鍼灸マッサージ分野における介護予防支援に関する研究 近藤 宏 筑波技術大学 保健科学部 保健学科 キーワード:鍼灸,マッサージ,介護予防支援事業,基本チェックリスト,調査 1.研究背景と目的 急速な高齢化の進展により,虚弱高齢者や要介護者高齢者の増加が見込まれている。2017年4月より新しい介護予防・日常生活支援総合事業(以下,総合事業)に移行し,地域の支え合い体制づくりを推進し,要支援者等に対して効果的かつ効率的な支援等を可能とすることが期待されている[1]。介護予防分野でのあん摩マッサージ指圧・はり・きゅう(以下,あはき)に関する報告は少ない。そこで,本研究は,はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧施術所における高齢者の介護予防支援に対する取り組みの実態や介護予防支援に対する意識について把握し,あはき施術所が総合事業の展開を検討するための基礎的資料を資することを目的に調査を行った。 2.成果の概要 2.1 研究方法 公益社団法人全日本鍼灸マッサージ師会に協力依頼をし,あはき施術所に対して無記名自記式によるアンケート調査を実施した。アンケート調査票の記入は,対象施術所長が行った。調査項目は,施術所の事業状況,総合事業等に関する理解,総合事業等に関する意識とした。回答方法は,調査項目により単一または複数回答式,数値記入回答式とした。568件から回答が得られた(有効回答数100%)。有効回答数について各項目の単純集計を行った。結果は,計数及び割合(%)で示した。 2.2 研究結果 現在行っている施術内容は,はり409件(72%),きゅう440件(77%),あん摩マッサージ指圧施428件(75%)であった。あはき施術所以外に運営している事業は,通所介護 42件(7%)が最も多く,次いで居宅介護支援事業所27件(5%)であった。厚生労働省が作成した「基本チェックリスト」は,372件(65%)が知らなかった。介護予防把握事業への興味は,まあまあ興味がある218件(38%)が最も多く,次いで非常に興味がある86 件(15%)であった。あはき師が介護予防支援の取り組みを行う必要性については,まあまあ必要がある238件(42%)が最も多く,次いで非常に必要がある199件(35%)であった。 3.成果の今度における教育研究上の活用および予測される効果 はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧施術所を対象に高齢者の介護予防支援に関するアンケート調査を実施し,取り組みの実態や意識について把握することができた。今後,あはき施術所が総合事業の展開を検討する上で貴重な基礎的資料となるであろう。限られた社会資源を有効活用するために,あはき施術所に介護予防支援事業への参加が求められている。本研究から得た基礎的資料が介護予防支援事業を発展させるために役立つことが期待される。 参照文献 [1] 厚生労働省.介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン.http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088520 _2.pdf.2018.2.20 access. 謝辞 本研究は,平成29年度 競争的教育研究プロジェクト事業の助成を受けて行われた。ここに深く謝意を表する。