これからの聴覚障害学生支援-今『対話』を考える- 日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム報告書 2018年10月28日会場 早稲田大学 主催 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)    国立大学法人 筑波技術大学 共催  早稲田大学 協力  東京大学バリアフリー支援室/日本社会事業大学    関東聴覚障害学生サポートセンター 後援  文部科学省/独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)     東京大学 障害と高等教育に関するプラットフォーム形成事業(PHED)     京都大学 高等教育アクセシビリティプラットフォーム(HEAP) はじめに 第14回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 実行委員長 筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター長 佐藤正幸 いろとりどりの紅葉が映える都の西北、早稲田の杜を会場として聴覚障害学生の高等教育支援に携わる476名の方々が集い、第14回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムが開催されました。 今回のシンポジウムは、「これからの聴覚障害学生支援―今「対話」を考えるー」を主題として、前日特別企画では、当事者研究、視点を対話でつなぐこと、支援体制の整備、シンポジウムでは、実践事例コンテスト、支援実践発表、支援者養成の先駆的取組などのセミナー、そして全体会企画の「『対話』がみちびく質の高い支援―聴覚障害学生支援のスタンダードを探る―」においては、今後の聴覚障害学生、支援者との対話について、支援体制のあり方について熱心な議論が交わされました。 プログラムの中には、所属が異なる聴覚障害学生、支援学生、支援担当教職員がグループとなって、お互いに支援のあり方・支援体制の構築などについて討論がなされる場面があり、普段の生活ではなされることのない体験をし、参加された方々それぞれに得るものがあったと思います。 全体会企画では、聴覚障害学生が意思表明をし、合理的配慮の提供に至るまでの対話について丁寧に議論がなされ、私個人としては対話にあたって支援する側は聴覚障害学生が如何に自分の困っていることを躊躇することなく表明できるかにおける言葉かけ及び雰囲気作りに配慮が必要である、また、その建設的な合理的配慮における合意形成に向けた建設的な対話を行うことによって、聴覚障害学生自身も情報保障等必要な支援を構築する力に繋がると考えました。 この度、本シンポジウムで得られた知見、議論の成果をそれぞれの場所で活かして頂きたく、ここに報告書を作成しました。是非、お手元において必要に応じてご活用頂ければ幸甚に存じます。 本シンポジウムの開催及び報告書の作成にあたりましては、共催校である早稲田大学の皆様を始め、企画コーディネーター、講師としてご尽力頂きました皆様、PEPNet-Japan正会員大学・機関の皆様、通訳者など関係者の皆様には大変多くのお力添えを頂きました。また、本シンポジウムにご参加頂きました皆様にも開催、進行にご協力頂きました。 厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。 もくじ 1.開催要項 2 2.プログラムおよび前日特別企画概要 4 3.シンポジウム企画報告 1)聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト 2018  10 2)教職員による聴覚障害学生支援実践発表 2018    13 3)関連団体活動紹介 15 4)情報保障支援者の養成に関する先駆的な取り組み―当事者が支援者になること― (ショートセミナー1) 16 5)基礎講座 建設的対話から始まる障害学生支援―合理的配慮の基本とは?― (ショートセミナー2) 20 6)筑波技術大学企画 聴覚障害学生が輝く大学教育(ショートセミナー3) 24 7)『対話』がみちびく質の高い支援―聴覚障害学生支援のスタンダードを探る― (全体会企画) 28 4.前日特別企画報告 1)当事者研究をやってみよう!(ワークショップ1) 42 2)作ろう支援の大三角―みんなの視点を対話でつなぐ―(ワークショップ2) 47 3)支援体制整備のその先にある課題とは?(ワークショップ3) 54 4)早稲田大学キャンパスツアー 63 5.聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト 2018 受賞ポスター 66 開催要項 名称 : 第14回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 目的 : 筑波技術大学では、平成16年から日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)の事務局として、特に聴覚障害学生への支援体制が充実し、積極的な取り組みを行ってきている大学・機関と共同で、聴覚障害学生支援に関するノウハウを積み重ね、先駆的な事例の開拓を行ってきた。そして障害者差別解消法の施行をはじめとする昨今の情勢の変化を受け、本ネットワークは平成30年度からは新体制をスタートさせ、より広く強固なネットワークの構築を目指している。 本シンポジウムでは、全国の大学における聴覚障害学生への支援実践に関する情報を交換するとともに、本学ならびに本ネットワークの活動成果をより多くの大学・機関に対して発信することで、今後の高等教育機関における聴覚障害学生支援体制発展に寄与することを目的とする。 日時 : 平成30年10月28日(日)9時30分~16時 ※10月27日(土)は「前日特別企画」としてワークショップおよびキャンパスツアーを実施 会場 : 早稲田大学 早稲田キャンパス 国際会議場 (新宿区西早稲田1-6-1) 対象 : 全国の大学等で障害学生支援を担当する教職員、及び聴覚障害学生、支援者 その他高等教育機関における障害学生支援に関心のある方々 主催 : 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan) 国立大学法人筑波技術大学 共催 : 早稲田大学 協力 : 東京大学バリアフリー支援室 日本社会事業大学 関東聴覚障害学生サポートセンター 後 援 : 文部科学省 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO) 東京大学 障害と高等教育に関するプラットフォーム形成事業(PHED) 京都大学 高等教育アクセシビリティプラットフォーム(HEAP) 参加費 : 無料 大会長 : 大越 教夫(筑波技術大学) 実行委員長 : 佐藤 正幸(筑波技術大学) 事務局長 : 白澤 麻弓(筑波技術大学) 幹事 : 磯田 恭子(筑波技術大学)中島亜紀子(筑波技術大学)萩原 彩子(筑波技術大学) 実行委員 : 三神 弘子・大久保裕子・黒田 泰・志磨村早紀(早稲田大学) 杉中 拓央(小田原短期大学/早稲田大学) 中津 真美(東京大学) 斉藤くるみ(日本社会事業大学) 山本 篤・田中 啓行(関東聴覚障害学生サポートセンター) 松﨑 丈(宮城教育大学) 金澤 貴之(群馬大学) 石原 保志・小暮 聡子・三好 茂樹・谷 貴幸・井上 正之・河野 純大・守屋誠太郎・石野麻衣子・吉田 未来・坂井 肇(筑波技術大学) 協 力 : 学生アルバイトの皆様 (早稲田大学・日本社会事業大学・筑波大学・筑波技術大学) プログラム 10月28日(日) 午前 セッション企画(表あり) 午後 全体会(表あり) 前日特別企画 概要 【 ワークショップ 】 聴覚障害学生支援に関わるトピックスを取り上げ、少人数でのディスカッションやワークを通じて各テーマへの理解を深めるとともに、参加者同士の情報交換を行い、各大学等における支援の充実と発展に寄与することを目的とする。 日時:10 月 27 日(土) 13:00~16:00 会場:早稲田奉仕園 セミナーハウス(新宿区西早稲田 2-3-1)(表あり) 【 早稲田大学キャンパスツアー 】 本シンポジウムを早稲田大学にて開催することにあわせ、全国からの参加者を対象として会場となる早稲田大学キャンパスツアーを実施する。大学内の伝統的な校舎や特徴的な施設を学生ガイドの案内で回り、バリアフリー状況ならびに最新設備等を見学することを目的とする。 日時:10月27日(土) 1回目:13:30~15:00/2回目:15:30~16:30 会場:早稲田大学 早稲田キャンパス ※集合及び解散場所は参加者に別途連絡する(表あり) ※ワークショップ、キャンパスツアーともに、事前申込み制として定員を設け実施した。