第5回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 2009年11月3日 学術総合センター 当日資料 主 催 : 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)  国立大学法人 筑波技術大学 協 力 : 関東聴覚障害学生サポートセンター 後 援 :文部科学省 独立行政法人 日本学生支援機構 開催要項 2 挨拶 3 プログラム 6 分科会 分科会 1 「基礎講座−1からわかる聴覚障害学生支援入門−」 8 分科会 2 「教職員に対する障害学生支援の理解向上のために」 16 分科会 3 「コーディネーターの専門性と身分保障」 31 分科会 4 「支援学生のスキルアップ −聴覚障害学生のニーズに応えるために−」 43 ランチセッション聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト 58 全体会 パネルディスカッション「聴覚障害学生の主体性を引き出す環境作り−社会生活・就労を見据えたエンパワメント−」 62 参考資料日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)活動紹介 78 PEPNet-Japan連携大学・機関の紹介 84 筑波技術大学の紹介 99 会場案内 100 聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト 発表内容紹介 101 開催要項 名 称 : 第5回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 目 的 :高等教育機関で学ぶ聴覚障害学生への支援については、近年多くの大学が聴覚障害学生の受講する授業に対してノートテイカーを配置するなどの体制作りを進めている。日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)では、こうした大学のうち特に聴覚障害学生への支援体制が充実し、積極的な取り組みを行ってきている大学・機関と共同で、聴覚障害学生支援に関するノウハウを積み重ね、先駆的な事例の開拓を行ってきた。本シンポジウムでは、こうした PEPNet-Japanの活動成果をより多くの大学・機関に対して発信するとともに、全国の大学における支援実践に関する情報を交換することで、今後の支援体制発展に寄与することを目的とする。 期 日 : 2009年11月3日(祝・火)10:00〜17:00 会 場 : 学術総合センター(東京都千代田区一ツ橋 2丁目 1番 2号) 主 催 : 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)国立大学法人 筑波技術大学 協 力 : 関東聴覚障害学生サポートセンター 後 援 : 文部科学省独立行政法人 日本学生支援機構 大 会 長: 村上芳則(筑波技術大学 学長) 実行委員長: 及川力(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター長) 実行委員:柴正彦・石原保志・小林正幸・長南浩人・三好茂樹・河野純大・白澤麻弓・中島亜紀子・萩原彩子・磯田恭子・蓮池通子・石野麻衣子(筑波技術大学)金澤貴之(群馬大学)・甲斐更紗(鹿児島大学)倉谷慶子・吉川あゆみ・山本 篤・長野留美子(関東聴覚障害学生サポートセンター) 第 5回シンポジウムの開催にあたって 国立大学法人 筑波技術大学大学長 村上 芳則 本学は 22年前に「目や耳からの情報の取得に制限のある学生が、バリアのない教育環境で思う存分勉強し、持っている能力を開花させ、より良い社会自立をしてほしい」という多くの人々の願いの中で設立されました。以来、約 1300名の卒業生を社会に送り出すなど、社会参画・貢献できる人材の育成に多くの成果を上げています。 本年4月には4年制大学として再出発した筑波技術大学に第4期生が入学しました。19年半前、3年制の短期大学として第1期生を受け入れ、50名の学生でスタートした本学は、今年度初めて約 360名の学生が在籍することになり、新たな1ページを開きました。今年度末には、いよいよ4年制の第1期生を社会に送り出します。 さらに、本学は『多様な教育の需要』に応えるために、第1期生の卒業に合わせて「大学院」の22年4月学生受け入れ開始のほか、学生からの要望の多い「教職課程」の開設、短期大学時代の卒業生等のための「編入学」や「学び直し」の受け入れ、そして研修生、留学生、特に韓国、中国からの「留学生」の受け入れを推進するための体制、制度の整備に取り組んでいます。 近年、多くの聴覚や視覚に障害のある学生が大学に進学し、一般大学においても様々な教育環境の改善や情報保障への努力がなされるようになりました。それと同時に、障害のある学生が高等教育の場、各専門教育の場でどのような情報保障が必要なのかを、実際に教育に携わっている先生方に理解され、教育方法を工夫されるようになってきました。 このような状況の中で、本学の「障害者高等教育研究支援センター」の重要な機能の一つに他大学支援があります。開学以来、本学の教育・研究活動の経験及び成果を広く提供するとともに、他大学等における障害者の高等教育の環境改善に関して支援を行ってきました。将来的には、全国共同利用・共同研究拠点の機能を付加し、研究の活性化、支援機能の充実を図るとともに、この支援センターが担う大学院の専攻を設置し、障害者への教育方法や情報保障方法・機器についての専門家を育成したいと考えています。 本学は、ご周知のように「日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)」の中で、独立行政法人日本学生支援機構と手を携え、障害学生の支援活動を行ってきました。同時に、アメリカ、中国、韓国、ロシアなどに設立された障害者のための大学等と連携協定を結び、その中で指導的な役割を果たしています。 聴覚、視覚障害者のみを対象とする本学が大学院を有する大学として、86の国立大学法人の中の一つとして位置づくこと、また「PEPNet-Japan」が全国規模で機能することは、我が国の障害者の高等教育の在り方、障害のある人々のより良い社会自立の実現に大きな影響を与えることでしょう。その中で、「第5回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム」が開催されますことは、大変意義深いことであり、参加された皆様にとって有意義な1日となりますことを心から祈念します。 第 5回シンポジウムの開催にあたって 独立行政法人日本学生支援機構 学生生活部特別支援課長 荒木 昌美 本日ここに、第5回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムが開催されますことを心よりお慶び申し上げます。また、昨年同様、本機構において後援できることをうれしく思います。 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)は、事務局のある筑波技術大学をはじめとする全国の大学・機関の協力により運営され、「聴覚障害に関する基礎知識」、「支援体制の構築」あるいは「ノートテイク・パソコンテイクの解説」など、高等教育機関において聴覚障害学生を支援していくために必要な様々なノウハウ等を提供しておられます。こうした活動により、聴覚に障害のある学生に対する支援の取組が飛躍的に進み、多くの大学等において障害学生支援に対する意識・関心の向上、課題の解決が図られていることに対し、心から敬意を表します。 さて、高等教育における障害学生支援を巡る関心は政治的にも大きく高まってきております。平成19年12月25日に内閣総理大臣を本部長とする障害者施策推進本部が決定しました「重点施策実施5ヵ年計画」では、『独立行政法人日本学生支援機構が行う「障害学生修学支援ネットワーク」(全国の大学や関連機関がネットワークを作り、障害学生修学支援制度の整備を目指す。)等の事業を推進することにより、障害のある学生が学びやすい環境をつくる。』と明記されました。本機構としましても、この社会要請に応えるべく、より充実した質の高い支援が各大学等で実施されるよう、毎年行なっている実態調査等により、現場のニーズを踏まえ、「教職員のための障害学生修学支援ガイド」の作成や「教職員研修プログラム」の開発、研修の実施など、更なる障害学生修学支援事業の充実に努めて参りたいと考えておりますので、今後とも皆様方のご理解・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。 なお、本機構での取組については、本機構ホームページにおいて、すべて公表しておりますので、ご活用いただければ幸いです。 障害のある学生に対する支援を進めて行くためには、関係者がより一層連携し、取組を進めていくことが極めて重要であります。 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)におかれましては、聴覚に障害のある学生がより充実した学生生活を送るため、今後とも様々な取組を通じて、聴覚障害学生支援体制の確立および全国的な支援ネットワークの形成を進められますよう、よろしくお願いいたします。 最後に、本日ご出席の皆様が、本日のシンポジウムにおいて実りある成果を持ち帰られ、各大学における実践に活かされることを期待申し上げますとともに、日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワークの益々のご発展を心より祈念いたします。 プログラム 《第1部》10:00〜12:00 分科会(会議室 201〜203、中会議場 1、中会議場2、特別会議室 101〜103) ■分科会1「基礎講座−1からわかる聴覚障害学生支援入門−」 司 会: 山本 篤氏 (関東聴覚障害学生サポートセンター) ミニレクチャー: 太田琢磨氏(愛媛大学 バリアフリー推進室) 及川麻衣子氏(宮城教育大学 しょうがい学生支援室) 後藤吉彦氏(フェリス女学院大学 バリアフリー推進室) アドバイザー: 新國三千代氏(札幌学院大学 人文学部こども発達学科) 松ア 丈氏(宮城教育大学 特別支援教育講座) 藤井克美氏(日本福祉大学 障害学生支援センター) ■分科会2「教職員に対する障害学生支援の理解向上のために」 司 会: 青野 透氏 (金沢大学 大学教育開発・支援センター) 倉谷慶子氏(関東聴覚障害学生サポートセンター) 話題提供: 藤島省太氏(宮城教育大学 特別支援教育講座)小林直人氏(愛媛大学 教育・学生支援機構 教育企画室)青野 透氏 (金沢大学 大学教育開発・支援センター) 情報提供: 倉谷慶子氏(関東聴覚障害学生サポートセンター) ■分科会3「コーディネーターの専門性と身分保障」 司 会: 金澤貴之氏 (群馬大学 教育学部障害児教育講座) 情報提供: 大椿裕子氏(関西学院大学 教務部キャンパス自立支援課)新津晶子氏(群馬大学 学務部学生支援課 障害学生支援室)清水里奈氏(早稲田大学 障がい学生支援室) コメンテーター: 山下恒生氏(大阪教育合同労働組合) ■分科会4「支援学生のスキルアップ−聴覚障害学生のニーズに応えるために−」司 会: 甲斐更紗氏 (鹿児島大学 教育学部付属教育実践総合センター)話題提供: 児玉英之氏(慶應義塾大学 環境情報学部)窪田祥子氏(筑波大学 人間総合科学研究科) 事例紹介: 辻井美帆氏(立命館大学 産業社会学部) 山田洸平氏(札幌学院大学 人文学部) 瀬戸今日子氏(Team ACS 事務局) 《ランチセッション》 12:00〜14:00(2階ロビー)聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト聴覚障害学生支援に関する機器展示 《第2部》 14:00〜17:00 全体会(一橋記念講堂) 14:00〜14:15 開会式 14:15〜16:15 パネルディスカッション「聴覚障害学生の主体性を引き出す環境作り −社会生活・就労を見据えたエンパワメント−」 司 会: 白澤麻弓氏 (筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター)パネリスト: 長野留美 子氏(関東聴覚障害学生サポートセンター) 山本幹雄氏(広島大学 アクセシビリティセンター) 平尾智隆氏(愛媛大学 教育・学生支援機構) 石原保志氏(筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター) 16:15〜 16:30 休憩 16:30〜 16:50 聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト結果発表 16:50〜 17:00 閉会式 分科会 【分科会1】 「基礎講座〜1からわかる聴覚障害学生支援入門〜」 司会:山本 篤氏(関東聴覚障害学生サポートセンター) ミニレクチャー: 「聴覚障害について」 太田琢磨氏(愛媛大学 バリアフリー推進室) 「様々な情報保障手段」 及川麻衣子氏(宮城教育大学 しょうがい学生支援室) 「支援体制づくり」 後藤吉彦氏(フェリス女学院大学 バリアフリー推進室) アドバイザー: 新國三千代氏(札幌学院大学 人文学部こども発達学科) 松ア 丈氏(宮城教育大学 特別支援教育講座) 藤井克美氏(日本福祉大学 障害学生支援センター) 討論の柱 @聴覚障害についての正しい理解 A聴覚障害学生に対する様々な情報保障手段を知る B支援体制作りに必要な基本項目 近年、全国各地の大学において聴覚障害学生の入学が増加している。それに伴って支援室などを設置する大学が増えてきているのは大変喜ばしい事である。 しかしながら、聴覚障害についてどれだけ理解できているか、という事になると一抹の不安が残る。支援すると決めたは良いが、障害の特性が分からず、どうしたら良いか右往左往している所が多いのではないだろうか。 障害がどういうものか理解できていなければ、適切な支援を行う事はできない。聴覚障害の特性と情報保障手段とは、密接な関係がある。特性によっては、適している支援方法もまた変わってくるからである。 本分科会では、まずミニレクチャーで聴覚障害の特性や聴覚障害学生へのさまざまな情報保障手段についての基本を理解し、さらにはその支援体制作りに必要な事は何かを学んでいただき、後半の Q&Aコーナーでは障害の特性に応じた支援方法や支援体制の作り方について意見交換・共有を行う事で、新たな支援の方針を見出す契機としたい。グループ形式にしたのは、より深く活発な質疑応答を期待したためである。 ※ランチセッション会場にて、「聴覚障害学生支援に関する機器展示」を行っております。聴覚障害について専門の担当者がご説明いたします。こちらもあわせてご覧下さい。 ミニレクチャー「聴覚障害について」 愛媛大学 バリアフリー推進室 太田琢磨氏 1聞こえるって何? 2オージオグラムの見方 ・オージオグラムはデシベル(d B)とヘルツ( Hz)の二つで構成される z○が右耳の聴力を示し、×が左耳の気道聴力を示す ・通常表示されているのは補聴器をつけていないときの情報である。 3 聴覚障害の種類 ・伝音性難聴 ・感音性難聴 ・混合性難聴 4 聴くプロセスの違いを理解する 聴覚障害学生と聞こえる学生の聴くというプロセスの違い 健常者 聴覚障害者 @ @ A A B B C D ・聴覚障害学生の聴くプロセスの特徴とは ・これまでの経験・知識・体験を基に、聞き落としているということを認識する ・聞こえない聞こえにくいということが分からない学生たち 5 聴覚障害者のコミュニケーションの特色 ・様々なスタイルのコミュニケーション方法が存在する理由 6 聴覚障害を理解する ・見えない障害 ・補聴器・人工内耳を使っている≠聞こえる ・話せる=聞こえるではない ミニレクチャー「様々な情報保障手段」 宮城教育大学 しょうがい学生支援室 及川麻衣子氏 ミニレクチャー「支援体制づくり」 フェリス女学院大学 バリアフリー推進室 後藤吉彦氏 【分科会2】 「教職員に対する障害学生支援の理解向上のために」 司会:青野 透氏(金沢大学 大学教育開発・支援センター) 倉谷慶子氏(関東聴覚障害学生サポートセンター) 話題提供: 「宮城教育大学における取組について」 藤島省太氏(宮城教育大学 特別支援教育講座) 「聴覚障がい学生支援のためのFD〜愛媛大学の事例から〜」 小林直人氏(愛媛大学 教育・学生支援機構 教育企画室) 「教員のための授業情報保障から始まる授業方法改善研究」青野 透氏(金沢大学 大学教育開発・支援センター) 情報提供:情報提供「プログラムに活用できる教材の紹介」倉谷慶子氏(関東聴覚障害学生サポートセンター) 討論の柱 @聴覚障害学生支援に関する FDの実施方法・実践例とはどのようなものか AFD等大学で実施する研修プログラム作成におけるポイントとはどのようなものか BFD等で活用できるさまざまな教材やコンテンツとはどのようなものか ファカルティ・ディベロップメント(大学教員の教育能力を高めるための実践)(以下 FD)を各大学が組織的に実施することが義務づけられたことを受け、さまざまな取り組みがなされるようになっている。障害学生が在籍する大学の増加にともない、障害学生支援に特化した取り組みを行い、学内での障害に対する理解や啓発を進めている事例も多く聞かれるようになっている。しかし、障害学生に対する支援の必要性について理解できたものの、具体的にどういった内容をどういった方法で全学的な理解や啓発、浸透を行なえば良いのか、手探りで進めているというのが現状であろう。 聴覚障害学生への支援においては、聴覚障害学生の受け入れが決まった後の支援体制の整備に伴う学生のノートテイカーの養成や障害学生支援業務を担当する教職員の配置などの環境整備だけでなく、全学的な障害に対する理解・啓発とともに、講義における情報保障支援に対する授業担当教員の理解・協力が必要不可欠となる。 本分科会では、前半は聴覚障害学生支援に関する理解啓発の取り組みについての事例報告ならびに、FD研修等のプログラム立案の考え方やさまざまな実施形式(方法)などについての具体例の話題提供、さらには FDを実施する際に活用できるネットワークや幾つかの事例等についての紹介を行う。これらを通して、教職員の聴覚障害に対する理解向上を図る FD研修を実施する上で必要となる考え方、方略について考える。 後半は、聴覚障害学生支援に関する FD研修を実施する際に活用可能な、聴覚障害に対する理解、情報保障の理解、学内の支援体制の充実、等に繋がる教材を紹介し、参加者と共に実際に体験することで、体験を含む形での FD研修のプログラム案のイメージを構築したい。また、各大学での課題やその対応方法などを参加者との情報交換を通して整理し、具体的な方策についても議論する。 参考: 日本学生支援機構の調査報告 (1)によると、全国の大学・短期大学・高等専門学校 1218校のうち、59%にあたる 719校には障害学生が在籍しており、そのうちの 400校には聴覚障害学生が在籍しているという。 (1)「平成 20年度(2008年度)大学、短期大学及び高等専門学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書」独立行政法人 日本学生支援機構、平成 21年 9月http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/chosa0801.html 話題提供「宮城教育大学における取組について」 宮城教育大学 特別支援教育講座 藤島省太氏 話題提供「聴覚障がい学生支援のためのFD〜愛媛大学の事例から〜」 愛媛大学 教育・学生支援機構 教育企画室 小林直人氏 話題提供「教員のための授業情報保障から始まる授業方法改善研究」 金沢大学 大学教育開発・支援センター 青野 透氏 全ての高等教育機関(大学、短期大学、および高等専門学校、以下「大学等」)は、大学設置基準等により、教育内容等の改善、すなわち「授業の内容及び方法の改善を図るための組織的な研修及び研究を実施する」こと(FD)を、義務づけられている。そして、教育基本法第9条により「絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」個々の教員は、大学等が組織として実施するFDを、同条が規定している「研修の充実」の機会として活用し、授業内容・方法の改善について研究し、実践することになる。 大学等の授業の方法は、「講義、演習、実験、実習若しくは実技」と規定されているが、いずれにおいても、教員・学生間の情報のやりとりから始まる。基本的には、教員が学生に授業内容を伝え、学生に問いかけ、その理解を確かめるという過程をたどる。したがって、授業の改善とは、内容そのものの改善と同時に、授業内容の伝え方、授業内容理解に関する確認方法の改善を意味する。ほとんどの大学等で実施されている「学生による授業評価」にもこうした改善課題を見つけるための項目が必ず含まれる。例えば、「教員の声ははっきりと聞き取れましたか」「板書は分かりやすかったですか」「プロジェクター等は必要に応じ活用されていましたか」そして最後に「この授業の内容説明は分かりやすかったですか」という具合である。これらについて受講生から一定程度肯定的な評価を受ける授業であって初めて、単位認定における「客観性及び厳格性を確保する」(大学設置基準等)前提条件を満たすことになる。授業内容がどれほど優れていても、それが学生にきちんと伝わらなかったり、理解不可能であれば、そもそも大学等の授業として適切さを欠くことになるのである。 具体的に授業の場面を思い浮かべよう。まず、教員が口頭で説明しながら、黒板に書き、プロジェクターで投影し、プリントを配付する。文字や映像と音声による授業である。 さて、ここで、聴覚に障害のある受講生がいる場合には、次の理由により、教員は授業にある工夫を加える必要が生じる。 聴覚障害学生は、文字や映像は視覚情報として受信できるが、音声情報は聴き取れない。また、黒板やスクリーン上の文字・映像情報の多くも、そもそも単独でそこに示されているものではなく、教員の音声による説明が主となり、あるいは従となって、つまり音声情報と一対のものとして、授業内容を構成する。配付プリントの内容も、教員による何らかの説明があって初めて理解可能な文字情報となる。聴覚障害学生は、授業内容を理解するためには、どうしても、音声情報を手話によりあるいはノートテイクにより、視覚情報として受け取る必要があるのである。 このように考えると、授業情報保障は、「教員が行う授業に対する支援」という性格を持つことに気づかされる。つまり、教室の一番後ろの学生に声を届けるためにマイクが用意されているのと同様、授業遂行に不可欠の手段として手話やノートテイクがある。手話通訳者やノートテイカーは、手話ができない教員にとって、みずからの職務遂行を助けてくれる、本来の意味での授業補助者(ティーチングアシスタント)に他ならない。 ノートテイクは、聴覚障害学生を周囲の学生が支援する、あるいは聴覚障害学生本人が友人に依頼するところから始まった。学生による学生支援という意味合いが強かった。望ましきボランティアスピリットの発露である。だが今や、大学等が制度として授業情報保障をするという時代になっている。すなわち、本年9月に発表された日本学生支援機構による『平成20年度大学、短期大学及び高等学校における障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書』によれば、授業に関する支援(例:ノートテイク、手話通訳、点訳・墨訳など)を行っている大学等の数は543校(前年度485校)に昇る。何らかの支援を希望し、そして実際に大学等が支援を行っている聴覚・言語障害学生が1人以上いる学校数は293校であり、そのうちの実に290校でノートテイク等の授業情報保障が行われ、その約8割で謝金の支払いを行っている。 教室において授業内容の情報としての受け取りが何らかの障害により十全にできない学生に対しては、大学等の責任として、受け取れるように授業方法を改善する必要がある。だからこそ、ノートテイクの一定の質を保つための養成講座の開催であり、学外からの手話通訳者の雇用なのである。国立大学には障害学生学習支援等経費が、私立大学等には私立大学等経常費補助金特別補助として、国からの財政援助も制度化されており、大学等としての授業情報保障の責任は、このようにノートテイク制度を整えることに始まる。同時に、個々の教員に対して、授業情報保障についての具体的な方針を示したり、聴覚障害理解をテーマにした研修会を開催することになる。 授業をするのは個々の教員である。例えば、板書等の文字情報を増やす、ノートテイカーが聴き取りやすい=書き取りやすい説明をする、事前に授業プリントをノートテイカーに渡す、授業後ノートテイク内容を確認する等の努力が各教員に求められる。授業方法改善の主体はあくまでも1人1人の教員であり、これの努力があって初めて、大学が用意するノートテイク制度等も所期の目的を果たすことになる。 授業内容にどんなに自信のある教員であっても、また、これまでは学生を惹き付け、学習への動機付けを高め、教育効果が十分にある授業をしてきたと自負している教員であったとしても、聴覚障害学生が受講することになる授業は、必ず、従前の授業方法の見直しを行わねばならないのである。他のFDは不要としても、このFDだけは新たな授業方法として実践すること求められることになる。 加えて、教員からの授業内容を受け取るにあたり支援を必要としている学生は、今や、聴覚障害学生だけではない。上述の日本学生支援機構の調査結果で、例えばノートテイクは、視覚障害の学生に対して20校(前年度11校)、肢体不自由35校(23校)、病弱・虚弱1校、発達障害5校(2校)で実施されている。授業情報保障は、多様な障害に適応したものとして普及しつつある。授業内容の受け取り方において多様な受講生がいることを前提にした授業展開が必要な所以である。 さて、こうした授業情報保障が実質的に行われ、聴覚障害学生が授業内容を理解するという結果に結びつけば、授業情報保障は学習支援として位置づけられ、評価されることになる。だが、そうした目的を達成するためには、授業情報保障は新たに登場する課題をクリアーする必要が出てくることを、忘れてはならない。 授業情報保障は従来、「聴覚障害のある学生に対する情報保障(聴覚障害ゆえに獲得することが困難な音声情報を理解できるように伝えること。)」(内閣府『障害白書 平成20年版』)などの定義に見られるように、学生が教員からの情報を得ることに主眼が置かれてきた。だが、この定義の言葉を借りれば「理解する」ためには、「分からないときに、何が分からないかを問う」ことが当然に必要な作業となるはずである。聴覚障害学生の授業内容理解のため授業情報保障は、そこまで求められるのである。 聴覚障害学生の多くは、言語にも障害があり、他の学生と同様、質問をすることができるよう、発信の手段保障も準備する必要がある。つまり、授業情報保障とは、情報受容保障と同時に、授業情報発信保障でなくてはならないのである。 専門職大学院設置基準は、(授業の方法等)と題する第8条に「その目的を達成し得る実践的な教育を行うよう・・・双方向若しくは多方向に行われる討論若しくは質疑応答その他の適切な方法により授業を行う」ことを規定しているが、これに象徴されるように、大学等の授業において、学生参加型の授業が求められる。初中等教育とは異なり、大学等では独立した学習(研究)主体として学生を位置づけ、授業においても学生が受け身ではなく、積極的に自らの考察を発展させ、積極的に自らの意見を発表することを予定している。授業情報保障はこうして、情報発信主体として学生を成長させるために、機能するという新たな機能を求められている。 この事情は、従来、大学の授業が「何を教えたいのか」という教員の「目的」をもとに作られ、いかにそれを学生に伝えるか、つまり「教授」のみが重視されてきたことの反省ともいえる。大事なのは、教員が何をどう教えるかではなく、学生が何をどう身につけたのかである。学生に対する授業を中心として学習する過程の保障とそれによる成果獲得こそが、FDの正否を左右するものである。 『学士課程教育の構築に向けて(答申)』(平成20年12月24日中央教育審議会)は、「各専攻分野を通じて培う「学士力」−学士課程共通の「学習成果」に関する参考指針−」を示した。そこでは、「知的活動でも職業生活や社会生活でも必要な技能」の最初に、「コミュニケーション・スキル」が掲げられた。コミュニケーション能力は、卒業時に期待される能力の重要な要素をなす。それは、これまで大学の「教授」中心の授業では、教室では、あまり意識されることはなかった。 その大学で、その学部・学科で学ぶことによって、学生がどのような知識、スキル、能力、態度を身につけるようになるのか、目標を明示する。それを学生が習得できるように授業内容を整え、授業方法を工夫する。かりに、その成果が獲得できていなければ、授業内容・方法を修正するのは当然のことである。 大学教育全体の有りようが、授業情報保障を必須条件とするものになってきたわけである。全ての大学等における授業情報保障の制度化を通じて、教員が安心して授業に臨めるようになり、その質の向上によって、聴覚障害学生が不安無く、どの大学等の授業も選択できるようになる。このような環境にあって初めて、聴覚障害学生は十全にその能力を学習に、研究に発揮できる。その意味で、授業情報保障を核とするFD実施の意義は、極めて大きいのである。 情報提供「プログラムに活用できる教材の紹介」 関東聴覚障害学生サポートセンター 倉谷慶子氏聴覚障害学生支援の理解のために活用頂きたいプログラムや教材を紹介します。 <映像教材の作成> 期待できる効果:授業中の聴覚障害学生の様子を体験することができる方法:授業の様子をビデオカメラで撮影し、音声を消して再生する 「板書しているから」「視覚資料を用意しているから」と、情報保障に理解が得られないことがあります。情報保障が付いていない授業の状況を再現する教材作成・活用方法を紹介します。 <ノイズ体験>期待できる効果:補聴器装用時の聴覚障害疑似体験や、コミュニケーションの困難さの体験ができる方法:マルチトーカーノイズやホワイトノイズをヘッドホンで聞き、周囲の音を聞き取りにくくする。ノートテイクの利用者体験としても活用できます。(ノートテイク利用者体験ノイズの入手方法については、PEPNet-Japan事務局までお問い合わせ下さい) <聴覚障害学生とのコミュニケーション体験>期待できる効果:コミュニケーション上の注意点が分かる方法:聴覚障害学生と会話をする(口話・筆談・チャットの活用など)伝えたかったポイントが漏れていたり、「伝わったと思っていたけれども実際は伝わっていなかった」など、正確に情報が伝えられていないことが体験できるでしょう。ノートテイクや手話通訳など、情報保障者が立ち会った状態で行なうと、誤った情報についてきちんと確認することができます。聴覚障害学生が参加できないときなどには、参加者同士で筆談だけで自己紹介や情報交換をしてみましょう。書いて伝える困難さ、もどかしさを体験しながらも、目の前で伝わっていくことを実感することもできます。また、聴覚障害理解啓発のために開発された体験型ゲーム「モコゲーム」という教材もあります。(問い合わせ先:NPOモコクラブhttp://blog.canpan.info/moco/) <ノートテイク体験> 期待できる効果:支援学生の困難さを体験できる。伝えられる情報量について実感できる。方法:紙とペンを持ち、ノートテイクをしてもらうノートテイクで伝えられる情報量や、講義内容理解の困難さ、事前資料の必要性について実感することができるでしょう。また、前述のノイズ体験を併用し、1人が聴覚障害学生体験、もう1人がノートテイカー体験をすることで、双方の困難さを体験できるでしょう。記述できる文字量により、「情報保障の責任は教員にある」ことを理解して頂くことも目的に含まれます。 <パソコンノートテイク体験> 期待できる効果:支援学生の困難さを体験できる。パソコンノートテイクのタイムラグについて実感できる。 方法:連係入力によるパソコンノートテイクをおこなう。字幕表示画面を見ながら、話をしてもらう。読み上げ文章を用意する時には、指示語の多用や学生に質問を投げかける、数式を板書せずに読み上げるなど、支援学生が対応に困ってしまう文章にするとより困難さを体験してもらえるでしょう。また、話をする教職員に字幕表示を見てもらい、「自分の発話が文字になって出てくるまでに要する時間」を実感してもらうことも有効です。 <ログの確認>期待できる効果:聴覚障害学生支援について教員に理解してもらう 方法:情報保障後のノートテイク用紙やパソコンノートテイクのログを担当教員と聴覚障害学生とで一緒に確認する情報保障者が入力を誤っている箇所や、授業中分からなかった部分を改めて確認することができます。担当教員と聴覚障害学生のコミュニケーションのきっかけにもなります。 <DVD教材の活用>期待できる効果:聴覚障害学生支援の必要性や、聴覚障害理解に繋がる方法:DVDシリーズ「Access!聴覚障害学生支援A小さな「気づき」で変わる授業、変わる大学」(PEPNet-Japan作成)の活用本 DVDでは、大学教員を対象として、授業においてどのような点に注意をすれば聴覚障害学生に伝わる授業になるのかを解説するとともに、支援の教育的位置づけや支援による教育効果についても触れています。難聴シミュレーション音声も含まれていますので、講演会スタイルの研修等でご活用ください。 <モデル事例を探す> 期待できる効果:それぞれの大学にあった支援体制について検討できる 方法:「資料集合冊 聴覚障害学生支援システムができるまで」(PEPNet-Japan作成)の活用支援体制構築に当たっての現状と課題、そして支援システム構築のための準備と克服すべき障壁についてまとめるとともに、国内14大学の支援体制の事例を紹介しています。各大学の状況に合わせた支援体制構築の参考として下さい。 <映像教材の活用>期待できる効果:支援体制構築の流れについて知る方法:DVDシリーズ「Access!聴覚障害学生支援@「学び」を支える大学づくり」(PEPNet-Japan作成)の活用聴覚障害学生を初めて受け入れる大学はどのような準備を進めれば良いのか、支援体制構築の流れや支援の実際をわかりやすく解説しています。PEPNet-Japan連携大学・機関の同志社大学と広島大学の支援を例に、大学独自の取り組みについても紹介しています。 <支援ガイドの活用> 期待できる効果:聴覚障害学生支援についての疑問を解消できる方法:「トピック別聴覚障害学生支援ガイド−PEPNet-JapanTipSheet集」(PEPNet-Japan作成)の活用聴覚障害学生支援についての情報をトピックごとに簡潔に纏まっています。「聴覚障害とは?」「コーディネート業務とは?」「教員がすべき配慮とは?」など、繰り返し挙げられている疑問への回答や、学内向けマニュアル作成時などにご活用下さい。 <他障害への対応>方法:「日本学生支援機構障害学生修学支援情報」の活用全国の高等教育機関における障害学生修学支援に関する最新情報や、各障害に対応した支援メニューの紹介などがされています。 http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/index.html *PEPNet-Japan作成の教材は無償配布しております。PEPNet-Japan事務局までお気軽にお問い合わせください。 【分科会 3】 「コーディネーターの専門性と身分保障」 司会:金澤貴之氏(群馬大学 教育学部障害児教育講座) 情報提供:「コーディネーターの専門性と身分保障」大椿裕子氏(関西学院大学 教務部キャンパス自立支援課) 「専門性をいかすための身分保障」新津晶子氏(群馬大学 学務部学生支援課 障害学生支援室) 「コーディネーターの身分保障と専門性」清水里奈氏(早稲田大学 障がい学生支援室) コメンテーター:山下恒生氏(大阪教育合同労働組合 副執行委員長) 討論の柱 @コーディネーターに求められる「専門性」とは? A専門性を発揮するために必要な身分保障(職場環境、労働条件)とは? 聴覚障害学生支援の体制整備が進む中、障害学生支援室を立ち上げ、支援のためのコーディネーターを職員として採用する大学が増えつつある。コーディネーターの配置により、確かに支援の質は向上している反面、聴覚障害のある学生の支援のために「身を粉にして」働くことが暗黙のうちに求められ、身体的、精神的にも大きな負荷をかけている現状があることも否定できない。 しかしながら、これまでの聴覚障害学生支援に関する議論のほとんどは、「聴覚障害学生に対する支援」そのものに目が向けられており、支援を提供する側のコーディネーターの身分保障に目が向けられることがなかった。とはいえ、聴覚障害学生支援の質を向上させるためには、専門的なスキルを発揮できるコーディネーターが必要であり、そしてそのコーディネーターが専門性を発揮できる職場環境が求められるのは当然のことといえよう。 そこで今回は、「コーディネーターに求められる専門性」について、その専門性を発揮できるために必要な身分保障との関連の中で議論を深めていくこととしたい。 話題提供「コーディネーターの専門性と身分保障」 関西学院大学 教務部キャンパス自立支援課 コーディネーター 大椿裕子氏 話題提供「専門性をいかすための身分保障」 群馬大学 学務部学生支援課 障害学生支援室 専門支援者 新津晶子氏 1、はじめに 本学では、障害のある学生がその年齢及び能力並びに障害の種別及び程度に応じた十分な教育が受けられるよう全学的に支援するため、平成17年6月10日付で「群馬大学障害学生修学支援実施要項」を制定いたしました。本要項は、視覚障害,聴覚障害及び肢体不自由等の障害のある学生に対して、点訳者、手話通訳者等の専門支援者や介助者等による人的な支援や、点字用画面表示装置や拡大読書機などの物的な支援を行うよう支援の基準が設けられています。 本要項制定に先駆け、本学の教育学部では平成 16年度より聴覚障害学生に対する修学支援のために、手話通訳者をパート職員として雇用し手話通訳を希望する学生が受講する全ての授業に対して支援を行ってきました。その後、聴覚障害学生の在籍が 3名に増えたことを機に、「障害学生支援室」が設立され、現在は聴覚障害学生のニーズに応じたノートテイク・パソコンテイクも行っています。 昨年度までは学部ごとに障害学生支援職員を雇用しておりましたが、現在、障害学生支援の全学化を検討している最中であり、今年度はそういった状況から、障害学生支援室職員は全学的な対応をしております。 2、群馬大学障害学生支援室の特色 (1)手話通訳による情報保障 手話通訳者が専従職員として常駐することにより、講義通訳だけでなく、就職ガイダンスなどの行事の参加や、教職員への突発的な相談などにも対応できる支援体制が可能になっています。また、同じ学生の関連した専門分野の講義を連続的に担当することで、よりニーズに応えた通訳が可能になっています。 一方、通訳者の雇用は「通訳者の選択が不可能」、「閉鎖的な通訳環境になりがち」 といったマイナス面も生じてきます。それらの問題については、外部の団体との情 報交換を行いながら問題解決に努めています。 (2)障害学生支援担当の専門教員との連携 本学には、障害学生支援を担当とする専門教員がおり、そのアドバイスをもとに障害学生支援室が実際の対応にあたるという面が多々あります。入学前、学期中の定期的な聴覚障害学生との面談や、支援方法の決定、カウンセリングなどを専門教員と連携をしながら行うことで、幅広い支援のあり方を見出すことが可能になっています。 しかしながら、我々は事務系の部局に所属している以上、直属の上司の判断に も従わなくてはなりません。2名の上司の意見が異なることも多々あり、難しさも 感じています。 (3)情報保障業務とコーディネーター業務の兼務 本学では、『専門技術を持つ職員が優先的に情報保障にあたる』という原則のもと、障害学生支援室職員がコーディネーター業務だけではなく、情報保障業務(手話通訳・ノートテイク・パソコンテイク)も行っております。このことで、聴覚障害学生や学生テイカー、教職員とも密接な関わりが可能になっています。 しかし、兼務することで、職員は過重労働となる、利用学生が要望をあげづらい、また、客観的に見ることができずに問題点を見過ごす可能性があるといった面もあります。 現在、本学には障害学生が全部で 8名在籍しており、障害学生支援室が支援を行っている学生はそのうちの聴覚障害学生7名になります(1名の肢体不自由の学生に関しては、派遣会社への委託で対応)。平成 21年 4月時点での障害学生支援室の体制は、専門支援者 4名(うち 1名は荒牧キャンパス常駐)、事務補佐員 1名(桐生キャンパス常駐)の計 5名体制で支援を行ってきました。これまで『専門技術を持つ職員が優先的に情報保障にあたる』といった原則のもとでの勤務をしてまいりましたが、今年度からの、全学的な対応による支援室利用学生の増加もあり、4名の専門支援者で60コマにも及ぶ聴覚障害学生の履修講義へ対応することには限界を感じました。また、現在までの原則にあった、『連続しない 1日 2コマの情報保障業務』を週 4日〜5日続けることは精神面身体面ともに過度な負担となりました。そして、4名の専門支援者のうち、3名がそれぞれ頸肩腕障害・VDT症候群・手根幹症候群を発症しました。それに加え、5月末に事務補佐員の異動が決定し、「我々はこのまま働き続けるのだろうか」そんな不安を抱えておりました。 (1)過重労働への対応 事務補佐員の異動をうけ、それまで事務補佐員が行っていた業務を、さらに専門支援者 4名で負担をするのか、それをも新たな事務補佐員を雇用するのかという決断を迫られました。その時我々は、新たな人員を補充せずに、『4名の専門支援者がそれぞれの勤務時間を増やすことで、より専門性のある業務を目指す』方法を選択しました。 このことは、それぞれの業務負担を増やしかねないことにもつながりましたが、業務内容の見直しを行うことによって、業務を軽減することができるのではないかと感じたうえでの決断でした。そして、『専門性を必要とする業務』とはなにか、そこに焦点をあてながら業務の見直しを行い個々の業務負担を軽減することで、専門性の向上、ひいては身分保障にもつながったと感じています。 @超過勤務の削減 急な話であったこともあり、6月中は 4月当初の勤務体制のままではありましたが、7月以降契約内容の変更に伴い、勤務時間の変化がありました。 ●6月以前の勤務体制: ・専門支援者 4名 (うち 1名は荒牧常駐、残り 3名は桐生・荒牧両キャンパスでの勤務) ・事務補佐員 1名(桐生常駐) ・週 4日 30時間勤務 4月 5月 6月 時間外 35時 14時 13 労働 間 間 時間 (表1:職員 Aの 6月以前の超過勤務) ●7月以降の勤務体制: ・専門支援者 4名(4名ともに桐生・荒牧両キャンパスでの勤務) ・週 5日 34時間勤務 7月 8月 9月 時間外労働 6.5時間 2時間 2時間 A業務内容の分担 (表2:職員 Aの 7月以降の超過勤務)今まではそれぞれの専門支援者が満遍なく行っていた業務の 分担を行いました。このことで、業務内容を軽減するとともに、それぞれがより専門性を活かした業務に就けるようになりました。 ア)情報保障業務の分担 ●6月以前: ・専門技術を持つ職員が優先的に情報保障に当たる。 ・手話通訳・ノートテイク・パソコンテイクいずれも専門支援者が対応する ・連続しない 1日 2コマの授業に情報保障に入る。 ●7月以降: ・手話通訳による情報保障は専門支援者が行い、ノートテイク・パソコンテイクに関しては学生テイカーで対応する。 ・専門支援者は急な依頼や、対応が困難な授業など必要に応じてノートテイク・パソコンテイクにあたる。 ※連続しない 1日 2コマの授業に情報保障に入るという原則は撤廃 イ)コーディネーター業務の分担 ●6月以前:全ての業務をそれぞれの専門支援者が満遍なく従事 業務内容の分担により、それぞれが余裕を持ちながら仕事に従事することが可能になりました。 さらに、今までは、やりたいと思いながらできずにいた「ログの検討」、「各種手引きの作成」にも取り掛かることが可能になりました。ただ単に、業務を切り分けるのではなく、各担当者同士で連携する体制を整えることが重要であると感じています。業務内容が整理・軽減されたことにより、精神面身体面の負担が軽減され、各々が抱えていた症状も回復に向かっています。 また、業務内容が軽減されたことで平成 16年の設立当初に行っていた、反省会の時間を設けることが可能になりました。この反省会は、利用学生同席で行っています。利用学生のニーズを汲み取りながら行うことで、よりその学生のニーズにあった通訳が可能になるとともに、卒業後の通訳利用の仕方を見出すきっかけになると考えています。 4、今後の動き (1)特殊検診の実施 今回の職員 3名の体調不良を鑑みて、定期的な健康診断の必要性を感じました。障害学生支援業務は、情報保障業務・コーディネーター業務ともに厚生労働省があげている「上肢等に負担のかかる作業」に含まれております。我々職員の健康だけではなく、学生テイカーの健康を預かる立場として、今後健康診断の実施を要求していきたいと思います。 (2)学生のエンパワーメント 現在、支援室を利用している聴覚障害学生とともに、学生による情報保障に関するボランティア団体の設立を計画しています。今後は、ポスターの作成、ビラの配布、講習会の企画・運営など様々なところで、学生と連携を行っていく予定です。“学生を最も動かすことができるのは学生”なのではないでしょうか。そんな学生の『力』を活かすのも我々の『専門性』なのだと思います。利用学生にとって、自発的に情報保障を得る経験は、卒業後の大きな力になるはずです。大学 4年間が受身で終わるのではなく、自らの可能性を信じられる 4年間になるような、そんな関わりを行えればと考えています。 以上 話題提供「コーディネーターの身分保障と専門性」 早稲田大学 障がい学生支援室 コーディネーター 清水里奈氏 【分科会4】 「支援学生のスキルアップ〜聴覚障害学生のニーズに応えるために〜」 司会:甲斐更紗氏(鹿児島大学 教育学部附属教育実践総合センター) 話題提供:「聴覚障害学生と支援学生」児玉英之氏(慶應義塾大学環境情報学部 4年) 「聴覚障害学生の求めること-筑波大学のノートテイク実例から-」 窪田祥子氏(筑波大学 人間総合科学研究科博士課程) 事例紹介:「聴覚障害学生、支援学生の両サイドからみたスキルアップ -学生コーディネーターの立場で気づいたこと-」辻井美帆氏(立命館大学産業社会学部 4年) 「先輩・聴覚障がい学生の個別指導によるスキルアップ」山田洸平氏(札幌学院大学 人文学部 4年) 「聴覚障害学生のニーズに合わせた教材の活用-支援学生のスキルアップのために-」瀬戸今日子氏(Team ACS事務局) 討論の柱 @聴覚障害学生のニーズに応えるために必要なスキルアップとは何か。 A全国でどのようなスキルアップの取り組みが行われているのか。 聴覚障害学生の高等教育機関への進学が一般的な現状となり、聴覚障害学生の学びを支えるためのノートテイクは、紙とペンさえあればできるという手軽さから、多くの大学で導入されるようになってきた。また、パソコンノートテイクも、徐々に広がりをみせている。これらが情報保障手段として定着し、聴覚障害学生が情報をきちんとキャッチして学ぶことができる環境が整いつつある中で、支援学生・聴覚障害学生から「もっと上手にノートテイクができるようになりたい、ノートテイクのスキルをアップさせたい(支援学生の声)」「もっと、分かりやすく書いてもらいたい、先生の話だけではなく周りの様子も伝えてほしい(聴覚障害学生の声)」などの要望が増加している。スキルアップは、技術の向上のみならず、やりがいを感じ、支援のモチベーションを保つ上でも非常に重要な要素である。しかし、スキルアップの重要性は認識していながらも、どのように行えばよいのかわからないという問題があり、専門家を呼ばないとスキルアップは難しいのでないか、時間もお金もかかるのではないか、というイメージが先行し、実施に踏み込めない大学や支援学生が少なからず存在する。 本分科会では、児玉氏、窪田氏に聴覚障害学生の立場から聴覚障害学生のニーズを報告してもらい、スキルアップに際し必要なことは何かを考える。次に、実際にスキルアップを行っている支援学生の立場である、立命館大学の辻井氏、札幌学院大学の山田氏から、それぞれ自分の大学での取り組みを報告してもらう。そして、大学で情報保障者養成に携わる瀬戸氏による、ニーズに合わせた教材の活用についてのレクチャーを行い、実際に参加者で教材を体験する。これらを通して、聴覚障害学生・支援学生が「明日からできる」と思えるスキルアップを参加者と共に考えたい。 話題提供「聴覚障害学生と支援学生」 慶應義塾大学 環境情報学部 4年 児玉英之氏 話題提供「聴覚障害学生の求めること-筑波大学のノートテイク実例から-」 筑波大学 人間総合科学研究科(博士課程) 窪田祥子氏 事例紹介「聴覚障害学生、支援学生の両サイドからみたスキルアップ -学生コーディネーターの立場で気づいたこと-」立命館大学 産業社会学部 4年 辻井美帆氏 事例紹介「先輩・聴覚障がい学生の個別指導によるスキルアップ」 札幌学院大学 人文学部 4年 山田洸平氏 事例紹介「聴覚障害学生のニーズに合わせた教材の活用 -支援学生のスキルアップのために-」 Team ACS 事務局 瀬戸今日子氏 N O T E ランチセッション 聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2009 2階一橋記念講堂前ロビーにて 12:00〜14:00(担当者説明時間 12:30〜13:45) 本シンポジウムでは、全国の大学が日頃実践している支援の取り組みを発表し、参加者の投票によって優れた取り組みを表彰するコンテスト企画を設けました。会場には、教職員・学生・支援者など12団体の応募者が力を入れて作成したポスター14点が並んでいます。また、PR・啓発グッズ部門には5団体からの応募があり、マニュアルなどを展示しております。 ※コンテスト会場では聴覚障害学生支援機器の展示も行っております。是非ご覧下さい。 (FM補聴器・デジタル補聴器・IPtalk連係入力体験・等) 全体会 【パネルディスカッション】 「聴覚障害学生の主体性を引き出す環境作り 〜社会生活・就労を見据えたエンパワメント〜」 司 会: 白澤麻弓氏(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター) パネリスト:「卒業後の社会生活・就労で求められるスキル 〜就労・女性団体活動の経験を通して〜」 長野留美子氏(関東聴覚障害学生サポートセンター) 「誰もが学びやすい修学環境を〜広島大学の取組み〜」 山本幹雄氏(広島大学 アクセシビリティセンター) 「大学のキャリア支援」 平尾智隆氏(愛媛大学 教育・学生支援機構) 「就労レディネスとエンパワーメント」石原保志氏(筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター) 討論の柱 @聴覚障害者が社会生活・就労で必要となるスキル A一般的なキャリアサポートとの関係性 B聴覚障害学生のエンパワメントプログラム 近年、高等教育機関では、聴覚障害学生支援の取り組みが広まってきており、大学での支援体制作りや情報保障支援の具体的な技術などのノウハウの蓄積もみられるようになった。 しかし、以前に比べより十分な教育を受けられる環境が整備されつつあるにも関わらず、コミュニケーションや人間関係などから、卒業後の社会生活、就労につまずいてしまうケースも少なくない。その問題には、聴覚障害者としてのニーズを社会にどう伝え、どう社会を動かしていくかという、アドボカシースキルが大きく関わっている。 そのためには、在学期間中に十分な教育環境を保障するだけでなく、卒業後も見据えた教育的な関わりが必要であるといえよう。聴覚障害学生が十分に社会で力を発揮できるまでに成長するためには、さらなる教育環境の整備が望まれる。 そこで今回は、「聴覚障害学生の主体性」をキーワードに、聴覚障害当事者、教育者などの立場から経験、事例をお話しいただき、聴覚障害者として必要なスキル、また、それらを身につける・つけさせるために必要な教育環境を考えていきたい。聴覚障害学生は、卒業後に社会からどのようなスキルを要求され、また、それらをどう身につける・つけさせる必要があるか、特に教育的な側面から検討していくことが急務である。 また、フロアとのディスカッションも交えながら、聴覚障害学生のエンパワメントプログラムを構想していければと考える。 話題提供「卒業後の社会生活・就労で求められるスキル 〜就労・女性団体活動の経験を通して〜」関東聴覚障害学生サポートセンター 長野留美子氏 話題提供「誰もが学びやすい修学環境を〜広島大学の取組み〜」 広島大学 アクセシビリティセンター 山本幹雄氏 話題提供「大学のキャリア支援」 愛媛大学 教育・学生支援機構 平尾智隆氏 話題提供「就労レディネスとエンパワーメント」 筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 石原保志氏 1.高等教育機関を卒業した聴覚障害者の就労の実態 1)転職を考えた理由(一般の調査との比較) 仕事の内容(仕事が面白くない等)賃金が低い職場や人間関係(セクハラ・パワハラ等 … 自分のキャリアや将来性 会社の安定性や将来性 労働時間が長い 仕事量が多い 休日がとれない 個人的な事情(結婚、育児・介護、家業 … 一般その他 技短 無回答障害に対する配慮が不十分 0 20 40 60 回答者数(%) 2)在学生へのアドバイス 常に自分から積極的に話すこと/自分からはたらきかけていく勇気と行動/周りが助けてくれるのを待つのではなく自分から動く/責任転嫁せず自己責任の心構えを持つ/分からないことは自分から確認する/自分の障害のことは自分から話す/自分の「聞こえ」の状態は周囲には理解されにくい→上長に説明 2.聴覚障害者の就労における問題 1)障害に起因する活動参加の制約 会議や研修への参加、業務に関わる情報伝達、インフォーマルな情報の共有、職場におけるコミュニケーション等 2)活動制約を規定する要因 (1) 環境因子:活動制限、参加制約に対する周囲の理解と対応 コミュニケーション方法、情報保障、等 (2) 個人因子:聴覚障害者個人の能力、態度 コミュニケーションスキル、リテラシー、社会常識・マナー、障害啓発能力、業務内容に関する知識、技能 3.エンパワーメントの基盤直接的体験・間接的体験目標設定と意志決定努力体験、失敗体験、成功体験、克服体験体験を通した自信と自己肯定感自己の将来像、モチベーション 依存的心理状態からの脱却自己および社会の客観的認識障害認識 就労レディネス 4.青年期における就労を意識したエンパワーメント、セルフアドボカシーに関わる指導 1 )個人的体験の共有(間接的体験) 障害学(各人の体験の発表と類似体験の交換) 2 )障害についての知識 障害学(生理、病理、法律、福祉、教育、歴史、社会) 3 )障害補償についての知識 情報保障のある講義、講演への参加/障害学(情報保障方法、障害補償機器) 4 )困難が出現する状況についての知識 職場実習/卒業生等の体験談/障害学(就労調査、相談事例) 5 )自己のコミュニケーション特性の理解 模擬面接(親密度の低い人物との対話)/各種検査/個別コミュニケーション指導(トラッキング法) 6 )困難への対処についての知識、技術、態度 卒業生等の体験談/障害学(就労調査、相談事例)/個別コミュニケーション指導(面接指導) 7 )就職活動、職場適応に関する知識 就職セミナー/障害学(卒業生等の体験談) 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)事務局 〒305-8520茨城県つくば市天久保 4-3-15 筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター URL http://www.pepnet-j.org TEL/FAX 029-858-9438 E-mail pepj-info@pepnet-j.org 担 当: 白澤麻弓 (筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター准教授) ※本事業は、文部科学省特別教育研究経費による拠点形成プロジェクト(筑波技術大学)の活動の一部です。 札幌学院大学 ●支援組織名称 札幌学院大学バリアフリー委員会 http://www.sgu.ac.jp/bfc/ ●スタッフ 教職員14名、学生スタッフ120名 10名(内7名支 学部生10名 聴覚障害学生援希望) 院生0名 視覚障害学生1名 肢体障害学生8名(聴覚・視覚障害の重複 1名) ノートテイク・パソコン要約筆記 ノートテイク、パソコン要約筆記提供しているサービス(IPtalk使用)、手話通訳(補助的) 学部生 7名 利用者数 7名 院生 0名 09年度:前期実数45名(ノート 21ノートテイカー数 名、PC 15名、ノートとPC 9名) 09年度前期→週61科目(NT 35科目, サービス提供時間数PC 26科目) (08年度前・後期合わせて120科目) 報酬および経費770円/時間 募集方法掲示板、HPに募集ポスターを掲示、情報ポータルで募集のお知らせ、新年度のガイダンス時にバリアフリー委員会の学生達が手分けして全学部学科に募集説明、活動説明会の開催 コーディネート方法バリアフリー委員会テイク統括部が行う。 養成方法年間を通して毎週 1回程度テイク講習会を実施。新学期2ヶ月間は、毎週数回実施。先輩学生が講師を務める。先輩学生や被テイカーも助言者として参加する。 本学ノートテイク・パ先輩学生が後輩学生を育てながら相 ソコン要約筆記の特徴互に育ち合っている。 みんなでしゃべり場 札幌学院大学バリアフリー委員会では、講義保障のスキルを高めるテイク講習会・手話勉強会の他に、障がい学生支援について様々な角度から学ぶ取り組みも学生が中心になって行っています。学外から講師を招いて開催する各種講演会がそうですが、地味ながらももう一つ学生たち自身の力を養っているのが、18:30から定期的に開催している「みんなでしゃべり場」というディス カッションの場です。例えば、「聴覚障がい者が駅、病院、停電の時に困ること、その時私達にできる事、設備などの改善」など講義保障以外のことについても、自分たちの視点で学び合っています。 設置形態私立大学 学生数4,465人 所在地〒069−8555 北海道江別市文京台11番地 学内支援体制 2001年教職員および学生によりバリアフリー委員会発足。2002年度から障がい学生支援に関わる諸経費を大学予算で対応。現在、全学的組織である「障がい学生支援連絡会議」の下にバリアフリー委員会が置かれている。 手話通訳 学部生 0名 利用者数 0名 院生 0名 手話通訳者数 0名 サービス提供時間数ノートや PCテイクの補助で使用 報酬および経費770円/時間 募集方法手話通訳のみの募集はしていない。 コーディネート方法バリアフリー委員会テイク統括部が聴覚障がい学生の希望を聞いて、配置する。これまではゼミや学外などの実習で要望があった。 養成方法手話学習会を毎週1回実施。 本学手話通訳の特徴テイクの補助手段およびテイカーと被テイカーとのコミュニケーション手段として使用。 Check! 学生・教職員の協働により委員会を運営している。障がいを抱える学生と支援学生が主体的に企画・運営を担う。 サービス向上を目指して ノートとパソコン要約筆記のテイカー養成講座を先輩が講師となって実施している。数名の先輩や被テイカー達も補助者として参加し、後輩のテイクの内容を個別にチェックしたり、助言している。また、先輩達が作成したテキストを引き継いで改訂しながら継続的にテイカー養成の向上を図っている。これらはすべてボランティアである。今後の課題は、テイカーの講師や補助者を育てるプログラムを充実させること、講座運営に携わる学生達への相応の待遇を検討することである。 参考資料 札幌学院大学バリアフリー委員会のホームページ )に活動内容を全て掲載。 (http://www.sgu.ac.jp/bfc/)に活動内容を掲載。 問い合わせ先大学:教務課 教務事務部長 電話011-386-8111/FAX011-386-8111 学生組織:sgu_bfc@sgu.ac.jp 聴覚障害学生 8名 学部生 1,573名 院生 130名 視覚障害学生 1名 肢体障害学生 2名 利用者数 7名 支援者数 89名(NT89名/PC30名/音声認識23名) サービス提供時間数 週54コマ 報酬および経費 900円/時間(教育実習のみ) 募集方法 掲示板に募集ポスターを掲示、募集用リーフレット配布(展示スペースで配布あり)、学内行事におけるPR映像の放映 コーディネート方法 コーディネーター3名(教務補佐員)が連絡調整する。聴覚障害学生及び学生ノートテイカーの助言・指導を担当する経験の長い学生と連携を図って適切なコーディネートを行っている。 養成方法 初心者対象、経験者対象の研修会を毎月2回ほど実施。支援室担当教員も研修に助言・協力している。 本学ノートテイク・パソコンノートテイクの特徴 本学の障害学生支援を、特別支援教育における障害児・者支援の実践に必要不可欠な知識と実行力の養成として位置づけて活動している点。教室でビデオやスライドの使用がある場合はマルチディスプレイシステムを使って1つのスクリーン上に複数の画像を投影している。 利用者数 1名 サービス提供時間数 週2コマ 補償方法 @赤外線補聴システム (赤外線ラジエーター《リオン》)A電波を使った補聴システム (パナガイド《Panasonic》) 補償方法の選択 講義室の状況、講義の形態、個々の使用している補聴器の種類などによって補償を行う。集団討論に対応可能なシステムも構築した。 本学聴覚補聴の特徴 比較的多くの種類の補償方法の中から最適な方法を選択できる点。 ●創設●代表●URL 2003年4月1日 松崎 丈 http://blogs.yahoo.co.jp/jyohosaposen 運営スタッフ 14名(兼務 あり ) 代表 1名 事務局 3名 相談事業 4名 普及・啓発事業 4名 養成・研修事業 4名 ネットワーキング事業 4名 相談事業 教職員及び聴覚障害学生対象の相談及びその保護者、関係者等の総合的な相談を行う。 養成・研修事業 聴覚障害学生・支援者・教職員それぞれの対象者に合わせた養成・研修を行う。 普及・啓発事業 教育機関や地域に向けた聴覚障害学生支援に関わる広報活動及び啓発行事の開催。対象者の幅を広げ、中高生・保護者等広範囲を対象とする。 ネットワーキング事業 聴覚障害学生支援関係の団体との情報交換・課題の共有・ノウハウの提供を行う。 1.大学等のコンサルティング(大学9校、高校2校、専門学校等数校) 尚絅学院大学・仙台白百合女子大学・聖和学園短期大学・仙台大学・東北学院大学・東北工業 大学・東北生活文化大学・東北福祉大学・東北文化学園大学・仙台白百合学園高等学校、宮城 県宮城野高等学校、各種専門学校他 前年度までの実績 2.ノートテイク研修講師・通訳スタッフ派遣(大学11校、高校2校、専門学校等数校) (20032008) 尚絅学院大学・仙台白百合女子大学・聖和学園短期大学・東北学院大学・仙台大学・東北文化学園大学・東北工業大学・東北生活文化大学・東北福祉大学・東北大学・宮城教育大学・仙台白 百合学園高等学校、宮城県宮城野高等学校、各種専門学校他 3.助成事業実績 宮城県青少年課青年団体育成推進事業助成事業(1件)、日本財団助成事業(1件)、 倶進会助成事業(1件)、コープほっとわ〜く基金事業(2件) 相談事業1 聴覚障害学生本人及び、支援に当たる大学担当者に対し、相談及び情報提供を行う。 年間相談件数は30〜70件。通訳の利用や養成講座、サポート全般についての情報を求めるものが約70%を占める。 相談事業2 (ろう学生相談員) 聴覚障害学生からの相談に対しては、サポートサービスを利用した経験の深いろう者スタッフが対応し、心理面のサポートや情報提供に当たる。 養成事業 大学からの依頼に応じてノートテイカー養成講座を開催する。事前打ち合わせ、カリキュラム構成、養成後のフォローアップも含めてサポートし、3年後には大学独自で養成が担える体制作りを目指す。年間5〜10件実施。 通訳者の紹介・斡旋 大学の支援の一環として依頼に応じて手話通訳者、ノートテイカー等の紹介、斡旋を行う。 また、地域資源の活用などについてアドバイスを行う。 研修・講師派遣事業 地域のサークルや大学等の依頼に応じて研修会等へ講師を派遣する。 2006年度以降は大学職員向けの研修も実施。 普及・啓発事業 「聴覚障害者と高等教育」フォーラムの開催や関連誌への寄稿を通して、聴覚障害学生支援の必要性や現状と課題を発信してきた。 2006年度以降は企業向け啓発研修の依頼も受けて実施。 ネットワーキング事業 学生当事者団体や地域の要約筆記・手話通訳グループ、通訳派遣機関等との連携や情報交換を行う。 「聴覚障害者と高等教育」フォーラムの開催 1997年より年 1回、聴覚障害学生支援の先進的な事例紹介や情報交換などを通し、高等教育の将来像を模索するフォーラムを開催。 2006年に開催した第 9回では、全国から約 60名の参加があり、分科会形式で議論を深めた。 研修会の開催 フォーラムでの議論をより深め、関係者どうしのネットワーク作りを促進することを目指し、ニーズに応じたテーマを設定して、聴覚障害学生対象、教職員対象、通訳者対象の小研修会を開催した。教職員向け研修会では、専任コーディネーターの講演や、ノートテイク講座の見学会を実施した。 2007年度以降は、聴覚障害学生自身の活動に対する支援に力を入れ、学生団体と共同で企画・運営する研修会などを運営している。 学務部学生支援課障害学生支援室 職員4名 学内支援体制 ・平成 17年 6月 10日に「群馬大学障害学生修学支援実施要項」を制定。障害学生への支援を全学部で統一的に行うため,支援の基準を統一化し,全学の予算で対応。 ・現在は障害学生支援室職員がコーディネートを行い,各学部と連携して対応している。 聴覚障害学生 7名 学部生 5名 その他 専攻科 1名 院生1名 視覚障害学生 0名 ノートテイク・パソコン要約筆記手話通訳 利用者数 1名 学部生 0名 その他 専攻科 1名 手話通訳者数 4名 サービス提供時間数 聴覚障害学生が希望するすべての授業(ゼミや,就職ガイダンスなどの大学が実施する各種講座も含む) 報酬および経費 職員のため,給与として支給 募集方法 職員で対応できない場合は,群馬県認定手話通訳者協会と全国手話通訳問題研究会群馬県支部に紹介を依頼。 コーディネート方法 障害学生支援室の職員がコーディネートを行う。 1講義(90分)に 2名配置。 養成方法 講義で通訳をしている様子をビデオ収録し,それをもとに聴覚障害学生を交えた反省会を行うことで技術向上に努めている。 本学手話通訳の特徴 職員が手話通訳業務を担う。 <その他> FM補聴器や iPhoneを利用した字幕呈示システムなど、障害の程度や環境に応じた学生のニーズに対応する情報保障を行っている。 静岡福祉大学 静岡福祉大学短期大学部 ● 支援組織名称静岡福祉大学学生総合支援センター内 障害学生支援室 ●スタッフ 教員 6名、職員 1名 聴覚障害学生 (注) 学部生院生 (注) 視覚障害学生 (注) 肢体障害学生 (注) 設置形態 私立大学 学生数 980人 (2009年 9月 30日現在定員) 所在地 〒425-8611 静岡県焼津市本中根 549番1 学内支援組織図 学生総合支援センター内 障害学生支援室(各学科教員及び職員より構成) 注:個々の障害形態と学生数についてはプライバシー保護のため原則として公表していません。 ノートテイク(手書き)・パソコンノートテイク ◎ノートテイク(手書き) 提供しているサービス ◎ポイントテイク(手書き)※ ◎パソコンノートテイク 学部生(注) 利用者数(注) 院生 ノートテイカー数 21名(NT 17名/PC 4名) サービス提供時間数 週51コマ 報酬および経費1,000円/時間(+交通実費) 学内外の掲示板にノートテイカー募募集方法 集案内を掲示。 学生教務課職員が連絡調整を担当コーディネート方法し、障害学生支援室が協力。 「パソコンノートテイクの技法」(半 養成方法期2単位)を開講するほか、本学教員主宰のノートテイク勉強会を開催。 ・本学教員が監修した専用ソフト「ま本学ノートテイク・パあちゃん」を活用。ソコンノートテイクの・聴覚障害学生にとどまらず視覚障特徴害、肢体不自由学生等も利用する。利用者数 手話通訳者数 サービス提供時間数報酬および経費募集方法 コーディネート方法養成方法 本学手話通訳の特徴 手話通訳 学部生 (注) (注) 院生 地域の公的派遣制度(公費派遣と本学費用負担派遣を併用)を活用 週1〜9コマ(週によって異なる) (公的派遣基準) 市(本人が申込)及び県(大学が申込)に依頼。 学生本人、学生課職員、障害学生支援室長が公的派遣機関に依頼。 (手話通訳の養成はしていない) 聴覚障害学生の要望に添って、ノートテイクと手話通訳を使い分けている。とくに手話を母語とする「ろう学生」の場合、利用を認めるよう本学としても努力している。また演習等、授業形態を勘案し、手話通訳を活用している。 ※ポイントテイクとは、聴覚障害以外の障害学生を対象に、板書の筆写、重点項目の筆記等、授業で伝達される情報のうち、ポイントに絞ったノート記録を指す。 障害学生支援室では、「障害のあるなしにかかわらず、ともに社会参加できる」教育環境を実現するための役 Check!割を担います。そうした環境を通じて私たちは、学生が本校を卒業したとき自らに必要な支援とは何か、第三者に説明し、主体的に最適な環境を作り上げていくことができるような方向を目指します。当事者によるセルフマネージメントの力をつけること、それは本学が掲げる「福祉力」の向上にもつながります。 文部科学省科学研究費補助金を活用した支援の構築を計画中 文部科学省科学研究費(基盤研究B)を活用し、2009年度から2013年度の 5か年を通じ、「高等教育機関における障害学生『情報コミュニケーション』支援システムの構築」(研究代表者:太田教授)を研究課題として実施中である。支援方法であるノートテイクを聴覚障害にとどまらず、視覚障害、肢体不自由を含む障害学生の情報バリアフリーシステムとして位置づけ、障害種別を超えた総合的な支援を模索している。 サービス向上を目指して:ノートテイクとは、教育機関において、教育の目標に到達する機会をすべての生徒および学生に対し保障する「合理的な配慮」の一つであり、障害のあるなしにかかわらず、すべての生徒および学生の学習ニーズを公平に充足する方法として位置づけられ、主に聴覚に障害のある生徒および学生を対象とした、音声情報を文字情報に変換し、学習権ならびに情報アクセス権を保障する目的で提供されるところの個別の対人サービスである。(太田) 参考資料 http://www.suw.ac.jp/ 問い合わせ先:静岡福祉大学 事務部入試広報室 TEL054-623-7451 FAX054-623-7453 E-mail siryo@suw.ac.jp 愛知教育大学 ●支援組織名称 障害学生支援ワーキンググループ(WG) 情報保障支援学生団体「てくてく」・教務課 ●スタッフ WG教員5名・「てくてく」スタッフ、教務課職員 聴覚障害学生 2名 学部生 院生 2名 0名 視覚障害学生 1名 肢体障害学生 0名 パソコンテイク・ノートテイク 提供しているサービス パソコンテイク・ノートテイク 学部生 2名 利用者数 2名 院生 0名 ノートテイカー数 69名(実働:47名) サービス提供時間数 週23コマ(内NT1コマ) 2800円/1コマ(90分) 報酬および経費 (支援学生1名につき1400円支 給。各講義2名配置。) (PC)新年度のガイダンス等で、全学的に有志の学生を募集している。(NT)専門性を必要とする英語・数募集方法 学・理科等の講義は、関係する講座の教員に専門性の高い学生を推薦・紹介してもらっている。 学生コーディネーターが、聴覚障害 コーディネート方法 学生のニーズを把握し、各種配置、コーディネート業務を行っている。学期の始めに、情報保障担当者の説明会を実施している。また、週2日・養成方法 昼休みを利用して、連絡および研修 する場を設けている。 携帯連絡システムによる情報交換・ 本学ノートテイク・パ中間・事後報告会等の実施を重ねな ソコン要約筆記の特徴 がら、量的・質的向上を図りたい。 聴覚障害学生の充実した学生生活の支援 (1)情報保障学生団体「てくてく」の活動 全学的に約70 名の学生が支援活動に係わり、聴覚障害学生とともに学内の 支援に関して情報交換・研修を行っている。 (2)他大学の支援活 東海地区の各大学より要請があれば研 修会を開催し、本学の支援活動のノウハウを紹介している。 (3)様々な聴覚障害学生の支援 1)講義保障 ノートテイク、パソコンテイク、手話通訳によ る支援が、聴覚障害学生のニーズに応じて実施されている。 2)講義以外の情報保障 入学式・卒業式などの各種行事、各種実習、ガイダンス時の情報保障も実施している。 3)教育実習での配慮 聴覚障害学生の小学校教育実習は、附属小学校又は通常小学校での実習を、県内聾学校の小学部実習に振り替えることができる。 設置形態 国立大学法人 学生数 4274名(学部3900・大学院・340専攻科 34) 〒448−8452 所在地 愛知県刈谷市井ヶ谷町広沢1 (名鉄本線「知立駅」より名鉄バス20分) 学内支援組織図 聴覚障害学生 ↓ ↑ 支援学生団体「てくてく」・障害学生支援 WG教員・教務課 ↓ ↑ 情報保障者、事務職員(教務課・学生課・厚生課・施設課) その他の支援 授業の形態によって、PCノートテイクでは対応が難しい場合は、学外 学外手話通訳者の派遣 手話通訳者の派遣を依頼している。(10000円/1コマ(90分)、通訳者1名につき5000円支給。2名配置。 ) 講義で視聴覚教材を使用する場合 視聴覚教材の字幕作成 は、事前にメディアを借り、字幕付けの作業を行っている。 市販の音声認識ソフトウェアを、主 音声認識システムを に視聴覚教材の文字起こし作業に 用いた支援学生の負担軽減 利用している。 式典や、大学が主催する講義以外の各種行事(教務ガイダンス、オープ式典、各種説明会での ンキャンパスなど)で、主にパソコ情報保障 ンノートテイク・手話通訳による情 報保障を行っている。 講義中、支援学生が常に隣にいることは、聴覚障害学生にとって心理的 無線 LANを用いた な負担となる場合があり、要望があ 離れた場所での情報保障 れば、教室内の離れた場所で、入力支援を行う環境を準備している。 Check! 学外 学生のノートテイク・パソコンノートテイク、学外手話通訳者による情報保障 サービス向上を目指して ・聴覚障害学生は、特別支援学校教員養成課程に在籍しているため、同課程内の聴者の学生の各種支援に関する問題意識が高いこと等、恵まれた環境にある。 ・情報保障者が担当できる時間帯などに制約があり、一部の学生に作業が集中するといったことが生じている。 →課題を整理し、よりよいサービスを目指していきたい。 参考資料 「愛知教育大学 障害学生支援ガイド」 「愛知教育大学 聴覚障害学生の情報保障 教員用ガイドブック」「愛知教育大学 保障団体『てくてく』 リーフレット」 問い合わせ先 愛知教育大学 障害児教育講座 都築 繁幸 e-mail; stsuzuki@auecc.aichi-edu.ac.jp岩田 吉生 e-mail; yiwata@auecc.aichi-edu.ac.jp ●支援組織名称 日本福祉大学障害学生支援センター URL http://www.n.fukushi.ac.jp/shiencenter/index.htm ●スタッフセンター長1名 センター教員1名、 専任職員1名、委託職員3名 聴覚障害学生 47名 学部生 47名 院生 0名 視覚障害学生 13名 肢体障害学生 59名 その他26名 学内支援組織図 障害学生支援センターは全学学生支援機構の一機関 障害学生支援センター運営委員会(各学部の教員、教務・就職関係職員、学生生活センター職員で構成) 提供しているサービス ■ノートテイク■パソコンテイク 利用者数 32名 学部生 32名 院生 0名 ノートテイカー数 ノートテイク 98名 パソコンテイク 48名 サービス提供時間数 テイカー1名あたり週3コマまで 報酬および経費 ボランティア(奨励金支給) 募集方法 入学当初のオリエンテーションやボランテイア論等の講義で聴障学生が呼びかけ。各自が掲示板に募集ポスターを掲示。障害学生支援センターのボランティア登録者へ依頼。 コーディネート方法 聴覚障害学生自身が直接依頼するか、障害学生支援センターからボランティア登録者へ依頼する 養成方法 ボランティア実践基礎講座(外部講師)ノートテイカー相談会、ボランティア講座(学生主催)、サークルによる練習など。 本学ノートテイク・パソコン要約筆記の特徴 複数の聴覚障害学生が受講している場合は、 OHCを利用。設置は障害学生支援センターで実施。経験ある学生と障害学生が学生スタッフとして、運営・指導に協力 障害学生支援センターの設置 学習支援や生活支援の方法は、障害学生・支援学生・教職員が一緒に考えます。 障害学生の生活から、ボランティア活動支援まで、障害学生支援センターがさまざまな相談に応じています。 入学式での手話通訳者設置 入学式、卒業式、全学的な講演会、受講ガイダンスなどで設置 磁気ループの敷設 大講義室の全教室(1〜5号館)、 1101教室、文化ホール、図書館AVホール、半田キャンパス101教室 字幕 講義に利用する VTRについて、学生サークル「くまじ」が字幕デコーダーを利用して字幕を付けている。 字幕が間に合わない場合には、ボランティア登録学生が分担して、音声を文字化し、プリントアウトして障害学生に渡す 手話通訳設置研究 一部のゼミで手話通訳派遣研究を実施(1998年〜) 聴覚障害学生 5名 学部生 5名 院生 0名 視覚障害学生 6名 肢体障害学生 11名 提供しているサービス ノートテイク、パソコン要約筆記、手話通訳、ループ使用等 利用者数 2名 学部生 2名 院生 0名 ノートテイカー数 30名 サービス提供時間数 週 15コマ 報酬および経費 800円/時間(1コマあたり 2時間) 募集方法 入学時ガイダンスにて説明、入学時に募集チラシを配布。専門性の高い授業の場合は教員・学部事務室を通して募集。最近は人づての紹介が多く募集はしていない。 コーディネート・養成方法 障害学生支援室にてノートテイク講習を実施。学部・語学など属性に合わせてコーディネート。その際、学生コーディネーターが活躍している。 本学ノートテイク・パソコン要約筆記の特徴 ノート・パソコンテイクだけでなく、手話、教員の話し方、席の配置、機器の使用などを組み合わせて、最適な方法を追求している。 入学式での手話通訳者設置 該当者がある場合には実施する。手話が利用できない場合は、ノートテイク/パソコンテイクで対応する。 キャリアガイダンスへの手話通訳・ノートテイカー・パソコンテイカーの派遣 本人からの依頼があった場合は派遣する。 磁気ループの敷設 設置している(一部の教室は除く)。 字幕デコーダーの設置 音声情報の文字起こし、さらに字幕付けを行っている。 聴覚障害学生 8名 学部生 8名 院生 0名 視覚障害学生 5名(学部生 4名:重複1名含む院生: 1名) 肢体障害学生 19名(学部生 14名、院生 5名) 提供しているサービス ■ノートテイク ■パソコンテイク 利用者数 4名 学部生 4名 院生 0名 ノートテイカー数 105名(NT 70名/PC 35名) サービス提供時間数 週 34コマ(NT 16コマ/PC 18コマ) 報酬および経費 1000円/時間 募集方法 募集ポスター・チラシ・立て看板・大学の HPにより募集。すでに参加している学生による口コミも活用。 コーディネート方法 コーディネータが、ノートテイカーの配置・連絡・調整を担当。 MLを活用し、代理テイカーの確保・連絡等を行っている。 養成方法 ノートテイカー・パソコンテイク養成講座(6時間)を前期・後期に実施。(コーディネータが講師。聴覚障害学生や先輩テイカーも講師として協力)。中間ミーティングで各授業支援方法を見直し、改善案をその学期に活かす。 本学ノートテイク・パソコンテイクの特徴 ノートテイクは主筆と補助に分かれ交代で行う。補助は A4半分サイズの用紙を活用し、授業のポイントや瞬時に伝える必要があることを書き止め、主筆が書き漏らした点を補う体制を取っている。パソコンテイクは、パソコンテイカー2人に手書きサポート 1人を加えた 3人体制で実施している。学期末にはアンケートを実施し、毎学期末ごとに意見交換会の場を持ち、制度運営の見直しを行う。 参考資料 関西学院大学(教務部キャンパス自立支援課) キャンパス自立支援について http://www.kwansei.ac.jp/shien/ 2つのキャンパスへの細やかな支援 上ヶ原キャンパス、神戸三田キャンパスにコーディネーターが勤務しています。 問い合わせ先 教務部キャンパス自立支援課 上ヶ原キャンパス 〒662−8501 兵庫県西宮市上ヶ原一番町1−155 電話:0798−54−7264 FAX 0798-54−7044 E-mail:jiritsu-nuc@kwansei.ac.jp 神戸三田キャンパス 〒669−1337 兵庫県三田市学園2−1 電話:079−565−7903 FAX 079−565−7929 ● 支援 組織 名称 大学 教育 開発 ・ 支援 セン ター http://www.rche-kanazawa-u.jp/ ●スタッフ 教員5名(専任職員0名) 聴覚障害学生 0名 学部生 0名 院生 0名 視覚障害学生 0名 肢体障害学生 0名 障害学生支援委員会 教育担当副学長(委員長) 大学教育開発・支援センター長 保健管理センター長 学生部担当課長他 ノートテイク・パソコン要約筆記 その他の支援 提供しているサービス ノートテイク、パソコンノートテイク 利用者数 学部生 院生 ノートテイカー数 サービス提供時間数 報酬および経費 900円/時間(学生部予算) 募集方法 掲示板に募集ポスターを掲示。学内ポータルにおける募集。ランチョンセミナー(昼食時に開催)にて、説明会。 コーディネート方法 共通教育科目(教養科目)に関しては共通教育学務係が、専門科目に関しては聴覚障害学生の所属している学類学務係が担当。 養成方法 学外の講師によるノートテイカー養成講座(障害学生支援委員会主催)を年度末に開催。支援学生がいる場合には、前期にも実施。 本学ノートテイク・パソコン要約筆記の特徴 近隣の他大学から依頼を受けて、ノートテイカーによる派遣の実績有り 入学式での手話通訳者 学外組織に依頼 設置 磁気ループの敷設 字幕デコーダーの設置 その他の支援 音声認識技術を活用した教育支援 ユニバーサルな教育支援として、音声認識技術を活用し、音声字幕付教材を作成(講義音声+字幕+プレゼン画面)。講義終了後、音声字幕付教材をWEB配信。 リアルタイムの情報保障としてリスピーク方式を試行中。 卒業式での手話通訳 必要に応じて実施。 ビデオ教材の字幕作成支援 字幕台本を作成し、事前配布。授業中は必要に応じてノートテイカーが台本の進行状況を伝える。教材によっては動画への字幕付与を行なう。字幕作成作業は実習生等が行う。 筆談ボードの設置 各学部の学生窓口に設置。 障害学生への窓口対応パンフレットの配布 各学部の学生窓口、保健管理センター、図書館の職員へ配布。 補聴システムの設置 赤外線と有線の補聴システムを活用。 学生情報システム(ホームページ)での情報提供 シラバスに視聴覚教材情報の詳細 (ビデオ本数、時間)を提示。 手話講習会・要約筆記講習会の開催 毎年、前期と後期に各1回〜実施。 アクセシビリティリーダー育成 アクセシビリティリーダー資格認定制度を実施。 学内と地域で、資格取得者のインターン制度( ALI)を展開し、支援の充実を図る。 ●支援組織名称(スタッフ数) バリアフリー推進室(3) 教育・学生支援機構 学生支援センター(4) 障害者修学支援委員会(9) 障がい学生支援ボランティア(Campus Barrier-free Promote) (代表者8、登録者71) 聴覚障がい学生 4名 視覚障がい学生 1名 重複障がい学生 1名(大学院生) 肢体障がい学生 2名 障害のある学生の支援懇談会 学生生活課職員 2名、コーディネーター1名(非常勤) 聴覚障害学生 2名 学部生 2名 院生 0名 肢体障害学生 1名 その他 1名 学内支援組織図 提供しているサービス ノートテイク、パソコン要約筆記 利用者数 2名 学部生 2名 院生 0名 ノートテイカー数 18名(NT名/ PC 18名) サービス提供時間数 週 11コマ(NT コマ/PC 11コマ)2名とも FM補聴器を装用。 報酬および経費 760円/時間(共通経費) 募集方法 掲示板に募集ポスターを掲示。 コーディネート方法 学生生活課職員と学生とが連絡調整を担当。 養成方法 ノートテイク講習会 4時間(2h×2回)を前期・後期に実施。 本学ノートテイク・パソコン要約筆記の特徴 入学式・卒業式での手話通訳者設置、字幕提示 有り (手話通訳士の資格を持つ教員が対応。字幕は学生による支援) 磁気ループの敷設 なし 聴力検査、補聴器の調整 言語聴覚士の資格を持つ教員が対応 FM補聴器の貸出 FM補聴器 4台を準備 会場案内 時 間 内 容10:00〜 12:00分科会 @「基礎講座-1からわかる聴覚障害学生支援入門 -」A「教職員に対する障害学生支援の理解向上のために」B「コーディネーターの専門性と身分保障」C「支援学生のスキルアップ-聴覚障害学生のニーズに応えるために -」 会 場 会議室 201〜 203中会議場 1中会議場 2特別会議室 101〜 103 12:00〜 14:00昼食※ロビー及び一橋記念講堂でのご飲食はできません。 分科会各会場をご利用ください。また、建物の外に出られる場合、再入場に本シンポジウムのチラシ等が必要になりますのでご注意ください。ランチセッション聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト聴覚障害学生支援に関する機器展示 会議室 201、 202中会議場 1中会議場 2特別会議室 101〜 1032階ロビー 14:00〜 17:00全体会パネルディスカッション聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト結果発表 一橋記念講堂 現在、私たち学生が主体となって聴覚障がい学生の情報保障のために活動をしています テイク☆テイクは障がい学生支援室と 部門 No.A 千葉大学ノートテイク会 千葉大学ノートテイク会は平成21年度現在、利用学生 2学部から2名、ノートテイカー(以下:NTer)7学部(教 育・工・文・看護・法経・薬・理)と学外から約50名で 構成されています。コーディネートは大学の非常勤職員が 担い、毎週 NTer募集メールが回ります。 利用学生1人に対し NTer二人体制で手書き又はPCで 情報保障します。学生が主体となり、週に1度練習会を行 っています。千葉大学の情報保障がさらに向上していくよ う、日々頑張っています。 昨年度は利用学生4名に対し、NTer10名という状況で した。NTer不足が大きな課題であり、解決のためにさまざ まな PR活動を行いました。その結果、今年度、多くの新 NTerが増えました。そこで、PR活動の実践例・今年度充 実させている活動を紹介します。 * 前期を通して講義を会で担当し、ノートテイクと情報 保障について講義しました。 <概要> ○聴覚障がいの理解と情報保障 ○ノートテイクの基本(手書き、PC) ○聴覚障がいについて ○手話通訳、要約筆記について ○情報保障、福祉について ○情報保障の技術、他大学のようす についてゲスト講師も招き、理解しました。 受講生にノートテイクを体験してもらい、会の活動に ついても PRしました。これをきっかけに入会したメン バーもいます! ・NTについての説明 ・お互いの自己紹介を NT ・聴覚障害者体験 (音楽の流れたヘッドフォンを付けて周りの音が聞こえないようにし、 NTを利用する体験) ・会話の NT ・IPトーク体験、 ・専門分野の NT等… 総合校舎の一部屋で活動しています。 ・非常勤コーディネーターが週 2〜3日在室 ・話し合い、交流会、勉強会の場 ・参考の書籍、PCなど備品の置き場 ・ メンバーたちの団らんの場 として使っています。 昼休みの風景 <前期> *PR活動実践事例*講義「ノートテイク〜情報保障を考える〜」4月… 学部ガイダンスに参加 NT説明会で新入生勧誘 通常のノートテイク活動 5月 定期的に練習会・話し合い・ 6月 交流会を実施 7月 NT講義の担当とサポート .夏季休業. <後期> 11月…大学祭参加 PR活動 (展示、ゲーム、ミニシネマ上映) 12月…学生団体の活動紹介イベント参加 1月 来年度の計画、反省 2月 1年間の活動のまとめ 3月…来年度のテキストづくりなど 卒業生を送る会 ◎今後の取り組み◎ ・大学に働きかけ、ノートテイクの仕組みを充実。 ・ノートテイク方法の意見交換をする場を設ける。 ・ノートテイカー同士の親睦を深める。 ・講義に関する情報交換を定期的に行う。 ・授業を行う教授、他の学生に情報保障について知ってもらう機会をつくる。 ・ノートテイカーの声を届ける場を設ける。 ・より質の高い情報提供をめざす。 問い合わせ先 国立大学法人 千葉大学:〒 263-8522 千葉県千葉市稲毛区弥生町 1-33 千葉大学ノートテイク会HP http://ntkai.skr.jp/ ノートテイク会メール info@ntkai.skr.jp 部門 No.3 群馬大学:iPhoneを用いた情報保障の実践 なぜ iPhoneなのか? ・字幕呈示と音声通話が同時に可能。 ・遠隔地先での機材の設置が不要。 ・移動しながらでも使用可能。 事例1 動きを伴う実技の講義(体育館)での実践 ・講義の内容を IPtalkが入っているPCで連係入力し、無線LANを 通して IPtalkBroadCaster(ITBC)で聴覚障害学生が持っている iPhoneに字幕を送信した(写真1)。 ・FMトランシーバー(パナガイド{写真2})には受信機、送信機があ り、送信機にはピンマイクが付いている。その送信機を教員に渡し装 着してもらい(写真3)、受信機は支援者の所に置き受信された音声 を骨伝導ヘッドフォンで聴き取る。骨伝導ヘッドフォンを耳に近いと ころに当てマイクが拾った教員の声を聞き取り、耳で直接学生の声を 聞き取る(写真4)。 パナガイド(送信機) 先生 音声情報 聴覚障害学生 パナガイド(受信機) iPhone 無線LAN ITBC 写真4 字幕情報 支援者 図1.アイフォンを用いた PCテイク 写真1 写真2 写真3 結果 ・実技の活動中でも字幕情報を自分の見たいときに見ることができ、通 常のPCテイクと同様の情報量、正確性を確保した情報保障が可能にな った。 ・聴覚障害学生に情報を送るのに時間を要してしまうため、聴覚障害学 生は活動内容を把握できていない状態のまま活動に入ることが多く主 体的に参加することが難しかった。 <まとめ> こんな場面で使う! ・教室に PCを設置するスペースがない。 ・移動が多い(体育など)。 ・外での課外授業。 事例2 特別支援学校教育実習での実践 ・教室が非常に狭く PCを置くスペースがないため、図2のように字幕作成のための別の教室を設けた。 ・先生が Bluetoothマイクを装着し、聴覚障害学生が持つ iPhoneの通 話機能を利用してPCテイカーがいる教室にある iPhoneに音声を送る方法を取り入れた(写真5)。音声情報をスピーカーで聞き取り、IPtalkが入っているPCで連係入力し字幕を打ち込む(写真6)。 ・その字幕情報をソフトバンクのネットワークを通して ITBCで聴覚障害学生が持つ iPhoneに送信する(写真7)。 Blueetooth スピーカー 先生 音声情報 iPhone 字幕情報 聴覚障害学生 iPhone ネットワーク ITBC/IIS 支援者 IIS…インターネット・インフォメーション・サービス 図2.アイフォンを用いた PCテイク(ソフトバンクネットワーク) 写真5写真6 写真7結果 ・ソフトバンクのネットワークを利用することで安定して字幕情報を送信することができた。 ・今までの情報保障では難しかった先生の声や子どもとのやりとりなどの細かい部分も字幕にして表示できるなど観察場面では有効であった。 ・自分が指導する場面では、字幕情報を受け取るまでに時間を要してしまうため、主体的に動くには難しかった。 どちらの方法もタイムラグが生じてしまうため、字幕情報を得るのに時間を要してしまい、聴覚障害学生が主体的に動くことが要求される場面ではこの方法を用いても限界があることがわかった。しかし今までは手書きテイクでしか対応できなかった場面でも、iPhoneを 用いることで通常の PCテイクと同様の情報量、正確性を確保した情報保障が可能になったことは、聴覚障害学生にとって有益なことであると考える。 問い合わせ先 群馬大学教育学部障害児教育専攻 森田貴之 (taka2009morita@yahoo.co.jp) 群馬大学教育学部 金澤貴之 (kanazawa@edu.gunma-u.ac.jp) 群馬大学障害学生支援室 (adis-support@ml.gunma-u.ac.jp) _ 本研究の一部は、平成19年度科研費補助金(基盤研究(C)19500819)に基づき実施した、 今後の課題 ・遠隔地においても入力者が現場の状況を把握することが容易なしくみの創出(映像の送信、遠隔地間にある入力者同士の円滑な意思疎通手段の確保等) ・ネットワークの不安定さの克服 ・テクニカルサポートの運用方法の確立 ・入力者の派遣・コーディネートに関わる運用方法の確立協力 日本遠隔コミュニケーション支援協会 部門 No.A 学生主体から大学との協働へ 日本社会事業大学 障がい学生支援組織CSSO 取り組みの内容について、写真や画像なども盛り込みながら自由に記載し <はじめに > この報告における保障体制は2009年度前期までのものである。ま 学生数 約900人 た、文中にあるプロジェクト支援室は2009年10月から日本学生支 援機構の助成によって、プロのコーディネーターが大学に設置され、大学主体で聴覚障害学生支援が行われることになったものである。助成に 聴覚障害学生 2人 は期限もあり、終了後も大学と協働で継続した支援が行えるよう体制を 作っていく必要がある。そこで、大学との協働を目的とした支援室チー 運営スタッフ 26人 ム(2009年6月26日結成)の活動を中心に本報告をまとめた。 支援サポーター 100人 学生主体の講義保障体制 大学の特徴 1学部2学科・福祉の単科大学 運営主体 障がい学生支援組織CSSO 障がいのある学生も障害のない学生と同じように、学生生活を送れるようにCSSO ともに必要な支援を考え、提供する。(2005年6月活動開始) ・ノートテイク ・パソコンテイク 提供している ・ビデオの文字起こし サービス (車イス、視覚障がい学生にもニーズに対応した支援を検討していく) 謝礼金 1コマ/500円 (個人負担) 支援要請のあった講義の支 90%前後 援率 学生自治会 学園祭実行委員学術実践団体サークル協議会 サークルサークル 障がい学生支援組織 サークル CSSO スタッフ(運営者) サポーター(支援者) 組織図 支援室チーム    コーディネーター 代表   ビデオ起こし班    講習会班 副代表   会計班   自治会連絡担当   サークル協議会連絡担当 ノートテイク パソコンテイク ビデオの文字起こし 大学と協働に向けて 現在行っている活動 ・支援室チーム(他大学支援室見学、フォーラム等参加) ・大学との話し合い(月1回) ・スタッフ業務のマニュアル化 ・学生課とのプロ講習会の共同開催(年2回) ・プロジェクト支援室との協働体制模索 これからの課題 ・障がい学生支援においてプロジェクト支援室とCSSOとの関わりを明確にしていく。 ・障がい学生のスタッフ活動への参加を活かし、心のバリアフリーを進めていく。(志縁構築) ・安定し、継続した支援を行えるようマニュアル化、ルール統一など質の保持・向上に努める。 ・プロジェクト支援室と日本社会事業大学全体のバリアフリー化を目指す。 障がい学生支援組織CSSO (Challenged Students Support Organization) 〒204−8555 東京都清瀬市竹丘3丁目1番30号 情報保障支援学生団体「てくてく」による学外機関の支援活動 (教員)岩田吉生・高橋岳之, 情報保障学生団体「てくてく」(学生代表)竹本英典・学生一同. ○情報保障学生団体「てくてく」の活動 現在、愛知教育大学の聴覚障がい学生の情報保障支援活動は、PCノートテイク、ノートテイク、手話通訳によって行われているが、その大部分は情報保障団体「てくてく」の学生たちが役割を担っている。PEPNet-Japanの東海地区の連携大学である本学は、地域の他機関より聴覚障がい学生支援に関する研修会等を求められることがあるが、その際には、障害学生支援に携わる教員とともに、「てくてく」所属の学生たちと出かけている。研修会等に、学生たちが講師として参加したり、PCノートテイクのデモを提示したり、他機関の教職員や学生たちと交流する中で、聴覚障がい学生支援に対する学生の意識が高まり、本学の活動の発展に繋がっている。また、学生の中には聴覚障がい学生2名も所属し、この「てくてく」の活動に積極的に参加する中で、他機関の現状を理解した上で、本学の活動を客観的に評価したり、今後の活動を見直す視点を得ていること等が述べられ、当事者の学生のエンパワメントを向上させる貴重な機会となっている。 ○「てくてく」の学内活動 (1) 構成員;愛知教育大学・学部生・71名 支援登録学年:1年23名、2年11名、 3年20名、4年17名 → 聴覚障がい学生:2名(1年1名、3年1名) → 実働スタッフ:1年16名、2年6名 3年14名、4年11名 (2) 活動実績;週22コマ(支援の併用有) →PCノートテイク21コマ、ノートテイク1コマ (この他、学外より手話通訳者派遣) (3) その他;週2日・昼休みに連絡会開催。 他に、障害児教育講座と情報教育講座の教員、教務課職員とともに、「支援学生の募集」「情報保障説明会」「理解・啓発リーフレットの作成」「教員対象の支援マニュアルの作成」「PCノートテイク研修会」等を開催している。 ○「てくてく」の学外機関の支援活動 (1) 愛知淑徳大学−情報保障学生交流会(H20.12.10.) <内容>・IPtalkの概要(本学教員) ・愛知教育大学での現状(本学教員) ・聴覚障がい学生の報告(本学学生) ・IPtalkの説明とデモ(本学学生) ・学生と教職員の交流 (2)中京女子大学−情報保障研修会 (H21.4.6.) <内容> ・愛知教育大学での現状(本学教員) ・聴覚障がい学生の報告(本学学生) ・IPtalkの説明とデモ(本学学生) (3)東海地区聴覚障がい学生高等教育支援 連絡会 −運営委員スタッフ(H21.6.14.) <内容> ・運営委員に「てくてく」代表学生が参加した。 ・連絡会当日のPCノートテイク担当 等 (4)愛知県立岡崎聾学校高等部 −大学の情報保障説明会(H21.8.24.) <内容>・大学の情報保障の概要(本学学生) ・ 聴覚障がい学生の報告(本学学生) ・IPtalkの説明とデモ(本学学生) ・聾学校生徒と学生との交流 【テイクファイルの中身】 ・佛教大学 ゆび文字表 ・名札ストラップ ・ルーズリーフ ・ペン ・ノートテイカー養成講座テキスト(日本学生支援機構 近畿支部京都事務所発行) ・アルバイト時間精算書 応募団体紹介 第 5回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 発行日:2009年11月3日発行:第5回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム実行委員会 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク( PEPNet-Japan)事務局〒305-8520 茨城県つくば市天久保 4-3-15筑波技術大学障害者高等教育研究支援センター ※本事業は、文部科学省特別教育研究経費による拠点形成プロジェクト(筑波技術大学)の活動の一部です。