もくじ はじめに 報告書の刊行によせて ―北海道地域ネットワークの歩みを振り返って― 開催要項 プログラム ■アフタヌーンセッション 報告 聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2017 教職員による聴覚障害学生支援実践発表2017 展示企画 事例討論会 (1)手話通訳による支援の現状と課題 (2)補聴援助を必要とする学生に対する支援の現状と課題 ミニセミナー 北海道地区関連団体の紹介 「第二次まとめ」を読む―障害のある学生の修学支援に関する検討会報告の概説― ■分科会 報告 分科会1 基礎講座「のぞいてみよう!大学の聴覚障害学生支援」 分科会2「10年後の聴覚障害学生支援のあり方について考える ―北海道から語る地域連携とリソース共有―」 分科会3「教育の質保証と障害学生支援のあり方をめぐる問題 ―合理的配慮と教育の質の間のジレンマ―」 分科会4「聴覚障害学生の意思表明を支える関わりとは」 ■全体会 報告 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)新体制について パネルディスカッション 「障害者差別解消法から1年を経て考える―障害学生の権利・教育機関の役割―」 ■聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2017 受賞ポスター はじめに 第13回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 大会長 札幌学院大学 副学長 皆川雅章  第13回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムが、筑波技術大学との共催により北海道の地にて札幌学院大学を会場として開催され、全国各地から関係者を含む378名の方にご参加いただきました。北海道内からは136名の参加がありました。本シンポジウムの開催準備にあたり、さまざまなご教示を下さった筑波技術大学関係者の皆様、実行委員として多大なご協力をいただいた北海道内各大学の教職員の皆様、各企画をご担当いただいた全国の教職員の皆様、そしてご参加いただいたすべての方々に深く御礼申し上げます。  私は現在、札幌学院大学において副学長として障害学生支援を担当しており、アクセシビリティ推進委員の1人として大学全体の支援に携っております。私が最初に聴覚障害学生の支援を行ったのは、2010年度でした。1年次の基礎ゼミナールにおいて「自分の意見をまとめ、伝える練習」を行うときに、ディスカッションを成り立たせるために「パソコンによる筆談」を試みました。2012年度には、PCを使った演習型講義において、ノートテイカーの負担軽減を図るために、音声認識ソフトを使った情報保障を試み、支援学生の協力を得て実用化を目指していましたが、教室で使うには多くの問題がありました。そのような状況のもと、初めてPEPNet-Japanのシンポジウムに参加したのが2014年です。これ以降、毎年シンポジウムに参加し、さまざまな取組みを知り、新しい情報を得るとともに、自身の励みにもなりました。学生による「聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト」にも参加させていただきました。そのような中、昨年度にPEPNet-Japan事務局から本学でのシンポジウム開催の打診をいただきました。私は、自身の経験から、この開催は本学および北海道で障害学生支援を担っている方々にとって大きな意味があると考え、実施に向けた調整を行いました。多くの方々の熱意と協力により得られた成果は各企画のご担当の報告をご覧いただけば、明らかだと思います。  本シンポジウムを契機として、北海道地区では10年後を見据えた支援体制整備を図るべく、北海道内の大学間連携と支援人材のリソース共有を図る活動を始めております。このことを通じて、進路選択において「支援体制が整っているから」ではなく「学びたいことがあるから」進学する教育環境を大学間で連携して整備していくのが私達の努めであると考えています。この取組みを続けていくうえで、各大学の教職員の理解と協力を得ることはもちろんですが、全国の先進的な障害学生支援の取組み情報や、最新の支援技術情報の提供、人的なつながりを促進する役割を担っているPEPNet-Japanとの連携は不可欠なものであります。新体制移行に伴いPEPNet-Japanの活動がさらに発展し、高等教育機関における支援体制の充実が全国的に広がっていくことを願っています。 報告書の刊行によせて ―北海道地域ネットワークの歩みを振り返って― 第13回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 副大会長 札幌学院大学 人文学部 新國三千代  この度、北海道におきまして日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウムを開催できましたことを大変嬉しく思っています。北海道で支援に関わる私達教職員は、本シンポジウムを通して全国の先進的な取り組みから多くのことを学ぶことができました。札幌近隣の大学や地域の支援団体との交流も深まり、より強いネットワークが形成されたように思います。今回のシンポジウムでは、実行委員として札幌近隣の7大学から教職員18名が参加しました。そして、北海道地域としての企画(分科会2)を考えたり、分科会以外の様々な企画にも関わるという大変ありがたい経験をさせていただきました。また、PEPNet-Japan事務局の支援で、実行委員会の際に情報交換会も設けさせていただきました。  実は、これまで北海道地区におきましても大学間の交流は様々な形で行われてきました。例えば、初めて障がい学生を迎える大学での経験校によるノートテイク講習会、PEPNet-Japanや日本学生支援機構の支援で開催された北海道地区の教職員対象の講演会や研修会などです。2007年8月には、筑波技術大学の石田久之氏のご支援の下「北海道障害学生修学支援懇話会」が設立され(14大学1短大1高専の教職員が参加)、2年間の間に6回の懇話会が大学持ち回りで開催されました。その後、PEPNet-Japanの支援の下、北海道内の大学を対象とするノートテイク講習会や聴覚障がい学生を対象とするエンパワメント研修会などが開催されました(2013年度)。これらの取り組みの中で、道内の教職員や地域団体との関係は親密なものになり、2014年11月に情報交換の場としてメーリングリスト「北海道障がい学生支援ネットワークML」も開設されました。これは、当年10月のシンポジウム「障害をもつ大学生の就労をめざして」(北海道大学特別修学支援室主催)において提案されたものですが、北海道内の大学の教職員や高校の教員、地域団体関係者など約70名が参加しています。このような北海道地域のネットワークはPEPNet-Japan事務局の協力があって実現したと言ってよいでしょう。  今回のシンポジウムの分科会2のテーマは、「10年後の聴覚障害学生支援のあり方について考える―北海道から語る地域連携とリソース共有―」でした。10年後を見据えて、大学や地域の連携について実行委員の中で何度も活発な議論を交わしました。これにより大学の教職員や地域団体との相互理解もさらに深まりました。特に、共通課題を明確にできたことは大きな成果でした。10年後には支援技術も飛躍的に進歩し、必要な支援体制も変わっていくと思いますが、大学や地域間の連携はますます必須のものになって行くように思います。本シンポジウムを通して、今後地道に協力し合っていけば、自ずと連携の道は拓かれていくという思いを強くしました。 最後になりましたが、シンポジウムの開催に際し、PEPNet-Japan事務局の方々、実行委員の方々、その他のシンポジウムに関わられた方々には本当に助けられました。ありがとうございました。今後のPEPNet-Japanの発展を祈念しております。 開催要項 名称: 第13回日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム 目的: 筑波技術大学及び日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan)では、特に聴覚障害学生への支援体制が充実し、積極的な取り組みを行ってきている大学・機関と共同で、聴覚障害学生支援に関するノウハウを積み重ね、先駆的な事例の開拓を行ってきた。一方、我が国では平成28年4月から障害者差別解消法が施行され、障害者への不当な差別的取り扱いは禁止、高等教育機関においても、国公立大学では合理的配慮の提供が法的義務、私立大学で努力義務となった。 本シンポジウムでは、そのような情勢を鑑み、全国の大学における聴覚障害学生への支援実践に関する情報を交換するとともに、筑波技術大学ならびにPEPNet-Japanの活動成果をより多くの大学・機関に対して発信することで、今後の高等教育機関における聴覚障害学生支援体制発展に寄与することを目的とする。 日時: 2017年10月28日(土)14時~17時 2017年10月29日(日)10時~16時 会場: 札幌学院大学(北海道江別市文京台11番地) 対象: 全国の大学等で障害学生支援を担当する教職員、及び聴覚障害学生、支援者 その他高等教育機関における障害学生支援に関心のある方々 主催: 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク(PEPNet-Japan) 国立大学法人筑波技術大学 共催: 札幌学院大学 協力: 北海道大学 北海道情報大学 北海学園大学 北星学園大学 北翔大学 酪農学園大学 後援: 文部科学省 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO) 北海道教育委員会 NHK札幌放送局 UHB北海道文化放送 HTB北海道テレビ HBC北海道放送 テレビ北海道 STV札幌テレビ放送 朝日新聞北海道支社 読売新聞北海道支社 毎日新聞北海道支社 日本経済新聞社札幌支社 北海道新聞社 参加費: 無料 プログラム 「10月28日(土)」 ■聴覚障害学生に関する実践事例コンテスト【G館8階】 14:00~15:15  <前半発表>  ・札幌学院大学 B 交流カレンダー  ・筑波技術大学 大学院 技術科学研究科 情報アクセシビリティ専攻  ・金沢星稜大学 障がい学生支援チーム  ・宮城教育大学 A 大学院  ・松山大学 障がい学生支援団体 POP  ・千葉大学 ノートテイク会  ・日本福祉大学 学生支援センター  ・愛媛大学 障がい学生支援ボランティア(CBP)  ・九州ルーテル学院大学 15:30~16:45  <後半発表>  ・札幌学院大学 A 学外実習  ・札幌学院大学 C ノートテイク育成講習会  ・北星学園大学 アクセシビリティ支援室Note Takers  ・北翔大学  ・宮城教育大学 B 学生運営スタッフ  ・首都大学東京 ダイバーシティ推進室  ・愛知教育大学 情報保障支援学生団体「てくてく」  ・立命館大学 つながる  ・東北福祉大学 障がい学生サポートチーム  ・大阪教育大学 障がい学生修学支援ルーム ■展示【G館8階】 14:00~17:00  ・北海道地区大学における聴覚障害学生支援 活動紹介  ・北海道地区関連団体紹介  ・PEPNet-Japan連携大学・機関 活動紹介  ・筑波技術大学 活動紹介 ■教職員実践事例発表【G館7階】 14:15~15:15  <前半発表>  ・北海道大学 情報科学研究科  ・東北福祉大学 障がい学生支援室  ・明治学院大学 学生サポートセンター  ・関西学院大学 総合支援センタ―  ・大阪大学 キャンパスライフ 健康支援センター A  ・日本学生支援機構 学生生活部 障害学生支援課 15:45~16:45  <後半発表>  ・宮城教育大学 しょうがい学生支援室/東北福祉大学 障がい学生支援室  ・筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター  ・東京学芸大学 障がい学生支援室  ・首都大学東京 ダイバーシティ推進室  ・群馬大学 学生支援センタ― 障害学生支援室  ・大阪大学 キャンパスライフ 健康支援センター B  ・公益財団法人 大学コンソーシアム 京都 学生交流事業部 ■事例討論会【G館7階】 14:15~15:00  手話通訳による支援の現状と課題  ファシリテーター:金澤貴之氏(群馬大学) 15:30~16:15  補聴援助を必要とする学生に対する支援の現状と課題  ファシリテーター:佐藤正幸氏(筑波技術大学)、加藤哲則氏(愛媛大学) ■14:00~15:00 懇談コーナーを設けました。(体制の立ち上げ、支援者の養成など) ■ミニセミナー【G館1階 ホール】 14:30~15:30  北海道地区関連団体の紹介  司会:岩田吉生氏(愛知教育大学) 16:00~17:00  「第二次まとめ」を読む―障害のある学生の修学支援に関する検討会報告の概説  司会:梶山玉香氏(同志社大学)  講師:村田淳氏(京都大学) 「10月29日(日)」 受付 9時30分~ 分科会および全体会 10:00~12:00 ■分科会1【D-202】  基礎講座「のぞいてみよう!大学の聴覚障害学生支援」  司会:須賀朋子氏(酪農学園大学)  講師:池谷航介氏(岡山大学)  森重尚子氏(酪農学園大学)  辻川南氏(酪農学園大学 卒業生)  太田琢磨氏(愛媛大学) ■分科会2【B-202】  10年後の聴覚障害学生支援のあり方について考える―北海道から語る地域連携とリソース共有―  司会:藤野友紀氏(札幌学院大学)  講師:新國三千代氏(札幌学院大学)  佐々木薫氏(北星学園大学)  土橋恵美子氏(同志社大学)  三輪紅氏(要約筆記通訳者サークル「ふきのとう」) ■分科会3【D-201】  教育の質保証と障害学生支援のあり方をめぐる問題―合理的配慮と教育の質の間のジレンマ―  司会:松川敏道氏(札幌学院大学)  講師:田口達也氏(愛知教育大学)  中野聡子氏(大阪大学)  柏倉秀克氏(日本福祉大学) ■分科会4【B-201】  聴覚障害学生の意思表明を支える関わりとは  講師:吉川あゆみ氏(関東聴覚障害学生サポートセンター)  甲斐更紗氏(九州大学/関東聴覚障害学生サポートセンター)  有海順子氏(山形大学/関東聴覚学生サポートセンター)  益子徹氏(日本社会事業大学/関東聴覚障害学生サポートセンター) 12:00~13:00 昼食休憩 13:00~16:00 ■全体会【G館1階 ホール】  ・主催者挨拶   ・来賓挨拶  ・PEPNet-Japan新体制についての説明   ・パネルディスカッション  「障害者差別解消法から1年を経て考える―障害学生の権利・教育機関の役割―」  司会:伊藤康弘氏(北海道大学)  講師:松﨑丈氏(宮城教育大学)  武田太一氏(日本福祉大学 卒業生)  石原保志氏(筑波技術大学)  ・聴覚障害学生支援に関する実践事例コンテスト2017表彰式  ・閉会挨拶  16:00 終了