていますか?□ ウィルスソフトのファイアウォールが有効になっていませんか?□ IPtalk のバージョンはそろっていますか? →P71 「IP再読込み」を押してください。 自分のIPアドレスは正しく表示されていますか?→No→10.14.1.1と表示されている!→ネットワークとインターネットを開いてください。ローカルエリア接続は有効になっていますか?→Yes→□ IP アドレスの設定が間違っていませんか?→P76 ネットワークとインターネットを開いてください。ローカルエリア接続は有効になっていますか?→No→ローカルエリア接続が無効になっている!→□ 右クリックして「有効」を選択して下さい。□ IP アドレスの設定が間違っていませんか?→P83 ネットワークとインターネットを開いてください。ローカルエリア接続は有効になっていますか?→No→ネットワークケーブルが接続されていませんと表示される! ↓ もう一度接続を確認してください。→P84 􀀃LAN ケーブルはしっかりと差し込まれていますか? 􀀃HUB の電源は入っていますか? 􀀃電源タップはコンセントにつながっていますか? 􀀃コンセントのスイッチは OFF になっていませんか? 􀀃LAN ケーブルが UPLink につながっていませんか? 􀀃LAN ケーブルは切れていませんか? 「IP再読込み」を押してください。 自分のIPアドレスは正しく表示されていますか?→No→IPアドレスが2つ表示されている!→□正しいIPアドレスが選択されていますか?→P81 「IP再読込み」を押してください。 自分のIPアドレスは正しく表示されていますか?→No→別のIPアドレスが表示されている!→□無線LANがONになっていませんせんか? □IPアドレスの設定が間違っていませんか?→P82 →大切なのは、その場の情報保障を行うことです。どうしてもつながらないときには、一人入力に切り替えたり、手書きのノートテイクをするなど、代替手段を考えましょう。 こんなときは…⑤ モニター部や表示部にパートナーの文字が表示されない! ①モニター部には同じネットワークの中のパートナー設定がされている人の文字しか表示されません。パートナーTabをクリックして、「なってよ!」ボタンがきちんと押されているかどうか確認してください。 (図) ②パートナーになっているのに、文字が表示されない時は、「入力をLANに流す」がチェックされているか、「仲間」にチェックが入っているかを確認してください。 (図) ここのチェックが外れていると、文字が他の人のパソコンに流れません。 パソコン同士を接続した状態で、入力練習をしたい時等に用いますが、本番では必ずチェックを入れてください。 仲間のチェックが外れていると、その人にだけ文字が流れません。 ある人には流れるのに、他の人には流れない等というときは、ここを調べてみてください。 パートナーに「なってよ!」ボタンが動かない!  パートナー設定は一台のパソコンとしかできません。すでに他のパソコンとパートナーの設定がされているときには、一度はずしてから別のパソコンの「なってよ!」ボタンを押してください。  また、「パートナー固定」にチェックが入っている時も、パートナー設定を変更することができません。これも一度はずしてから変更の設定をしてください。 (図) チェックが入っているとパートナーの変更ができない。 パートナーを変えるときにはチェックをはずす。 一度パートナー設定を解除してから他のパソコンの「なってよ!」ボタンを押す。 「メンバーを探す」をクリックしても、相手が表示されない! ①「IP再読込み」をクリックした上で、すべてのパソコンでIPアドレスが正しく表示されているかを確認してください。 ②IPアドレスが正しい場合には、一度「お休み」を押してから、再度「メンバーを探す」ボタンをクリックしましょう。 (図) ③「お休み」を押してもメンバーが表示されない時には、入力班・チャンネルがそろっているかを確認しましょう。入力班は、講習会等でいくつかのグループ分けをするときなど、同じネットワーク内でも入力を相互に流したくない場合などに用います。練習後、設定を保存した時などは入力班やチャンネルも保存されてしまうので注意が必要です。 (図) すべてのパソコンで同じになっているかどうかを確認する。違うと入力文が流れない。 ④入力班・チャンネルがそろっている場合には、「メンバー固定」にチェックが入っていないかを調べましょう。ここにチェックがあると、「メンバーを探す」ボタンの要求を無視してしまいます。 (図) ⑤以上の方法を試してもうまくいかない時には、一度IPtalkを再起動してみましょう。 ⑥再起動後もメンバーが表示されないときには、ネットワークの設定を確認しましょう。サブネットマスクはすべてのパソコンで正しく表示されていますか? (図) 「スタート」-「コントロールパネル」-「ネットワークとインターネット接続」をクリックし、「ネットワークの接続」から、ローカルエリア接続のインターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)のプロパティを開いてください。 サブネットマスクは正しく表示されていますか? サブネットマスクの値は、IPアドレスによって変わります。P57の表を参考に正しい組み合わせになっているか確認してください。 ⑦ネットワークの設定が正しい場合には、ウイルス対策ソフトのファイアウォール設定がされている可能性があります。 ウイルス対策ソフトを一時的にOFFにしてみてください。 ソフトによっては、プログラムごとに個別に遮断するかどうかを選択できるものがあります。この場合は、IPtalkの通信を常に許可する設定にしてください。 Norton AntiVirusの例 (図) 設定画面でインターネットワーム防止→プログラムの制御をクリックします。 「追加」ボタンを押して、IPtalkの通信を許可する設定にします。 設定方法はソフトによって異なります。使用しているソフトのマニュアルをご覧下さい。 Microsoftウィルスバスターの例 (図) ウイルスバスターのメイン画面から設定をクリックします。 例外設定からファイルフォルダを選択し、IPtalkを追加します。 ⑧Windowsファイアウォールが設定されている場合には、これによって通信が遮断されている場合があります。ファイアウォール設定を解除するか、例外としてIPtalkの通信を許可する設定にしましょう。 Windows7の場合 (図) 「スタート」-「コントロールパネル」から「システムとセキュリティ」をクリックする。 「Windowsファイアウォールによるプログラムの許可」をクリック 「設定の変更」―「別のプログラムの許可」をクリック 一覧に表示されていない場合は、「参照」をクリックし、IPtalkを選択する Windows10の場合 (図) 「スタート」―「設定」から、「更新とセキュリティ」をクリックする。 「Windowsセキュリティ」タブを選択し、「ファイアウォールとネットワーク保護」をクリックする。 「ファイアウォールによるアプリケーションの許可」をクリック 「別のアプリを許可」をクリックし、一覧に表示されない場合は「参照」からIPtalkを選択する。 ⑨ファイアウォールの設定を解除してもメンバーが表示されない場合には、一度接続を確認し、パソコンを再起動してみましょう。同時にHUBの電源も入れ直すと良いでしょう。 ⑩IPtalkでは、IPアドレスを直接指定してメンバーを探すことも可能です。ルーター等を介して接続している場合には、パートナーTabの「遠隔地で入力」覧にメンバーになりたいパソコンのIPアドレスを入力し、「メンバーを探す」を押してみてください。 (図) チェックを入れる メンバーになりたいパソコンのIPアドレスを入力する。 ⑪たくさんのパソコンを接続しているときには、台数を確認してみてください。同じ入力班には9台までしか入れません。講習会等で10台以上のパソコンをつなぐときには、班を分けるなどの工夫をしてください。 パートナーTabでIPアドレスが「10.14.1.1」と表示される!  IPアドレスが正しく設定されていない可能性があります。起動時に右のようなエラーが出ることもあります。 (図) ①「IP再読込み」ボタンを押してください。LANケーブルがつながっていない状態でIPtalkを立ち上げた場合、IPアドレスを再読込みすれば回復することがあります。 (図) ②IPアドレスを再読込みしても元に戻らない場合、ネットワークの設定が間違っている可能性が大きいです。 「アダプタの設定」から「ローカルエリア接続」または「イーサネット」の状態を確認しましょう。「ローカルエリア接続」または「イーサネット」は有効になっていますか? Windows7の場合 「スタート」-「コントロールパネル」-「ネットワークの状態とタスクの表示」-「アダプタの設定の変更」をクリックし、「ローカルエリア接続」の状態を確認してください。無効になっている場合は、右クリックして有効にしてください。 (図) Windows10の場合 「スタート」-「設定」-「ネットワークとインターネット」-「アダプターのオプションを変更する」をクリックし、「イーサネット」の状態を確認してください。無効になっている場合は、右クリックして有効にしてください。 (図) ③「ローカルエリア接続」が有効になっている場合、IPアドレスとサブネットマスクの値を確認しましょう。正しい値が入力されているでしょうか?間違っていた場合は、正しい値を入力し、IPtalkを再起動してください。 Windows7の場合 「スタート」-「コントロールパネル」-「ネットワークの状態とタスクの表示」をクリックし、ネットワークの状態を確認してください。ネットワークは線でつながっていますか?無効やエラーの表示は出ていませんか? (図) 「ローカルエリア接続」をクリックする 「詳細」をクリックする IPアドレス,サブネットマスクは正しく表示されていますか? Windows10の場合 「スタート」-「設定」-「ネットワークとインターネット」-「アダプターのオプションを変更する」をクリックします。ネットワークの状態を確認してください。 (図) 「スタート」-「設定」-「ネットワークとインターネット」をクリック 「アダプターのオプションを変更する」をクリック 「イーサネット」を右クリックし、表示されたメニューの中から「状態」を選択。 IPアドレス,サブネットマスクは正しく表示されていますか? ④IPアドレスが正しい値になっている場合、ネットワーク診断を行うか、ローカルエリア接続を一度無効にして、再度有効にしてください。先ほどと同じIPアドレスが表示されますか? IPアドレスが正しくない場合は、「ネットワークの設定」を参照しもう一度設定を行ってください。 Windows7の場合 「スタート」-「コントロールパネル」から「ネットワークの状態とタスクの表示」を開き、「ローカルエリア接続」-「診断」をクリックする。 (図) Windows10の場合 「スタート」-「設定」-「ネットワークとインターネット」を開き、「アダプターのオプションを変更する」-「イーサネット」を右クリックし、「診断」をクリックする。 (図) ⑤正しいIPアドレスが表示されているにもかかわらず、パートナー設定ができない場合には、一度IPtalkやパソコンを再起動してみてください。同時にHUBの電源も入れ直すと良いでしょう。 パートナーTabで自分のアドレスが2つ表示される!  パソコンでIPアドレスを複数設定していると、IPtalkを立ち上げたときや、「IP再読込み」ボタンを押したときに、IPアドレスが2つ表示されることがあります。  この場合、正しい方のIPアドレスをクリックすれば、通信が可能です。 (図) 複数のIPアドレスが表示されている場合、正しい方をクリックで選択できる。 無線LANが有効になっている場合等にこのような症状が出るので、OFFにしておくといいでしょう。 無線LANの設定、変更については次ページで説明しています。 パートナーTabで自分のアドレスとは違う値が表示される! ①複数の接続が機能している可能性があります。無線LANが有効になっていませんか? Windows7の場合  「スタート」-「コントロールパネル」から「ネットワークの状態とタスクの表示」を選択し、「アダプターの設定の変更」を開きます。 「ワイヤレスネットワーク接続」を右クリックして「無効にする」をクリックします。 ワイヤレスネットワーク無効、ローカルエリア接続→有効にして下さい。 (図) 無線LANがONになっている場合、ランプが光るパソコンもあります。 スイッチを切り、無効にしておきましょう。 Windows10の場合 「スタート」-「設定」-「ネットワークとインターネット」を選択し、「アダプターのオプションを変更する」を開きます。 「Wi-Fi」を右クリックして「無効にする」をクリックします。 (図) ②無線LANが無効になっている場合、IPアドレスの設定が間違っている可能性があります。P54~61の要領で再設定をしてください。 「ローカルエリア接続」が無効になっている! ① 「ローカルエリア接続」が無効になっていると、ネットワーク接続ができません。以下の手順で有効に切り替えてください。 Windows7の場合 「スタート」-「コントロールパネル」から「ネットワークの状態とタスクの表示」を選択し、「アダプターの設定の変更」を開きます。 「ローカルエリア接続」を右クリックして「有効にする」をクリックします。 (図) Windows10の場合 「スタート」-「設定」-「ネットワークとインターネット」を選択し、「アダプターのオプションを変更する」を開きます。 「イーサネット」を右クリックして「有効にする」をクリックします。 (図) ② IPアドレスの設定が間違っているときも、「無効」の表示がされることがあります。P54~61の要領で再設定をしてください。 「ローカルエリア接続」に「ネットワークケーブルが接続されていません」と表示される! ①接続が間違っていたり、ケーブルが抜けていることがあります。  もう一度、パソコン・HUBそれぞれの差し込み口を確認してください。 Windows7の場合 (図) Windows10の場合 (図) ②接続が正しい場合には、HUBの電源が入っているか確認してください。 □HUBのPowerランプは点灯していますか? □電源コードはOAタップに差し込まれていますか? □OAタップがコンセントから抜けたりしていませんか? □OAタップのスイッチはONになっていますか? (写真) 手元でON/OFFを切り替えられるタイプのOAタップは要注意です。 スイッチはONになっていますか? ③LANケーブルを差し込んだ番号のランプがついていますか?もし、ついていない場合LANケーブルの差し込み口をかえてみてください。 (写真) ④差し込み口の多いHUBの場合、Uplinkポートがついていることがあります。ここはHUB同士を繋ぐための差し込み口なので、パソコンとの接続には使用できません。1、2、3、4、5・・・と番号がついている差し込み口につなぎかえてください。 (写真) Uplinkポート。ネットワークの上流につなぐために使用される。 もしついている場合は、誤使用を防ぐために、セロハンテープなどでふさいでおくといいでしょう。 ⑤HUBの差し込み口を変更してもランプがつかない場合は、LANケーブルが断線している可能性があります。他のLANケーブルと交換して再度接続してみてください。 こんなときは…⑥ Tabが見つからない。あるはずの機能が見当たらない! ①使用者や場面によって表示する機能の数を選択することができます。必要なTabや機能が見あたらないときは、選択Tabでより上位の表示にしてみましょう。 【初心者用】 (図) Tabの数が少ない ↓ 選択Tabで自分に合うモードを選択する。 下に行くほど機能が増える。 ↓ 【情報保障(応用機能)】 新しくTabが増えた ②「上級者用(全機能)」などの設定にしていると、Tabが画面におさまりきらず、画面外に消えてしまうことがあります。右上の矢印を押すと左右にスクロールできます。 (図) 説明Tabがない! ↓ 矢印をクリック ↓ 右端まで表示された ③表示・入力画面を小さくしていると、Tabを切り替えたときに必要な機能が画面外に出てしまい、見あたらなくなることがあります。このような場合、全画面表示にすればすべての機能を見ることができます。 (図) 切り替え用の矢印が表示される。 画面を小さくしていると、端が切れてしまう。 ↓ 全画面表示にすれば、すべての機能を見られる。 表示部の下の行がきちんと表示されない!  行数・行間を自動調整にしていないと、一番下の行が切れて表示されないことがあります。こんな時には、表示1Tabをクリックし、「行数から行間を計算」を押すと再計算されて正しく表示されるようになります。 (図) 文字が切れてしまう! ↓ クリックすると再計算されて元に戻る 表示画面が途中で真っ暗になってしまった!  スクリーンセーバーを使用していたり省電力設定をしていると、設定が動き出すことがあります。また、電源ケーブルをつなぎ忘れていると、途中でスタンバイモードに変わってしまうこともあります。このほか、インターネットにつないでいる場合は、Windows Updateが動き出すこともあるので、事前に無効にしておきましょう。 スクリーンに画面が表示されない!  パソコンの設定でスクリーンへの投影がされないようになっているかもしれません。ファンクションキーから設定する方法もありますので、「プロジェクターとの接続(p52)」を参照してください。 入力中に、アルファベットや記号しか表示されなくなった! ①Caps Lockキーや無変換キー、半角/全角キーを間違って押していませんか?もう一度該当するキーを押すか、言語バーから入力方法を「ひらがな」に戻しましょう。 (図) Caps Lock 英数 半角/全角 漢字 無変換 誤ってこれらのキーを押すと、入力モードが切り替わってしまう。 ↓ 落ち着いて言語バーから入力方法を「ひらがな」に切り替える。 ②ひらがなと数字が混じって表示される場合、Num Lock(ナンバーロック)キーを押している可能性があります。もう一度Num Lockキーを押して解除すれば元に戻ります。 (図) Num Lockキーを押すと、キーボードに書いてある数字が表示されてしまう。 ↓ 解除するときにはもう一度Num Lockキーを押す。 入力中にカーソルが移動してしまい、入力ができなくなった!  ノートパソコンを使用していると、タッチパッドに手が触れて勝手にカーソルが動いてしまうことがあります。また、PageUPやHomeを間違って押してしまうこともあるので注意しましょう。 IPtalkのインストールと機能紹介 IPtalkのダウンロードとインストール IPtalkの最新版は下記のページから無料でダウンロードすることができます。 URL http://www.s-kurita.net/ (図) スクロール ↓ クリック  下にスクロールしていくと、後半に最新版IPtalkへのリンクがあります。ここからダウンロードし、各パソコンにインストールしてください。  このサイトでは、現在確認されている不具合や対策が記載されているので、時折参照すると良いでしょう。 ダウンロードとインストール(Microsoft Edgeを利用した場合) ①ホームページから、最新版IPtalkのリンクを選択し、クリックする。 ②「(ファイル名)について行う操作を選んでください」というダイアログボックスがブラウザの下部に表示されたら、「保存」を選択。③「ダウンロードが完了しました」と表示されたら「実行」をクリック。(②で保存したインストーラファイルは、デフォルトではダウンロードフォルダに入っている) ④「この不明な発行元からのアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?」という警告が出たら「はい」をクリック。 ⑤「参照」をクリックし、インストール先(My Documentやデスクトップなどわかりやすい場所に作ったIPtalk用のフォルダ)を選択し「OK」をクリック。 ⑥指定したフォルダの中に、IPtalk***.exeというファイルができればインストール完了。これをダブルクリックするとIPtalkが起動する。 (図) 最新版IPtalkへのリンクをクリックすると、ダウンロードを知らせるダイアログボックスが表示される。 ↓「保存」をクリックするとダウンロードが始まる。 実行 ↓保存先にできたアイコンをダブルクリックし、「実行」ボタンを押す。 はい ↓ ファイルが複数ある場合があるため、My DocumentやデスクトップなどにIPtalkフォルダを作って、そこに保存することを推奨する。 よく使う機能の紹介  IPtalkは非常に多くの機能を盛り込んだソフトです。表示部の上にあるTabを一つずつ開いていくととてもたくさんの設定があることがわかります。ここでは、そのすべてを紹介することはできませんので、大学におけるパソコンノートテイクでよく使用される機能に絞ってTabごとに紹介していきます。 表示・入力Tab  文字の入力や表示をする際に用いる画面です。IPtalkを起動するとまずこの画面が表示されます。 (図) ①入力部:ここに文字を入力する ②モニター部:パートナーの入力が表示される ③表示部:入力部で文字を入力した後、Enterを押すとここに流れる。      聴覚障害学生はこの画面を見ている。 選択Tab  IPtalkで表示する機能を選択する画面です。初心者用→上級者用にいくにしたがって、たくさんの機能が表示されるようになります。 (図) 【初心者用】 ↓ 【上級者用(全機能表示)】  機能は「上級者用」を選択しましょう。「初心者用」と比べ、便利な機能のタブが多く表示されます。  「用途による機能の簡単設定」は、上の画面と同じように設定後、[設定反映]のボタンを押すと、選択した補助ウィンドウが一度に表示されます。 補W1Tab1 前ロールやFキー・メモなど入力を手助けする便利な機能がたくさん盛り込まれています。各ボタンを押すと小さなウィンドウが別に表示されます。 (図) 【Fキー・メモ】 「学生/」「先生/」など、すぐに入力したい言葉を登録しておくと、対応するFキーで呼び出すことができます。入力時に利用できるFキーの備忘録としても利用できます。 【8人モニター】 表示・入力画面のモニター部と同様に、LANで接続されたIPtalkの入力をリアルタイムに8人分まで表示できます。 聴覚障害学生にリアルタイムの入力を見たいというニーズがある場合には、表示用パソコンでも8人モニターを表示させておくと良いでしょう。 【連絡窓】 グループのメンバーに連絡するためのチャットBOXとして利用できます。 下の枠に文字を入力し、Enterを押すと上の表示部に流れます。 【サブ入力ウィンドウ】 通常の入力部を独立させたものです。自由な場所に配置が可能なので、自由度が高く便利です。 【原稿・前ロール】 事前に作成したテキストファイルを読み込み、修正等を加えながら表示部に流すことができます。 ビデオ字幕の代わりや、式典など、あらかじめ原稿が決まっている時に利用すると便利です。 「PCテイクでノートを取る」にチェックを入れると、表示部が手動でスクロールできるようになります。 ↓ 【PCテイク用ノート】 入力文から必要箇所を自分のノートに転記したり、ノートを見ながらログの該当箇所にジャンプしたりなど、聴覚障害学生の学習を支援する機能が満載です。 表示1Tab 入力用・表示用の設定や表示部の色の設定など、基本的な表示設定に関する機能がおさめられています。 (図) ①「入力用」と「表示用」の選択 「2人入力」…入力部とモニター部が表示される。連係入力を行う場合に選択。 「1人入力」…入力部が表示される。1人入力を行う場合にはこちらを選択。 「表示用」…表示部のみが表示される。聴覚障害学生用のパソコンはこれを選択。       サブ入力ウィンドウ等を利用して入力している場合など、表示画面の下に入力画面の表示が不要な時も、「表示用」を選択するとよいでしょう。 ②表示部の背景色や、フォントの大きさ・色の設定 標準的な設定…フォント:MSPゴシック・22ポイント/フォント色:白/背景色:黒 ③モニター部&入力部の設定 標準的な設定…フォント:MSPゴシック・18ポイント/フォント色:黄色/背景色:濃紺 ④表示行数・行間の大きさ設定 自動調整にチェックを入れるか、表示行数を入れて「行数から行間を計算」をクリック ⑤「空行のみ改行」チェックを入れると文章が切れて表示されるのを防ぐことができます。 (図) 訂正Tab 表示部に流してしまった文字の修正に関する機能が設定できます。 (図) ①F9キーの設定(Undo) 他の人の入力や改行の扱いなどを設定できます。 ②F11キーの設定(Delete) チェックを入れると表示部に流れた文字を後ろから1文字ずつDeleteできます。 (図) ③キーの設定(訂正文送信)チェックを入れると訂正文を容易に表示できます。 ④訂正送信ウィンドウの表示 「訂正送信」機能を使うと、すでに表示部に流れた文字を修正し、該当箇所に色を付けて示すことができます。 (図) 訂正送信→誤入力が訂正され、該当箇所の色が変わる 入力1Tab 入力に関する基本的な設定を行うTabです。 (図) ①F8キーの設定(「 」でくくる)  チェックを入れると、F8キーで入力文の前後をカッコでくくることができます。  「 」以外にも、(スライド「****」読み上げ中)(テキスト「****」読み上げ中)などの文字列を入力しておくと、授業中にすぐに対応できて便利です。 (図) 入力2Tab ルビのつけ方、入力の自動送信など応用的な入力機能が集められています。 (図) ①F1キーの設定(ルビの表示) 単語を漢字変換した後にF1キーを押すと、カッコ内に読み仮名が表示されます。 ひらがな表記・カタカナ表記を選択できます。 (図) ②「。」で自動改行する 「。」のたびに、自動改行されてしまうので、チェックをはずしておきましょう。 保存Tab ここでは、ログや設定の保存を行うことができます。 (図) ①表示設定などの保存・読込 設定したIPtalkの入力用画面・表示用画面を保存しておくことができます。聴覚障害学生や授業場面ごとに設定を変えるときなどは、複数のパターンで保存しておき、「読込」で必要なファイルを選択するといいでしょう。 次回起動時にも同じ状態で表示させたい場合には、「起動時設定にする」をクリックしておきましょう。 ②ログの保存・読込 入力したログを保存したいときには、「保存」ボタンを押します。入力量が増えたり、IPtalkを終了させるとログは破棄されてしまうので注意してください。 PCテイク機能を使ってメモを取ったときには、ログを「読込」すると自分のメモとログを照らし合わせながら復習することができます。 ③IPtalk終了時にログを保存する ログが自動で削除されるのをふせぐには、ここにチェックを入れます。 ログの取り扱いについては、大学の方針や聴覚障害学生のニーズによって異なってくるので、学内でよく話し合って決定しましょう。 ~MEMO~ 参考情報 パソコンノートテイクについては、地域のパソコン要約筆記サークルや要約筆記者団体などで多くの情報を得ることができます。また、パソコンノートテイクを導入している大学でも、独自のマニュアルを作成・公開している例や、動画を配信している場合もありますので、ぜひ調べてみて下さい。また、IPtalkの各機能を紹介したマニュアルも販売されていますので、参考としてご利用いただければ幸いです。 ●IPtalkの配布先 IPtalkhttp://www.s-kurita.net/ 頻繁に更新されているので、まめにチェックすると良いでしょう。 ●参考資料 ・パソコンノートテイクスキルアップ!教材集 やってみよう!連係入力 http://www.pepnet-j.org/web/modules/tinyd1/index.php?id=187&tmid=297 発行:日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク PEPNet-Japanで作成した、「連携入力」のスキルアップ教材です。自分の力に応じた練習ができる/使いやすく取り組みやすい/専用のソフトウェアにより、1人でも連係入力練習ができるなどの工夫を凝らした教材集・練習用ソフトウェアが収録されたCD-ROMが付いています。(無償配布) (写真) ・パソコン文字通訳(要約筆記)者 養成テキスト ~聴覚障害者の「話のすべてを知る権利」を守るために~ http://mojitsuken.sakura.ne.jp/wp/ 発行:特定非営利活動法人 全国文字通訳研究会 価格:2,200円+送料(2019年9月現在) タイピングやかな漢字変換のノウハウ、入力しながら要約(整文)するコツ、ソフトや機器の設定、連係入力の初歩から応用まで、技術的なポイントを豊富に盛り込んだテキストです。動画や音声データが入ったCD-ROMつき。 (写真) ・要約筆記者養成テキスト第2版補完資料(自習書) 初めて使うIPtalk -1- 操作手順書(チュートリアル) http://zenyouken.jp/ 発行:特定非営利活動法人 全国要約筆記問題研究会(全要研) 著者:栗田 茂明 価格:2,500円+送料 要約筆記者養成カリキュラムに沿って、IPtalkの操作方法が詳しく説明されています。 (写真) 参考 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク PEPNet-Japan 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(以下PEPNet-Japan; The Postsecondary Education Programs Network of Japan)は、2004年に筑波技術大学の呼びかけにより結成された高等教育機関間のネットワークです※。事務局は、筑波技術大学障害者高等教育研究支援センターに置かれており、聴覚障害学生を受け入れ、積極的に支援を行っている会員大学・機関によって組織されています。 本事業の目的は、全国の聴覚障害学生が在籍する大学および関係諸機関間のネットワークを形成し、高等教育機関で学ぶ聴覚障害学生に対する支援体制確立を図ることです。支援にまつわる情報や実践の蓄積と、全国の大学・機関に向けた発信を目指して活動を行っています。 ※設立当初は、日本財団の助成によるPEN-International(聴覚障害者のための国際大学連合)の支援を受け、発足しました。現在は、筑波技術大学の実施する「聴覚障害学生支援・大学間コラボレーションスキーム構築事業」内で運営しています。 (図) 正会員大学・機関(★幹事大学) (2019年5月1日現在) こんな活動をしています。詳細はホームページをご覧ください 聴覚障害学生支援に関わる情報提供と相談対応 PEPNet-Japan正会員大学・機関と共に、聴覚障害学生への合理的配慮の提供や、地域の大学ネットワークへのご紹介、支援体制構築などに関する情報や助言を提供しています。 (図) 聴覚障害学生支援MAP(PEPなび)の運営 全国の高等教育機関における障害障害学生支援の情報を掲載するデータベースを運営しています。(登録制、一部は自由に閲覧可能) (図) 大学全体の支援体制引き上げを目指して 全国の大学で、より高いスタンダードでの合理的配慮の提供がなされていくよう、基盤構築を図っています。正会員大学・機関間の情報交換会開催のほか、正会員大学・機関のリードによって各地域の情報交換会等が開催されるよう促進しています。 シンポジウムの開催 各種教材の教材作成・配布 Webでの情報配信 パソコンノートテイク導入支援ガイド:やってみよう!パソコンノートテイク(改訂版) 発行日:2008年3月1日初版     2019年8月30日第2版(改訂版) 発行:日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan) 編集:白澤麻弓(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター)    磯田恭子(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター) 改訂版編集協力:吉田幹矢(筑波技術大学大学院情報アクセシビリティ専攻) 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(事務局) 〒305-8520 茨城県つくば市天久保4-3-15 筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター ※本事業は、筑波技術大学「聴覚障害学生支援・大学間コラボレーションスキーム構築事業」の活動の一部です。 国立大学法人筑波技術大学 パソコンノートテイク導入支援ガイド やってみよう!パソコンノートテイク(改訂版)