日本経営システム学会全国研究発表大会にみる研究の動向 堀江則之 筑波技術大学 保健科学部 情報システム学科 要旨:本稿では,第58回日本経営システム学会全国研究発表大会で発表された講演論文を整理することによって,経営システム関係の研究の動向を明らかにした。具体的には,研究目的と研究アプローチ方法を取り上げて,最近の研究発表の特徴を考察した結果を報告する。 キーワード:日本経営システム学会,研究動向 1.はじめに 最新の研究動向を把握することは,今後の研究を考える上で,大変意義があると考える。そこで,本稿では,筆者の所属する日本経営システム学会を取り上げ,2017年5月27日(土),28日(日)に東京経済大学で開催され,第58回日本経営システム学会全国研究発表大会で発表された自由論題の講演論文を整理し,経営システム関係の研究の動向を考察する。 2.調査概要 70件の講演論文について,2項目(研究目的,研究アプローチ方法)について整理し,考察する[1]。なお,表2,3に今回整理した講演論文をそれぞれ示す。 2.1 研究目的表2,3に示している研究目的について,特徴を分かりやすくするため,便宜的にグループ分けした。表1に分類した結果を示す。 表1 研究目的の分類 意識調査2 影響分析7 概念の考察12 関係性の考察3 システム構築開発2 手法の提案5 事例分析8 比較5 フレームワークの提案4 分析モデルの提案9 その他14 合計71 *複数にまたがる研究目的が1件ある。 その他を除き,研究目的の中で最も多かったものは「概念の考察」で12件であった。経営学分野を対象としている学会であるので,概念や理論の考察から論考を展開する研究が多かった。次いで多かったのが「分析モデルの提案」で9件であった。先行研究の分析モデルの不十分な点について,改善・改良を目的とした研究が見受けられた。3番目に多かったのは「事例分析」で8件であった。研究対象企業等の明らかにしたい課題,仮説について明らかにすることを試みていた。これらに続くのが「影響分析」,7件「手法,の提案」5件,同じく「比較」5件であった。「影響分析」は,研究対象について,「与える影響」,「どのような影響があるか」,「どのような影響がもたらされるのか」など,様々な角度から「影響」について研究が行われていた。 2.2 研究アプローチ方法 前節で示した,研究目的件数上位の研究アプローチ方法を概観すると,「概念の考察」では,文献の整理を基に論考を進める研究が多かった。「分析モデルの提案」では,様々なデータ( ビール・発泡酒の全国家庭消費データ,気象データ,アンケート調査データ,数値実験,停留所毎乗客客数データなど)を活用して,提案した分析モデルの有効性を検証しているアプローチが数多く見られた。 3.まとめ 本稿では,日本経営システム学会全国研究発表大会で発表された自由論題の講演論文について,研究目的と研究アプローチ方法を取り上げ,最近の研究発表の特徴を考察した。 表2 講演論文(その1) 表3 講演論文(その2) 参照文献 [1] 日本経営システム学会.第58回日本経営システム学会全国研究発表大会講演論文集;2017-5-27,28(東京).2017;p.34-273. Research Trends of the Japan Association for Management Systems HORIE Noriyuki Department of Computer Science, Faculty of Health Sciences, Tsukuba University of Technology Abstract: The purpose of this study was to uncover research trends of the Japan Association for anagement Systems. Specifically, research purposes and approaches were analyzed. My findings are reported as research results. Keywords: Japan Association for Management Systems, Research trend